2005年09月30日(金)
あの9月28日へ(4)


本題に入る前に。
当時の状況・・・・というか本音を綴ったノートが存在するので、それを一気に読み返した。
今の自分が忘れていることがあるかもしれない、何かもっと別角度で物事を見ていたかもしれない、
そんな期待を寄せて、15歳から25歳くらいまでの記録を一気に読み返した。
しかし、肝心の「渦中のこと」については、その時よっぽど淘汰されて余裕がなかったのか、
正に「最中」のことに関しては全く記述されていなかった。
その空白の期間は、今思うとあまりに短すぎるのだけれど、自分の体に刻み込まれた感覚としては
「永遠」に匹敵する何かであることは確かで、
たったあれだけの時間を上手にクリアできずに、もがいていたのかと思うと、
自分が如何に未熟すぎたかを改めて知ることとなる。
ただ、毎年毎年、9月28日と12月2日にはそこを自分の節目と感じているのか、
必ずといっていいほど何かしらの記述がしてあった。
そういうのを読み返すと、恐ろしいほどに、自分が事実を確実に隠蔽していこうというのが見て取れた。

これではいけない。

多分、今は自分の居場所がカッチリと定まったので、それも手伝い、
安心して色んなことが書けるのかもしれない。
ただほんの数年前までは、このあたくしにもそれなりの「可能性」があった。
今書いている「彼ら」に再会してしまうことで、人生を変えてしまうような揺らぎが生じたかもしれない。
再会しない可能性のほうが高いには違いないが、それでも、上記の記録文を見る限り、
ビックリするようなタイミングで、例えば街中などで、あたくしはバッタリと「彼ら」に再会している、
そんな事実だけはハッキリと書かれていて、読み返すまで忘れていたくらいだ。
・・・・その時どれだけ揺らいだのか、ということまで。

お目汚しは覚悟の上。
あたくしは心地好い秋風の中、やはり心地よかったあの秋風を丹念に思い出す作業を、
きちんと完結すべく、記憶の糸を解きほぐそうと思います。





実質、あたくしの中では、「9月28日」からほんの2ヶ月ほどしかキラキラしていられなかった。
それ以前も、その最中も、そしてそれ以後も、「永遠」と呼べるほどに長かった気がする。

「ナイフ」を手に入れたことで、完全武装が叶った・・・・そう思い込んでいたフシもあったかもしれない。
不完全でいい加減な思い上がりだった。
「ベール」を脱いでも、寒くはないと虚勢を張っていたようにも思う。
若さゆえの強がりで、体力任せ、勢い任せから出た、その当時は偽りのない気持ちだったとしても。
・・・・多分、自分さえも上手に騙していかなければ、あたくしはあの時既に、発狂していたかも。


シンとの「今までどおり」の生活と並行して、あたくしの傍には
いつもヨシオがいるようになっていた。
仕事まみれで寂しかったあたくしを、隈なく癒してくれたのは、非日常のヨシオだったのだ。
とはいえ、模試の成績は下がる一方。
同じ執行部内でも、きちんと右肩上がり、もしくは平行線を維持している他の3人とあたくしとでは、
ファンデーションからして危なっかしすぎた。
学区内トップの進学校を目指していた会長は安牌、次点進学校を目指しているあたくしとカズコ
いつもはじき出される安全圏順位の中に自分が入れないので、外面的に少々焦っていたものの、
元々、楽天家で野心家でもある彼女と、元来は小心者であるあたくしとの間には、
雲泥の差があるように思えてならなかった。
そしてこの時はまだ、ヨシオがどこへ進学希望を出しているのかを
ハッキリつかんでいなかった。

シンのことは一方的に調べつくした結果、後にあたくしの母校となる高校を志願していた。
ここで甘えみたいなものがでた。

・・・・少々甘んじて、あの高校へ安牌として志願をすれば、また3年間、シンと一緒にいられるのかも。

しかし、このことに関してはシンに想いを告白した時点で、きつく言い渡されていた。


「一緒の高校に行きたい気持ちはあるけれど、努力を惜しんでまでそうしてほしくない。
とにかく頑張れるところまで頑張って、行きたいところに行かなくちゃな。」



尤もすぎて、頷くくらいしかできなかった。正論というのは残酷だなぁ、とも思った。
あたくしは心のどこかで思っていたのだ。
もし自分が本当に死にもの狂いで頑張ったとしても、シンが今の志望校から格上げして、
あたくしと同じ志望校に変えることは、まず、ない・・・・と。
逆に、あたくしが自分でかけたはずのスパートにどうしても乗り切ることができず、
先生や親にあれこれ言われて安全圏の県立に格下げし、更にそこにシンも残留する可能性が50%。
加えて、あたくしが伸び悩んでいるように彼も伸び悩んでいるのだとしたならば、
いくらあたくしが、安全圏へと移っても、彼もまた安全圏を選ぶかもしれない。・・・・70%。
このテの悩みは、自分で何とかするしかない。
同じ高校を目指しているカズコにもギリギリまで言えなかった。
そしていくら仲良く気軽に話せるようになったヨシオにもおいそれと相談できるものではないような気がして
何でもないような素振りをずっと続けていた。
本来ならば残酷なのを承知で、もうすっかりバレてしまったシンとのこれからのことを
彼に打ち明けて、相談に持ち込んでしまうのが一番よかったのかもしれない。
ただ、それをしなかったのは、物凄く身勝手だけれど、ヨシオの気持ちを確実にこちらに向けさせ、
あたくし自身が安心していたい・・・・そういう気持ちが少なからずとも「あった」ということだ。

内心、あたくしはヨシオの志望校がどこなのかは非常に気になってもいたし、
これは憶測に過ぎないけれど、彼はあたくしが自分と同じ高校を志望していると思っていたかもしれない。
学科試験の結果はともかく、3年間培ってきた「職員室での評判」は、
確実にあたくしの方に分があるように、外野にもそう見えていただろうから。

何も上手に仮面を被ってきたのはあたくしだけじゃなくて、ここに揃っている4人全員が、
それぞれに、周囲を誤魔化しつつ、騙しつつ、それぞれの方法でここまで来ていたのかもしれない。


そういう裏側を知ってか知らずか、ヨシオ自身は非常にマイペースであった。
晩秋。すっかり仲が良くなってしまった執行部。
学年でただ1人、あたくしのことを大っぴらにファーストネームで呼び捨てる少年は、彼だけだった。
ひそひそと内緒話をする時、記憶が確かならば、トモくんともそうしていたかもしれないが、
あくまで体面上、誰かの前であたくしのことを呼ぶ時は、せいぜい誤解のないように、姓で呼んでいた。

ヨシオとの仲は、当時のあたくしじゃなくても、とても危なっかしい関係性のように思える。

幼馴染でもなければ、何か想いを確かな形で伝えあったわけでもなく、
ただの「同士」とはいえ、少々接近しすぎているのではないか・・・・この時、あたくし自身が危惧を始めた。
髪の長さやシャンプーの香りをそっと指摘できるくらいの距離。
これはもう、ほぼ密着しているのに近かった。
自分で香りを演出できるくらいに大人でもなければ、そういったものに興味すらも持っておらず、
加えて、髪の長さは、校則という壁でがんじがらめにされていたこの時代。
いつか、自分の気の済むまで髪は伸ばしてみたい・・・・その下準備にかかろうとしていた時代。
自分の隠れたセックスアピールを、既にこの少年が見抜いており、そっと耳打ちされるということは
裸を見られてしまうのと同じくらい恥ずかしいことだった。
いや、まだ裸を見られてしまう方がマシだとすら感じた。
心を見透かされてしまうのは、自分が何かしらの「偽り」を持っている時こそ、
仮面とのギャップに相手が落胆しやしないかと、ヒヤヒヤする。
標準的な体型だった・・・・いや、外面的には平均よりも早熟に見られていたあたくしが、
制服の下に隠し持っている肉体は、恐らく、周囲の人間の予想を裏切らない範囲だと
この時既に自覚があったのかもしれない。
自分では制御できない成長とかけ離れたところにある、もうひとつの「伸び」を
未成熟なあたくしは必死に隠そうとしていたのだった。


大人になる・・・・というか、ある程度の熟成時間を終えた身で考えてみると、
実にちっぽけで、バカバカしい「怯え」だとは思う。
自分を正当化してしまえるだけの「糧」もなく、何もかもが初めて感じる感覚。
今はこうして成文化できるけれども、
恐らく当時は、どんな語彙で以って今の自分の気持ちを表現したらいいのか、混乱していたと思う。
2人の少年に対して抱えた、明らかに違う感情。
どちらをも「好き」という一言で片付けるには、ちょっと違う・・・・それには気付いていたけれど。
多分、強引でマイペースなヨシオのような少年に「異性」をまるごと重ね、
「畏怖」というものに身を委ねることに対する快楽や魅惑のことを「好意」と勘違いしていたのかも。
そういうのが、本当の「好意」に転じる可能性を孕んでいることは、後々気付くのだけど、
この時はまだ、「可能性」の部分に少し触れかかっていた程度だったから、尚更かもしれない。
実に微妙。今思っても、相当危うい。


3回目のニアミスは、そう遠くなく、すぐに訪れた。
「畏怖」を受け容れるかどうかで迷っていたあたくしに、彼は堂々と立ち塞がり、
あたくしは、本来愛している人に対してではなく、この「畏怖」の対象に口づけをした。
自分のキャパシティではもうどうすることもできないと、自分でもわかっていたはずなのに、
あたくしと彼は、位置的に最短距離になった。
これよりももっと近い場所がある・・・・それにも気付いていたが、自分の肉体がまだ発展途上だということも
ちゃんとわかっていたので、精神がそれを追い越すことはなかった(苦笑)。
ほんの数ミリの隙間を、彼は見逃さなかった。
そしてあたくしもその隙間を作っていたことを、認めざるを得なかった。

↑以後、このテの人種には挑戦的なアサミンジャー(爆)

優しく抱きしめてくれたけれど、彼は何も言わないのだった。
この時、初めて「トラップだった!」と気付かされるのである。そこらじゅう、トラップだらけなのは
一目瞭然、誰が見ても明らかだというのに、踏み込んだ自分をバカだと思った。
彼はあたくしがこの2ヶ月前に、シンに言った言葉を撤回し、
同じ言葉を要求している。そのことはこの少し前に本人から何度も何度も聞かされていたのである。
聞かない振りをしていた自分・・・・そして隙間が生まれた。


「別れろよ。」

「何でアンタにそんなこと言われないかんのよ?」

「いいじゃん・・・・別れちゃえよ。」

「やだよ・・・・。別れたら私、またひとりやん・・・・。」



言葉の最後の方は、誰にも聞こえないように言ったつもりの、この時の本音だった。
ヨシオにも聞かせる義理のない、弱音だった。
ひとりが寂しいと、決して表面上では口に出さないのだけれど、そして、孤独がいいとさえ吐くのだけれど
本当は誰よりも、「ひとり」が嫌で、「ひとり」が寂しくて、「ひとり」をやめたい、
心の膿でもあったのだ。
シンがいてくれる・・・・膿を吐き出し、最初に求めたのは物理的なつながりだった。
ヨシオはあたくしの言葉を受けてか、それともいつものマイペースなのかわからないようなトーンで、
こう言って、あたくしを本格的に絶句させたのであった。


「別れたら、俺が拾ったるのによ・・・・。」


あたくしは自分でも、プライドが高くて鼻持ちならないヤツだよなぁ・・・・とオノレを呪っていたけれど、
自分の更に上をいくヤツを発見して、呆気に取られて、それで言葉を失った(笑)。
あたしゃ、捨て猫ですかっっ!!??
それとも空き缶かなんかですかっっ!!??
うぅぅ・・・・冗談じゃない・・・・。いくら気持ちと裏腹でも、絶対にコイツのことを「好き」だなんて言わない!
頼まれたって・・・・そうよ、土下座されたって、絶対に言ってやるもんかっっ!!( ̄^ ̄)

自分でも思い出した(爆)。
どうして何の記録にも、ヨシオのことを本当はどう思っていたのか、
そういうことに関し、素直に書かなかったのかを。
こういうことを心の中で絶叫した手前、自分の体から外に気持ちを吐露することを
完全に封印しなければならなかったのだ。・・・・プライドが高いが故の、徹底防壁。

この日記にも、確か彼に対するホントの素直な思いみたいなのは、書いたことがあるけれど、
この部分が思いっきり欠落していた。
今日、書くまですっかり忘れていた・・・・マジで( ̄∇ ̄;)
この言葉を聞いたということを、完全に覚えていられた頃まで、あたくしは封印を続けた。
忘れることができたから、封印を解きにかかった。
が。
思い出してみると、彼もあたくしに負けず劣らず傲慢な少年であったということが、コレでハッキリした。
そんな彼を庇うようにして、最後の最後まで、誰にも真相を言わなかった自分が恥ずかしかったから、
封印したということも、同時に思い出した(苦笑)。

↑記憶力には自信があったのだが・・・・(苦笑)

多分次回がラスト・・・・まとめに続く。


2005年09月29日(木)
あの9月28日へ(3)


あの日以来、あたくしとシンは律儀すぎるほど、正直すぎるほどに「今までどおり」だった。
ただ、これまでと少し違うのは、彼を目で追ったり、ちょっとしたことで顔をあわせた時に
彼に対して笑いかけても、誰も咎めなくなったという環境の変化の方だった。
生来、ベタベタするようなつきあいは、男性に限らず女性に対しても好きではなかったので、
あくまでも自分のスタンスでいけたら・・・・そんなふうに柔らかな秋の中、あたくしは幸せを感じながら
過ごしていた。


一方。生徒会のほうは、これはきっと詐欺にでも遭ったに違いない(笑)目の回るような忙しさで、
本来、後期にはない渉外みたいなものもたまにあったりした。
前任の教育長が亡くなられたことで、市レベルの段階の抜本的な校則改正の動きが通達され、
あたくしたちは連日連夜、それこそ大忙しだった。
議会や生徒総会の回数が例年の何倍にも増え、その下準備に毎日のように追われ、
そうでなくても夏をピークに成績は下がり始めていたのに、ますます勉強が出来なくなる一方だった。
(時間が取れない、集中できない等々)
後期に生徒会が動く大きな行事といえば、文化祭くらいだったので、そのくらいなら・・・・と
安請け合いしたのが、そもそも甘かったのかもしれない。

そんな折、まず1回目のヨシオとのおかしなニアミスがあった。
生徒総会を開くにあたっての議事進行の確認をしながら、実際にどのようにオペレートしていくべきかの
全体的な話し合いを執行部会で行っていた時のことである。
顧問に、職員室からOHP用の生シートと下書き用原稿を取ってくるように言い付かり、
あたくしは1人で部屋を出た。
いくら量が多いかもしれない・・・・といっても1度にそんなに使用するわけがなく、
そして、職員室常連のあたくしが白紙の原稿を探し出すのにそんなに時間がかかるものでもなく、
加えて、見つけ出した所用のブツは片手で十分に持っていけるくらいに、軽く、嵩もなかった。
なのに、追いかけるようにして、職員室までヨシオがやってきたのである。


「手伝うよ。」

「手伝うって・・・・(笑) 持ってくの、コレだけだよ?」



あたくしは所用の分を見せて、さっさと職員室を出た。


「なぁ・・・・。」

「なに?」

「お前さぁ、誰かに告白したろ?」

「・・・・!! だ、だから?」

「相手、誰だよ?」

「教えない〜♪」



あれは確かに、2人だけの秘密の出来事。
親友にならともかく、昨日今日ちょくちょく話すようになったこの彼に、容易く言うべきことではない。


「教えてよ〜。」

「やだね〜♪」



と、何回も繰り返しながら、もう校内を走り回る必要のなくなったあたくしは静かに歩いた。
こういうふざけあいも悪くないかな・・・・内心ではそんなことを感じながら。
シンに告白する前までは、それこそ、男の子とこういう話はできなかった。
多分、あたくしの恋心を知っていた少年はトモくんくらいかも。
そのトモくんとさえ、学校の廊下で軽々しくこんな話はしなかった。
サラリサラリと、彼の言葉をかわして、元の部屋の前まで来た時、扉に手をかけたあたくしを
少し荒っぽくヨシオが制した。ドアに手をかけて開かなくしたのである。


「ねぇ・・・・誰?」

「・・・・・・・・。」

「教えてよ。」

「・・・・・・・・。バカなことやってないで、早く開けて。」

「教えてくれたら、開けたげる。」



シンですらまだ入ってきたことのない間合いに、ヨシオはズカズカと入り込んできた。
あたくしの手から、所用の原稿を奪い取って尚、彼は頑として扉を開けることを許してくれない。
そして、顔が物凄く近づいた。
生徒はほとんど帰ってしまった後だったけれど、先生はまだ沢山残っている。
そして、ここが「学校の中」である限り、あたくしの理性もまだ沢山残っているのだった。
彼から奪われた原稿を奪い返し、彼の顔を睨みつけて、これ見よがしに部屋の扉をノックした。

「失礼します。取ってきました。」

本来、ノックの必要などない。
「会議中」と書かれた札が外に出ているので、関係者以外は絶対にここには来ない。
あたくしがあまりに平然とこういうことをするものだから、ヨシオは反射的にドアから手を離した。
・・・・この時はまだ、あたくしの方が彼よりも一枚も二枚も上手だったのだ。
「かわす術」を知っていたという段階なら、それこそ義務教育の間にみっちりと培っておいたから。
必要でなかったノックと、ドアを開けた時に恐らくあたくしの後ろで少し慌てふためいていたはずの
ヨシオを見て、同士・カズコだけは何が起きようとしていたのか把握してしまったらしい。
あとあと、ケラケラと笑っていたし(笑)。
(あたくしにとっては、この時はまだ、決して笑い事で済まされることじゃなかったけれど)


文化祭の準備と並行して、校則改正の原案を議会に掛け、総会の準備もせねばならず、
そして自分のクラスでも毎日のように(文化祭用芝居の)稽古があったから、
明るいうちに帰れたためしがない(苦笑)。・・・・受験生だというのにさぁ(爆)。


でも、丁度この頃が、一番楽しかった。
自分の出ていないシーンの小返しとなると廊下に出て、
小さく蹲りながらひとりで長い長いせりふを入れることに没頭する。
そこへシンがたまさか通りかかったりすると、ちゃんと声をかけていってくれる。


「どう? 調子は(笑)」

「う〜ん・・・・例年に比べると今ひとつ(苦笑)」

「昨年のがあるからなぁ・・・・みんな期待しちゃってるよ。主演でしょ?」

「誰から聞いた!? ・・・・あ、そか。『弟』か(爆)」


うちのクラスには、彼の双子の弟がいるのであった。

「いや。キミのクラスの女の子たちから聞いたよ。」

・・・・お節介だなぁ。

「難しい顔してるなぁ(笑)。」

「今までの中で一番難しいかも(苦笑)。
主演じゃないだけ、昨年の方が良かったよぉ・・・・。」


「頑張れよ♪ 照明プランくらいは覗かせてもらうかも〜♪」



彼も、彼の弟も、クラスの照明係を担当していたのだった。・・・・双子の神秘性??(笑)

「今までどおり」の範疇に、こういうのも入るんだなぁ♪ と単純に嬉しかったりして。
一方通行だった矢印から、きちんとしたリアクションがくるようになって、
それが毎日じゃなくても、今までの数倍、自分の生活が華やいだ気分になった。
どんなに忙しくても、あの9月28日から晩秋にかけての約2ヶ月間は、
あたくしがあの厳しい中学の中で、心底「楽しい!」と思える、そんなスパンだった。

隣のクラスではヨシオが主演を、そしてシンのクラスではリエが準主演を務めたこの文化祭。
うちのクラスの結果は惨憺たるものだったが、自分の波長が上向き志向だったので、
今でも「あの時に出会った本は、いい戯曲ばっかりだなぁ」なんてふうに思う。




さて、いざ祭も終わると、執行部の仕事のほうに本腰を入れなければならなくなった。
シンと偶然を装ってほんの少しのおしゃべりをすることも徐々に減っていった。
その代わり、執行部の連中とばかり一緒にいることが多くなった。
最終的には、執行部会や議会のない放課後や、土曜の午後も、誰かの家に集まって勉強会と称し、
一緒にいるのが普通になってしまった。
この頃にもなると、もうさすがに隠し立てもできなくなって、あたくしの恋の相手が誰であるのかは
ヨシオにも知られるところとなっていた。

それなのに、その事実が明らかになって尚、彼の行動はどんどんエスカレートしていった。
学校の外にいて、この4人(執行部のうち2人が2年)が一緒にいる時は、
いつも彼があたくしの隣を歩き、臆面もなくあたくしの手をとったりすることもあった。
あたくしも振り払えばよかったのかもしれないが、4人の均衡があまりに心地好かったものだから、
どんどん彼のペースにはまっていった。
4人で宿題をやっている時に、先に疲れた彼にあたくしの膝を占領されてしまったこともあった。
無碍に起こすのもアレだと思ったので、あたくしはこの時も1人静かに、本を読んだり、
その姿勢をなるべく崩さないまま、課題をこなしたりしていた。


ある日。2度目のニアミスが起きた。
ヨシオの家に4人で集まって勉強していた時のこと。
同士・カズコが先に帰ると言い出し、会長であるもう1人の少年が彼女を送るといって、
事実上、彼のプライベートルームに2人きりにされてしまったのである。
自分も一緒に帰るわ、と、立ち上がったのだけど、カズコの意味深な笑みで以ってそれは制され、
あたくしは、彼の部屋に残らざるを得なくなった。
・・・・疎さを装い続けたさすがのあたくしも、もう何が起きてもおかしくない状況なんだ、そう悟った。

カズコたちがすっかりこのあたりにいなくなったのを見計らって、あたくしも帰ろう。
こんな状況になれば、きっとヨシオだっていくらか気まずいだろうと思うし。

「帰るね。」と言ったあたくしを止めたのは、ヨシオの方だった。
「もう少し・・・・。」そう言って、立ち上がったあたくしの手を引き、座らせた。
彼は横になり、座り込んだあたくしの膝に自分の頭を預け、そしてその後しばらく何も喋らなかった。
気付きたくないことを気付かなければならない瞬間が、すぐそこにやってきている気がした。
この沈黙の間、あたくしの方も何もできずにただ呆然としていた。
・・・・どうして止めたの? 理由を突き詰めれば答えはすぐそこにありそうでもあり。
・・・・じゃあ自分は、どうして逃げずにここにいる? その答えも同じようなところで不安定に揺れていた。
近くにいすぎたことを今更悔いても遅いのであった。もう、きっとなるようにしかならない。

