+女 MEIKI 息+
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2005年12月23日(金) 感情が騒がしい

 いつもそれは全然ドラマのようにはいかないものだ。
 はらはらと涙を流す感情はどこにも無く、遠いところから聴こえるような声を一語一句聞き逃すまいと、別に憎いわけでもない先生の目を睨み返すのが精一杯で、たぶん凄い形相をしていたのではないかと、今思う。

 一通り先生の説明が終わり不明な点を何度も納得するまで訊いたはずだが、不明な点なんて元々ありはしない。不明どころか突き付けられた問題は、受け取ることはおろか部屋の中央で浮いているのである。
 その浮遊したものをわたしが認めない限り、この部屋から去ることが出来ないことだけがそのときのわたしに唯一理解出来たことだ。
 宜しくお願いしますと頭を下げて部屋のドアを後ろ手に閉めた時は、既に談話室に戻った人に対しての顔を作っていたし、その人に対しての声も上ずることはなかった。
 頭の隅で「随分と淡々と話せるものなんだな」と思えるあたりは落ち着いているのだと勘違いするほどに、それは完璧だったと思う。

 面会用のバッジを守衛室に待機している人に戻し、明るく暖かい建物内と陽もどっぷりと暮れ、砂埃を巻き上げる木枯らしが吹く外とを遮る自動ドアが開いた瞬間に、予想もしていなかったぐらい涙が出た。
 通りを挟んで遊歩道があるところまで行く頃には口に手を当て声を殺して歩くのが苦しいほど啜り上げていた。


 街灯もまばらな遊歩道にあるベンチにどれだけの時間を座っていたか覚えていない。煙草に火を点けようとしても、手がかじかんでなかなか箱から一本が取り出せない。やっと火を点け大きく吸い込んだ途端に、また涙が溢れ出す。
 これじゃ電車に乗ることも出来やしない。
 代われるものならわたしが代わって…とあまりにありふれた感情も起きたが、もし代われたところで当の本人は喜びはしないだろう。それならば、わたしの出来る限りのことで頑張るしかない。そう頭を切り替えても、なかなか頬は乾かないまま数本目の煙草に火を点けた時に携帯に着信があった。
 「飯、食うか?」一言だけ。
 そういえば、朝から食事のことなんて忘れていた。
 「ん。食う」そう返した。
 「じゃあ、銀座に着いたら電話しろよ」
 「二人じゃアレだからさ、他にも…」
 「ああ、もう連絡してある」

 銀座に向かうまでの空いた地下鉄内でも、何度か視界が潤みそうになったが人に会うのにしょぼくれた面で行けないという気持ちがセーブしてか、留まることが出来た。
 全く涙とは関係の無い野郎を従えて、遅い時間まで銀座で騒いだ。
 ありがとう。




 先に予定があって休みを取っていた今日の予定が、ポッカリと空いた。
 さて、それならばずっと先延ばしにしていた薬を取りに行こう。
 いつもの調子で出かければ、午前中には用事は済むはず。
 ところが、今日は休みだという頭が先に働いてなかなか体が動こうとしない。午後の診察時間に間に合えば、何も急ぐことでなし。一度でもこんなことを思うと、暖房を消すのは勇気の要る作業になってますますウダウダとまどろむ時間が過ぎる。
 考えても仕方の無いことばかりが幾度も頭を掠めては打ち消して、眠ったつもりがスッキリとしていない。だからとて、出かけるのを億劫がっても同じように繰り返されるだけ。
 独り言にしては間抜けな「よし!」ってな声を出して、猫を驚かせて家を出た。

 先日、買い物をしたときにオマケで【貼るオンパックス】をもらった。腰やお腹が温まるように使ったことはあるが、そのオマケを手渡されるときに『寒いときや、頭痛のときには、首の後ろの服で見えないぐらいのところに貼るといい』と、教わったので試してみた。ほぉほぉ、こりゃなかなかいい感じ。
 電車に乗るとシートがこれまた心地いい。
 さえない顔つきで乗り込んだ空席の目立つ電車のシートに座った途端に、目的地の二つ駅前まですっかり寝入ってしまっていた。
 山手線ならいいのに。ぐるぐるぐる。
 乗り換えですっかり冷気に晒されて、目は覚めたとは思う。
 貼るオンパックスのお蔭か、気のせいか、はたまた寝ぼけているからか、首をすくめて震えるほどではなかった。
 ぬくぬくカイロ、もう手放せないかも。




