”BLACK BEAUTY”な日々
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2006年09月30日(土) 幼い魂の全てに

直人君へ

君が眠っている間、空が少しづつ明るく明るくなってきます。
鳥のさえずりが聞こえてきます。朝は突然やってくるのではなく、こうやって少しづつゆっくりとやってくるのです。

最近、お母さんが君の事を少し心配しています。
毎日元気いっぱいに幼稚園に行き、元気いっぱいにおうちに帰ってきていた君が、ここ最近、なんだかしょんぼりとしているからです。

君が生まれてあと少しで5年が経とうとしています。
この歳月の中で、君は好きな時に立ち上がり、好きな時に座り、好きな時に走り、好きな時に止まることができました。

だけど、この春から君が通いだした幼稚園という所では、好きな時に好きな事だけをしていたら、担任の先生から叱られてしまいます。
きっとその事が違和感となって少しずつ、君の小さな心に浸み込んでいるのだろうと、お父さんはお母さんにお話しました。

難しい言い方をすると、君は生まれて初めて「社会」に触れ、その一員となったのです。大人になったお父さんも、君と同じように新しい「社会」を何度も経験しています。新しい会社、新しいバンドとか、色々です。
お父さんは余り器用な人間ではないので、新しい社会に慣れるには時間がかかります。まして、君には生まれて初めて経験だから、きっと毎日、大変な思いをしながら幼稚園に通っているのかもしれませんね。

最近では、子供に元気がないと幼稚園でいじめに遭っているのではないか、と心配する親が多いのですが、お父さんもお母さんもそんな心配は全くしていません。何故なら君の感じている違和感は感受性の成長の証だからです。

毎日、少しづつでもいいから君のペースで新しい経験を消化していこうね。

これから君は幼稚園や学校で色々なルールを学んでいきます。

「朝の挨拶は『おはようございます』」
「バイバイの時は『さようなら』」
「お友達に何かしてもらったら、『ありがとう』」
「お友達を傷つけたら『ごめんね』」
「約束をしたら、約束を守りましょう」

学校では、こういったルールの他に二次方程式、関係代名詞、微分・積分、カ行変格活用とかの「勉強」を教わりますが、そんな事はどーだっていい事です。適当にあしらってやればどうにかなります。

さて、10代も半ばを迎える頃、君は今まで教わった常識やモラルの全てを疑い、否定する時期に突入します。「反抗期」というものです。
お父さんは君が全力で全てに抗う事を願っています。なんだったら、お父さんの存在自体を否定しても全然オッケーです。
お父さんも全力で君と向かい合います。

最近、この過程を経ずに年齢だけは大人になってしまい、今更青臭い悩み事に捉われたり、教科書通りの美麗字句を並べたり、薄っぺらい馴れ合いの人間関係を友情に置き換えたり、といった方が散見されます。
「人を傷つけてはいけません」というルールを本質的に理解するためには実際に人を傷つけるか、または自分が傷つくかという経験が不可欠なのです。

そうならない為にも「健全なるデストロイ精神」で10代を駆け抜けて下さい。

ただし20代を迎えてもなお、この姿勢を貫くと単なる「あぶない人」の烙印を
押されてしまいます。
20代は具体的なケーススタディーの中で、自分が10代に抱いた疑いをゆっくり解明していきましょう。

幸い、20代は就職、恋愛、別離、結婚などイベントが盛りだくさんです。
これらの中でもう一度、幼稚園、学校で教わってきたルールを見直して下さい。
きっと君はこれらのルールをリアルに感ずる大人になっていると思います。

これが「成長するということ」です。

先はまだまだ長いけれど、お父さん、お母さんはいつでも君を見守っていきます。

生まれてくれて有難う。








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