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『微炭酸ニッキ』  山崎ナオコーラ

(新たなご依頼をいただける場合、あるいは、既刊の作品についてご質問をいただく場合も、
拙著の刊行がある出版社さん宛てにメールにてご連絡をいただけませんでしょうか?
転送してもらえますので、私から返信します)。

風の中
2012年04月06日(金)

暴風が吹いていた日、
私は初めて、料理本の春のページを開いた。
たけのこごはんと、豆腐の田楽と、アスパラガスのおひたしと、姫皮とわかめの吸い物を作った。
不謹慎かもしれない、と一瞬考えたが、なぜそう考えたのかわからなかった。

ものすごい風で、
そういえば春だ、とやっと気がついたのだった。



観た美術展のメモ
2012年04月05日(木)

これからは、観たものをここへメモしておくことに決めた。



〔2月に観た美術展〕
・「没後150年 歌川国芳展」(森アーツセンターギャラリー)
・「イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに」(森美術館)
・「『行きつ戻りつ つくり つくられること』佐野 陽一・久村 卓・山極 満博」(ナディッフ・ギャラリー)


〔3月に観た美術展〕
・「Eikoh Hosoe Photo Exhibition 細江英公写真展」(BLD GALLERY)
・「ロトチェンコ −彗星のごとく、ロシア・アヴァンギャルドの寵児−」(ギンザ・グラフィック・ギャラリー)
・「『望郷―TOKIORE(I)MIX』 山口 晃展」(メゾンエルメス8階フォーラム)
・「植田正治 『砂丘モード』」(タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム)
・「南川史門『鏡、音楽、マルチメディア』とコーヒーパーティー」(ナディッフ・ギャラリー)
・「志村信裕『恵比寿幻燈祭 Dress』」(TRAUMARIS SPACE)
・「『アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue』展」(21_21 DESIGN SIGHT)
・「フェルメールからのラブレター展」(Bunkamuraザ・ミュージアム)
・「小沢健二『我ら、時』展覧会とポップ・アップ・ショップ」(パルコミュージアム)


どれも面白かった。



コンサート
2012年04月04日(水)

オペラシティで小沢健二さんのコンサートを聴いてきた。

編集者さんと行った。

良かった。

私は高校生の頃、「オリーブ」で連載していた小沢くんの連載エッセイを、全部スクラップしていた。
それから、ひとりになった小沢くんが、フリッパーズのCDは燃えないゴミの日に捨てろ、と言っているインタビュー記事を読んで真に受け、CDにハサミを入れた。
心酔していたのだ。

だから、ライヴに行ったら懐かしい気持ちになるのかな、と思って向かった。

だが、懐かしくはならなかったのだ。
昔の曲をたくさん演奏してくれたので、かえって現在感が強まった。

過去を否定しない小沢くんを見て、あ、大人になっているんだ、と気づき、
そして自分も大人になった。

私も三十三になりました。

小沢くんじゃないですよね、小沢さんですよね。

今の小沢さんも好きだ。また聴きたいな。




2012年04月03日(火)

吹き荒れています。
みなさま、だいじょうぶでしょうか?
お気をつけください。




2012年04月02日(月)

桜が咲いている。


今日から
2012年04月01日(日)

新学期である。

心を入れ替えようと思う。



雪と『私の中の男の子』と『男と点と線』
2012年03月01日(木)

○文庫版『男と点と線』(新潮文庫)3月1日発売


装丁 清川あさみさん
解説 中村文則さん

巻頭に世界地図のイラストを入れていただきました。

私は、手直しして、それから、文庫版あとがきを書きました。
あと、著者近影を描きました。

ブエノスアイレス、渋谷、パリ、クアラルンプール、ニューヨークが舞台の短編小説集です。

再読して思ったのは、やはり私は男女の友情が書きたいんだなあ、
ライフワークだなあ、ということでした。
特に「スカートのすそを踏んで歩く女」が、自分で言うのはおかしいですが、自分の真骨頂という気がしました。