 Madonna の『Hung Up』を聴いてたら、カラオケでABBAが聴きたく(歌いたく)なった。
 ここんとこ全然カラオケ行ってないなあ。
 この時期、混んでるんだろうなあ。
 思い立ったら今行きたい!ぬぉぉぉぉ。
 騒ごうと思った途端に寝そうだけど。




 なんだか街が騒がしいと思ったら、クリスマス。
 可愛い飾りも、あと数日で松に変わる。
 空に向けて手を伸ばして指先を凍えさせた去年とは違うことを、今年は少しだけ確かめてみよう。
 「あの星がほしい」と言って、もみの木のてっぺんにある星の飾りを手に入れられるだろうか。指先に触れるだけでも十分に満足しそうだけれど。
 とにかく今年は試してみよう。




 いつもと変わらない週末は、いつも特別な週末。
 居ると居ないじゃこうも違うってことを、たまには教え込ませようじゃないの!とは思っても、伝える術が未だ見つからない。
 言葉は平たいものになり、態度の曖昧さでは伝えきれた気持ちになれない。わたしが満足するものが見つかるまで諦めて付き合いなさいと言うのが関の山。
 小憎らしい言葉の綾取りを楽しんでくれていることに…10点。
 時々、仕掛けた罠に自分で嵌って、それを見透かされて…6点。



2005年12月18日(日) 冬の星空はめちゃキレイ


 ハナタレで鼻の皮が剥けてなんてことを前回書きましたが、今回そんな中途半端じゃなくズル剥けになりました。
 コントにしたって出来すぎ、見事なコケっぷり。顔面から地面にダイブ、シャチホコもびっくりの勢い余ってエビゾリポーズ。

 陽もどっぷりと暮れた暗闇、用意が終わって次の用事を片付けるためにバスの時間に間に合わせねばと慌てて走り出した倉庫の搬入口、その先の暗闇に停めてあったフォークリフト(アレはなんていう部分なんだろう、アーム?パレットを持ち上げるあの部分。そのままフォーク?)の、その部分に足をひっかけて気分はスーパーマン(の、低飛行)

 転びました。すってんころりんころころりん。

 あまりの突然のことに驚いたほうが先で、痛さなんてなんのこと?状態。
 作業途中、休憩に入ってたオジサンたちが「ぐお!だいじょうぶかー」とゾロゾロ集まって来るのが分かったのだけど、エヘラエヘラと笑うだけで起き上がれず「こりゃどこに力を入れたら起きれるのかしら?」な感じでモゾモゾと動くだけだったような。

 と言うのもあまりの予想外な出来事にバスに乗り込んで、明るいところで傷を見るまでは痛さよりもエヘエヘと笑ってるだけの記憶しかなく。
 そういえば、オジサンに顔を拭いてもらった記憶もありました。

 「いあいあ、大丈夫ですよ。お騒がせしてすみませんでした」
 「そんな顔が黒いままじゃ帰れないだろう」
 ゴシゴシ、イデデ。

 お疲れ様の挨拶をして、何も無かったようにバス停まで歩いたはいいが、どうもヒザが痛い。でもGパン破れてなくてラッキー。
 しかし乗り込んだ車内の明るさで指先がアダダになってるのを発見。見た途端に痛いよコレは!ジンジンきてるよ、爪があばば。
 家に帰って、絆創膏貼っておしまい程度でも痛がりです、はい。

 そして今日ベッドから起き上がるのに、なんだかツライ。
 ヒザの擦り剥けが青タンになってるのは分かるが、この青タンは何だ?が、アチコチに。歯を磨いて顔を洗って鏡を見たら、オジサンの擦りすぎでアゴにも青タンだよ。いあ、それは違うんだろうけど。腰骨(普段は肉に埋もれてドコだか分かりませんが)の辺りもシッカリと青タン。もうね、歩くたびにアチコチ痛いですよ。
 そして手のひらにも青タンって出来るもんなんだと不思議な気持ちになりつつ、キーをがしがし打ってたりするので、元気です。

 そーいやぁ子どもの頃はよく転んだなあ。
 チビの頃赤チン塗ったところって、なんか鈍色に光ってたような記憶があるのだけど、最近の赤チンはあんなふうには光らないのかしらん。
 血水でだらしないヒザを見て、手元に赤チンが無いのがちょっと淋しかったりします。今なら迷わず、地図に出てくる工場マークを描くのになあ。
 えへえへ。




