2002年04月11日(木)
拝啓 悲しみの記憶さま

傷口が疼くのは

思い出したくない季節がまた

今年もめぐってきたからでしょうか


桜の花の香りも

アスファルトにしみこんだ雨のにおいも

この青い空も

あのときとなにも変わっていないから

悲しみは流れてゆくことを知らずに

いつまでも僕の心の中にとどまっています


記憶をくすぐるのは

もうよしてはくれませんか

どんなに茶化したって傷は傷のままで

くすぐられて身をよじるその瞬間

やはりちくりと痛んでしまうのです


写真が色褪せていくように

この記憶も色褪せてくれるのなら

どんなにか楽なのに

無意識に僕はこの記憶を大切にしてるのでしょうか


春の優しい風さえも

憂いに満ちた色に見えてしまうのです




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