案の定、というか何というか、彼はあたくしの膝にいながらあたくしの首に手を回し、抱き寄せようとした。
寸でのところであたくしにブレーキがかかり、とても微妙な距離を保ったまま、
あたくしたちはその姿勢のまましばらく止まっていた。
・・・・目を閉じてはいけない! 瞬間的にそんなことを思った。
彼に引導を渡してしまったら、その瞬間、全ての均衡が破綻する。・・・・そんなことを考えていた。
少しずつ伸ばし始めた髪が、あたくしと彼の間の距離を丁度覆い隠すようにして、小さな影を作る。
次に彼が何をするのか、それを彼に任せてしまってはいけない。
あたくしは瞬きも最小限で、この少年のことをじっと見つめていた。

・・・・・・・・!!
ついこの間、経験したばかりの息の詰まりそうな感覚がした。

次の瞬間、あたくしと彼は並んで横たわっている状態になり、彼の顔もすぐ近くに見えた。
ダメだ・・・・もうこれ以上、自分の間合いに彼を入れるわけにはいかない。
あたくしはすぐに急いで起き上がった。その手を引かれそうになったが、

「・・・・嫌。」

と、小さく意志表明をした。もうこれ以上彼のペースに押し流される自分のことも嫌。
きちんと「嫌」と言い切れない自分のことさえも嫌。
一瞬でもヨシオの言いなりになりそうだった自分が・・・・嫌だった。


「・・・・帰るね。もう、暗い。」

「送るよ。」



今度こそ本当に立ち上がり、そして外に出た。
学区の一番東の端っこにある彼の家。そしてあたくしの家は、学区の一番西の方。
さっきまでのことをお互い忘れようとするかのように、自転車を走らせた。
色々と別の話をした気もする。けれど、この道程のおおよそのことは忘れてしまった。
ただ、シンよりも先に、物凄いスピードで自分の間合いに入り込もうとするこの少年のことが
とても不思議な存在になっていった。
実際のところ、本当に求めていたのは何だったのか・・・・というのも、今となってはもうわからない。
あの頃のあたくしも、少々鈍感すぎた。自分の気持ちだけで手一杯。
彼と一緒にいる時間の長さそのものが、どれだけシンを傷つけるかなど、考えも及ばなかった。

↑もっと、自分がずるかったらよかったな。。。

ベールに包まれるような温かさと、ナイフのように残虐な鋭さを両天秤にかけて、
あたくしは「ナイフ」を選んでしまった。強いものへの憧憬の権化だった。
そのナイフが、ベールを引き裂き、やがては自分をも傷つけることになるとは、この時は考えもしないで。
(4へつづく)


2005年09月28日(水)
あの9月28日へ(2)


深く下げた頭を上げて、教室内を見渡すと、ニヤニヤしているメンツがチラホラ。
彼ら、彼女らはこの後に起こるはずの、もうひとつの決戦の方が楽しみな人間たちだ。
あたくしの片思いのことをずっと前から知っていて、その相手すらも知っていて、
でもアクションが起こせずにいるあたくしがとうとう袋小路にまで追い詰められたという
この現象そのものに興味があったのかもしれない。

皆の前では、努めて優等生を演じていたし、優等生が恋に傾倒するところを彼らはあまり見ていない。
散るか咲くか、どちらにせよ、あたくしと同等のレベルで彼らはこの決戦を楽しみにしていてくれたようで。
あたくしは、無言でその子たちの顔を見渡して、昼休みになるのを待って、

「行ってくる・・・・」

とだけ言って、シンのクラスまでとりあえず出向いた。


恋の告白をするのに、昼休みだけでは短すぎる。
あたくしはなるべく平静を装うふうをして、シンに放課後の約束を取りつけた。
あたくしが選んだ場所は、放課後にもなればもう誰も人が来ないと思われる、2年生のフロアの空き教室。
3年生が部活を引退してしまうと、俄然、2年生が主体となり部活へ力を注ぎだす。
放課後をゆったりと持て余す3年生たちと違い、2年生たちは放課になると我先に教室を飛び出していく。
下手に見知った顔が多く残っていそうな、3年のフロアよりも、
こっちの方が誰にも見られることはないと思って、わざとそうした。


自分で時間を指定した手前、遅れていくことは絶対に避けなければならないけれど、
それまで教室で時間を潰している間、正にコレが「永遠」なのではないかと思うほどに、
長い長い放課後が始まった。
放課後までお上品な優等生を気取っているわけではなかったあたくしは、自分の席の机に腰掛けて、
足をぶらぶらさせながら、その瞬間を待っていた。
椅子に座っていたら、きっと、物凄い貧乏ゆすりとかをしてしまって、
そんなピリピリした自分を持て余してしまうだろうから、あえて横着に机に腰掛けていたのだ。
周囲にはクラスメイトがまだ数人残っていて、他愛のない話をしていた。
あたくしは、そんな話も右から左で、教室にかけてある時計が1分ごとに、カチ、カチ、と刻むその音に
とても敏感になりながら何となくその和に溶け込んでいる振りをしていた。


約束の時間の5分前。
あたくしは腰掛けていた机から降りて、約束の空き教室へと向かった。
階段を上がってすぐのところにあるその教室へ、自分の教室からは1分とかからない。
いつもは、廊下だろうが通路だろうが階段だろうが、疾風の如く迅速に移動する(=常に走っている)
あたくしが、この日の放課後だけは、足音すら立てないくらいに慎重に階段を上り、丁寧に「歩いた」。


誰もいない、そして何も置かれていない空き教室。
あたくしは鼓動を持て余して、そして、この後にやってくるはずだろう少年に、
最初に何と言って声を掛けたものかを考えながら、作り付けの教室後ろの棚のところに
もたれたり、腰掛けたりしながら、ずっと、ずっと、待っていた。
この教室の時計は、正しい時を刻んでいるのかな・・・・?
5分くらい進んでいたりしないものなのかしら・・・・?
約束の時間になっても、まだシンが姿を現さないから、そんなことを考えたりして。

20分くらい待ったけれど、シンはそれでも姿を現さなかった。
あたくしは一旦、教室に戻ろうと思った。
ひょっとしたら、他の誰かに捕まって、3年のフロアにまだいるかもしれない・・・・そんなことを思って。

教室に戻ると、まだクラスメイトがちらほら残っていた。そして、あたくしの顔を見るなり

「夕雅さん、どうしたのっ!?」

と、血相を変えて問いかける子もいた。


「まだ来ないもんだから(苦笑)。ここで待ってた方が落ち着くかと思って。」

「ダメよ!!! 早く戻って!! ひょっとしたら、もう来てるかもしれないじゃないの!!」



あたくしは、温度の高いこのクラスメイトに追い返されてしまった(笑)。

本当は、ひとりで孤独に待つことが怖くて心細くて、それで教室に戻ってみただけなんだ。
多分、シンは来てくれる・・・・何でかそこの部分は妙に自信があったんだけど。
あの人は元来、相当のマイペースだから、あたくしがこんなに緊張していることも知らなかったろうし、
きっといつものように、普通に廊下で話す伝達事項を放課後に回しただけ・・・・と思っていたかもしれない。
めでたくも、きちんと執行部入りを果たし、この日にはもう初回の顔合わせが組まれていたから、
きっとその関連での話だと、彼がそう思い込むのも不思議ではなかったし。


後日談を絡めて話すと・・・・。
どういうネットワークなのだろう・・・・?
こうしてあたくしが戻ってきたことを聞きつけた、他のクラスの親友が、まだ校舎に残っているはずの
シンに直接、あたくしが待っていることを伝えにいったらしい(笑)。

「夕雅さん、待ってるんだよ。」

あたくしの前に現れたシンは息を切らしていた。体育館から走ってここまで来たらしい。
こういうのを「想定の範囲外」というのだろう(笑)。
あたくしは虚を突かれて、最初に出すべき言葉が、それまで長い時間かけて考えていたのとは
全くの別モノになって、思わず彼を労わずにはいられなかった(苦笑)。

そしてやっと、まず最初に言おうと思っていた選挙のポスターのお礼をきちんと言った。
それから。
それからは・・・・。


「あのね・・・・。」


あのね・・・・。
この選挙の結果が出たら、言おうと思ってたことがあって。
私、1年のときからあなたのことが好きだった。今も好き・・・・。
そのことをきちんと伝えたくて。


顔が見られなかった(苦笑)。
つい先日、あんな大勢の前で堂々と演説をかましてきたこのあたくしが、
たったひとりの少年の前で、顔を赤らめてしまって、上手に話す事すら侭ならない。
初めて「好きです。」と言ったあの時の気持ちは、後年になって体験するどの緊張感よりも勝っていた。
言ってしまったら、そのあとに待っているはずの彼の何かしらのリアクションにすら
気が回らないくらいに、フッと力が抜けてしまった。
誰かにトンと背中を突かれていたら、その拍子に泣いてしまうかもしれないところにまで
テンションが高まっていた。
・・・・そのくらい、彼のことが好きだった。

あたくしの言葉に対し、彼は返事をしてくれた。

・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。

悔しいけれど、何て言ったのかを覚えていない( ̄∇ ̄;)
あれほど神経を研ぎ澄まして、一言一句漏らさず、この体に刻み込んでおこうと誓って挑んだ決戦なのに
彼がどんな言葉で、あたくしに優しい返事をくれたのか、覚えていない・・・・。


ただ、あの時、あたくしの体をす〜っと通り抜けていった言葉で、
あたくしはようやく伏せていた顔を上げられた。顔を上げると、シンも笑っていた。


「外に出よう。」


空き教室のすぐ近くに、屋外の渡り廊下がある。
その渡り廊下の入口のところに腰掛けて、あたくしたちは、今まで話したことがないようなことを話した。
当時はくすぐったかったけれど彼もまたあたくしに恋をしていてくれたこと、目指している高校が違うこと、
それでも多分一緒にいられるんじゃないかということ、これは2人だけの秘密だということ・・・・。
あまり饒舌ではない彼のほうが、沢山話をしてくれた、唯一の時だったと思う。
心配してくれていた親友たちには、あたくしの告白の結果だけは話したけれど、
彼が本当に口にした言葉は、一切明かさなかった。多分、リエにも言ってない。


珍しく、秋にしては風の弱い日だった。
肌に丁度心地いい風に吹かれながら、2人で残りの半年をどんな風に過ごそうか・・・・なんてことも
話したような気がする。
彼も周到な人だったから、あまり周囲に悟られてはいけない、
・・・・殊、職員室に洩れるような事があってはならない、だから、僕たちは今までどおりなんだよ、
そう言った。
あたくしは口に出さなかったが、今までどおりに過ごせるのなら、これほど幸せなことはないと思った。
あたくしが告白をしてしまうことで、今までいい感じに保たれていた均衡が崩れるのだったら、
彼の答えがYESであれNOであれ、それが一番悲しいことだったから。


「『今までどおり』がいいんだよ♪」


そう言ったあたくしは、多分極上の笑顔で笑っていたはず。
ずっとこのままでいられたらいいな・・・・と、少女マンガのようなことも考えた(苦笑)。
だけど「終わり」の時間はすぐにやってきてしまうのだ。


「あたし、もう行かなきゃ。今日からなんだ、生徒会。」

「頑張れよ。」

「先に行くね。・・・・一緒にいたら、やっぱり『今までどおり』じゃないもんね(笑)」

「あぁ。そうだね。」

「・・・・ありがとう。」

「あぁ。」



いつも走り抜けている校舎の中を、隈なく喜びで満たすために、走り回りたい気分だった。
新しい執行部の仲間たちがいるところへ、あたくしはそんな衝動を抑えきれないまま、走って向かった。
扉を開ける前に、廊下で息を整えて、また優等生の仮面をきちんと被り直して、
「学校の顔」であることをきちんと自覚しつつ、入室したはずだった。
が、しかし、それでも叶った恋に対する歓びがあふれだしてきて、既に事の顛末の半分までを知っている
同士のカズコ(仮名)には全部その場でバレてしまった。
歯車は順調に回り始めた。
あたくしの生活はキラキラし始めていった。

しかし、その反面で妙な動きが表出してきたことも同時に知ってしまった。

↑・・・・・・・・。

どうしてだろう・・・・。嫌悪とは違う感情で、「知られたくない!!」と激しく思った。
校内では努めて凛としていることを選んでしまったあたくしが、仮面を剥がされるのを嫌うのは
自分でも極々当然のことのように思っていたけれど、仮面を剥がされることよりも何よりも、
彼が時にとても暴力的な方法で以って、あたくしのことを探ろうとする、そのこと事体に
怯えていたのかもしれない。
冷静に考えると、後に校外で起こった彼との数々のニアミス的事件は、
既に校内でもその一角を表しつつあったし・・・・未遂に終わっていたのは、そこが「学校の中」という、
あたくしの理性にとって、とても有利な場所であったというだけのことで。

学校という場所を出てしまえば、あたくしは誰よりも脆く、そして弱い存在だったのかもしれない。
恋をひた隠しにしていた間は、隙なく理性的でいられたけれど、
この日からあたくしは、色々な意味で解放された。
解放されたからこそ、どんどん弱くなっていったのかもしれない。(3へ続く)


2005年09月27日(火)
あの9月28日へ(1)


あの溢れそうな想いを相手に伝えようと、とうとう決心を固めたのが、この日の丁度3、4日くらい前。
まだ完全に衣替えが済んでいなくて、学校の校舎の中は白と黒の斑模様みたいな空気だった。
誰かに「決心」を聞いてもらおう・・・・と、最初に決意表明をきいてもらった相手はトモくんだった。


奇しくも、すぐそこにまで生徒会の後期執行部選挙が迫っていた。
あたくしは選挙の3日前にようやく打診されていた立候補を許諾し、大急ぎで支度をしているところだった。
本来なら公示されてから何日も張り出しておくために作るポスターも、
あたくしの場合は、本当にインスタント・・・・とはいえ、コレを作ってくれたのは
あたくしの初恋の相手、シンだった。(まだ捨てずに実家にある(爆))
応援演説に、あたくしはトモくんを指名し、彼もまた、快く引き受けてくれたのだった。


9月も末ともなれば、どの部も中体連の大会は全て終わっていて、3年生は引退。
あたくしたちは、いよいよスパートをかけなければならない・・・・そんな時期でもある。
受験へのスパート、卒業へのスパート、義務教育終了へのスパート、まぁそんなところだ。
15歳の時のあたくしは、30歳になった時、自分の隣に誰がいて、どんなことをしながら
日々生活しているのかというのを、おぼろげながらシミュレイトしていたわけだけれど、
初恋に溺れているうちは、何となくその範囲内にシンがいてくれたらいいな・・・・と
本当に淡い気持ちを持っていたりもした。
そしてその反面、これからいくつも恋をしていくんだろうということや、
結婚相手はきっと別の人だろうということも、とても冷静に考えていたりもした。
ただ、15歳のこの日からずっと、「この日のことを覚えておこう・・・・」と思ったことを、以来16年
律儀に心の中に留め置いてきたのだ。
初恋のひとを忘れるような、枯れた人生だけはいやだな・・・・そんなふうに思っていたから。


どうせナーバスになるなら、ひとまとめにしておこう。
きっとあたくしのことだから、何か「勢い」みたいなものがないと、自分の思いを人に伝えることなど
しないままに終わっていくんだ・・・・況してやそれが恋心ともなれば、ひた隠しにしたまま
終わらせてしまうことを選んでしまう性分だろうから、コレもきっといいチャンスなのだ。
そんなふうに自分に云い聞かせて、選挙と恋愛を同時進行に進めていこうという、
人生最大に緊迫した数日間の火蓋を、自分の手で切って落とした。


立候補の表明をしてからほんの数日間、演説、投票、開票、結果の告示が済むまでの間に、
あたくしはみるみるうちに痩せていった(笑)。
こっちは、表明後はきちんと演説をこなすことさえできれば、対抗馬もおらず信任投票だったので、
自動的に事が運ぶことは見え透いていた。不信任票が過半数を上回るなんてこと、
学校創立以来、ありえないことだったし、まぁおふざけや本当にあたくしのことが嫌いで
不信任票が入るとしても、450人弱の全校生徒のうちの10票以内であれば、己を許せると思っていた。

問題は、どうやってシンに想いを伝えるか・・・・ということに集約された。
YESなのかNOなのか、相手の出す答えによって、あたくしへのダメージも違うし(笑)、
グレーゾーン的な答えだってありうるのだから、そんな時、どんな顔をすればいいのか
正直、さっぱりわからなかった。
ただ、この不安な気持ちを露骨に悟られないためにも、「選挙」というもうひとつのナーバスの材料は
丁度いい隠れ蓑になってくれていた。緊張の面持ちは、全部執行部選挙のせいにしてしまえるから、
生真面目な印象を崩すことなく乗り切った。

実際、あの頃のあたくしは、別段、大勢の前で話をしたりすることも苦ではなかったし、
それがクラス規模であろうが学年規模であろうが全校規模であろうが、感覚も麻痺して、
緊張すらしなくなっていたので、逆に丁度良かったかも。
この1年前に、当時は親友だった「優等生」の応援演説を頼まれ、何とか伸し上げようと努力もしたし
(結果、2年生ながらにして、3年の票をかなり集めることに成功し、彼女は当選した。)
この半年前には、急遽選挙管理委員長をやらねばならず、中立な立場というのも経験させて頂いた。
あたくしが立候補する選挙で以って、攻め、守り、永世中立、全ての立場を経験できることになるので、
事実上、ちょっとワクワクしていたのも正直なところだけど。

しかし、その「ワクワク」を遥か凌駕する気持ちがあったことで、あたくしの体重はメキメキ減少(笑)。
恋は単純なからくりだ。
心酔すればするほどに、乙女をどんどん変えていく(爆)。


トモくんに自分の演説の原稿の内容を説明しながら、2人で作戦会議をした。
ふぅ・・・・と一息ついた時に、「あのね・・・・」とあたくしが口火を切った。


「あのね・・・・選挙の結果が出たら言おうと思ってるんだぁ。・・・・シンに。」

「( ̄ー ̄)ニヤリッ おぉ・・・・とうとうか♪」

「うわぁ・・・・もう、めっちゃ緊張するわぁ(苦笑)。」

「まぁ・・・・頑張ってちょうだい(笑)。」



彼もまた、「選挙」については全く心配していないというか、この「( ̄ー ̄)ニヤリッ」も
「頑張ってちょうだい」も、打ち合わせ内容は選挙のことなのに、そっちに向けられたものではなかった。
きっと、あのクラスの中では、誰よりもあたくしが生来、クソ真面目であったことや、
恋愛に関しては疎いということを知っていたはずの彼なのに(4つの頃からのつきあい)、
この時点で、何もかもを見透かされていた気すらした。
コイツには嘘も何も通用しないんだなぁ・・・・そう思った。
今思うと、彼に恋をしていればよかったのかなぁ? と思うけれど、如何せん、距離が近すぎた。
そして、ときめく何かを感じる前に、嘘すらつけないような表裏を知り尽くす関係になってしまった。
恋をするなら・・・・こういう「味方」は非常に心強いのだけど(笑)。


以後、ほんの数日間だけではあったが、トモくんはあたくしの顔を見るたびに、
「( ̄ー ̄)ニヤリッ」
とやって、勝手にカウントダウンをしていてくれた(笑)。
演説の現場ですら、自分が発表する内容やあたくしが立てた原稿の事を気にするよりも、
開票結果告示のことだけが、あたくしと同じくらいのレベルで気になっていたようだった。
壇上に上がることがすっかり日常化していたあたくしらにとって、「演説」は1つのポーズで、
ゲームだったかもしれない。
恋愛はよくゲームに喩えられるけれど、あの頃のあたくしは「死ぬ気の恋愛」
学校運営のほうがゲームだった。

↑必死に笑いを堪えていたうちら(爆)

演説台に隠れて、彼の下半身は全校生徒には見られずに済んでいたのがこの彼にとっての救いだった。
あたくしとトモくんは、彼の演説を聴いている間中、平静を装う振りをして
全校生徒には絶対に見られない、一番面白い部分を堪能し、あとちょっとで壇上で笑い転げるのを
必死で食い止めていたのであった(笑)。
全員の演説が終わって、いよいよ投票、袖に捌けてきた立候補者とその応援者たちは
皆して彼を肘でつつきながら笑った。


「多分、全員がそれなりに緊張しているとは思ったけど、お前のは傑作やなぁ♪」

「いやぁ、うちはてっきり●●君はこういうのは慣れっこで、平気かと思っとったわ(笑)」

「顔や口先には出ないから、余計におかしかったぞ〜♪」



そんな野次が飛び交う中、渦中の彼は、大きな体を小さく丸めるようにして

「絶対緊張しますって!! ・・・・俺だって。」

と、恥ずかしそうにそう言うのであった。壇上にいた時はあんなにも堂々としていたのに、
袖に捌けるや否や、ヘナヘナになってしまった彼もまた、普通の人間なんだなぁと思った。


さて。そんな小さな緩和が通り過ぎるのも束の間、結果の告示は翌日の昼休みだったものの、
開票は即日。選挙管理医員が暗くなるまで、生徒会室を密室状態にして執り行う。
同じクラスに選管委員長がいたので、それとなく様子を窺っても、頑として教えてくれなかった。
翌日になれば、あたくしの半期の指針が決まり、そして恋の結果も出てしまうことになる。
とにかく、それはそれは重要なターニングポイントだったのだ。
翌日の給食時になるまで、あたくしは授業も上の空で、ずっとシンのことばかり考えていた。

あたくしは信任投票だったので、不信任票の集計の結果、当落が確定する。


「書記、信任候補、日野夕雅さん。」

放送から流れてくる結果を待って、教室中が静まり返った。

「総投票数中、不信任票1票。無効票1票。よって後期生徒会執行部書記は日野さんに決定します。」


この瞬間に、教室中が沸き立ってくれた。・・・・たかだか信任投票だというのに、拍手さえ起こった。
あたくしは、一瞬だけ自分の恋を忘れ、この事実に驚愕した。
後に、執行部入りした6名の中で、信任投票だった人間のうち、無効票も含め、たった2票の不信任は、
あたくしと会長を務めることになった少年が最少数だということが判明した・・・・。
正直、驚いた。もっと多いと思っていたのに。
半年前、自分で選管委員長を務めた時に、信任投票でもバカにできない、
いくら無記名投票とはいえ、候補者のことを認めていない人間の数がパッと明るみに出るのだから、
これほど怖いものはないということを、身を以って感じていたし。
決選投票こそ、そういうのが本当の数字になって表われるけれど、
どっちがいいかと問われた時の取捨選択だから、いいか悪いかを問われるのとはまた少し違う。
信任投票は、そこが怖い。(多感期にやるもんじゃないとすら思う・・・・)