 添付ファイルありのメールが送られてきた。
 最近は添付付きは少なくなったけど、やっぱりスパムか?
 メアドに覚えは無い。
 相手が受信している=使われているメアドであるってなチェックのためだけの空メールとも違う。

 本文があった。この一文だけ。

 『あんたさ、正月だからって和服は止めなね』

 メアドに【 Luxurious 】ってな文字が読み取れる。
 贅沢者で、わたしを『あんたさ』と呼ぶヤツは一人しか思い浮かばない。そうなると添付ファイルが見たい。いあ、もしかしたら全くの勘違いでこれはやっぱりウィルスかもしれない。確かめる術やら技術やらを持ち合わせているわけもなく、興味は増すばかり。

 そうか!電話して確かめてみればいいのか!
 そんな時に限って、もしかしたらヤツかもしれないと予想を立てたヤツは電話口に出ない。出ないどころか、留守電用のメッセージまで新しくなっているのを聞かされてしまった。くわばらくわばら。
 添付ファイルの拡張子を見る限りはjpgと画像っぽい。
 予想を立てたヤツだと該当者が分かるまではファイルは見るのを我慢しようと、久ぶりに巡回なぞしようとしても気になってしまって、文章を読めど上の空。

 もー我慢できない!見てやる!開いてやる!ウィルスカモーン♪



 ぬっ、これは『狸御殿』のポスターの一部ではないか?
 なぜにチャン・ツィイーのほうを送ってこない。

 心配要らないよ。和服は持ってないから。
 それにねわたしが和服を着ると、どこぞの姐さんまがいになるのは間違いないらしいし、可愛く見せようとしてもここまでは無理だ。
 こうなりゃコッチも何か探して返信してやろうと思ったのだが、このところネット徘徊もしてないから何の手持ちもない。
 ちくちょー、サイボーグ系の女画像を探して送りつけてやる!



 余談だけど、打ち上げに呼ばれたら本人と再会なんだよなあ。なるべく大人しく年末は過ごすようにしよう。




 風呂のシャワー(給湯)の温度調節が壊れた。湯はりボタンも追い炊きボタンも作動しない。入浴は諦めろってことか。やだやだ、どこぞで行き倒れになった時に汚い人のままはやだやだ。
 雨漏りをやっと直してもらったと思ったら、今度は風呂か…。
 直してもらおうにも、これまた大家がなかなかつかまらない。また面倒でも不動産屋に連絡をお願いせねばだわ。
 それはいいとして、今夜の風呂はどうするよ。ってなわけで、「こんな感じでよかろう」と思うギリギリのヌルイ水温でシャワーを浴びたのでした。寒いの寒くないのってどっちなんだか分からない表現ですが、部屋に戻ってヒーターの前でやっと落ち着くぐらいの寒さでしたさ。
 ふぇーっくしょん!ずるずる。




 歳を重ねるにつれ、同じことを繰り返すことばかりで、さして変わり映えのしない日々をやり過ごすことが多くなっていくように感じる。
 それはなにもわたしが放り投げた性格だからという理由だけじゃないはずだとも思うのだけど、他の人はもっと日々輝いてたりしているのだろうか。

 去年の今頃って何をしていたのだろう?
 ガッツリ厚着してからベランダに出て綺麗に澄んだ星空を仰ぎながら、煙草何本か分の時間の中でもメールをしていたのは覚えている。
 去年と違うこと、今年は傍にキミが居る。
 いくばくかの規制の中であったとしても、触れられる距離に必ず居てくれている。安らいだ気持ちになれる。そういう感情は忘れないでおこう。




 充電は忘れないように。じゃないとシオシオになるから。携帯の充電は単純でいいよね、完了!ってのが一目で分かる。
 キミにも充電完了の表示が付いていたら、途端に壊すだろう。
 充電完了だなんて絶対に言わせたくない。
 いつだって欲しがりやがれぃ!で…7点。
 それはまるで自分の裏返しだと思って…6点。




