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2005年02月11日(金) 手紙

自分だけは、あの頃のまま変わっていないことに対して感じるのは、虚しさと憤りしか今はありません。私たちを取り囲むすべては儚いものばかりです。出会いも別れも、寒空の下に響いた笑い声も、怒りを握り締めたその手の強さも、悲しみの涙も。季節が過ぎ、人の気持ちというものも、同時に移ろいゆくものだということに、私は気づいていながらも認め合うことを拒んでいました。彼が去ってから私は思います。私は、変わりゆく未来という、すぐ目の前にある光景さえも見つめようとしていなかったのです。なぜなら私が生きていたのは常に過去か遠い未来であり、今というその瞬間では決してありませんでした。後悔や空想に耽りながら、その場に踏みとどまる理由ばかり探していたのですね。今をしっかり生きるべきだと認識していれば、守るべきものもきっと守れていたでしょう。変わりゆく人と世界とともに、きっと前へと進むことができていたはずです。今になって悔やんでも、彼が去った今となっては仕方のないことです。この絶望にも似た虚しさと憤りも、時が変われば、勇気や強さというものに、きっと自分を変えてくれるのかもしれないと、信じてみても良いかと思うばかりです。


川村 |MAIL