あたくし本人が、そっと耳打ちをして、本当の決戦をこの日迎えることを知っているのは、
クラスの中にそう何人もいないはずだったのだけれど、
1つの恋が動き出そうとしていることに対してなのか、それとも本来の偉業に対してなのか、
あたくしはそれでも、あの時贈られた拍手のことを忘れられない。
人生、そう何度とない、素敵な「お祝い」だった。

↑ホントは・・・・少し怖かったし。

本当の決戦については、文字数のこともありますし(爆)、翌日分に書こうと思います。
・・・・つか、ここまでの話も、サーバーに撥ねられるんじゃないかと、内心心配なんですが( ̄∇ ̄;)
ではまた明日。ごきげんよう。


2005年09月26日(月)
音はいいのにな(爆)


そんなこんなで、また本日は別のCDをかけてたりしますが。
昨日分の「Gift for Funks」についての反応が、既に届いておりまして(爆)、
おぅ♪ 何もあたくしの耳だけが、特別仕様の空耳というわけではないということも判明し、
ホッと胸を撫で下ろしているところです。


思春期ちょい前くらいから、特に楽器や歌を習っていたわけではないのに、
自分の耳に心地好い音と、そうでないものをきちんと判別することだけには小煩かったあたくし。
「窓際のトットちゃん」ではないけれど、気持ちいいか否かで音を分けていくという、
「生理的な好み」は多分、生まれ持ってのものだろう。
だから、自分の聞いた音が例えば「ラ」だとわかっても、楽譜を上手におこすことができない。
もっと、本格的に音楽をやっておけばよかったな。学校だけじゃ足らなすぎた。


そんなわけで、本日は大黒摩季です。えぇ。あの不幸の塊、大黒摩季(爆)。
あたくし、この人のサウンドは嫌いでなく、寧ろ大好きなんだけれど、
詞には傾倒しないようにしよう!!と、既に学生時代の時に悟りを開いたわけで(笑)。
この人みたいになったらアカン・・・・この人みたいな生き方を巧いこと避けて避けてやっていけば、
恐らく十人並みの幸せくらいは手に入れられるだろうから・・・・そんなことを思いながら、
大学時代くらいかなぁ・・・・毎日のように聴いてましたが(爆)。
あんなドロドロした歌詞を、ここまで爽やかに、かつ歯切れよく、アップテンポ、メジャーコードで
歌い上げられたら、誤魔化されますけど、フツーは( ̄∇ ̄;)
今、丁度流しているのは、不朽の名作とも云われたベストアルバム「BACK BEATs #1」です。
あまりに有名すぎるので、多くは語りませんが、ここまで大黒ワールドを凝縮したアルバムだったか?
と、改めて閉口してます(爆)。
ぷよ2と2人して、「結婚式では絶対に何があっても流してはいけない曲ばかりを歌うアーティスト」
として不動の位置につけてます( ̄∇ ̄;)

いや、昨年の丁度今頃、さてさて本格的に披露宴の時に流す曲を選んでピックアップせねばなぁ・・・・と
互いに好きなアーティスト、今まで聴いてきてコレは良かったなぁと思える曲で、
かぶってるものはないかと必死に探したところ、先日のTM、ドリカム、あとはglobe、
そして、大黒摩季となったのである。
前者3つに関しては、結婚式に流しても雰囲気があってそれっぽいラブソングもあるし、
たまに友人代表たちがカラオケで歌ったりするくらいにラッヴラヴなヤツもあったりするけれど、
大黒摩季は・・・・( ̄∇ ̄;)
片っ端からアルバム曲まで調べたんですわ。持ってるヤツ全部をひっくり返して。
学生の時には物凄くよく聴いてたし、カラオケでもよく歌った。
その場が盛り上がるし、男の人たちのウケも良かったし。
その証拠に、あたくしと同じCDをぷよ2も持ってたりしたし。
そうやって、女性に限らず男性にもきちんと認知されているにもかかわらず、
彼女の楽曲というのは、殊、結婚式には体裁が悪すぎて出せないような、
物凄いキーワードが絶対1つは含まれているものばっかりだったのだ。


例えば、超有名なところで、「ら・ら・ら」。知らない人はいないと思う。
サビが簡単だし、コード進行もメジャーに始まりメジャーに終わる。
意外とや、直撃世代だけではなく、当時の40〜50代のオジサンたちにもウケがいいという、
とても珍しい楽曲ではあった。
やっぱアレね。ドラマとのタイアップで、ドラマの心象もいいとテーマ曲の心象も良くなる、
相乗効果ってヤツかしらね?

明るい印象だと感じる人も多いだろうが、この曲、とっても重たいんです、実は(笑)。
曲のブリッジのところで、こんな歌詞が流れる。

「時が経つのはなぜこんなにも早いのだろう
あっという間にもう こんな年だし 親もトシだし あなたしかいないし ねぇ?」


活字にすると寒気すら催す、一番重いパターンの逆プロポーズ(爆)。
これが結婚式で流れたとしたら、親類縁者全員がヒクよな・・・・。
こんな調子で、大黒摩季の曲をアレもダメだ、コレもダメだ・・・・とやっていたら、あっという間に全滅した。


・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。


サウンドは細やかに作りこんであって、彼女のデビュー当時、その緻密なサウンドに加え、
彼女が他メディアに一切正体を明かさずに音楽活動をやっているものだから、
「大黒摩季」というのはレコード会社が、新たな戦略として仕組んだヴァーチャルではないのか!?
という噂さえ飛び交ったくらいだ。
アルバムのジャケットにきちんと顔を出していても、中性的なその面持ちから、
本当の人間として受け容れてもらえなかったくらいだったから。
・・・・のわりに、歌詞が物凄くドロドロしていて、等身大の「20代女性」っぽい(当時)のが
爆発的にウケた1つの理由だろう。生々しすぎたのだ。

で、だ。
独身の頃はそんなに気にならなかったのに、いざ自分が結婚する段になって改めて聴いてみると、
その生々しさが畏怖にすらなりえて、おぉ・・・・モノの見事にこりゃ結婚式では使えんわ( ̄∇ ̄;)
いくら新郎新婦双方が、昔から傾倒して聴いていた楽曲たちとはいえ、TPOを考えたら
明らかに却下にすべき楽曲たちなのである。
しかも、どれひとつ採用できないとは、そこまで徹底していたとは・・・・大黒摩季、貴女は天才だよ。

ドリカムにももんすごくドロドロしたヤツは何曲もあるけれど、「少女卒業」的な可愛らしいのもあるので
思想が凝り固まっているというのとはちょっと違う(苦笑)。
vocalの美和ちゃんも歌い手として、そしてパフォーマー、アーティストとして
やっぱり天才の領域だとは思うけれど、大黒摩季とは完全にベクトルが違う。
いや、大黒摩季のベクトルが極端すぎるんだけど(笑)。


彼女(大黒)が刻んでいる、ほぼシンセサイザーだけを駆使して作られたと思われる、初期の頃の楽曲は
とても小気味良く、ユーロをこよなく愛するあたくしの脳を刺激してやまない。
そらそうだわなぁ・・・・自らの声すら加工して、打ち込んでたとかいう噂さえあったんだから。
いや、基本のヴォーカルラインは彼女がきちんとレコーディングしてるんだけど、
彼女の声にこの頃、ピッタリとマッチするコーラスがいなかったのだろう。
何もかもを弾き飛ばしてしまうくらいにパワフルすぎた彼女の声に合うコーラスは、彼女の声以外にない。
これが、無双の強さを誇った所以なのかもしれない。
吉田嬢が後に、最強のコーラスを見つけてくるのと大体同時期に、彼女は自分とは別の人間を
バックに置くようになった・・・・そんなふうに記憶している。前後の誤差はあったが。


この日。
あたくしは、懐かしい大黒摩季の楽曲を堪能しながら、特にベースの音を追っていた。
よくやるんだ。
どのアーティストでもそうなんだけど、ギターやヴォーカルは目立つから除外して、
その他にどんな音が刻まれているかっていうのを、完全に頭の中で分離して、
その音だけをひたすらに追っかける。ユーロでコレをやろうとするととてつもなく脳が緊張して、
3曲と持たない(苦笑)。
大黒摩季もコレに似ていて、ベースの音だけを追っていると、3曲と持たない(爆)。
その代わり、普通の生オケで演奏されるのを完全に超越した、面白い旋律をたまに拾うことができる。
織田哲郎と組むようになった後の楽曲だと、あんまり面白くないんだけど、
彼女が完全に1人で作っていた頃の曲の中に、たまにこういう面白い曲が紛れている。
絶対ホーンセクションなんか組めない状況だろうっ!? という時代の曲にホーンセクションがあったり
完全にデジタルのパーカス音が重なってたりと、人間の脳を超越するサウンドを織りなしてくれる。
そういう無機質で無茶なサウンドがあたくしは結構好きだったりするんだけど、
コレに、物凄い突き抜けた肉声がつくから、「いいな♪」と思ったのかもしれない。
要するに、先頃書いた小室氏と同じような脳のつくりをしているのかも。
まぁ、彼女は自分がヴォーカリストでもあるわけだから、自分の声と相性の良い旋律をきちんと知っている
そういったタイプでの「天才」なのかもしれない。
デジタル音に突き抜けるような肉声、コレだけだとまだ味気ないところを、
彼女は恐らく、実体験に基づく生々しい詞をつけた。

↑この事実がより生々しさに拍車をかける(爆笑)

だから、個人的には「夏がくる」とかを聴くと、その当時から異様に笑えた。
これ以上に生々しい曲は恐らくないだろうな。などと思う。
氏曰く、

「いや、普通のお嬢さんだったよ。本当に極フツーの。」

らしいんだけど、その「極フツー」の感覚で詞を書くと、あぁも素直な言葉になるということを
まさにその時代に思い知った。
あと数年後、きっと自分も同じ事を思うのだろう、同じような環境におかれるのだろう、
そんなことを思っていた20代初頭。自分の思ったとおり、年齢を重ねるごとに、彼女の言いたいことが
まるで体に浸透するかのようにフツーの感覚になってきて、おぞましくも何とも感じず、
それがあたかも当たり前のことのように感じていた。

そして、伴侶を見つけた今、夫婦揃って彼女の楽曲を聴くと、また別なインパクトを感じ、
常々この人は「新しい人なんだなぁ」と思わせてくれる、とっても稀少な人物のようだ。
いやぁ・・・・今、まさにこの環境で、「大黒摩季の曲が異様に沁みるわぁ・・・・」なんて云った日にゃ
天罰が下されるような気すらするし(笑)。(でも、やっぱりサウンドは好きだわ。)
期間限定、環境限定、超作為的なくせに万人に受け容れられる、女性たちにとっては例えば、
魔法使いにハマる時期のように、彼女にハマる時期というのがひょっとしたら存在するのかもしれない。
あの楽曲たちについた詞が、極々フツーのラブソング風だったとしたら、
恐らく、彼女の財は、今のおよそ1/5くらいだったんじゃなかろうかと思う(笑)。
ウェディング業界を敵に回す、彼女の脅威の歌唱力に、今一度拍手をば・・・・。

↑嗜好もここまでくれば天晴れだ♪


2005年09月25日(日)
一球入魂、You can Dance!!


リエからメールが届いたので、せっせとその返事を書いていた。
物凄くせっせと書いていたので、ついつい、日記を書くパワーが残らなかったくらい、
程度で言えば「アホか!?」くらいの勢いで、せっせせっせと・・・・。


魂を揺さぶられるような、素晴らしいメッセージがそこにあると、呼応せずにはいられない。
それがあたくしのことをよく知る人間であればあるほど、呼応の度合いも高まる。
この日、丁度リエがまだあたくしの生活圏内にいた時代ド真ん中の曲、
TMの「Gift for Fanks」なんかを聴きながら、

「♪ ゆ〜 きゃ〜ん だん(すっ)♪♪」

「8月の長い夜〜(↑)♪」
 (爆)

「かもんっ れっつ だ〜んすっ♪ えびばでぃ に〜(z)♪♪」

「さっか〜〜さっま〜 モナ〜リザ〜 ・・・・れいんぼ〜 れいんぼ〜〜♪」


と、口ではハイレベルな鼻歌(どこが??)、でも指先は全く別の文章を打つという、
離れ業を2〜3時間くらいやってた( ̄∇ ̄;)
実際耳で聞くと、こうなるの・・・・(咲良様、許して(笑))しかし、アレだ。
「Gift for Fanks」と最初に銘打った割には、今思い浮かぶのがマイナーな順から
っつうのが、もういかにもあたくしだなっ♪┐( ̄∇ ̄)┌オホホ サビより大事な箇所がある!!(爆)


そうやって、懐かしさにかまけながら、身も心も中学生くらいになっていたものだから、
すっかり忘れていたことがあったことに、この日の夜になってから気付くのである・・・・。

↑火曜日まで待つのか(↓)


ところで、上記に懐かしいアルバムが出てきたんで、それについてちょこっとだけ付記したいのだけれど、
あの中に「You can Dance」という曲があるんですが。同世代にはきっと超有名。
13曲目ね。ちょっとアップテンポ目の。
アレの歌入り2小節前部分が(つまるところ、前奏最後の2小節部分が)
F1のテーマ曲に似てる!! とぷよ2に食い下がられましたよ(笑)。
どっちが先だろ・・・・? という話になって、いや、このアルバムは87年リリースだから、
F1の方が後だろ・・・・という、脆い自信の中、一応決着したんですけどね。
いや、コード進行がメジャーからいきなりマイナーになった瞬間に「F1」が垣間見えるこの曲と、
最初からマイナーコードから始まるあっちの曲とでは、そもそも作りが違うから、
実際、問題にも何にもなってないわけなんですけど、言われてみると

「あ、そう聞こえないこともないかもなぁ・・・・」

なんて、妙に納得しちゃうんですが(笑)。
そもそも、この頃のTMの曲って脳みそにガンガン入ってくる。
聴いてたのが丁度、14、5くらい(発売した直後でなくて、ジワジワとその後聴いてた)だったので、
その頃、曲を流しながら同時進行で3つくらいの作業をやっていたのを体が思い出して、
奇妙なテンションを取り戻してしまいました。
このCDが14曲全部終わると、手近なところにあったCDを次々ぶち込んで、
ドリカムのすっごい昔のCDとかも聴いてた。あと、ユーロも(笑)←どうしてもハズせんらしい。
おかげで脳みそが覚醒しまくって、寝付くのが大変でしたとさ( ̄∇ ̄;)

それはそうと、「Gift for Funks」を1度でも聴いたことのある人にお伺いしたい。

↑あたしゃ、何度もあるんだが(爆)

当時、クラス中に聞いて回りました(笑)。聞いた人間の約半数が同じことを思ったそうで。
そう考えると、小室という人は、当時から何だかよくわからないけれど、
作曲や編曲で物凄い才能を発揮しちゃってた人なんだなぁ・・・・と再三再四、感心してしまう、安い自分。


2005年09月24日(土)
美しい文字だなぁ・・・・。


先日の日記の内容を、美しい青春の思い出としてぷよ2にはリエが教えてくれたことも含めて
全部話して聞かせてみたところ、

「韓国ドラマみたいやな・・・・(-。-) ぼそっ」

と、サラリと言われた。
リエが教えてくれた部分というのをきちんと補足して話すと、
おぉ・・・・言われてみれば確かにそうかも! と納得せざるをえないような、そんな内容に
今更ながら気付かされた(爆)。


あたくしは、〜2000年くらいまでの韓国映画はとっても元気があって良いなぁ、と思っていたんだけど
昨今のブームにホントにゲンナリして、テレビで垂れ流しになっているこれらドラマを、
正直、一度もきちんと視聴したことはないのだけど、あらすじくらいは人から聞いて知っている。
偶然の出会いだと思っていたのに、腹違いの兄妹、姉弟だったりして叶わぬ恋をする・・・・という
韓国ドラマの王道的スジに、「え〜っ( ̄∇ ̄;) ど・・・・どこが純愛・・・・??」などと、
新しいドラマが流出する度に、またかよ・・・・と思うわけなんですが、
日本でも、そしてあんなに身近なところにも、似たようなことがあるんだなぁ・・・・と思うと、
そのリアルの方は純愛なのかもしれん・・・・という、奇妙な説得力はあったりする。
だって、戸籍上で兄弟なだけで、腹も種も違えば、それは赤の他人だけれど、
一つ屋根の下に暮らしながら、そういう恋心を持て余していたA子先輩のことを思うと
もし、コレがオノレのことならば、発狂しちゃうかもなと容易に想像がつくからだ。
いとこだって結婚できるのに。
血のつながりがなくても、やはり兄弟というのはタブー視されるのかな。
社会的概念の問題だろうな、きっとコレは。
体裁が邪魔をして、本当の気持ちを押し殺さねばならない人というのは、やっぱり哀しいや。


***************************************************************************************


さてと。おさらいはこのくらいにして(苦笑)。
この日、あたくし宛に「寿・祝賀♪」的封書が1通届いた。
差出人はおじょ〜・・・・たちの「親」になっていたので最初はピンと来なかったものの(爆)
紛いようもなく、コレは結婚式の御招待状ですわよ〜♪ 分厚くて頑丈で素敵♪(笑)
・・・・そうよねぇ。自分たちの時は、あえて両親の名前を出さずに、式も披露宴も招待状は
自分らの名前で出したから、実感湧かなくて当然か(苦笑)。
肩肘張らずに「長男」とか「長女」とか、うちらの親にもそういう文面を経験させてあげるべきだったかなぁ
などと、柄にもないことを考えてもみたり。

一応、結婚式が決まった時に、招待状の雛形を見せてもらって、何故だかあたくしたちは2人とも、
両親主催型の雛形にちょっとした拒否反応が出てしまって、勝手に一番フランクな型をを選んで、
それを発送してしまった。もっと冷静になって考えればよかったのかしら・・・・?
いやぁ、きっと、「結婚した」後だから、こういうふうに思うのかもしれない。
ミユキの時にはこういうふうに感じなかったもの。
披露宴会場にあった、「●●家 ▲▲家 結婚披露宴」なんていう札を見て、
個々ではなく家同士の結びつきが強調された感覚が、若かったあたくしにはちょっと許容できなかった。


あたくしは、重厚感あるその封書をまじまじと見つめながら、嘆息を漏らした。
宛名書きがいやに丁寧で、達筆なのだ。本当に美しい文字だなぁ・・・・そう思って、しばらく見つめていた。
失礼ながら、おじょ〜がいつも書いている文字には見えず、それでも
もし彼女が丁寧にこうして宛名を毛筆でしたためていてくれたのだとしたら、
あたくしは何という素晴らしい友人に恵まれたことか、と、ちょっと感慨深くもなったり。


あたくしの挙式にお招きした、ききあ嬢の達筆さ加減にも以前驚かされたことがあったのだ。
あたくしが、芳名帳その他、彼女が記帳してくれた全てのものに一通り目を通してから、
この日のように嘆息を漏らしていると、母・サヨコが普通にこんなことを言ったのである。


「何を今更(笑)。彼女からいつも届く宅配便の伝票見てればわかるやん。
いっつも『きれいな字を書く人やなぁ〜』って感心しとったんやよ。」


「でも、あたしは筆の字とか見たことなかったし・・・・。」

「普段の文字も整っていて、読みやすくて、私は好印象やったけどね♪ お豆腐屋さんの子やろ?」

「( ̄∇ ̄;) だから、今は違うってばよ。いつの話よ、それ(苦笑)。」



ゴ、ゴメンよ、ききあ嬢m(_ _)m
どうも我が家では、貴方様のことを未だに「お豆腐屋の・・・・」とか思っているらしくて(苦笑)。
でもそれほどに、ききあ嬢の書く文字には「誠意」というか「まごころ」というか、
そういうのがきちんと込められていて、とにかく、それを見た人にとてもいい印象を与えていることは
確かなことだったり。こういうのって学だの才だの言う前に、素養や所作が身についている感じがして、
同じ女性としてはホントに見習いたいところなのだ。


話を戻そう(笑)。
こんなことを思い出しながら、おじょ〜からの封書を眺めているところへ、
書道三段、自称・達筆王(爆)のぷよ2が「ちょっと見せて♪」と食いついてきた(笑)。


「きれいな字だよね・・・・。おじょ〜がこんなにいい字を書くなんて、あたし知らなかったよ。」

「ふむ・・・・間違いない、コレは書道家の字だね。」

「書道家・・・・? ダンナは書道家なんだろうか・・・・(おじょ〜にめっちゃ失礼)」

「岐阜県の『阜』っていう字なんか、こりゃ、一朝一夕に書けるもんじゃないし。
ほれほれ、ここの折れ方なんか完璧♪ あと、この字。徐々に出発点が右上がりになるところなんか、
完璧なバランスだよ♪ ホントにきれいに書いてあると思う。」


「キミがそう言うんだから、出すところに出しても恥ずかしくない文字なわけだ。
おじょ〜もすごいなぁ・・・・あたしも宛名だけは全部手書きしたけど、毛筆で書かなかったもんなぁ。」



美しい文字を書く人というのは、もうそれだけで、何だかすごい。
まぁ、美しい文字をかければそれでいいかっていうと、そうばかりではなく、
あたくしが知っている中には、極上の文字を書く人間がいるけれど、人間性を疑いたいヤツもいるし。
しかし、そういう人間でも、書いた文字を見せられると、それを書いている瞬間だけは
邪心や邪念がないようにも思われる。捻くれ者でも心がまっすぐになる瞬間なのだろう。

この封書の中には、短い手紙も添えてあった。こっちはボールペンか何かで書いてあったのだが、
あたくしがよく知っているおじょ〜の字だったので、それはそれでちょっとした安心感があった。
でも、いつもよりも温かくて、気持ちのいい文字だと思った。
体調はどうですか?
無理はしないでね・・・・。
そんな優しい心遣いの言葉と一緒に、彼女の人間性がふわりとあふれてくるような手紙だった。