2005年12月15日(木) I Wanna Be Loved By You

 I Wanna Be Loved By You

 留守電に歌が入力されていた。
 相手は、わたしが電話に出ることの出来ない時間を見計らってのことだから、シッカリと計画的だったわけだ。
 『ぷぷっぴとぅー♪』




 純真さの中にこそある狂気。
 少女から大人に移り往く時期のあの危さを観られるってことは、わたしはすっかり大人なのかと勘違いする。
 オンナは生まれながらにオンナで、オトコはオトコになっていくと言うけれど、そのオンナの部分がそぐわないこともまた魅力となりうる束の間の純真。
 窓を曇らせ小さな滴が膨らみを増して、彗星の尾を作りながら流れ落ちる雨だれ。そのスローモーな動きの中には、重みを感じることも、流れ落ちて消えることも、そういうことには興味のないことのように、次から次へと湧き上がるそのときの感情のままに動く彼女たちは挑戦的であったり刹那でもあり総てがその魅力に拍車をかけている。

 深夜のコンビニで立ち読みしながらのガラス越しの外に、誰を待つのか携帯を開いたまま中学生ぐらいの女の子が車の停車位置表示の一段高くなった場所に座り込んでいるのが見えた。
 この時期、外は寒いだろうに。
 最初に思ったことがこんなショボいことなのに、立ち読みをするふりをしながらも少しの間、女の子から視線が外せなかった。

 そして始まる脳内の勝手なストーリ仕立て。
 うむ、脳内だけは今宵も元気だ。




 レイザーラモン住谷のあの格好は、ミニスカポリスのパクリだ!と知人は言ってたけど、それを言うならピンクレディーのUFOに近いものがあるような、カメレオンアーミーでもいいけど。
 忘年会シーズン、今年のコスの売れ筋がレイザーラモンHGのあの格好だって言うんだから、オジサマ方も頑張って無駄毛処理しちゃうのかしら。
 とは言えこのご時勢、能天気な忘年会とかあるのかも不明。

 能天気忘年会ってのをスル機会があるなら、どうぞネクタイの結び目は右側にもってきてくださいまし。すごく納得しちゃうから。

 そーいやぁ、レイザーラモンRGの「出渕誠」はドコに居るんだろ。




 一皮剥けたいいオンナにってな表現は当て嵌まるのだろうか。
 それは一昨昨日の社内でのこと、天井からのエアコン噴出し温風がモロに当たる場所での打ち込み作業。強制ドライアイプレイのように、ほんの少し瞼を閉じるだけで目ん玉ががじぃ〜んと痛くなる程に目が乾く席だった。しかも、温かい風が当たるのは頭部だけ。足元は冷え冷えな隙間風がいつも吹いているように冷たいまま。
 午後になると、パッキンの壊れた蛇口のようにポタポタと鼻水が落ちてくる。最初の頃は、マメにテッシュで鼻をかんではみたものの、これだけの水分は一体どこから来るのだろう?と思えるほどのハナタレ。
 クシャミは止まらず電話対応どころではなかった。
 「こりゃマズイな」とその日は定時で上がったはいいが、その時間から銀座に出る用事があった。
 銀座までの移動の電車の中では季節はずれの花粉症のように、大きめのハンカチで顔半分を覆い、ハナタレだけでなく涙まで出始めていた。
 銀座では、たぶんめちゃくちゃ旨い寿司(刺身)を食べたはずだろう。悲しいかな、鼻が効かないと味が分からなかった。
 珍しくそこで日本酒を舐めると、少しだけ温かくなったような気がしただけ。
 帰りの電車内はまるで冷凍庫の中に居る気分のまま家に辿り着いた。
 そして翌日、ものの見事に風邪っぴきが出来上がっていた。
 相変らずハナタレで、鼻の下はカサカサに皮が剥け始め見るも無残。一日中、ハナミズとナミダとの戦いで顔中の皮がカサカサになっていた。ハナタレだとクチで息をするのか「たぁ〜らこぉ〜、たぁ〜らこぉ〜、くちびるぅ〜が、たぁらこぉ〜♪」な感じに思えたが、翌日それは現実のものとなったタラコ唇。

 先より予定していた用事で昨日は休暇をもらっていて良かった。
 その用事もポシャってくれて、大助かりだった。
 風邪の症状が悪化した云々ではなく、顔の皮って皮が脱皮中になっていた。
 風邪には付き物の「ごっつぁんです!」まがいの関取な声にもなっていたし、こんなんじゃ似非ブルジョア気取りの奥さま相手のクレーム対応はマズ無理だ。
 市販の風邪薬で誤魔化しながら、一日をぬぼぉ〜と過ごすのは久ぶりだった。たまにはTVのワイドショーでも観るかなと思っていたのに、気付くと行き倒れになったまま丸一日が過ぎていた。