あとは、表題作「男と点と線」も、自分としては、よく書けた気がします。「相手を好きだと思うことは、自分を低くすることなんだ」。


ただ、あれですよ。
あっさりした、平坦な小説です。
世界を舞台にしているからって、ドラマティックと思ったら大間違いです。



○単行本『私の中の男の子』(講談社) 2月23日発売


装幀 Coa Graphicsさん


フィガロジャポンで一年間連載した小説の単行本化です。

ごはんを食べるとはどういうことか。
ダイエットの話です。


著者近影を描きました。




○文庫版『29歳』(新潮文庫)
日経ウーマンで連載したアンソロジーの文庫化です。
柴崎友香さん、中上紀さん、野中柊さん、宇佐美游さん、栗田有起さん、柳美里さん、宮木あや子さん。

私の短編は「私の人生は56億7000万年」というものです。
書店員の女性が主人公です。

私はこれ書いたときちょうど29歳目前でした。



○webちくま「泥酔懺悔」

「ひとりでお酒を飲む理由」

エッセイ書きました。

いいのが書けた気がするんですが、いかがでしょうか。



○「昼田とハッコウ」とうとう完結

「群像」(講談社)3月号で、最終回を迎えました。
全25回です。
「群像」で書けて嬉しかったです。本当にどうもありがとうございました。



今日、雪が降りましたね。
踏みました。




夜と平和
2011年12月29日(木)

パーソナルコンピュータが、壊れる。

文藝賞のときいただいた副賞の金で買ったもので、
ゆうに6年は使っている。7年かもしれない。

寿命だろうか。

容量がいっぱいになったのかと思い、
メモリ増設をしたが、
電源を押すと、また意味不明な英語が出てきた。
オープニングシステムが見つかりません。

中の文章もすべて箱の中だ。

(メモリ増設は大変だった。
裏をドライバーで開けて。
ただ、その作業の最中に、
デジャヴの感覚が起きた。
もしかしたら、私はこの6年の間に、
増設したことがあるのかもしれない。
そうだとしたら、本当に意味のない作業だった)。

毎年書いているが、
この微炭酸ニッキは2000年の12月に始めたので、
もう11年書いた。来月から12年目に入る。
この間、母校で授業をしていたとき、
「私も、大学生のときは、イルミネーションをひと粒ひと粒潰したいと考えていました。そして、恋愛をしないままおばあさんになります」
と言った。私は、この日記に、そのことを書いた記憶があった。
しかし、今見返したところ、その記述が見つからない。

私の記憶は曖昧模糊としている。

今日は、年末感を味わうために、
オペラシティで第九を聴いてきた。

金がなくなった。

来年からどうしよう。
会社員と兼業できるか、模索した方が良いのか。

これは、携帯から書いている文章である。

携帯だけはいつも、どこにあるかわかる。
部屋の中で異様な存在感を示す。

私の脳の一部。
触ると痛い。
メールは書けない。
誰とも繋がらない。
だけどいつか開く。
何年後かに開いて、私をどこかへ連れていく。



夕方
2011年12月19日(月)

お墓が夕日に当たるのを見る。

日光は墓石を撫でる。

毎日、何度も何度も撫でていく。




文章を書くのは楽しい
2011年12月18日(日)

毎日苦しい。
ちっとも良いものが書けない。
もう皆に見捨てられたと思う。

今までは、「自信がない」と言ってはいけないと思っていた。
いろいろな人の手を借りて、仕事をするのだ。
本の表紙に名前を載せる自分が、「作品に自信がない」と言ってしまったら、
一緒に仕事をしている人たちはどう思うだろう、読む人はどう思うだろう。
本を作るからには「いい作品です。自信があります」と言わなくてはと思っていた。

いわれのないバッシングにも耐えられなかったが、顔に出してはいけないと思っていた。
ずっと地味な人生を歩んできて、本の作り手という裏側の仕事についたのに、
まるで表舞台にいるかのように、あることないこと言われることが苦しくて、泣いてばかりいた。

何か努力をしなければ、と思う。

この苦しさから逃れるために、
動かなくては。
ノイズに耳を傾けず、
作品に集中しなくては。

私の書くものは、
多くの人に読まれるものではない。
でもかまわない。
ひとりでも読者がいれば、書く。

たくさん読んで、
たくさん書くこと。

だまされてもいいから、
周りの人を信用すること。

文章を書くのは楽しいと思い出すこと。




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