前にぷよ2にも言われたことを、つい先日、リエにも言われた。


「夕雅の友達って、みんな見た目のタイプはバラバラなのに、美人な人が多いよね!」

「あはは♪ あたしの友達が聞いたらとりあえず喜ぶかも(笑)。」

「結婚式で私が同じテーブルだった人って、私以外は高校時代の友達なんでしょ?」

「うん。(苦笑)群れるのが嫌いだったあたしの交友関係で、今でも残っているのが彼女たちってわけさ。」

「やっぱ、群れてなかったんだ。」

「うん・・・・元々むいてないよ、群れるのは。」

「どうしてあんなに雰囲気の違う人たちばっかりなの?」

「あぁ・・・・一緒にいた場所が全員違うから。
おじょ〜は卒業間際から進学先が似てたから急速に仲良くなって、以来のつきあいかな?
1年のの時に同じクラスだったんだけど、その時は彼女、あたしとは別のグループにいたし。
サナエは部活が一緒で、高校時代、一番一緒にいた時間が長いかなぁ。
アヤコは2年の時に同じクラスだったんだけど、6人の中の1対1って感じだったしなぁ。
彼女らとはそういえば、常に『サシ』だったかも。男の趣味も全然違ったし。
(笑)そういえばね、アヤコとだけは同じ男を取り合ったなぁ。」


「え??( ̄□ ̄;)!! そんなことがあっても疎遠にならずにいられるものなの?」

「恐らくフツーは無理かもね(笑)。だけど、何でかアヤコのことは許せたなぁ。
つか、あたしがその取り合いでは負けたんだよ。」


「そ、そうなのっっ??」

「あの時、アヤコはあたしに何度も謝ってた。相手がアヤコを選んだんだから
ただそれだけのことなのに、あの時、アヤコはホントに何度も何度も謝るのよ。
悪いことなんかされてないのにね、あたし(笑)。」



自分の友達のことを褒められるのは嬉しい。正直むちゃくちゃ嬉しい♪
あの当時も、アヤコの方が秀でているもんなぁ・・・・素直にそう思っていたし(笑)。
選ばれなかったあたくしは、せめて惨めな気分にならないように、2人の前から静かに身を引いたのだ。
保身と護身のためにそうしただけで、ただ、傷つくのが怖かったから。
その当時、今回の話の主役であるおじょ〜はどうしてたかというと、
あたくしがこの頃好きだったこの先輩ととっても仲良しだった別の先輩のことが好きで、
そういや、そっちのルートで以って色々情報を頂いていたような気が・・・・(笑)。
彼女こそ、本当に可愛らしいお人形みたいな人だったから、昔からオトコ旱には縁のない女性だった。
おじょ〜アヤコは属性はとても似ている気がする。
両者とも、タイプは違えど、オトコ好きするタイプだし、女性的で可愛らしい。
ただひとつ、決定的に違うところがあるとすれば、それは「媚」かもしれない。
おじょ〜は同じ女性から見ても、そりゃ見事な手腕で男性に媚びる事ができるが、
アヤコはあたくしが見ている限り、少々サッパリしすぎている気もする。

ただ、決定的に彼女たちが強いのは、同じ女性に対して、とてもサッパリとした人あたりで、
男性並によく働き、頭の回転が速く、場の空気を読むことに関しては格段の才能を発揮する。

それは、サナエにもリエにもいえることで、めちゃくちゃ機敏な彼女たちの中に
どうしてこのあたくしが一緒にいたのかを考えると、めちゃくちゃ不思議だったりしますが(笑)。
あぁ・・・・いや、昔は瞬発力が今よりも凄かったし、機動力もあったし、着想もぶっ飛んでいたので、
こういう彼女たちが、きっとあたくしのことを重宝してくれたのかもしれない(爆)。
どうして、あたくしの周囲にいる人たちは、こんなにも働き者で、才知のある人ばっかりなのかな。
さすがのあたくしも、今更ながらに気後れするぜ(笑)。
仕事を辞めたとか言っていた、リエ以外の3人は、それぞれ、
「カラーセラピスト」「プリザーブドフラワー」「アロママッサージ」の資格を取っちゃって、
創造的な場所に活躍の場を移している。
単なる「資格バカ」じゃなくて、1本に絞って、しかもおじょ〜にいたっては
もう既にこの資格を生かして、バイトとはいえ稼ぎ始めてんだから、なかなかどうして大したもんだ。


うっ・・・・うっ・・・・そんないとしのおじょ〜が名実ともに嫁いじゃうよぉ♪
そんな素敵パーティに招待されたのが素直に嬉しいわけでして、
この冬、はりきって上京することが本格的に決定しました♪ ひゃっほ〜♪(田舎者め)


美しい文字にいざなわれて、懐かしの東京に行けるだなんて、あたくしも幸せだよ。
挙式や披露宴を愉しませてもらうのは勿論のことだけれど、久々に色々なところを巡って、
写真を撮ったり歌を詠んだりしたいなぁ。
ひとりでいた頃は、よく新宿の街の中の定点に自分の拠点をおいて、そこから見える人の流れや、
聞こえてくる雑踏の雰囲気や、夥しい緊張感等々全部を感じつつ、
2時間や3時間くらいは、平気で集中していられたっけ。・・・・その分、めっちゃ疲れたけど(爆)。

↑あぅ・・・・田舎者だ( ̄∇ ̄;)

元々、田舎生まれ、田舎育ちだから、適応できなくても当然なんだけど(笑)。
最近、地元の水が本当に美味いよなぁ・・・・と、しみじみしたことを日常的に感じてしまうよ。
都会の暮らしに緊張感があったのは、生命線ともいえる水をおいそれと口にできない、
そういう危うさがあったからなのかもしれない。
んでも、年に1回くらいは上京したいなぁとか思ってしまう。
どう転んでも、今、文化の発祥はあの土地に変わりないからなぁ・・・・。

待ってろよ〜♪ おじょ〜
心いっぱい、祝いにいくからっっ♪


2005年09月22日(木)
あこがれの君


初恋、片思い、好きな人・・・・とはちょっと別なカテゴリで、
あたくしの中には「憧れの人」みたいなものがあって、その中には男女を問わず、
本当に色々な人が登場してきた。


例えば高校時代。
時代錯誤な応援団の中に在っても、1年生の時に見た3年生の先輩の姿というのは
正に「憧れ」みたいなものがあった。
半分くらいは「脅威」なんだけど(爆)、それでも男子の先輩・・・・特に団長や
女子の先輩でも、厳しいことを言うわりにキャラがフェミニン・・・・という人にも出会っているので、
そういった人々が、あたくしに少なからずの影響を与えていった。
特に女性の影響というのはこの頃にとっては顕著で、立居振舞や話し方なんかにも
そういう人たちをトレースした部分が見え隠れしていたなぁ・・・・などと、今となっては懐かしい。


この時代から後になると、恋愛要素が色濃く混ざり合ったりして、
本当の意味での「あこがれの君」というカテゴリの中だけで納まりきる人というのがめっきり減った。
恐らく、あたくしの中にある自我が凡そ形成されきったあとの出来事だからかもしれない。
それでも、女性に関しては色々なタイプの人々と出会うたびに、生き方美人、物腰美人が
次々にエントリーされていった気がする。
もっと後の時代になり、隣にステディがいる時期なんかは、男性に対しても同じ感情を持つようになるが、
ステディがいなくなると、途端にそれが恋愛感情に変わることもあって、
自分でも少々持て余し気味になったりしたこともあったけど(苦笑)。


実は、この日の夜。
旧友・リエから電話がかかってきて、2時間半も喋り続けていたのであるが(こらこら)、
懐かしさ故から、話題が当初の本題から随分かけ離れたところにも波及して、

「実は私、あの頃、●●先輩のことが『こういった意味で』好きでね」

なんてことを初めて彼女に吐露した。
その当時、もうここにも何度となく書いてきたけれど、あたくしには中学入学当初から片思いしていた
特定の少年がいて、そのことはリエの方が詳しすぎるくらいによく知っているのだけど、
彼女は知らなかったはずの話題が、ここに来て、またひとつ顕になった(笑)。


あたくしにとってこの先輩は、何でかちょっと特別になってしまった先輩だった。
当時、自分が好きだった少年への恋心とは明らかに別物だったのだけど、
恋が思うように進展せず、加えて14歳という最も不安定な時期でもあり、
受験までにはまだまだ時間があるものの、肉体的にも精神的にも疲弊してしまったそういう隙間に、
ちょっとした笑顔を添えてくれる、素敵な人だった。
先輩の悪友が剣道部だったから、彼らが部活を引退してから何かとニアミスすることが増えて、
そうこうしているうちに、いつの間にかおしゃべりをするような関係になれた・・・・というか
ホント、きっかけはあんまりよく覚えていない。些細なことすぎて、記憶力に自信があるあたくしにも
思い出せないくらい、小さな小さなきっかけだったと思う。
その上、恋には発展しなかったものだから、都合よく「あったかい思い出」として
心の中にしまっておくためだけのものになってしまっていた感も否めないけれど(苦笑)。
とにかく後年になってもこの先輩のことを思い出す時は、とてもあったかい気持ちになれるのだった。


そんな良き思い出なのだけれど、これをリエに吐露することによって、今まで自分も知らなかった
先輩にまつわる新事実までもが明らかになるとは、正に予想外だった。
あたくしだけが知っている事実と、リエだけが知っている事実を重ね合わせると、
実にグロテスクでえげつない相関図が出来上がり、ナーバスな気分になってしまった( ̄∇ ̄;)


まずは、あたくし側が当初から知っていた事実を列挙してみることにする。


(1)あこがれの先輩、A男先輩のことは小学生の時からよく知っていた。
 実は、小学校の時の応援団で一緒したことがあって、実際はそこでの接点しかなかったのだけど、
 あたくしが中学2年の時に、ひょんなことから結構よく喋る間柄になり、仲良しにもなった。


(2)それとは別で、A子先輩のこともよく知っていた。
 リエと同じクラブにいた頃、この先輩も同じクラブにいて部長だった。
 あたくしのことを特に可愛がってくれたのは別の先輩なのだけど、部長ということもあり、
 面識もあって、普通に話をする程度。中学に上がってからは特に接点はなかった。


(3)A男先輩は自分と同級生のB子先輩のことが好きだったらしい。
 彼は高校受験を前にして、当初は工業高校に行くつもりをしていたらしいが、急遽進学先を変更。
 全く偏差値が足りないらしかったけど、B子先輩と同じ高校に入るため、もんすごい努力をしていた。
 まぁこれら関連情報は、本人からではなく、本人の悪友である先輩から吹聴されたのだけど、
 実際、A男先輩がかなりB子先輩にご執心であるということくらい、見てりゃわかった(笑)。
 まぁ、そのことも全部ひっくるめて、A男先輩B子先輩というセットで憧れていたフシもある。
 あたくしも調子に乗って、「同じ高校にいけるといいですね〜♪」などと、
 彼の悪友である先輩なんかと一緒に、少々からかった覚えもあったりなかったり・・・・(爆)。


(4)中学に入って初めて、A子先輩が彼と連れ子同士の兄妹であることを知る。
 まさか同じ学年に、血の繋がらない兄妹が同籍しているなど、考えも及ばなかったが、
 たまたま名簿か何かを目にした時に、まるっきり同じ町名同じ番地が記載してあることに気付き、
 彼らをもっとよく知る友人に聞いてみたところ、実際に一つ屋根の下で暮らしていたことが判明。
 真相を聞いた時は、ビビったというよりも、生活感が全く漂っていない2人の関係性が奇妙であった。


(5)B子先輩はその当時、若い英語教師との恋仲の噂が生徒の間でも先生の間でも囁かれていた。
 コレはどこまで真相なのかはわからないけれど、職員室でも物凄い信憑性のある噂として、
 堂々と語られていたので、程度は計り知れないが先生の方がどうやら傾倒してB子先輩
 入れ込んでいたようだ。根も葉もない噂ということはわかっているが、
 彼女が英語の弁論大会に出場する際、この先生が遠征の引率だったことが、そもそもの根源らしい。


と、あたくしがA男先輩周辺について知っていることはこの程度。
(3)と(5)の情報については、リエはあまりハッキリとは知らなかったらしい。
しかしリエは、小学5年から高校3年までA子先輩と同じ場所にいた人間だ。
A子先輩のあまりの激しさを彼女は事ある毎に目にしてきたと語った。
そして、あたくしの知らないもうひとつの側面をそっと教えてくれた。


・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・。


今、同じように箇条書きしようとしたのだけど、自分が関っていないことについて、
一方的に書くことによって、それが誹謗中傷になってしまうことに気付いた( ̄∇ ̄;)
あたくしは、特別にA子先輩のことを嫌いでもないし、それ以前によく知りもしない。
想像と創造で、一人の人間を決め付けちゃいけないなぁ。
A男先輩のことは、自分がきちんと会話したことで、彼の気持ちや彼の良さみたいなもの、
その他、雰囲気等々その時感じたものが記憶にあるので、それを素直に書いてしまえばいいし、
実は、B子先輩というのは同じ町内、実家が目と鼻の先同士で、それこそ
A男先輩と出会うより前、うんと昔から良く知っている。
小さい頃から溌剌としていた彼女に、A男先輩やあの英語教師のみならず、
きっともっと沢山の人たちが傾倒したことだろうなぁ・・・・と容易に察しがつくし、
事実、歳を重ねるごとに、彼女はどんどん美しくなっていったのであった。
近所で見かけるたびに、こっちが嘆息を漏らしてしまうような、そんな女性になっていき、
地元を離れ、西方の大学へ進学していったらしいことは風の噂で聞いた。


学年が違うので、そんなに詳細に渡って知っているわけではないのだけど、
A男先輩と他愛のないお喋りをしていた頃なんかは特に、
「あの2人がうまくいってくれないかなぁ・・・・♪」
と、ささやかに祈っていたものだ。
2人が進学していった高校に、あたくしの友人も何人か進学していき、
挙句に、あたくしが18になる頃には、あたくし本人がその高校の少年と交際するようにもなるのだけど、
もうこの2人の噂は聞こえてはこなかった。
あたくしが興味を向けなかったせいもあると思うけれど、彼らが高校3年間で過ごすうちに、
きっと色んな出来事が彼らを変えたのもあるかもしれない。


今、あの先輩はどうしているのかしら・・・・と、思いを馳せると、同じようにあったかい気持ちになれる。
できれば最上級に幸せになっていてほしいな・・・・そんなふうにも思う。
恋愛感情を全く抜きにして、異性の先輩に対しそういうふうに思えちゃうのは、
正に純粋な「憧憬」のなせる業なのかな・・・・勝手にそう解釈してみるけれど(苦笑)。
たった1つの年の差も、中学時代の間は重き1年。大きな大きな壁みたいに立ち塞がるのだけど、
そういう環境の中で、はにかむように「恋する少年の表情」を見せてくれた、
あの先輩の素直さそのものに、あたくしは憧れたのかもしれないなぁ。

↑真実ならば、きっとつらいだろうな・・・・。

肝心のB子先輩の気持ちの向きに関しては、あたくしは結局知らないまんまなんだけど、
A男先輩を素直に応援したかったからこそ、あえて知ろうとしなかったのかも(笑)。
ただひたすらに、彼の気持ちが届いていればいいな・・・・♪ と願っていたことは本当だけど。
青春時代の小さな憧れは、今でもきちんと心の奥に根付いている。


2005年09月21日(水)
明晰夢に臨む


ここ2、3日。目覚めてもくっきりハッキリ覚えている夢をいくつも見ている。
所謂「明晰夢」ではないと思うんだけど(自由自在に操れないため)、すごくリアルで、
かつ、心地いい夢が多い。


この間など、初めて「空を飛ぶ夢」を見た。
「高いところから落ちる夢」は結構何度となく見ているけれど、舞い上がるように上昇していく夢は
恐らくコレが初めてだ。
吉兆を表す・・・・とか色々と謂れはあるみたいだけど、吉兆だからこそ見たいのに(笑)、
今まで一度もなかったというのが不思議なくらいだ。
しかも、数メートル、数十メートルというハンパな高さではなく、
恐らくセスナでしか到達できないくらいの、かなりな高さまで、風が舞い上げてくれるという
とても不思議な感覚がする夢だった。
空を飛ぶ夢を見た時は、なるべく自分でコントロールできるように努力するように心がけると、
明晰夢が見られるようになる・・・・っていうのをずっと前にテレビで見たことがあるけれど、
そんなに巧くはいかないものだ(苦笑)。
数百メートル上昇するそのプロセスが、あんまりにもリアルすぎて、コレが夢なのかどうか
その判別が俄かにつかなかったくらいに、あたくしは慌てふためいていた(夢の中で)。


あと、小柄な男性が出てくる夢も非常に多く見る。
今回見た夢なんか、その最たるもので、ずっと昔から知っている人の顔をしているのだけど、
誰だか思い出せない。
しかもあたくしは、無宗教に近い仏教徒なのに(笑)、今回の夢に出てきた男性は、
「パウロ・クライスト」とか何とか名乗って、あたくしに半ば無理矢理にキスしようとするのである。
こういう名前の人がいるのかどうかわからないのだけど、確かにこう名乗り、
愛情であるとか、欲情であるとか、そういうのとは別次元のキスをしていった。
しかも、声が単音ではなく、パイプオルガンのようにいくつもの音が重なったような協和音になっている。
その声がとても不思議で、とても心地好かったことは覚えている。
そして、キスをする前に、とても荘厳な声で、かつ、威厳を湛えて真剣に、彼はこう言うのである。

「邪気を祓おう。」

彼があまりに真面目な表情だったので、それに気圧されて言うがままにされたといってもおかしくない。
しかし、気圧されておいてよかった。
彼は確かに、あたくしの中から邪なものを全て取りさらい、そのまま去っていった。
彼が消えてしまってもしばらく、あたくしは夢の中だというのに、酔ったような気分になって、
体がいい感じに痺れているのだけを、目覚めた今でもハッキリと覚えている。


同じ日に見たもうひとつの夢。
大急ぎで乗った電車は、ちょっと変わったボックスシートの座席で、
一番後ろの車両に乗ったあたくしは、どこか都合よく空いていないか、一両ずつ歩いて席を探す。
と、半ばくらいの車両で、昔の恋人を見つけるのである。
奇しくも、その車両の一番端にしか席は空いてなく、あたくしはそこに座ることにする。
するとしばらくして、窓の外には見慣れた風景が流れ出すのだけど、それは明らかに
自分が乗りたかった電車から見える風景とは違う。
それと同時に、昔の恋人が話を始めたのが鮮明に聞こえてくる。
携帯で話しているのか、それとも隣に誰か連れでもいたのか、かなり大きな声で
ハッキリとこっちまで聞こえてくる。
彼が今どんな仕事をしているか、恋人のこと、これからどうしたいのか、果ては結婚観まで。
聞きたいような聞きたくないような微妙な気持ちになる。
顔を見たのはほんの一瞬・・・・しかし、彼の声で以って延々と彼の身の上話が聞こえてくるのだった。




どれもあまりにハッキリと内容を覚えているので、ひとつひとつ細かなところまで掘り下げて、
いつも利用している、夢診断サイトで鑑定をかけてみた。
「電車」「乗る」「キス」「結婚」「仕事」「空を飛ぶ」等の類は、良運の兆しとあった。
特に、前4つは恋愛であるとか、自分の求めるものに対していい結果が出る・・・・と
異口同音にそうある。
重ねていくつも連日連夜見たというのは、もう、そういうことなのかもしれない(笑)。
吉兆だ、吉兆!!
加えて、一番最後の電車の夢は、正夢・・・・というか、「現実」として捉えて
もし現実にこういうシチュエイションになったら、どう行動すべきかを注意深く判断する必要があるという。
夢の中で失敗してしまった!と思ったら、その失敗したポイントで躓かないように現実で注意し、
夢の中でのことに全て納得がいっているのならそのとおりに行動すれば、問題はないとのこと。
まぁ・・・・電車の中で昔の恋人にバッタリ出会う・・・・というこのシチュエイションこそ、
ホンマもんの「THE 夢!!」という感じもするけれど、万に一つの可能性がないわけでもない。
電車に乗ったり、昔仲間と会うようなことがあったら、気をつけてみるだけ気をつけてみるか(笑)。

今回、ずらりと並べたここ2、3日の夢全部が、波長上昇を示すサインとして記され、
だから、寝起きが悪くても気分は良かったのかもしれないな。
外は曇り空・・・・テンション低め( ̄∇ ̄;) しかし、落ち着いているのは何か予感めいたものが
今ここにあるせいなのかもしれない。
今夜、床に就くのが非常に楽しみだぜ♪ ←ウルトラお調子者( ̄∇ ̄;)

↑現実たるや、所詮こんなもの・・・・。

この夢を見る前、死ぬほどテンションが下がって、正直、ぶっ倒れてたんですが、
何とか持ち直しました。先週の丁度今頃かな・・・・グロッキー盛りだったのは(苦笑)。
反故にした約束も色々とあるので、きちんと頭を上げて回りたいと思います。


2005年09月20日(火)
Let's walk together,to the dream, NANA


あぅぅ・・・・次々とマルチメディア化されて、元々少女マンガだっつうことがだんだん薄れてきてます、
矢沢作品(苦笑)。
今や爆発的人気を記録し、初日動員数、あの「セカチュー」を塗り変えてしまったとかいう、
脅威の宣伝力で以って好スタートを切った、映画版「NANA」

う〜む。あの、

「誰か・・・・誰か、助けてください〜〜〜〜っっ!!」

という、映画を象徴するような名台詞が、この映画にあるかっちゅうとそうじゃなく、
匹敵するせりふがあるとするならば、アレだ・・・・

「こんばんは。ブラストです。」

何という存在感なんだろう・・・・中島美嘉。


この日。やっと、劇場に足を運び、「NANA」を見てきた。
えっと・・・・最初に断っておくと、原作を読んだことがない人にとっては「え? だから?」くらいの
映画ですよ。あんなにマルチメディア化されてるのにもんすごく原作に忠実。
その忠実さをウリにしているので、あまりのトレースぶりに度肝を抜かれる・・・・そんな感じです。
最近、コミック→映画orドラマ化なんていう流れがすごく多いですが、
オリジナリティを追求しなければならないので、やっぱり原作とどっかが異なる、
1つの独立した作品になってしまうんだけど、コレはねぇ・・・・そういう風潮を縦横斜めに
見事にぶったぎって、原作の世界をそのまま実写に投影した、異色の作品でしたわ。

矢沢信者(永ちゃんではなく)としては非常に気になるわけですよ。
彼女の描く世界が、マンガから離れて実写になった時、どんなふうになるのかなぁ・・・・って。
アニメ化までは想像がつくんだけど、「下弦の月」を見逃したオノレとしては、
今回見逃すことはどうしても許されないわけで(笑)。

しかもですね。あたくしは「NANA」に始まる限定ファンではなく、寧ろ、
年代を遡れば遡るほどにグワッと凝縮した何かが溢れ出てくるような感じがする、31歳ですからね(笑)。
「ラブレター」「エスケープ」直撃世代なわけですよ。
彼女が描いた、短ランのお兄ちゃんや、もんすごい長いスカートをはいたお姉ちゃんたちが
リアルにいた世界を知っているわけで、その時の画風とかが大好きなのさっ♪
「天使なんかじゃない」の途中以降、めっきり登場人物たちの線が細くなっちゃって、
あらあら・・・・本格的にマンガチック(苦笑)と思いはしたものの、喰らいついておいて良かったよ。
「パラキス」でグワッと来た時に、手ごたえみたいなものを感じちゃったもんね(爆)。
矢沢ウェイブが来るっっ!!・・・・と(爆笑)。


さて。今回、こんなにもすんごい大波になるとは予想だにせず、定期的に配信されてくるメルマガや
定期的に更新される公式サイトや、コミックについてくる帯なんかを、数年に渡って
ずっと眺めてきたわけのですが、それこそ日を追うごとに爆発的な人気が出てきて、
あれよあれよという間に、2人の「ナナ」はスターダムに伸し上がってしまった。

「何かすごいな・・・・最近の矢沢作品は・・・・( ̄∇ ̄;)」

と、数歩引いたところからこの現象を傍観していたのですが、
遂にTVCMにまで映画の告知が懸かるようになり、
やっとこのメディアが、日本はおろか世界に認められるところにまで来てしまったんだということに
気付かされた。
そんなこんなで10月の深夜枠、「パラキス」もアニメ化が決定。
こんなに動員できると製作委員会も考えていなかったのか、
映画の続編もついこの間、同じキャスト&監督で製作が決定。
何だかすごいことになっている。

↑いいなぁ・・・・正直羨ましい!!