 こんな関取チックな声は、誰かに聞かせなきゃだわ!
 思い立ってオカマに電話してみた。取って付けたオネエ口調で留守電にでも吹き込んでやろう!と思ったのに、この時間ならヤツは電話には出ないだろうと踏んでコールしたのに。
 3回もコールしないうちに出やがりまして散々喋らされた挙句、オカマの話しも長いんで途中で切ったら何度もかけ直されまして、本気で声が出なくなるまで相手させられました。

 『年末に近くなって風邪ひくなんて、気合が足りないのよ!』だ、そうだ。


 今年の冬は、これまた一段と寒いですよね(暖房費節約だ!と、灯油を買うのを我慢してたとか、そういう理由はさて置いて)
 不摂生もしてないのに風邪をひくってのはアレですかね、普段から慣れないことをスル=早寝&早起きの、摂生した日々ってのがいけないんでしょうかね。
 なんだか、そう思えて仕方ない今回のハナタレでした。

 ちなみに、顔全体が一皮剥けそうな勢いですよ、今。
 普段から化粧をして出かけているOLさんだったら、さぞや大変なのでしょう。その点は関係ないので、剥けたまま出歩いています。
 ちっとは気にしなさい!ごもっともです。




 何が恥ずかしいって素を見られてしまうのは恥ずかしいものだよ。逃げ場も無いわけだし、取り繕っても嘘だとバレる。そのわりには、丸のままを見て欲しいと思ってみたり、嘘を見抜いて欲しかったりと、やっぱり感情の内が分からないことだらけのままだ。
 自分に負い目の無い部分だけを分かって欲しいと曝け出しているのではないはず、たぶん。
 言葉遊びの端にそんなことが見え隠れする時も、まるで傍に居るような距離を感じさせない雰囲気は、文句なしの…10点。
 そして、その感性に、羨ましさと口惜しさ混じりに…7点。




2005年12月02日(金) 甘い一夜


 近所の子にチロルチョコを貰った。
 一昨年だったっけ?流行った【きなこもち】味の例のアレ。
 「ぬぉ?未だに持ってたのか?」とちょっと不安になったが、なんでも復刻版として袋入りで売ってるそうな。子どもにしたらアノ餅の食感(グミ)ときな粉の味がどうも好かないらしい。そうかそうか、おネーチャン(ココ強調)は好きだぞ。
 何を気をよくしたのか、その子どもは次から次へと自分の好みでないチョコをくれようとする。いあ、貰うのは嬉しいがホラねえ、おネーチャンも世間体あるし。
 「一個で、お腹イッパイ。ありがとねぇ」などと嘘ついてその場を逃げた。




 夜に携帯メール受信。
 行きつけの喫茶店で知り合って早数年、わたしを「ねーさん」と慕ってくれる女の子からのメールだった。
 『ねーさん、何欲しい?』
 ここは即答で「オトコ」と答えるべきか?
 『活きのいいオトコを2、3みつくろってちょうだい』
 メールだとタルいのかすぐに携帯が鳴った。
 『今、○○に居るんだけど…』
 夕方から営業するカフェバーもどきの店。
 JAZZの生演奏をたまにやるようだけど、客層は近所の学生や若作りのサラリーマンの、喫茶店に毛が生えた感じの店。
 家の周りは、まさに住宅街。しかも昔ながらの家が建ち並ぶ。
 夜も遅くなれば、人通りどころか犬すら居やしない。そんな環境じゃあ、店と言ってもスナックぐらいしか開いている処が無い。ファミレスって気分でもない時は、そこを利用する人も居るのだろう程度の店である。
 酒を飲まない彼女が、わざわざそんな店に居ることを告げるなんて。ああ、何か話しがあるのね。
 『分かった、10分で行くわ』
 同じく酒を飲まないわたしも、その店に行った。