さてさて。本題、映画のことなんですが。

中島美嘉は「女優」ではなく、あくまでミュージシャンなので、あたくしとしては何も求めない。
ただ、そこにいるだけで恐らく、きちんとした「大崎ナナ」だったと思う。
せりふを喋ると軽い感じがするんだけど、あの年齢であの雰囲気を醸し出せる「女優」が
残念ながら今の日本にいない・・・・とこういうふうなからくりなので、彼女は適任だったと思う。
レンとのキスシーン、彼女は目を閉じない。
元々大きく、更に上下のマスカラと独特なシャドウの入れ方で、気合の入ったあの目。
確かにせりふは空々しく聞こえるけれども、無言になった瞬間、彼女は最強になる。
しかも、そういう化粧を落とした入浴シーンでも、無敵具合を発揮。
この人、「ナナ」専属女優としてもうちょい磨けば、ホントに世界に通用するかもしれん・・・・。
メイクの力を借りたとはいえ、あんな意志の強い瞳を見るのは久々かも。

そして、更にびびったのは、「ハチ」こと「小松奈々」役の宮崎あおい。
この映画の全てのシーンにおいて、彼女がふんばって空気を作っていたと言ってもおかしくない。
他に、「ヤス」を演じた丸山智己、「レン」を演じた松田龍平、果ては成宮寛貴という矢沢作品経験者等
芸歴に遜色のない役者が揃っているのに、「小松奈々」にも「大崎ナナ」とは違う華がある。
正直、それほど期待していなかったので(苦笑)コレは嬉しい誤算で、
彼女が出ているシーンは非常に安心して見ていられるのである。
「こんなハチもアリかな♪」ではなく「・・・・ハチだよ。紛いようのないハチだよ・・・・。」と
こちらに言わしめてしまう、究極の「華」・・・・主演としての大輪が彼女にはあったように思う。

んで、あたくしの個人的なお気に入りは、「ハチ」の兄貴的存在の「京助」。
見事なドンピシャ具合。「淳子」はもう少し激しくても良かった気がするけれど、
主役2人とのバランスを考えると、確かにあぁいうポジションになるのかな・・・・と、こっちは
ジンワリと納得(笑)。
そして、面白いくらいによくハマっていたのが「幸子」(爆)。
『学校へ行こう』(既にレギュラー終了)や『ドラゴン桜』(出演中)でもおなじみのサエコが
この役に抜擢されたのだけど、意外とや、ビックリするくらいの適役。
彼女の良さがそのまま「幸子」に投影された感じで、非常に素晴らしかった。


と、絶賛具合が度を越えていますが、2点ほど許せないくらいにムカついた部分があるにはあります(笑)。

1点目。松田龍平の腹!!
おいおい・・・・たった3シーンしか出てこないはずの「タクミ」役の玉山鉄二が
1ヶ月で8kgもウェイトを落としてくる本気度を見せていてくれるのに、
オマイさん、入浴シーンやベッドシーンがあるのにその腹は何ですか!?
いや、そのシーンがなければ、わかんないわけだからそのまんまでいいと思うんですけどね、
本が手に渡ってからでも遅くないとあたくしは思ったわけで。
減量しろとまでは言わない。顔の形は変わらなくてもいいから、腹だけ引っ込めろ!!( ̄^ ̄)
ナナとの入浴シーンで、奇妙な違和感を感じたのは、二世サラブレッドの不摂生の賜物でした(苦笑)。

そして2点目。平岡祐太そのもの!!
あのね、役としての「章司」がムカつくのと、オマイさんの存在がムカつくのは別だよ。
あたくしはどうしても、「章司」の佇まいと間合いがもうダメだった。
ラブシーンなんか、こっちが恥ずかしくて見てられなかった。
え・・・・テレビのドラマとかでも彼は見たことがあるけど、こんなに恐ろしい芝居をする人だった??
と我が目を疑ったくらい。
「ハチ」がいいテンションでシーンを引っぱり上げてるのに、台無しにする男( ̄∇ ̄;)
彼が意図するところとは別な視点から見て、もうガッカリだった。
まぁいい。続編が決まったらしいが、恐らく続編の話の流れ的に、彼はもう関係ないだろう(笑)。


印象に残るシーンやせりふも数々あれど、製作側が意図していないところで非常にツボにハマった
いいシーンがあった。
作ってる側の主張としては、「707号室の内装は絶品」、「ライブシーンは必見!」等々、
力の入っている部分を推薦していてくれるが、そこはそことして、あたくしは別のところに釘付けだった。
原作にも登場するんだけど、例の「707号室」がある、多摩川沿いのマンションの外観・・・・。
CGの合成だろうが、突貫工事であの時だけ建てた物であろうが、
はたまた、矢沢あいが実際に原作を立ち上げる時に資料としてロケハンで捕まえてきた代物であろうが、
とにかく、あの川沿いにうってつけっぽいあのマンションの外観はちょっと感動した。
ここまで原作の画に忠実な映画って、他にあるんだろうか・・・・? と思うくらい。
愛を感じちゃうよ、正直。細かいところが妙にリアルすぎて参っちゃうんだ。

ライブシーンはそこそこだと思う。
トラネスのライブのためだけに発掘してきたといっても過言でない「レイラ」こと伊藤由奈は
ギリギリまでシークレットにしてきただけの事はある。コレからぐんぐん伸びるだろう。
原作では、ブラストよりトラネスの方が先にメジャーになっているけれど、
リアルでは、中島嬢の方が伊藤嬢の先を行っている。
このパラレルも、作品にいい影響を与えそうで、続編に例えば「シン」がらみのストーリーが入るとして
今後、「NANA」に便乗しながら伊藤嬢がガンガン売り飛ばしていけば、
メディア的に本当に面白いことが起きそうな気がする。
彼女自身、ハーフで国籍もアメリカ。確か原作の「レイラ」はクォーターだったような気がするが(曖昧)
イメージ的なディテールをぶち壊していない、繊細な素材を探し出してきたことには拍手だと思う。


通常、映画と原作は別物であることが多いから、原作を読んでいない人が映画を見に行こうとしていたら
そのまま劇場へ直行することをお勧めするのだけれど、この作品に限っては「待った」をかけたい。
原作を読んでいないと楽しめない、超閉鎖的な映画なのだ。
閉鎖的・・・・というと語弊があるのか。う〜ん、参ったなぁ。
でも、あたくしの表現力でいうなら、この言葉しかしっくりこないんだよね。
累計(只今13巻・・・・これからも続く予定)2500万部を売り上げているコミックが閉鎖的かどうか
そういう問題にもなると思うんだけど、読んでいない人を撥ね付ける独特の空気感は確かにある。
ジャンルとしては恋愛モノだから、そもそも、あたくしの好きな映画・・・・というのともちょっと違うのだ。

ただ、この映画を1本撮るのに物凄いプロセスを辿っているなぁ・・・・と感じてしまうのは
あたくしがこの原作を寸分漏らさず読んでいるからであり、作り手もまたそうだからかも。
少女たちの無垢な残酷さを、等身大に映し出すだけの日常的な物語なのに、
作り手があそこまで原作に拘るには、やっぱり何かしらの「リアル」がそこにあるからなんだろうなぁ。
でも「リアル」を忠実に再現したからといって、それが即「面白い作品」として受け容れられるか
というのも、非常に危ういポイントでもある。
この作品は、ハッキリ言おう・・・・万人にはお薦めできない。

↑どんな感想をもつんだろ?(笑)

いや、かなり裾野は広いということは前々から聞かされてはいたんだけど、
こういう現実として目の前に広がったあの光景は、ちょっと異色でした。
こんなふうに少女マンガが今までの読者層をぶち抜けていくってことは、
実はとてもすごいことなんじゃないかなぁ・・・・そんなふうに素直な感想だけは残った。


ちなみに本日の表題ですが、トリビュートアルバムの中にある曲の歌詞の一節です。


2005年09月18日(日)
米のためなら百首屏風


宣告どおり、16日、17日分のところにきちんと書いてきましたよ。
サーバーから跳ね返されても屈せず、駄文ゆえにどこを削っていいのかわからず・・・・という
情けない顛末さえも曝け出しちゃいますよ、ホントにもうっ(笑)。
おヒマな皆様は「過ぎ去りし日々」で遡って、読んでみてちょうだいね♪


さてさて、現実には2種類のゲラ原稿を目の前に、只今、苦悶の表情から脱しきれていません。
たった10枚そこそこの原稿なのに、そっちはダメなんかいっ!?
16日に、一気に原稿用紙20枚以上もの文章を書いた人間と同じ苦悶とは思えない( ̄∇ ̄;)


そうかと思えば、12歳の時点で既に、与えられたテーマに則して、きちんと規定内で簡潔に文章を
取りまとめるという「ちゃんとしてる」部分も持ち合わせているわけだから、
やって出来ないことはないと思うんだけど、如何せん、生来のムラっ気が邪魔してか、
たった10枚20枚の推敲すら上手にできなかったりする、31歳・・・・健在(爆)。


この日、魔女宅論をとにかく完結させたところで、食糧の買出しに出かけるものの、
既にヘロヘロ(苦笑)。
広い広いワンフロアマートは、主婦をワクワクさせるものだけど、
売場が広いだけに、欲しいものを最短距離で全部揃えようとしても、けっこうな距離を歩くことになる。
文章を書いている時だけは、何をおいても精力的だというのに、
それ以外ではからっきしだなんて、何とまぁ・・・・石川啄木みたいだなぁ、などと
見当違いなことも思う(笑)。
あの人、「働けど、働けど・・・・」とかいう句を詠んでいるけれど、実際、相当の怠け者で、
じっと見たその手は、女性のように綺麗なものだったという。
対して与謝野晶子は、恋の歌を詠んだり、反戦を謳う非国民ぶりを発揮しているものの、
実際は夫をフランスに留学させるために、髪を振り乱して「百首屏風」とかを描いたり、
原稿料と米を天秤にかけたり、挙句、子供を7人も8人も産んでしまうとんでもない超人なのだ。
これが「オンナ」のモノカキの在るべき姿なのかもなぁ・・・・見習わねば。
この日も、米を10kg買うか、5kgにするか、売場で相当悩み、まだ月半ばだというのに、
生活費は残り僅か・・・・結婚して初めてとてつもない困窮に見舞われている(笑)。
とはいえ、米さえあれば恐らく死ぬようなことはないだろうと楽観視している(爆)。
10kg買ってきましたともさ( ̄^ ̄)


月の使者が帰っていったので、体調も戻り、どうにかこうにか生活も回りだした。
正に最悪だった、この1週間。これからの1週間でとにかく片付けられるものは片付けたいものです。
常に、与謝野晶子のようにありたいと願うものの、現実はそんなに巧くいくはずもなく、
でも、志は高く掲げて、与謝野夫婦のようにクリエイティヴであれればと願う。

↑これは時代の問題か(苦笑)

加えて彼女は、略奪婚なのだよ。
既婚の鉄幹のところに押しかけて、前の嫁さんから鉄幹を奪い取ったという、相当アツいオンナ!
林芙美子や岡本かの子も相当だと思うけれど、やっぱ元祖はこの人だよなぁ。
米のためにモノを書く・・・・生きるための才能って、何というか、凄い温度を孕んでいると思う。


2005年09月17日(土)
餞の言葉で始まり、餞の言葉で終わった12歳/事件の前


昨日分の駄文ですが、サーバーに弾かれること8回(爆)。
延々と、「原稿用紙20枚以内でお願いします。」との勧告に屈し続けた、
長文チャンピオンのアサミンジャー( ̄∇ ̄;)
削って、削って、削りに削って、やっと収まったよ(トホホ)。
ホントはまだもっと書きたいことがあったのによぉ・・・・見た目、20枚もなさそうなあの内容に
今ひとつ納得がいってませんが、そもそも1日の「日記」として400字×20枚という
膨大の量こそがありえないのだから、そこはグッと溜飲を下げることにする・・・・。
(異常を超越するこの執着たるや、一体どこから湧いて出てくるのやら・・・・)


さて、今回はお約束通り、「女王の教室」を見ていて、オノレの小学校の卒業式のことを思い出したので
そのことについて書こうかな・・・・なんて思った次第で。

いやぁ・・・・リエなんかは当時のことをミッチリ知っているので、

「うむ・・・・あの事件のことか・・・・?」

と、こちとらもう思いだしたくもない忌まわしき記憶のことを彷彿としていることとは思うんだけど、
今日書きたいことはちょっと違う。


時間は小学5年生の最後くらいにあった離任式や小学6年生の始業式と大体同時期にもたれた、
新任式にまで遡る。
ドラマに出てきたあの「黒い」先生とは違い(爆)、新しく自分の学校にやってきた先生の中に、
もんすごい異彩を放つ先生というのはいなかったように思える。
あたくしは新しい学年の先生になることが既に決まっていたらしい先生から、職員室に呼び出され、
ある依頼をされる。

「新任式の時に、学校代表で歓迎の作文を読んでもらいたいのだけど。」

う・・・・うん、わかったよ、センセー。
あたらず触らず、無難な文章を書いてこいってことなのね。
そいでもって、それを式次第の中で読めってことなのね。
丸5年間小学生をやってきて、自分のいるべきポジションは大概先生が決めてくれちゃって、
それに逆らわないように「いい子」をやってきたけれど、今思うと、
とんでもないポジションにいたんだなぁ・・・・と我ながら少々痛々しい。
所謂、児童と先生の間にいる、「便利屋」みたいなものだもの、あたくしのいた場所って。


提出した作文は、優等生らしく、枚数厳守(笑)。文章の手直しもほとんどされず、発注した先生も一読して

「うん、コレでいいわ♪」

と、一発でOKを出した。
この頃からではなかろうか・・・・? 文章を書くということをナメ始めたのは(爆)。
普通、このテの作文を依頼されると、何日も悶絶してようやく形にするものだと思うのよ。
大人だって、例えば結婚式のスピーチを頼まれたりすると、簡潔明瞭で、喜ばれる文章を組み立てるのに
けっこう苦労したりするもの。
子供らしい、優等生らしい文章を作るのは、ちょうどこの頃、最も得意とする分野だったので(笑)
あたくしは別段苦労なく、言われた次の日に作文を持って職員室に献上しに行った。
と、まぁ、6年生のスタートを切る寸前はこのような感じであった。
何だか、自分のことなのに、書いてて虚しくなるのはなぜだ??(笑)
「便利屋」と自覚したのはいいけれど、コレをズルズルと後年まで引き摺ることになったのだもの。
虚しくもなるわな、そりゃ( ̄∇ ̄;)
新しく赴任してきた先生たちを壇上に見据え、この作文を読んだ時点から、
あたくしの超多忙な小学校最後の1年の火蓋が切って落とされたのであった。


光陰矢のごとしとはよく云ったもの。
決まった学校行事や、6年生ならではの修学旅行等々、
他の学年では経験できないような数々のオプションもあったのに、いやに早い1年だった気がする。
この年、患って寝たきりになっていた祖母が、夏休みの真っ只中に亡くなり、
通夜や葬儀まであったのだ。
春先に撮影したはずの卒業アルバムの写真と、実際卒業する頃の顔つきが、
不気味なほどに違うのは、きっとそういうせいもあるかもしれない。


さて、卒業式間際。
あたくしの忙しさも一際(爆)。忙殺の日々の中、余分な問題も抱え込んで、身動きが取れなくなって
さていかがしたもんだか・・・・と思い悩んでいたのだけど、
昨日の「キキ」ではないけれど、あたくしも丁度この頃、最初の試練とぶつかるのである。
卒業式当日。その試練があたくしに襲い掛かる、ほんの数時間前、あたくしはとある人から
本当に誰にもわからないような餞の言葉をもらったのである。
いよいよ教室で整列を済ませ、体育館へ入場するほんの合間の出来事であった。
着任早々、早速6年生の担任を任された、うちのクラスの先生が、列の先頭にいたあたくしに
こんなことを言ったのである。


「ねぇ日野さん、覚えてる? あなたが丁度1年前、先生たちの前で作文を読んだこと。」

「あぁ・・・・そうでしたね。そんなこともありましたね。」

「あの作文を聞いていてね、正直、すごくドキッとしたのよ。」

「え・・・・? どうしてですか?」

「だってね、あなたが作文の中で
『ひょっとしたらこの中に、私がお世話になるかもしれない先生がいらっしゃるかもしれません』
なんて言うんだもの(笑)。その時にはもうクラス分けが済んでいたから、あなたの名前も知っていたし。
私の受け持つクラスの子がどんな作文を読むのか、とても興味があったわ。
あなたは期待通り、国語の成績は抜群に良かったし、本当に文章を書くのが好きなのね。
毎日の自由課題でも、必ず1ページは日記で埋め尽くされてたものね。」


「・・・・・・・・そう・・・・でしたね。」

「どんな子達なんだろうって、不安もいっぱいあったんだけど、
あの作文でとても安心したし、私は驚いたけれど、すごく嬉しかったのよ。」



あたくしはこの先生の言葉を聞いて、それこそ驚き、
あんまり冴えないような感さえ醸し出していたこの先生のことを、卒業式当日になって
物凄く見直した(苦笑)。
自分ですらどんな文章を書いたのか思い出せない、そんな作文の内容を、その1年間、
ずっと覚えていてくれて、「便利屋」とはいえかなり好き勝手やっていたために
みっちりと詰まっていたはずの1年間のあたくしの記録を、ずっと追っていてくれたのだ。
思い起こすと、中学の時こそが物凄く忙殺されていた感は今でも否めないけれど、
全く別種の仕事を並行して、クラブ、委員会、児童会、学級委員、行事ごとに興される実行委員等、
一番多い時で、6つくらいの「長」を兼任していたのがこの1年間の記録である。
それぞれ全部、顧問責任者が違うので、昼休みや放課後はいつも、
6年生の校舎に留まらず、学校中を駆け回らなくてはならなかった。
毎日、毎日、そんな日々が続いていた。
好きでやっていたから、特に誰かに見てもらいたいという気持ちはなかったけれど、
何かをやっていないと不安だったのは確かだったから、そのために動いていたのかも。

上からは期待され、下からは慕われる・・・・本当に、究極の「いい子」であるべくために。

卒業式の式次第は、滞りなく済んでいき、あたくしがずっと張り詰めさせてきた一本の糸を緩めた瞬間に
事件は起こった。
・・・・些細な誤解が発端で、遂にこの日、隣のクラスの少女に、頬を殴られたのである。
あんまりの出来事に、あたくしの瞳からは涙があふれ、どうしていいのかわからなくなった。
まだ、究極の「いい子」を完全にやめたわけではなかったので、
その場に居合わせているはずの友だちの顔を見ることもできなかったし、
況してや、こんな惨めな姿を先生に見せるなんてできそうにもなかった。
問題を起こさないまま卒業できるはずだったのに、最後の最後に先生の手を煩わせてしまうなんて、
考えるだけで気が狂いそうだった。


担任と学年主任、そして親の三者に囲まれて、卒業したはずの校舎に再び呼び出され、
あたくしは宛ら「事情聴取」みたいなものを受けねばならなくなった。
リエが知っている「あの」事件のすぐ直後の話(苦笑))
そこで、洗いざらい全部を話したけれど、あたくしの心は全く晴れなかった。
話したところで、先生がどうにかしてくれるなんて思っていなかったし、
卒業証書を受け取って帰宅までしているのに、どうしてまた小学校の世話にならねばならぬのだ?
という点で、全く納得のいかない事態になった。
加えて、事件の原因「恋をしてもいないのにしたことにされたこと」にも、やはり納得がいかなくて、
ついさっき聞いたはずの、あの先生の「餞の言葉」さえも急にあたくしの中で意味を持たなくなった。


あたくしが本当に腹が立ったのは、ませた人間に自分のペースをすっかり狂わされてしまったこと。
殴られたことでもなければ、事情聴取で本当のことを話さなければならない状況にされたことでもない。
あたくしが餞の言葉を送り、1年間、それを覚えていてくれて、
再び餞の言葉としてそっと返してくれたその先生ですら、そんなあたくしが
どうして泣いているのかというのは、気付けないままだったようだ。


この事件が起こるほんの数時間前まで、あたくしは確かに充足していた。
あの先生が持ち続けていてくれた、小さな小さな記憶が、あたくしを後押ししていてくれたことは確かだ。


今や、そんな幼かったあたくしも、全く自分のペースで以って生きようとしている。
巧くいかないことも多いけれど、それでも、他人に横槍を入れられることを思えば、かなり幸せだ。
そして、ほんの少しだけ生まれた心の余裕の中に、もう20年位前の記憶が甦り、
ショッキングな事件が起きる前の穏やかな時間のことも思いだせるようになったわけだ。
ただ、物語の途中から視聴し始めた連続ドラマに誘発されただけだというのに。

しかし、この事件の前に「私のことを見ていてくれる人がいる」という事実を知っただけで、
あたくしは以後、結婚するまでの間、同じ女から殴られるようなお粗末な恋はしなかった(苦笑)。
無論、殴るような男の近くにも行かなかった。
あの時の悔しさのおかげ・・・・そんなふうに思ってもいたんだけど、
やはりこの世の中、「蒼天在上」。誰かが絶対に見ているんだ。
人が見ていないと思っていても、空は必ず自分を見ている。

あたくしの場合、12歳という1年間をずっと見ていてくれた人がいた。


「女王の教室」に関しては、放送途中から賛否両論、物凄く激しい番組ではあったけれど、
「真矢」のように「見ている」教師に出会える可能性というのは、非常に低い気がする。
あたくしが実際に出会った、12歳の頃のこの先生は、「真矢」のような異常な厳しさもなかったし、
どちらかといえば穏やかで、多少抜けている感じもしたし、劇中、原沙知絵が演じている先生に近い。
けれど、あたくしのことを見ていてくれたことに、今なら素直に感謝できそうだ。

卒業式の時、クラスメイトたちは持ち上がりでほぼ全員が同じ中学に行くことが決まっていたので、
別れというと、先生たちとの別れくらいしかない。
しかし、それは、離任して別の学校へ行ってしまったり、学年が上がるたびに就いたり離れたりする先生と
同じような感覚でもあるので、小学校の卒業式というのは、あたくしらにとっては
義務教育の間の通過儀礼くらいの位置付けだった。加え、卒業式が始まるほんの数分前まで、
あたくしは自分の担任のことにそんなに重きをおいていなかった。

あの・・・・素敵な餞の言葉をもらうまでは。

「いい加減、目覚めなさい。」とテレビから聞こえてくるたびに、
自分まで、小学6年に戻ってしまう(笑)。
そして、目覚めていなかった部分に触れられると、異様なほどに共振してしまうのかもしれない。

↑昨日のキキみたいでしょ(苦笑)

そして、更にすごい忙殺の日々が始まることなど、13の誕生日を迎えた時点でも
まだ気付けないまま、あたくしは「あの」中学に入学していくことになるのですが( ̄∇ ̄;)
今度こそ大人しくしていよう・・・・そう心に誓った矢先から、あたくしの計画は
木端微塵に砕け散り、また3年間、同じような暮らしを強いられたのでありましたとさ(苦笑)。


2005年09月16日(金)
みんなの魔女宅講座


もう、何回も見て、あらすじも何もかも覚えてしまった「魔女の宅急便」ですが、
この日も堂々と、再びテレビ放送ですよ、皆様(笑)。
いやはや、よくよく考えながら見ていると、なかなか奥の深い作品だったりして、
この物語の主人公キキの声が、あの名探偵コナンと一緒・・・・なぁんて考え始めた日にゃ、
どんな声色で青山氏との新婚生活を送っているのか非常に気になるところでもあったり(爆)。

「今日はコナンでいてくれ。」

「今日はキキで頼む。」

などという、注文とか飛ぶのかなぁ・・・・(爆笑)という妄想をし始めた日にゃ、退屈しません、マジで。


さて。どうでもいいあたくしの妄想はさておき、本題です。
この「魔女の宅急便」にこめられた、隠れたメッセージみたいなものを探りたいのですが。
いや、ホントに色んな描写分析、人物に投影された性格分析があちこちにゴロゴロしている中、
あえてこういうのをやってみたいと思ったのも、きっと、体内掃除も終盤にさしかかってるからかも。


この物語は、1人の少女・・・・魔女が13歳にして独立して、孤独や困難に苛まれながらも、
ニッコリ笑って「元気です♪」と言っちゃえる、そんな物語である。

キキは、兎角、自分の身なりであるとか、魔女のしきたりを嫌ってみたり等々、
当初はとてもじゃないが、「魔女」というくくりでも、「少女」というくくりでもかなり未発達に見える。
そうだなぁ・・・・今の13歳たちはもう少し大人びていて、考えることもやることなすことも
大人の一歩手前といった印象を受ける。
物語でも触れているように、キキの独立に向けた出発は、平均よりうんと遅いものであるのだ。

さて、ここからがあたくしの持論になってくるわけなんだけど(笑)。
満月の夜に、少女がひとり立ちする・・・・物凄く意味深である。
あたくしが思うに、コレは普通の少女たちがある年齢に達すると迎える「初潮」を意味しているのでは、
そんなふうに思った。
キキは、誰にも言わずに、急に思いついたように、出発の日を決めてしまう。
今まで生まれ育った村(町)を出て行くのに、見送りも何もいらないという。
そんな大切な日だからこそ、母親は必死に間に合うようにと、あれこれ身支度や最低限の知識を
彼女に伝授しようとするが「何とかなるわ♪」みたいなスタンスで、キキは大急ぎで
その時を迎えようとするのである。
親たちは心配で心配でたまらない。まだ子供だと思っていても、彼女はもう13歳。
遅すぎるということはないが、如何せん、思いつきで世の中を渡っていくには非常に幼すぎる。
しかし、いつかは彼女を独立させねばならないから、きちんと「魔女」のしきたりに則って送り出すのだが。
女性の皆さんは、身に覚えがあるのではなかろうか?
初潮を迎えたことを、あまり周囲に悟られたくないというか、平均よりも遅ければ尚、恥ずかしいというか。
できれば、済し崩しに最初からあったものとして、そのまま世間に認めてもらえたらラクだろうな・・・・
そういう気持ちが、心のいずこかに多少の違いはあれどもあったんじゃないかということ。
キキが見送りを嫌がったのは、そういう節目で「失敗」してしまうのを見られたくないから。
ここに集約されると思う。
しかしキキは、周囲の心配を他所に、とにかく旅立ってしまう。
旅立ってしまえば何とかなる・・・・そういうふうに思っておきたいのだ。
不安とか、恐怖とか、そういうものもあるんだけど、好奇心の方が旺盛。
それにしてもこの黒い服が気に入らない・・・・彼女は旅立ったのはいいけれど、本格的にまだ子供なのだ。
だから、強風に煽られていきなり大木に激突して見ている人たちをハラハラさせようと、
木綿の下着が顕になっても、羞恥心にかまけていられない。もうとにかく必死なのだ。

そんなキキを、サポートし、常に助言に回っているのが黒猫のジジである。
ボーダーレスなジェンダーなのは、彼女がまだ「女性」ではないから。
男でも女でもない、そしてもはや人間の形さえしていない「彼」は彼女が世間を渡っていく中で
大きな指針になるわけなんだけど、そういった象徴的サポーターに対しても、
キキはまだ子供だから、その大切さを上手に把握できない。仕方のないことだ。
初潮を迎える前の少女たちにとって、例えば兄弟であるとか父親であるとか、
一番身近にいるけれど、「異性」として見てこなかった存在というのは、ウェイトが希薄になりがちなのだ。
彼らの意見は、いちいち尤もでしかも正しいのだけど、微妙な年頃としては
自分で道を決め、自分の意見で以って生きてみたい・・・・だから反抗もしたい・・・・
13歳の心理としては、実に細やかでリアルな描写をしていると思う。


さて。大きな街に辿りついたキキは、いきなりカルチャーショックというか、
とにかく大きな壁にぶち当たる。
初めての「社会」の中で、仕事をしていかなければならないのだけど、その仕事も見つからないし、
身を寄せる場所もない。
それもそうだ。
彼女は飛ぶことしか能がなくて、他の魔女たちがきちんと習得しているはずの魔法をほとんど知らない。
たまたま知り合ったパン屋のおかみさん(オソノ)に見込まれたのは、ただの奇跡である。
普通の少女に置き換えて言うならば、学校にいる理解のある保健室の先生みたいなものだろう。
いきなりの環境や体の変化、それに伴う不安や恐怖を中立な立場できちんと理解してくれる、
第三者というのは、独立を志した少女の周囲には必ずひとりくらいはいる。
しかし、誰しもが必ずそういった人に出会えるわけではない。
運命に委ねられた故の「奇跡」としておくのが無難であろう。

仕事を始めたキキは、それでもまだまだ幼さを隠しきれない。
同じ年頃の少女たちがおしゃれをしていたり、ウィンドに飾られた美しい洋服や靴を見て、
自分の黒い洋服を恨む。
「制服」という型に押し込められて窮屈な思いをしている駆け出しの中学生みたいなものだ。
まだ、その社会の中で適応できてなくて、目に見えるもの全てがキラキラ輝いて見えてしまい、
地味な格好をしているだけの自分が、急に惨めに感じてしまう。
空を飛べるだけではダメなのか・・・・そんなふうに自己嫌悪にも陥る。
空を飛べることは、魔女にとっては必須かもしれないが、普通の人間にとっては特別なはずなのに、
自分に見向きもしてくれない街の人々の中で、キキは物凄く自尊心を傷つけられてしまうのだ。
他の人にはない能力を確かに持っているのに、誰も認めてくれない・・・・
これはこの年頃の少女が誰しも感じる、独特の「孤独」のような気がする。
本当にすごい能力を持っているか否かは別として、可能性からして認めてもらえないと、不満を抱くし、
不安になる。
況してや、大人への第一歩を歩みだしたばかりの不安定な心理状態では
こういうブレにも拍車がかかるというもの。魔女も普通の少女とそう変わらない。


勢いで決めてしまった宅配の仕事も何とか軌道に乗り始め、仕事もぼちぼち来るようになり、
彼女にも「責任」や「社会性」が芽生え始める。同時に「プライド」も。
そして、その三要素はまだまだバランスが悪い。
「責任」や「プライド」が本心をベールで包んでしまい、せっかく友好的に声をかけてくれる少年に対し、
素直になれない。
・・・・これが本格的な初恋かもしれないのに、彼女はそれどころではないのだ。
仕事を一人前にこなすことの方が大切なのである・・・・今の彼女にとっては。
オソノさんが気を利かせてくれても、彼女はトンボの誘いのパーティに行けない。
壊れたオーブンの代わりに、薪をくべた竃で自分も一所懸命になって手伝い作ったパイ。
それをにわか雨に祟られながら、必死で届けたにもかかわらず、受取人はそっけない。
加えて、着飾って楽しそうな受取人と、真っ黒な衣裳のキキの間に大きな隔たりが出来る。
せっかく生業を見つけたと思っていたところへ、初めての挫折・・・・そして、大きな喪失感。
急げば間に合う、トンボの誘いのパーティにも、彼女は「こんな格好では・・・・」という理由をつけて
結局、行かないのである。
本当は違う。
淘汰された自分のみすぼらしい姿を、パーティなどという華やかな場所で曝け出すのが
どうしても耐えられなかったのである。彼女は体裁を繕うために、それを服のせいにした。
心なしか、あの大きな赤いリボンも、雨に濡れてしょんぼりとしてしまっている。
普通の少女たちもそうなんじゃないだろうか・・・・?
少女に限らず、大人たちだって、「責任」や「プライド」の中で揉みくちゃにされて淘汰されたら、
誰にも会いたくないし、況してや華やかな場所に出向く気が起きない。


さてさて。
この雨がいけなかったのか、心がポッキリと折れてしまったのがいけなかったのか、
キキは風邪をひいてしまい、寝込んでしまうことになる。
そして、この風邪が治った途端に、ジジの言葉がわからなくなってしまい、飛べなくなってしまう。

スランプです!!

ジジの言葉がわからなくなってしまったのは、コレはただ単に魔法が通用しなくなったとか
そういう問題ではなく、ジジの興味がキキではなく他に向いたことの方が大きそうだ。
彼も結局は「オス猫」で、時期がくれば恋をする。
キキから完全に独立して、彼は彼なりに、この街での新しい生活を見出してしまったのだ。
いつまでもキキべったりというわけにもいかない。
しかし、この出来事は、今まで本能の領域で意思の疎通をしていたと思い込んでいたキキを
更に混乱させる。飛べないし、頼りのジジの言葉がわからなくなって、完全に「孤立」してしまうからだ。
パン屋の店番をしているだけの冴えない自分・・・・役に立っているのかどうかも不安。
13歳に降り掛かるにしては、ちょっと大きめの苦難である。

例えば・・・・。
運動部に所属していた人なんかはわかるだろうか?
恐らく、コレは自分に最初から身についていた「感覚」でその感覚どおりにやったら、
他の人たちよりも巧く出来て、先生や同輩からもそれなりに認められて、褒められるようにもなった。
その「感覚」さえ研ぎ澄ましていけば、もっと巧くなるに違いない・・・・練習も一所懸命にサボらずやる。
如何せん、苦しいけれど楽しいし、手ごたえもあるから、1日1日に張り合いもある。
それがある日突然、その「感覚」がわからなくなってしまう。
同じようにやっているつもりでも、周囲の反応が違う。何より自分が手ごたえを感じられない。
俗に言う、「スランプ」ですね。
物語には、キキよりも年上と思われる絵描きのお姉さんが登場し、あれこれと指南してくれますが、
自分が他の人よりも秀でていることで均衡を保っていた部分がポッキリと折れてしまって、
よくわかんなくなってしまう・・・・なんていうのは、日常的にままあることではある。
いずれ、自分で何とか解決の糸口を見つけ出して、何とかしていかなければならないのだが、
初めてのスランプというのは、少女に限らず、万人にとってちょっとした人生の「苦渋」である。


本編で、キキは母の教えを絵描きのお姉さんにこんなふうに語っている。

「血で飛ぶんだって・・・・。」

多分、キキ自身、この言葉の意味をこの時まで全くわかってなかったと思う。
恐らく「血」というものが何なのかさえ、理解していなかったと思う。
魔女とはいえ、初潮くらいは来るだろう(苦笑)。そうでなかったら出来のいいっぽいキキの母親は
キキを産めなかったわけだし(笑)。
それを教える前に、キキは飛び出していってしまったわけだから、さぞかし不安だったことだろうと思う。
「血」という言葉に興味を示した絵描きのお姉さんはこう答える。

「そういうの、嫌いじゃないな。」

彼女は既にスランプを幾度も経験し、そして独立も果たしている。
結婚はまだで、子もいないが、少女たちに一番近いところにいて、この時期を一番わかってくれそうな
頼もしき「先輩」というわけだ。

「嫌いじゃない」という微妙な言葉でキキを受け容れ、そして「魔女」という自分とは違う世界でのことを
まるで当たり前のように理解してしまう・・・・そんな便利な人間が周囲にいてくれたら、
あたくしだって生きやすかっただろうよ・・・・そういうふうに思うんだけど、ドラマや映画と違って
日常生活たるやそうそう甘いものではないので、思い通りに理想の人間は登場しない(笑)。
だがしかし、面白いもんで「そんな巧くはいかないけどさぁ・・・・」と物語を見ているうちに、
自分もそういう人たちに少なからずとも出会ってはいるのである。最もいいタイミングで。
だから、「魔女」というモチーフにもかかわらず、妙に人間臭くて、未成熟な主人公キキが
だんだん愛されるべき存在になっていくのである。このあたりはすごく納得。
「飛べるか」否かの違いだけ・・・・魔女も、魔法がなくても生きていけるのね、なんて思ってしまうのも、
ここらあたりの流れで、悶々としているキキを見ているとそんなふうに普通に思ってしまう。


「血で飛ぶ」意味が何となくわかりかけてきたキキ。しかし、完全には理解しきれていない。
自動的に体内に流れている「血」ではなく、「魔女の血統」という意味での「血」、
そして、女性として独立する、一人前に見てもらうために流さねばならない「血」の意味を、
彼女は、物語が終わるまでに完全に理解しきったとは言えないのだ。

そりゃ、スランプから脱出して飛べるようにはなりますよ。
しかし、物語の主軸、「魔女はその血で飛ぶ」というテーマからはひどく逸脱した、
落ちこぼれの出来損ないには違いないのである。

飛行船から落ちそうになる、淡い恋の相手・トンボの命が懸かっていると知って、キキは
街中でデッキブラシをおじさんから借り受け、「血」を発動させて飛び立つのである。
デッキブラシとの相性の悪さを気合と根性だけで乗り切って、何とかトンボを助け、
一躍、街の人気者になったキキ。
しかし、彼女が脱皮して得たものは、自尊心でも邪魔なプライドでもなく、
「人との交流」・・・・コミュニケーションの方法論だった。
彼女は幼かったが故に、外側に鎧を着込むことでしか相手に近づく方法を思いつかなかったのであるが、
それの他にも、交流の方法があると気付いたのである。
そして、「血」が何であるかなど既にどうでもよくなってしまっているようにも見受けられる。


月経が日常的になった女性のことを考えてみよう。
確かに気分は憂鬱になるし、精神的にも不安定、ヒステリックにもなる。
身体的にも丸みを帯び、きちんとした女性になるための準備が着々と整い始め、
そして月経が来る度に、多少の痛みも伴うのである。
しかし、これがとあるサイクルで整い始めてくると、自動的に子供ではいられなくなる。
肉体的にも精神的にも、ステップアップを余儀なくされるのである。
それは例えば、まだまだ学習がしたいと志望するものであれば、学校という枠組みでの社会的行動、
それを卒業した暁には、本来の社会の中での行動に全て反映されてくる。
健やかな女性というのは、悩み苦しんだ少女時代を上手に活用し、
自分の能力や機知、才能や限界、もっと言うならば「血」に気付き、
そうやって社会の中で適応していく。男性はこれをもっと理性的な段階で捉えている。


さて、この流れの本題、「どうしてキキは飛べなくなったか?」・・・・
そして「なぜ再び飛べるようになったのか?」・・・・コイツの結論であるが、
目で見てわかる範囲内で言うならば、それは「新しい未知の感情」に翻弄された結果である。
所謂「恋」とかいうヤツだけど、「誰それが好き」という短絡的な感情がそうさせたのではない。
自分のことに興味を持っている人についついそっけなくしてしまう、自分の幼稚さ、
好きだということに気付きたくないという反抗心、
相手が他の事(人)に興味を持っているのに対し、短絡的で醜い嫉妬を噴出させることへの自己嫌悪、
もう、様々な感情がごちゃまぜになって、1人の少女に初めて「試練」として襲いかかるのである。

魔女は血で飛ぶものだ・・・・と彼女の母親はそう言っている。
無意識・・・・とは違う次元のものだろうが、要するに、あれこれごちゃごちゃと考え始めるようでは
アカンよ!! と、そう言っている気がする。
直情的とはまた違う、素直でいい感情を常に持っていれば、それが曰く「血」と相俟って
いい感じに飛べる・・・・と、つまるところそういうことではないだろうか。
要するに、「魔女」である前に、「女」を磨け・・・・と彼女の母親はキキに伝えたかったのに、
それを伝え損なったがために、一つのドラマが生まれたといってもいい。
まぁ、少女の初潮は突然にやってくるものだし、用意周到な母親というのもそんなにはいない。
そういう現実と重ね合わせながら物語を眺めると、それはそれでけっこう面白いと思う。


エンドロール。BGMで荒井(松任谷)由実の「やさしさに包まれたなら」が流れる中、
キキは自分が暮らし始めた街で、様々な人たちと様々な会話をするシーンが延々と流れる。
孤独から立ち上がり、これからが本当の出発であることを予感させ、
今までの苦難とは違って、見ている者をホッとさせるシーンばかりが数珠繋ぎに出てくるのであるが、
恐らく、これからも彼女を様々な試練が待ち受けているだろうことは容易に察しがつく。

魔女とはいえ、そんなに簡単に「大人」になれたら、誰も苦労しないからである。

まだ彼女は、昔ながらの無計画性を存分に発揮していくだろうし、
元来、振り幅が極端なヒステリック性質であることも物語を見ていればよくわかる。
自分の外見に極端なこだわりがあるし、その欲求を上手に抑えきれない危うさまで持ち合わせている。
人とのコミュニケーションが上手にとれるようになった・・・・というのは本当の第一段階で、
これから彼女が克服していかなければならない問題は、山積している状態で物語りは終結していく。
ファンタジックで、可愛らしいキャラクター、憎めない主人公、爽やかな物語・・・・のように見えるが、
実は現代社会を生き抜く女性たち全てに宛てられた、大きな大きな「メッセージ」なのである。

化粧や洋服に惑わされるなよ。
己の「血」が何であるかを考えろよ。
周囲に押し流されるなよ。
好きな人には素直でいなさいよ。

究極、宮崎駿の女性論になってしまうけれど(爆)、そこは御安心を。
これの原作は、確か女性が書いたものですから。
だから、極論を連ねても、宮崎氏にあまり矛先が向かないかなぁ・・・・なぁんていう甘っちょろい考えで、
ここまで長文を書いたわけなんですが。

他にも、精神論からこの作品に迫っている文献もあるにはあるし、
果てはキキの心理分析をやってのけた人もいる。いずれも男性。
が、しかし・・・・やはり女性の道を歩みだした時代のことを刻銘に思いだせるのは、
女性しかいない・・・・そんなふうにも思ったわけです。
13歳のキキが15歳になり、20歳になり、やがて本当の大人になった時、
この物語の本来の結論がそこに記されるのでしょう。

↑コメントしづらいっすよ(爆)


2005年09月15日(木)
雨の憂鬱


いやぁ・・・・水曜のほとんどと木曜の半分くらい、ぶっ倒れていましたよ( ̄∇ ̄;)
久々に発作に見舞われて、紙袋と仲良しこよし。
顔は土色、水分以外は摂取できず、発作→睡眠→発作・・・・を繰り返してたように思います。


兆候は火曜の夕方くらいから徐々に出始め、テレビや新聞で天気予報を見る前に

「おぉ・・・・一雨くるかも。」

なぁんて調子で、グッタリしていたら、本当に一雨きてしまい、
ヨシズミよりも高確率なこの肉体天気予報のすごさに、オノレが一番おののきましたよ!!
そんな様子で過ごしていたのでございます(苦笑)。


雨が降るのが憂鬱なのではなく、こんなにもダイレクトに体調に変化を来す重厚な雲たちに逆らえない、
そんな自分に対して憂鬱なのかもしれないなぁ・・・・なんてことを考えてみたり。
でも、モノは考えようで、そういう自然現象と一緒の暮らしっていうのも、
それはそれで、悪くないような気もするなぁ・・・・なんてことも考えてみたり(笑)。
これぞ、正に悠々自適、『晴耕雨読』とかいうヤツなのかもしれないな・・・・なんて。

雨はあたくしを憂鬱にさせますが、そして、直接的にダメージも与えたりしますが、
今年は台風が巧く逸れていってくれただけでも、大ラッキーかも。
発作は出ますが、その他諸々は元気です♪

↑顛末までわかってるくせに(笑)


2005年09月13日(火)
出血のサービス


自分でも思うわけですよ。
もう少し、お掃除の才能があったら、めちゃくちゃ生きやすいだろうなぁ・・・・とか(苦笑)。
まぁ、そんなことを言ったところで、すぐに部屋が片付くわけでもなく、
あたくし自身がどうにか、こう、やんなきゃいけないんですけどね。