 それはいつものように、付き合ってる彼氏の愚痴だったり惚気だったりの他愛ない話だったが、彼女にしてみれば一大事な出来事だったわけで、堰を切ったように喋りまくっていた。
 誰かに聞いてもらいたい、分からなくもない。そんな日もあるのだろう。
 お互い翌日に仕事を控えているので、気持ち的には早めに店を出た。店を出てすぐ目の前にあるコンビニに足が向き、何を買うでもなく店内に入った。
 彼女は翌朝の朝食分になる牛乳とパンを買い物カゴに入れながら
 『そうそう、ねーさん何が欲しい?』また訊ねてきた。
 『えーっとね、活きのいいオトコを…』
 『そうじゃなくて!ねーさんオトコなら足りてるでしょう』
 『いあ、いくらだって食うよ』
 『彼氏は、あげないからねー』
 その日、一番の笑顔で彼女が答えた。
 ちくしょー可愛いじゃないかあ。ヘッドロックしてネーサンその場で彼女を押し倒しそうになったよ。
 元気になった彼女に、例のチロルチョコ袋入りを買ってもらった。
 『次までに、何か欲しいもの考えておいてね』
 そう言われても、ネーサンもうチロルチョコで十分です。




 チョコといえば、ロイズやらゴディバやらの高級ものよりも、そこいらで売っている板チョコやLOTTEのバッカスが好きだったりの単純な舌です。
 要は、味の分からんヤツなのかもしれません。
 でもね、チロルチョコの袋入り、いただけない味も中には入ってますよ。わたしに【きなこもち】をくれた子どもの気持ちが、なんとなく分かりました。




 ケーキを二つ並べて、眺めつつ食べ比べつつ幸せ気分を味わった。そんなわけで甘い時間を過ごした記念が、胸の中で揺れている。
 時に取り出しては、一人で頬を綻ばせながらもうちょっと頑張れるはず!と、励みにもなったりして、色々な事への感謝の気持ちも出てくるあたりは凄いパワーなんだとも思ってみたり。




 当日、その場に至るまでホントに気付かなかったよ。忘れるほど多忙だったのかというとそうでもないんだろうね。きっと気持ちばかりが多忙な振りをしていたのかな。
 気付いたその場に居たのがキミでよかった。
 気付かせてくれて嬉しかった。
 もうこれ以上ないぐらいな最高の気分だったよ。

 いつだってその気持ちを味わいたい!と、欲を張って…10点。



2005年11月28日(月) ホント徒然


 リンダ(オカマ)に電話口で Destiny's Child の『Lose My Breath』を歌われた。
 大音量でCDを流しながらのソレは、曲が聴こえてなかったら狩猟前の原住民の雄叫びのようだった。しかも、何を言ってるのかさえ分からない。


 「最近、疲れが取れないのよ」

 「あんたちゃんと眠ってるの?」

 「ええそりゃもう、昼間だって眠い勢いだよ」

 「そりゃ、高尚な人が言うところのストレスってやつじゃない?」

 「ああ、そう言えばこのところ日曜だけ笑ってる気がする」

 「あんたって、いっつも腑抜けよねぇ」

 「腑抜けって…玉抜けよりいいわよ」

 「言ってくれるじゃないの!あんたよりはずっと色気ってのがあるわよ!」

 「色ったって毒色じゃん?ドロドロの」

 「バッカねぇ、だからあんたってバカだっていうのよ」
 (大げさなため息、いや鼻息)

  そして一段とデカイ声で
 「色気ってのはねえ!」


 そこで大音量の音楽が流れて、いきなり狩猟民族の歌になったわけだ。
 いつまで待っても途切れることが無いので、とりあえず電話は切ってみた。

 『Can You Keep Up?』あたしに付いてこれる?って、そりゃ無理だから。


 あんたにゃいつだって元気づけられるよ。




 本屋で立ち読みする楽しみも最近は少なくなり、巷では何が流行ってるの?ってな素朴な疑問も消えてしまったのかというとそうでもなく、お日様とは関係なしに「おはよう」の挨拶をする連中とも相変わらず会話を交わしてはいても、それなりに時の流れを感じることが多々あったり、なかったり。

 某所でもチョロと書いたけれども、妖しげな書物を扱っている出版社とのヤリトリも大分落ち着いて、それもこれもタイミングなんだろうなあと、日々思う考えの隅っこに追いやりながら、それよりも目先の慌しさに夜の帳と共にマブタの帳も閉じたりしている毎日が、気付けばあまりにも早く過ぎてくのをココの更新の怠惰に感じたりするのでした。


 思いついたり、気付いた事柄を書き留めたりと、その辺りのクセは未だに抜けずに反故になるものばかりが増えては整理されずに氾濫してるけれども、それに埋もれて窒息するでもなしと、息苦しくなったらまた大きく深呼吸をするのだろうと思っています。