月の使者にちょっとお手伝いを頼もうにも、ヤツは倦怠感と激痛を土産に持ってきてはくれても、
勤勉意欲みたいなものは根こそぎ殺いでいくものだから、始末が悪いったら( ̄∇ ̄;)
でも、悪いことばかりじゃなくて、全身が掃除中というこの状況が表に波及することもあるみたい。
この日も、いつぞやみたいに、ガスレンジ台のこびりついた油汚れと必死に闘うことで、
痛みや怠さを忘れるほどに没頭(笑)。
台所がある程度になると、今度はリビングですよ!!
力尽きたので(笑)、明日やります。えぇ・・・・やる気のあるうちに(爆)。

↑おヒマなら来てよね♪


先日書き上げた原稿ですが、量を足したところで中身が濃くなるかというとそうでもなく、
かといってこれ以上削ると、どうしようもないくらいにスカスカになり、
なら、別角度から切り込みをかければいいのでは?と自分でも思ったりしたのですが、
せっかく組み上げた骨組みをぶっ壊すのも忍びなく。
加えて、「次回から佳境に入るっぽく締め括ったから、ま、いっか♪」という甘えから、
あのまま提出することに。
そのことを、何となくぷよ2に話していた。


「ページ数も少ないし、正に繋ぎの6話目なんですけどね・・・・。
自信もないのに、次回から佳境ですよ〜・・・・みたいなことを書いて閉めちゃった。どうしよう・・・・。」


「大体何話くらいで終わるつもりなん?」

「う〜ん・・・・このままいくと、最短で10話かなぁ。1年は絶対にかかる(苦笑)。」

「佳境って、今回はどういうふうに締め括ったん?」

「う〜ん・・・・『大阪冬の陣の火蓋が切って落とされた』って書いちゃった(爆)。」

「ぎゃははははははは _(__)/彡☆ばんばん! そりゃ、次回は佳境っぽいわ!!
自分で自分の首を絞めたね、こりゃ(笑)。」


「あ〜ぁ。不倫の話はやっぱ、結婚前に全部書き上げとくんだったなぁ。
独身女性の気持ちがどんどん希薄になっていって、リアリティがなくなってきたよ・・・・。」


「そういうもんかね?」

「書いてるこっちにも同じような指輪の重みがあっちゃ、冒険できないね、やっぱ。
恋愛は自由市場っていうけどさぁ・・・・書いてる本人が固定価格になっちゃってるもん。あかんわな。」


「ま、連載はきちんと終わらせんとね(笑)。」

「佳境っていうと、相手の奥さん登場!!とかかな?」

「どーだろ?」

「う〜む・・・・今ひとつ実感がわかないなぁ。それも。」



等々、今回、あまりに自分が納得できていないことを棚にあげて、そもそも不倫ネタの小説の内容を
自分のダンナに相談するってそれもどうなのよ!? と思いながら、ぶつくさ文句をたれてみた。
どういう方法にせよ、今、あたくしに必要なのは「発散」という行為らしいから、
自然の摂理に則って行動してみる。

↑ボヤボヤしてたら、時流が先に行きそうだ(爆)

世は、純愛ブーム、プラトニック至上主義。
結婚前に書き始めてはいるし、凡その筋みたいなものは最初から決まっていたんだけど、
まさか、追い風のように同じような匂いのする物語が世にどんどん出てくるとは・・・・。
正直、この流れは予想外だったなぁ。
しかし、まぁ、あれだ。
あんまり市場に出回っていないとはいえ、27年続いたあの文芸誌で、
長く会員を続けてらっしゃる皆様には、最初から見守っていただいていたというのもあり、
「真似っこ」ではないというのもわかっていただいているだろうから、安心して出せる。
焦らず、気長にやってみようと思います・・・・この物語が終わるまでは。


2005年09月12日(月)
湧き出るものは、時と場所を選ばず


11日深夜、月の使者が到来( ̄∇ ̄;)
この日は、残暑という言葉で片付けられないまた物凄い暑さで、
それでも、盛夏とちょっと違うのは、田んぼ道を自転車で行っても、草いきれがあまりひどくなく
劈く日差しのみの暑さになったということだろうか。
それでも暑いものは暑いですよ・・・・あまりに天気がいいものだから、洗濯だって2回戦(笑)。


先日、とうとう「雑」のT氏から、「原稿、いかがでしょう?」メールが来てしまい、
蒼ざめてしまったアサミンジャー。奇しくも連載途中。叶うなら逃げたい(爆)。
「もう少々お時間を頂きたいのですが・・・・」と言葉を濁してその場は乗り切ったものの、
実はその時点で、1頁どころか、2段組の1段分もおろか、1行も進んでいなかったのである( ̄∇ ̄;)
いやぁ・・・・最初に言い訳しておくと、この夏はプライベートでてんやわんや。
文字通り、上を下への大騒ぎだったものだから、プロットを立てる余裕すらなかったのがホント。
唯一の救い、唯一のネックが、今、寄稿している作品が連載であるということだったかもしれない。
1から構想を練り、登場人物を考えて、起承転結全部を纏め上げて・・・・という作業がないのはよかったが
今ある話をどう動かしていいのか、それそのものに行き詰っていたので、
これが流れ出せばまだ何とか間に合うと思っていた・・・・そんな状況下で、月の使者ご光臨ですよ(苦笑)。
とうとう発狂するかと思ってしまいました、正直 ┐( ̄∇ ̄)┌オホホ


ここしばらく、時間があれば昔の作品を未完のものも含めて(ほとんど未完(爆))
片っ端から読み漁っていた。昔はあったけれど今にない感覚、ターム、価値観、登場人物の動き等々、
もう、そういうのを注入しないと泉が枯れそうだったので、
例えば、顔色超BADで寝室へ強制連行されても、横になりながらファイルをずっと読み続けていた。
みかんが入っていたらしいダンボールに、ノートやワープロからの出力ファイル、ルーズリーフへの手書き
占めて、山盛りいっぱい( ̄∇ ̄;)
古人は「柳行李いっぱいになるまで習作を書くべし」と仰っているが、齢31・・・・
それに匹敵する量が手元に揃っていることで、どうにかこうにか『文芸』に居座っているんですが。
完成発表作はこの中のほんの少し。後はほとんど誰にも見せていない。
習作なので、そんなものばかりだ。内容も陳腐だし、設定もどうしようもない(苦笑)。


ところが。
この作業をとりあえず一旦終了し、まだ頭の中では今回の原稿の構想が全くまとまっていなかったのに、
あたくしは、いざなわれるようにしてPCの前にやってきて、原稿を書き始めた。
いつもは、章立ての表題一つ決めるのに難航を極めるというのに、それすらもスラスラと出てきて、
2時間ばかしで、原稿用紙に換算すると12〜15枚くらいのキリのいい作品が出来上がってしまった。
昨日の今日で「時間をください。ごめんなさい。」と言った手前、コレをすぐ送付するのは
いくらなんでもあんまりだろう??と思ったので、まだ提出していないが、
中身はともかく、骨組みだけはガツリと完成してしまった( ̄∇ ̄;)
何なんだ!? コレは一体・・・・。
・・・・て、手直ししてから出そう。う、うん・・・・そうしよう(゜゜)(。。)(゜゜)(。。)うんうん

で、作品が書きあがった深夜。みかん(未完)ダンボールの中に残っていた最後のノートを開くと、
そこには、まだ「雑」に寄稿し始めたばかりの頃のプロットがブワ〜ッと書いてあって、
それはそれで非常に懐かしいものであった。
13〜22歳くらいまでの、発表を前提としない作品と違って、明らかに作風は違うのだけど、
それでも、25歳くらいのまだ瑞々しい感性がそこに詰まっていて、
一番近い過去なんだなぁ・・・・と想いつつそのノートを寝る前に読み返していたのだ。
使うタームも今に一番近いし、それ以前に15年以上前に書いた作品というのは、甚だ恥ずかしいモノで。
5年位前のものでも十分に赤面に値するのだけど、それでもそのちょっと前に、
もっと恥ずかしいものを、お忍びで全部読んでいたので(笑)、耐性がついていたらしい(爆)。


嗚呼・・・・こういうの、書いたっけなぁ。と懐かしく原稿用紙枠で仕切られたそのノートを読み進めていくと、
見覚えのない作品に出くわした。
「平成夕雅流小倉百人一首」シリーズの一環で書き始められたものと思われるが、
原稿用紙10枚に達しない程度で、書くのをやめてしまっている。
うむ・・・・。何だか非常に気になるぞ。
そんなに面白くない設定でもないのに、どうしてここで終わっているのだ? 勿体無い!!
あたくしは、前後の見境はとりあえず度外視して、そこまでの話をグワッとほぼ暗記すると、
ベッドサイドにいつも常駐しているペンを持って、寝っ転がりながら執筆開始( ̄∇ ̄;)
(↑ ホンマ、アホやねん・・・・コイツ。本能むき出しもいいとこだっつうの・・・・。)
やがて、寝っ転がっていては埒が明かないことに気付き(爆)、
ノートとペンを持って、そのままリビングへ移行。
就寝前の薬を飲んだ後だというのに、そのまま、本格的に執筆を開始してしまった( ̄∇ ̄;)

まだ寝ずに、「スーパーロボット大戦」に夢中だったぷよ2がビビるのも無理はない。
なんせ、この(緊急)事態に一番ビビっているのは、書かずにいられない状態になってしまった、
あたくし自身なんだから(笑)。
こういうこともあるんだなぁ・・・・と思いつつ、ぷよ2にコトの内訳を説明し、
本格的に執筆を始めた。


「どうしてここで停滞したまんまなのか、自分でもよくわからんのよね。
読んでたら、急に続きが読みたくなってさぁ。読みたくても読めないから、書いちゃうわけなんですが。」


「昼間やってた、今回の原稿はもうできたの?」

「それがさぁ・・・・2時間くらいで上がっちゃったんだよね・・・・。
あれこそ、続きを書かねばならなかったわけなんだが、どうしても面白い展開が浮かんでこなくてさぁ。」


「でも、一応書きあがったんや?」

「う〜ん・・・・そっちはあんまり納得いってないけどね。一応、形にはなってる。」

「つい昨日まで、『どうにもならない〜!』って言ってたやつが、
こんなふうに出来あがるんや・・・・見事なもんだな。で? 一旦寝たはずが起きてきて、また書くの?」


「う〜ん・・・・今書いとかないと、恐らく、次見た時に何も思いつかない可能性の方が高いし・・・・。」

「(笑) 面白いなぁ。まぁいいさ♪ 俺もまだしばらく起きてるし、ゆっくりやったら?」

「10枚くらい書いたら終われそうだから、そこまでやってみる。」



そして1時間後。


「はうぅぅ〜〜〜〜〜っ!!」

「何や? どうした?」

「どうしよう・・・・昼間書いたヤツより、こっちの方が面白いかもしれん(爆)。」

「( ̄∇ ̄;) ( ̄∇ ̄;) ( ̄∇ ̄;)」

「連載じゃなかったら、絶対こっちを送ってるんだが・・・・仕方がない。
次、何かのチャンスの時に手直しするとして、それまで温存しておこう。」


「そ、そうだよ。まずは連載だよな。」

「O=(_ _  パタリ ・・・・でもあの連載終わらせるのに、あたくしの実力じゃ
あと2年くらいはかかりそう・・・・今、出席率50%だもん。」



まぁとにかく1時間で、完成まで導いたわけですよ。出来はともかくとして。
今回、連載の分の中身は、自分でも「スカスカだなぁ」と思っていたので、深夜に書いたこっちの方が
何となく面白いんじゃないかと感じてしまった。・・・・アカンやん( ̄∇ ̄;)


しかし、月の使者がやってくると色々とおかしな現象が頻発するものである。
体がリセットを求めているように、行動として、色んなものを「輩出」「排出」したり、
掃除をしたり、整理整頓をしたり・・・・と、普段の生活スタイルからは考えられないようなことが
次々とごく普通に自分の体に訪れる。
数ヶ月前だったか・・・・ひどい腰痛があるにもかかわらず、どうしようもなく気になって、
ガスレンジ台を磨き始めたこともあったけれど、それもこの一環の作用かもしれない。


事実、沸きあがってくるものは時と場所を選ばず、ある日突然、自分ひとりの世界になって、
周囲で耳を劈く騒音が轟いていようが、誰かが自分に向かって話しかけようが、
そういう時だけは、おかまいなし。一心不乱・・・・夜叉のような勢いなのである。
昔はそういうことがけっこう頻発していたんだけど、最近はめっきり少なくなってきていて、
それはそれで少し寂しいような気がしていたんだけど、全くゼロになったわけじゃないんだなぁ。

今回の出来事がそれを証明してくれている。

↑レンジ台も磨いてこよう(笑)


2005年09月10日(土)
こういう場合は・・・・


背中が痛くて、まるでロボットみたいに歩いてます( ̄∇ ̄;)
ただの寝違いだといいんですが、バンテリン塗って、大人しくしている今日この頃・・・・。
とうとう、フライパンも持てなくなってしまうというこの体たらく(トホホホホ)。
台風の煽りを受けて、勤務が1日増えたぷよ2に続けとばかりに休まず弁当を作ってきたけれど、
今日はとうとう、起き抜けがダメダメで、どうにもならず、弁当を勘弁してもらった。
しばらく大人しくしていたら、何とか復活したのでPCに向かって、
まだまだ出来上がらない原稿を、あぁでもない、こうでもないと弄繰り回していたら、
夕方になってしまった(苦笑)。


それはそうと、明日は選挙なわけですが。
岐阜1区は確かに面白いことになっているんですが、こちら2区ではちっとも張り合いがなく、
さて一体どうしたもんだか・・・・と非常に困っております。
要するに、投票に行く気がしない・・・・そんな顔ぶれなんですよ。
候補者はたった3人しかいないんですけどね。
例えば、あたくしに「政治的理念」とまではいかなくとも、信念みたいなものがあるとして、
それを形にしてくれそうな人というのがいないのである。

まぁ、政党に対する好き嫌いもあるけれど、そういう低次元な問題でもないような気がするし。

(1)郵政民営化に対しては、基本的に賛成。
 なので、自民党公認勢力とか、非公認勢力とか、根源が一緒なのに喧嘩に巻き込まれている人は
 ちょっと遠慮したい。かといって、無所属という冠に騙されている場合でもないし・・・・。
 おぉ。うちの選挙区には無所属というのがいないのであった( ̄∇ ̄;)

(2)勿論、改革そのものは大前提なんですが。
 問題は、誰がそれをやるかってことなんですよね。
 痛みが伴うのもわかっているんですが、どうも、立候補者に現実味が欠けているような気がする。
 今回の候補者に、託してもいいな・・・・と思える人がどうしてもいない。

(3)支持する政党って、一体何なんだ!?
 えぇ・・・・基本的に政治理念を掲載しているような新聞は購読しておりませんので、
 自民党任せなところはありますけれどね。
 ただ、今にも空中分解しそうなあの政党を支持するような、情けない真似はどうも・・・・。


どの政党も言っている事は同じに聞こえるし、特色みたいなものも特にない。
こういう場合、どうしたらいいのかしら・・・・?と、ホントに情けない話ではあるが
わかんなくなっちゃっているのが正直なところなのだ。
いつでもとにかく、己の信念に基づいて、きちんと同じ政党を応援している人々を尊敬してしまう(苦笑)。

こういう場合は、やっぱりちゃんと投票所に行って、
「この選挙区から推薦したいと思える人がいない。」
ということをハッキリ表明し、ついでに
「支持する政党も特にない。」
ということも同時に表明し、更に、今の裁判官に対する不信任は特にない・・・・とするのが
一番いいのだろうか?

文句ばかりを垂れているのなら、オマエが立候補すりゃいいじゃん? と言われるかもしれないけれど、
それはそれでまたちょっと話が違う。
理想の暮らしをただ掲げるのと、それを遂行するためのプロの職業というのはまた違うと思う。

で、話を戻すけれど、以上のようなことをするのとしないのとでは、やっぱり何か差があるのだろうか?
投票に行かない人たちの凡そは、こんなあたくしと同じような思いがあるから・・・・
関心はあるけれど、不用意に自分の権利を行使していいものか・・・・等々、様々な背景があることと思う。

↑反映されるかされないかは別として


いや、きっと、反映される事がないとはじめからわかっているから、今まで行かなかったのかもなぁ。
今回のこの選挙・・・・本来ならば成人としてきちんと自分の意見を投じに行かねばならないのだけど、
あえて、行かないことを選ぶかもしれない。
行かない代わりに、自分の人生に行き詰まりを感じても、政治の所為にしないということだけ
誓っておくことにしよう。
(加えて・・・・パフォーマンス重視の政治家を見るのも沢山なので。)


2005年09月09日(金)
刀を置いて


ここ数日のうちに、昔馴染みの別の友人たちから、それぞれ別件で、メールやら電話やらが
立て続けに入った。
高校時代の友人と、養成所時代の友人との世間話が計2件、友人本人の結婚のことが1件・・・・
あと、お約束で、この日曜の選挙で「某党」の応援を・・・・というのが1件(苦笑)。
そして、その中で、最も度肝を抜く、超ド級の報告が、自衛隊に勤務するリエからあった。


「ちょっと仕事で、硫黄島に行ってくるわ♪」


い・・・・いおうじま・・・・??
南国風味な響きで、その場所がかなり本州から離れたところにあることまでは予測がついたのだけど、
はてさて、実質どのへんにあるのか、世界地理は勿論、日本地理にも相当弱いアサミンジャー
「硫黄島」ってことは、一応、日本よね?? 漢字だし(爆)。
あぅ。でも、漢字だからといって、韓国とか中国という可能性もゼロではないのか。
うむ・・・・どこだ?? 硫黄島って( ̄∇ ̄;)
・・・・という、かれこれかなり漠然とした疑問で、マヌケかとは思ったが、相手が彼女なので、
むちゃくちゃ素直に質問してみることにする。


「ねぇ・・・・硫黄島ってどのへん??」

「あぁ。あのね、父島とグアムの間らへん。」

「(爆)つまるところ、ギリギリ日本?」

「そういうことになるかも。東京都なんだって〜♪ 笑っちゃうよね〜(笑)。」



笑う前に、その島が東京都であることに素直な驚きを隠しきれないんですが。
そんなリエの特務の詳細についてはここにはちと書けないんだけど、
とにかく、「東京都」とはいえ、もはや異国に違いないその孤島に俄然興味がわいてきたあたくし。
その電話をしてから、早速、世界地図を広げて、硫黄島が大体どのへんにあるのかというのを
確認してみることに。

おぉ・・・・。確かに彼女の言う通り、位置的には父島とグアムの間。父島寄りではあるが。
つか、こんなに南で、まだ日本なのか。沖ノ鳥島のほんの手前じゃん。

高校を卒業して、すぐに自衛隊に入隊して以来、10数年。
彼女から聞く話は、いつも刺激的で、とても面白い。
うちらには体験できないようなことばかりが話題に上るので、聞いていて飽きないのだ。


で、だ。
その島に飛ぶのが確か、今週頭だったはずで、帰ってくるのが半ば。
その間、列島は、とんでもない台風に見舞われて、大変だったはずなのだ。
それでも任務を遂行すべく、飛んだんかいな? と、少々心配になり、彼女にメールを送っておいたのが、
返事として返って来た。
やっぱり、離陸予定時間はかなり押したらしいのだけど、無事に行って帰ってきたらしい。

彼女の硫黄島ルポは、やはりと言おうか、まるで異国の話を聞いているかのようで、
ある意味、新鮮だった。
太平洋戦争の爪痕が、未だ色濃く残っているらしいその島に、今、民間人は誰も住んでいない。
自衛隊の人間か、米軍の人間しかいないんだそうだ。そして、女性も常駐していないらしい。
数々の痕跡を目にした彼女の言わんとすべきところは、メールを一読しただけで凡そわかったが、
ホントに、彼女のような仕事をしている人間しか、現地へ行くことができないなんて、
少々複雑な気持ちになった。しかも、滅多矢鱈に行けるものでもなく。
事前に少しだけ詳細を聞いたけれども、この島での戦没者の遺族でさえ、
年に数回しか訪れることができないらしい。
抜けるような青空が気持ちよかったけれど、慰霊碑近くにはあまり長居をしたくない・・・・
メールにはそうあった。多分、それすらも彼女の正直な気持ちかもしれない。
海外のような東京都・・・・日本は狭いように見えて、実は意外と広いということを実感させられた。
とりあえず、一番付き合いの長い親友が、無事に本土に帰ってこられて一安心。
台風に巻き込まれ、「海猿」とかのお世話になってたりしたらっ!!??
と、勝手に想像したりしていたので、ホッと胸を撫で下ろしたというのが本音のところだ。


あたくしの見聞きできない事柄をきちんと教えてくれ、ためになる話をしてくれる、
彼女のような友人は、本当にありがたい存在だと思う。
また同様に、あたくしの置かれている状況をきちんと理解してくれた上で、
常にお節介未満で心遣いをしてくれる友人たちにも、感謝したい。
健やかにあるべく祈り、願っていてくれる人がいるっていうことは、実にありがたい。

↑古い絆だもの。

新たな絆もある。
が、よく考えたら、それも全て、古き絆を重んじた結果であって、
軽率に振舞えば、それだけ自分に降りかかるものも違う。
たとえ降りかかるようなことがあっても、自省を忘れなければ、そういう火の粉からきちんと遠ざかる為の
手立ては自ずと見つかるものであり、それは、繋ぎ続けた今までの人脈から見つかるものでもある。
漠然としているけれど、友人らがある種の「覚悟」を用意していてくれる限り、
こっちも、同じような「覚悟」がいつでもあるような気がする。斬り合い、刺し合いがない。
・・・・と、残った絆の事を想うと、かなり逞しいので安堵できるってもんだ。

周囲に大樹が何本もあるというのは、非常に恵まれていると思う。

↑この場を借りて♪


2005年09月07日(水)
眠いのはオマエのせい??