 あの時、感じたその匂いや想いを忘れたくないと強く思って書き出すことよりも、繰り返し浸って自分の中のモノにしていきたいと思うこともあるように、不確かなモノに対しての試行錯誤をしているのかもしれません。




 時々届くメールに対して(含:無記名でのメール)一通たりとも返信してないのはいつものことで、その割りには繋がりを持ちたくてサイトを開いているんだろ?というような自問自答は相変わらずです。
 「せっかく送信したのに!」ってな思いの方がもし、未だこのサイトを見ていたとしたら、もう平に平に「すんません」です。未だかつて一度たりともメールへの返信ってなことをしたことが無い者でして「ああ、どうせそんなもんだよな」程度に思って下さいまし。

 一度でもリアル接触を持って下さった方は、これまた別として。




 手を伸ばす先に触れる心からの暖を感じることが出来る。
 抱きしめて相手の体温を感じようと縋ったはずなのに、抱留められていたのはわたしのほうだった。この温もりは忘れまい離すまいと思うだけで、涙が出そうになるのは歳のせいですかね。
 髪を撫でているのは確かにわたしの指で、髪を梳く指の感覚はわたしのものなはずなのに、髪を撫でられている気分になれる、そんな感じです。

 健康面は相変わらずだけど、そういう感情は未だ息づいているんだなあと実感出来て嬉しかったりの、自己確認。




 毎回のように訊ねる言葉には、半分は確信があっての答えであっても、残りの半分は不安から出る言葉でもあったりして、そんなクセまできっと分かってもらえているのだろうと思うとまた嬉しさと不安が混じりあう。
 だからこそ毎回訊ねてしまうことに飽きずに付き合ってくれて…10点。



2005年09月06日(火) 雨が続くね


 錆びたナイフを自分にあてて、ゆっくりと引いては押しを繰り返し痛みを味わうのが好きなわけじゃなかろ?なんで悲しがる振りをする?悲しむ自分が好きなだけ?
 頷けばいいの?反論して欲しくて言ってるわけじゃないよね。
 とっても平たい「ありがとう」の言葉を残して、また違う場所で泣いてみたりもするのかな。
 なんだかんだ言っても、心の隅っこでは羨ましいよ。
 そうして出せることが。
 やっぱ、どこか捻くれてるな。




 台風の影響での凄い雨は落ち着き、やっと窓全開。
 わたしの住んでいる家は、隣の家のオッサンがトイレに入って咳払いをすると聴こえちゃう程のボロ家です。
 エアコンも必要なくなってきた頃はどこも窓全開な家が多いわけで、そうなると聴こえてくるのは何もデカイ咳払いだけでなく、色々な音が聴こえたくなくとも聴こえてきたりします。
 これを打ってる今、裏の家では入浴タイムのようです。
 どうやら先に旦那さまが入浴していて、そこに奥さまがガラガラと扉を開いてやってまいりました。聞き耳立てずとも、ごくごく普通の音量で聴こえてきます。

 暇つぶしにチャットをしてた知人にそれを伝えると、


 七虹: 今 裏の家の風呂場の音が聴こえるんだけどさ

 七虹: 旦那が先に入浴してて 奥さんが ガラガラって扉あけて

 相手: うん

 七虹: 『お背中 流しましょうか?』だって。

 相手: ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 七虹: ドラマだけじゃないのね、そゆのって。

 相手: お背中ながしたいなぁ・・・

 七虹: ぬぉ!

 七虹: ← は、むしろ流されたいぞ?

 七虹: そんな流れで洗うのは、日常なのか!

 相手: エト・・・・

 七虹: ん?

 相手: まぁ・・・ほらいろいろあらぁさ・・・


 改めて知るのでした。
 仲がいいとか悪いとか以前のことで、そういうやり取りは生活の中ではゴクゴク普通なのですね、ですね?
 『どーするぅ?背中でも洗う?』でもなく『お背中流しましょうか?』な言葉でさえも「ほへー!」と思ったのに。チャットの相手も『お背中』って言ってるもんなあ、彼女の洗ってあげたい相手が旦那さん以外のダレであれ、なんか妙なところに関心するのでした。
 ちなみにこのチャットの相手は、お子のオヤツにはケーキも焼くような方です。時折、ケーキを焼きながら親指を挿しちゃう人でもありますが(意味不明でごめん)




 先日から、とあるドラマを一話から観直しているのですが(まだ終話までたどり着いてない)あれだけシッカリと観たツモリだったのに随分と中飛ばしで観てたようで、それをたまたま連絡をくれたリンダ(おかま)に言ったところ『ツモリになってんじゃないわよ!』と、柴田理恵よりずっと迫力ある声で捲くし立てられました。
 話しを聴くうちに、実はわたしよりも彼女?のほうがドンハマリだったことに気付き、よくもまあセリフひとつを覚えているなあと、イマサラながらに。
 同時進行で、彼女?と喋りながらドラマを観ないで良かったとつくづく思いました。
 相変わら腹がロバート・デ・ニーロに似テるカレにご執心の彼女?は、カレの話しをする時ダケは可愛らしくもあり、愛も変わらずを見せてくれました。




 更新したことがスグにバレてしまうご時勢なのね(ぽ)
 オラ!見ろや!ってわけではないので、ちょっと恐縮です。梨本です。
 勢いやら間違いやらでも、開いてくれてありがとです。




 意地を張って言葉を飲み込んで、飲み下すのに涙を使うこと。「人に泣き顔を見られるくらいなら、死んだほうがマシ」バカな意地張って、でも慣れ親しんだ癖になって、どうせ泣かないだろうからってな相手からの見方にも慣れていた。
 そんな奴が、貴方の前で鼻水垂らしてた。
 もう何度かそんなことがあったってのに、未だに自分に驚くことがある。
 成長してないねえ。
 それでもいいよと言ってくれるなら…7点。
 だからいいんだと言ってくれるなら…10点




2005年08月27日(土) 読みたいから


 気の向くまま思いつくままにテケテケとキーを打ちポイと放り投げ、後は読みたい奴が勝手に読みやがれ!な文章でなく、マズは読まれるのを前提に文章を組み、その書いた文章を読み返し(普段は一切読み返さない。自慰をビデオに撮って自分で観る趣味はないのに似て…と、言ってはみたが要は恥ずかしい。恥ずかしいと思った時点でアップが出来ずゴミと化すから)その読み返しも読み手になったツモリで読み返したり、さてその場合読み手はどう感じるか、伝えたいことが言い回しによってボケた文章ではないか、などとアレコレと思案しながら文章をたてろとのこと。

 そもそも「伝えたいこと」ってのが思い浮かばない。困ったもんだ。それでもココで書いておかないと、期待するモノが読めないのである。
 読みたい!実に読みたい!そのためには、そうした文章をアップすればとの交換条件にまで持ち込んだはいいが、これまたなかなかキツイ。

 先日、某婦人と夕食を共にした。
 緑萌える初夏の匂いさえ感じる季節に会ったきりだった。
 変わらない笑顔と、髪が伸びた分だけ女らしさ?を漂わせた彼女は、何故かそのジャンルだけは書くことが苦手だという。夏を挟んで再会した先日も、またその話題が挙がった。
 わたしは彼女の書く文章のその小気味良い言い回しが好きだ。そして他の題材ならどうなるのだろうと常々思うのである。そうなるとどうしてもその彼女の書く彼女の苦手とするジャンルを読んでみたいと思うのである。
 そこで出された交換条件が、上に述べたような「ちゃんとした文章」をアップしたなら!というものだった。
 うむ、わたしがこれほど困るように、彼女もそのジャンルを書き出そうとすると唸ってしまうものなのか。
 しかし、厭だと拒絶された訳ではないのだと勘違いして、ここは何某かのものをアップしておけば、彼女も諦めてアップするのだろう。
 その辺りはいつものオレ様ルールで強引に持っていかねば、一向に読めないのだから。

 ふと思い出した。
 それはほんの昔、確かオンラインゲームで遊んでいた時のこと。何かの賭けをして、負けたほうが続けて三日(だったっけ?)のサイト更新条件。出来なければサイトをたたむ勢いだったという。そのときは必死になって更新をする状態を見た気がする。
 なんだってウチラはそうやって、自分の首を絞めるのが好きですか。




 わたしだけを取り残してそれは間違いなく過ぎ往くと想っていた日の気持ちは、消えてしまったわけでは無いけれど、必ず何かの温かいものがそれをオブラートのように包んでいる。そんなふうに感じられてきた。
 それがもし共に過ごした時間だとするなら、一緒に居てよかったと想う。

 そりゃいつだって居てくれさえすれば、居るだけじゃイヤだとワガママいいつつ…10点。





香月七虹 |HomePage