別段、何がどうということもなく、また体に異変が表れたというのでもなく、
ここんところ、もんすごい睡魔に見舞われてるんですよ・・・・( ̄∇ ̄;)
飲んでいる薬も、減りはしたけど増えてないし、実働時間もそんな変わってないし(あかんがな)
特に生活スタイルが変わったわけではないのに、とにかく、よく寝るよい子、アサミンジャー
只今、古今からの謂れを実践するが如く、めっちゃ育ってますよ(笑)。

そんなわけで、ここ数年、ほとんど毎日更新だったこの日記が、1日おきになるという、
アホっぽい影響が出ているわけでございます。
ただ、「寝たい」というそんだけの理由で(爆)。


PMSの症状かしら? だとしたら、今月はむちゃくちゃラッキーだな♪ とか思ったり。
だって、あちこち痛いだの、怠いだの、情緒不安定だの、何だのかんだのと、
ありとあらゆる症状に見舞われてきましたけどね・・・・「眠い」という症状が、
一番、害が少なくて、かつ健康的なわけですよ。
だって、薬を飲まなきゃ眠れないほどの症状だったこのあたくしが、薬の力を借りなくても
ガーガー眠れるわけですからね。寝てる間は、倦怠感も痛みも、あったとしても忘れてますからね。
昼もガッツリ寝て、夜も影響なくガッツリ寝て、まるで赤ん坊のような生活ですが、
こういうのもそろそろ終わらせます。
多分、昼間に何とかして持ち堪えたら、断薬への道もそう遠くない可能性も十分にあるからです。
断薬・・・・といっても、セルシン系の薬を当面カットというのが目標ですので、
日に2回になった(早速、量が減らされた)漢方と、まだしばらく飲んでも大丈夫であろう安定剤と、
導入剤(短期決戦用)のみで、生活が回ればいいなぁ・・・・とか、密かにステップアップを考えてるわけで。

↑自然の道理だよ、コレ(爆)

あまり寝すぎていると、外からの情報が入ってこなさすぎて、それはそれでいかんなぁとも思うわけで。
新聞は毎日読んでいるけれど、世情に疎くならないように、他からの情報を無碍にはできない。

↑コレは好感触♪

・・・・むむ?? ひょっとしたら、コイツのせいでちょいとばかし代謝が活発になって、
それで眠いのか??(笑)。
だとしたら、コイツだけは毎日続けなきゃな!
今、流行りの「アンチエイジング」ですよっ(笑)。
みそじになると、足掻きたくなるんですよ( ̄^ ̄)


2005年09月06日(火)
0か100か


今回の台風で、懸念されていた四国の貯水率が、ほぼ0%から一気に100%にまで回復したらしい。
・・・・モノには限度っつうものがあろう( ̄∇ ̄;)

新芽をチラホラつけてはいて、生きていることだけは何とか証明していてくれるが、
庭の金木犀の鉢植えの葉が、連日の強風にあおられて、先日とうとう1枚たりとも幹に残っていなかった。
・・・・モノには限度っつうものがあろう( ̄∇ ̄;)
(昨日今日はさすがに室内に避難中です。)


そんなわけで台風ですが、日本でもわかりやすいように、『名前』を付けるのってどうなんだろう?
アメリカでは、巨大なハリケーンに見舞われるたびに、ハリケーンに女性の名前が付く。
日本では、毎年発生した順にとりあえず、便宜上、数字で「何号」「何号」と
日本に直接被害がなくてもカウントしていく。
ニュースを見ていて思ったのだけど、

「昨年の18号と軌道が似ていますね。」

というコメントを耳にして、昨年の18号・・・・? はて、いつ頃のどんな台風だったか、
昨年に至っては、当たり年すぎてよく思い出せない。
まぁ、日本は台風の多い国だから、いちいち名前を付けていたら、すぐに底をつくのかも(苦笑)。
コレもお国柄なのかもなぁ。

↑あ、結局、中止です(爆)



何だか最近、毎日、必死に何かをしているか、もんすごいレベルでダウンしているかのどっちかで、
こっちも正に、「0か100か!?」といった感じ(笑)。
うぅぅぅぅ・・・・ここ数日で、昔の資料を読み返して、何とか原稿の糧にならんかなと
そんなことで時間を潰してたりするんだけど、肝心の執筆がなかなか進んでくれない。
困ったもんだなぁ・・・・あたくし自身が「0か100か」みたいな感じだから、
生活がそんなふうになってくんだな( ̄∇ ̄;) と、思い知らされましたよ(トホホ)。

まぁ、とりあえず、グラグラのプロットを補強するために、精進してきやすっ(ヾ(ヾ(ヾ(ヾ(ヾ(* ̄▽ ̄)ツ

↑脳もうまいことできてるよな

数年前〜10年以上前に書いたものって、すっぽり頭ん中から抜けるねぇ。
覚えてるヤツはガツリと覚えてんだけど、これにも「0か100か」が適応されるなんて、
虚しいやらなんやらで(苦笑)。
医学用語がずらずら並ぶ作品で、頭を甦らせようとしたがムリだった(爆笑)。
(大学ノート、13冊分)
(コレも未完)
(どうなってんだ、オイ!)


2005年09月03日(土)
積木くずし今昔


多分、あれは小学校くらいの頃のことだったと思う。「積木くずし」という番組がテレビドラマ化された。
23年前・・・・8歳か。小学2年生だなぁ。
あたくしの後の母校となる中学が、目も当てられないほどに荒れている頃で、
近所にも、シンナーやヤニ臭いお兄ちゃん、お姉ちゃんがゴロゴロいた気がする。
中学生なのに平気でタトゥを入れている人もいたし、入手困難かと思われるくらいの改造制服、
万引きをして追い掛け回されている人を物陰から目撃したこともあったっけ。
1度だけ、いかにもヤバそうなお姉さん2人組に、下校途中に絡まれたこともあった( ̄∇ ̄;)
手は出されなかったものの、あの時の「恐怖」たるや、今でも忘れられない。


この当時、この学校はホンマもんの「スクールウォーズ」状態で、
木造校舎だっつうのに、その廊下をバイクで乱入暴走したり、窓ガラスは何度も粉々に破砕、
掃除の時間には、先生がタバコの吸殻を拾って回るような、ビックリするほどの荒れ模様。
後に、生徒会が立ち上がり、何とかそういった荒廃からは立ち直ったものの、
リンチ防止の為か、この学校のトイレの入口には、その当時の名残でかドアがなかったのである。


そんな時代背景がモロに投影されたかのようなあのドラマに、8歳のあたくしは結構ハマって、
最初から最後まで漏らさず見ていた。「積木くずし」も「スクールウォーズ」も。
前者で主役演ずる高部知子が、「わらべ」では決して見せない、
鬼気迫る恐ろしい目線で睨みつけるシーンなぞ、正直、幼いあたくしにとっては本物の恐怖に近かった。
・・・・実際、物凄く似合っていたし、ハマってもいたし、とにかく、「本物」に見えちゃったのだ。
実際、ぐるりと周囲を見渡せば、こんなお姉ちゃんがすぐお隣の中学にもいたわけだし、
その姿を見る限り、「わぁ・・・・同じだぁ・・・・」という感想しかもてなかったのである。


そんなわけで、8歳の子供の記憶にもガツリと残るような一大旋風を巻き起こした「積木くずし」ブーム。
後に、この続編が2〜3冊、また新たに出版されたらしいが、時代はどんどん変わっていった。
あれから23年しか経っていないのに、少年犯罪の多様化が進み、
この最初の著書も、育児に悩む親のバイブルにはならなくなっていったのかもしれない。
23年前のドラマは、確かハッピーエンドっぽくはあったけれど、
8歳ながらに「コレで終わるわけがない!!」と確信していたあたくし(苦笑)。
現実にはそうで、ドラマでも作り話でも何でもなく普通の報道で、彼女(由加里本人)が捕まったり、
病気で亡くなっていったりするのを、後年、見た記憶もある。
ついでに、高部知子までが直後にスキャンダルを出して、干されていったというのもよく覚えている。
・・・・何だか、不幸の塊だなぁ「積木くずし」・・・・と思うしか仕方がないような、そんな有様だった。


あの頃明らかにされなかった、少女・由加里に本当に起きていたこと、彼女が実際に思っていたこと、
そして、積木くずしが出版・放送されてからの新たな闘い等が加えられた、今回のリメイク版ドラマ。
父親に舘ひろし、母親に杉田かおる、娘(ドラマでは朋美)に安達祐実。
どうして中学生の格好が一番良く似合うんだ? 安達(爆)。
15歳で子供を産んだのは別のドラマでの話で、実際は子供がいないのに演技ではなさそうな
迫真の「育児疲れ」を披露していた、杉田(爆)。
この2人って、どうしていつまでもこうなんだろう? と思いつつ、タッグを組ませると面白い、
ということに気付き、2夜連続、見てしまったよ♪

内容に関しては、あまりにも有名すぎる話なので、もう特筆すべきことはないけれど、
23年前、あんなにリアルに見えたシーンの数々が、物凄く安っぽくなっていた・・・・。
恐らく、あたくしが日常生活でも見てきた、怖いお兄さんやお姉さんが姿を消してしまって、
「臨場感」に欠けるというか、すぐ傍で起きている恐ろしいリアルとは全くの別物になったことが
その一因かと思われる。要するに、トレースするような完璧なお手本がすぐ近くにないということ。
(あってもらっちゃ困るんだけど。)
あと、昔のドラマは完全に親目線だったのが、今回は違う・・・・ということなんだろうか。
娘の言い分を少し加えるだけで、著者であるはずの親が、完全なワルモノになる、
とても不思議な物語だと思った。
いや、実は不思議でも何でもなく、それが物の道理というか自然な姿で、
大事なところを隠して、200日分しか記録されなかった「積木くずし」こそが、
実録と銘打たれた、完全なフィクションだったのかもしれない。


たった1つしか年が違わないぷよ2が、この話を全く知らないと言うので説明すると、
正に現代的な感覚で、こんなことを言った。


「今の子だったら、お金がなくなったら、ほぼ間違いなく『ウリ』だろうね。」


全く以ってその通り。その通りなんだけどね・・・・でも、違うんだよなぁ。

留置所、少年鑑別所、少年刑務所の中で、一番肩身の狭い思いをする羽目になる罪というのが、
女子の場合、通称「春」と隠語で称される、売春である。
これは、数年前のデータなので、今はまた少し変わっているかも。
同じ少女の間でも、「ウリは最低最悪」と、罪が確定した時点で同じ穴の狢たちにもそう見られるのだ。
大体同等なのが、通称「薬」と称される、麻薬保持、密売、乱用各種、中毒患者。
ラリってても、誰も助けてはくれない。
窃盗や強盗を重ねて捕まったヤツが、別段大きな顔をしているわけではないけれど、
世間から「犯罪者」としてレッテルを貼られた更にその上に、こういったハコの中で
更に「ワルモノ」「バカモノ」が決められていく・・・・現実なんてそんなもんである。
(ちなみに、男子の場合、最悪とされるのが「強姦」だそうだ。今はどうかわかんないけど。)

そんな中に出たり入ったりしてきた少女が、本当は何を見てきたか、何を感じていたのか、
全部を吐露するはずもなく、確実に隠したまま息を引き取ったということは、
「真相」と銘打たれて、この度放送されたこのドラマも、真相には迫っていないかもしれない。

ただ、白日の下に晒されたのは、初期段階、完全に子育てに失敗してしまった著名人の、
悲しき実態・・・・それだけかもしれない。
ただの擦れ違い、行き違いが、大きなひび割れとなって、深い溝になっていく。
ほんの些細なことの積み重ねが、親にとっては「ある日突然」というふうに見えるのかもしれない。
子供にとっては、きちんと順序だてた理由がそこにあっても、隠すのが巧い「優しい子」たちは、
一気にキャパシティオーバーを起こす可能性を十分に秘めているのだ。
今も昔も、これは変わらない。


8歳の頃、「こんなお父さん、お母さんはイヤだなぁ・・・・」と素直な気持ちで見ていたあのドラマ。
そして、31になりやっぱり「こんなお父さん、お母さんだったらイヤかも・・・・」と
そこだけは変わらずに、あたくしの中に残った価値観。

↑場合によっちゃ、サヴァイヴァルを余儀なくされたかもだから。

もし、あたくしが、あの「積木くずし」全盛時に、かの少女と同じくらいの年頃で、
あの「スクールウォーズ」に巻き込まれていたとしたら、どうなっていたか、想像もつかない(苦笑)。
鬱屈したものを溜め込まずに済んだかもしれないし、逆にもっと酷い目に遭わされたかもしれない。
生れ落ちてくる瞬間というのも、ある意味で人生を左右する。
積木も崩れずに、持ち堪えることだって、あったのかもしれない。
もしくは・・・・どのみち通らねばならない「運命」のようなものだったのかもしれない。

真相は、やはり闇の中である。


2005年09月02日(金)
苦手なんだけど・・・・だけど好き


あたくしは暑いのに滅法弱い。
何度もこの日記にも書いてきたけれど、クールダウンの機能が麻痺しているのか、
汗はかけるのだけれど、それに伴って体温を下げる・・・・というのがどうもヘタクソのようで、
真夏日の日中、体温は平気で微熱の粋に達する。たまに高熱になったりする( ̄∇ ̄;)
それでも最近では、寝起きの所謂「基礎体温」自体は普通の温度になってきていて、
そこそこ寝汗もかく。
以前は、何があろうとも、1年以上、微熱が続いていて、ホントにどうしようもなかったんだけど。


が。こういう季節に限って、「あつくるしい番組」というのが組まれるのである。
一昔前は、稲川淳二が出てきて、如何に涼しさを提供するか・・・・というスタンスだった気がするけれど
もう昨今、気が狂うような暑さが毎年続いているのもあって、
その暑さを逆手にとって、「暑さ・熱さともに満喫!!」というスタンスが主流になった。


伝統の塊、高校野球も、美白ブーム台頭の現在でも日焼けを惜しまず頑張る女の子(チア)が目立つし、
最近、急にブームになりだした男子シンクロなんか、とても素人とは思えない演技で、
またその男臭さがいいような気がして、何となく関連番組は全部見てしまう。

そして、夏の定番!! 「高校生クイズ」ですよ!!

数えること25回。人生でたった3回しかチャンスのないこの番組にかける若者がもんすごく多い。
しかし、その3年間っていうのは、人生の中で最も忙しかった時期のような気もして、
あたくしは、コレだけクイズが大好きなのに、ぎっしり詰まっていたスケジュールをこなすのが精一杯で
予選にも行かずしてチャンスを逃してしまった大バカモノなのである( ̄∇ ̄;)
今更悔いても遅いのだけど、高校時代の夏休み前後というのは、学業はともかく、
その他のことで物凄く忙しかった記憶がある。


高校1年・・・・16歳。 予選の時期は部が大会を控えており、上を下への大騒ぎ。
             加えて、試験の結果でキャストがほとんど総入れ替え( ̄∇ ̄;)
             クラスより部の方の仲間と一緒にいることが多く、決まった友達が
             まだ夏にはそんなにいなかったというのもあり、予選の日程すら調べず。
             番組の放送があって、「あ、自分、高校生やん」と初めて気付いた(爆)。

高校2年・・・・17歳。 予選当日、模試があった( ̄∇ ̄;) いやに空席が目立つので
             クラスメイトに聞いたところ、皆、模試をすっぽかして会場へ行ったらしい。
             更にこの年、地区大会を勝ち抜いて県大会にも進めることが決定したので、
             野球のチアを別の子に代わってもらうくらいの目まぐるしい忙しさだった。
             ほとぼりがさめた頃に番組が放送。切実に「冬やってくれ」と思った(苦笑)

高校3年・・・・18歳。 そうじゃなくても受験の天王山といわれるこの夏休み、一応、部は引退したけど
             応援団は続けることになり、この年に限って野球部が県大会決勝まで進出。
             メンバーは塾の夏期講習とかを何日もサボりつつ毎日球場へ。連日酷暑。
             真っ黒に日焼けして、とても受験生には見えなかったものの、この活動は
             学校祭が終わるまで続き、例年、他団とはあまり交流がなく活動していたのが
             この年はやたらとそっちの活動に熱が入り、加えること、3年女子限定の
             花形種目、「マスゲーム」の製作もあったため、9月初旬まで全部潰れる。
             放送された番組は見たけれど、もう出られないと思うと虚しさだけが漂った。


高校時代の夏は、凡そ、こんな感じで、正に伊吹颪の如く疾風のように過ぎ去っていった。
どこかへ出かけるとかそういうのも滅多になく、夏休みだというのに、ほとんど学校にいた覚えがある。
しかも、学業の補填が目的ではなく、他活動がメインで、16時まで部活、それ以降閉門まで援団の稽古。
3年次に至っては、昼前にマスゲームダンスの打ち合わせや練習、それが終わった頃から援団稽古・・・・
という具合で、夏はほとんど勉強なんか一切せずに乗り切った覚えがある。
すげぇコツコツと受験勉強をしていた人たちに申し訳が立たないくらい、他活動ばっかりだった。
さすがに3年になった頃は、当時付き合っていた別高校の彼氏と、予定のない日に一緒に図書館で・・・・
というメニューもそこに追加されたけれど、この彼氏も生粋の「お祭人間」で、
3年前期なのに生徒会執行部に所属していたので、9月になるや否や、互いに学校祭に入れ込んでいた。
「高校生クイズ」には非常に出たかったんだけど、それを上回る時間割が夏休みを占領していたので、
叶わなかった・・・・今考えると非常に惜しい。


いやぁ・・・・暑いのは生来苦手なんですが、暑苦しい企画はかなり好きで(爆)、
親も呆れるほどの熱の入れようだったと思う。
文化部所属なのに、毎年夏になると真っ黒に日焼けしていて、とても健康的だった。
もう、南国常夏娘(爆笑)・・・・歩くメラニン色素だったわ( ̄∇ ̄;)


暑苦しい企画に関しては、何も高校時代で全部卒業したわけではなく、大学に入ってからも
その片鱗は見え隠れしていた(笑)。
学祭に一切関りない人間ばっかりで、何やかんやと、法に触れない程度に外ではしゃぎまくった。
無論、8月、9月あたりに芝居が入っている時は稽古一本で何も出来ないわけだけど、
芝居がはねた瞬間に、総出でぶっ壊れていた記憶があったり・・・・なかったり・・・・(苦笑)。
大学生ともなると、男女の情から云々・・・・みたいなことも多かれ少なかれ予想の範疇ではありますが、
どうしてか、地元の人間にせよ、大学の仲間にせよ、バカをやってはしゃぐのみの団体ご一行の中では
そういうのが皆無に等しかった。女の子もバカ限界に挑戦するので、異性の対象として
なかなか見てもらえなかったというのも理由の一つではないかと推察される(笑)。
ステディの有無に関らず、そうやって一緒にはしゃぐメンバーは男だろうが女だろうが、
とりあえずは「同志」なのである。
不思議と、メンバーの大半は別のところ・・・・バカが見えないところにステディがいたりした(爆笑)。
この切り替えが、やっぱり面白かったんだろうな。


そういえば、大学に入って直後。学食にて高校生クイズのことが話題に上った時、
同席していたメンツのほとんどが、何やかんやで忙しい、当時はそういう熱血関連に一切興味がなかった
そのどちらかで、誰も予選会場にすら足を運んでいなかったことが判明した。
あたくしのように、学校内での他活動ばっかりやっていたり、
当時から少々浮世離れした趣味を持っていて、それに没頭していたりで、
誰一人、参加歴がないとわかったのだ。
その瞬間、暑苦しい企画が持ち上がった(笑)。


「・・・・ニューヨークへ行きたいか?」

「!!」

「面白そうじゃん♪」

「金は何とかなる・・・・時間もたっぷりあるじゃん( ̄ー ̄)ニヤリッ」

「ニューヨークへ行きたいかぁ〜〜〜〜っっ!?」



日本各地から集まった皆は、そうだよ、今は東京ドームなんて目と鼻の先♪
高校時代のように夏に課題がある授業なんて皆無♪
何かやりたいことがあるんなら今しかない!! つか、面白そうなことは片っ端からだぜ!!
みたいな勢いで、怒号のような雄叫びを挙げようと思った瞬間、千葉出身のふくちゃん(♂)が
静かに呟くようにこう言った。


「アレ、今年から打ち切りになったんだよね・・・・(-。-) ぼそっ」

「何ですと〜〜〜〜〜っっ?????」



これぞ、お祭騒ぎの企画が出鼻で挫かれた瞬間であった( ̄∇ ̄;)
奇しくもバブル崩壊から数年。あの金のかかる企画が局を押しつぶそうとしている実態くらい
大学生でも容易に想像がつく、その生々しさが妙にリアルで、この年の夏、
誰もニューヨークに行くことなく、行こうともせず、終わっていったのであった。
「高校生クイズ」が終わっても「ウルトラクイズ」があるさ♪ と安穏と構えていた矢先の出来事である。


そんな寂しい夏の出来事を回想しながら、この日の高校生クイズを視聴していた。
皆、一所懸命で、楽しそう。
知力のみならず、体力も試される、究極の番組。
クイズ自体はそれほど難易度の高いものではなくて、普通のクイズ番組に比べると楽しめるレベルだけど
回答権を奪取するまでの脳内酸素を全て筋肉で消費してしまうかのような、
数々の企画に関しては毎度頭が下がる(笑)。
沖縄予選なんか、決勝で海に沈められての早押しクイズだったもんな・・・・ムチャクチャだよ(爆)。
一番、元気のある年代だし、体力もあるし、きちんと勉強していれば学力だってそこそこある、
人生の中で、一番満たされた年代をターゲットにするのは、あながち間違いではないのかも。
だから毎年、地方予選にも物凄い人数の高校生たちが殺到し、決勝も盛り上がるのかもしれない。


あたくし、今でもやっぱり暑いのは苦手ですが、暑苦しい企画は大好きです♪

↑他にはわけのわからんのが色々あったのに( ̄∇ ̄;)

そうか・・・・。工学系と違って、早押しボタンを作る人材がいなかったのかもしれん( ̄□ ̄;)!!
わけのわからん問題を作る人材は、他に比べて余るほどいたように思うんだけど・・・・。
やっぱりクイズの三要素、「知力・体力・時の運」というのはどれが欠けてもダメなのね( ̄∇ ̄;)
「時の運」系は強い人がゴロゴロいましたが、あのままウルトラクイズが開催されても、
恐らく誰もニューヨークへはいけてなかった気がする・・・・
そんな、暑さを持て余す今日この頃なのでありました。

↑だから1回限りの復活だったのか??


2005年09月01日(木)
あったかくて、ドライでも愛があるさ


ひょ〜♪ 映画「NANA」公開が3日に迫りましたよ♪
「下弦の月」の時に舐めた辛酸を払拭すべく、今回は気合入れて劇場へ行っちゃいますよ!
中島美嘉はちっともパンクじゃないんですが(笑)、そんなことはどうでもよくって(爆)、
とにかく見に行きますよっ!!
最近、やたらめったらマルチメディア化されちゃっている「NANA」をはじめとする
矢沢マンガ・・・・こういうモチーフが、音楽になったりゲームになったりっていう方がすごく不思議で、
長年、彼女を追っかけ続けているあたくしなんかは、一体何が起きているのか、
正直きちんと理解できていませんが、要するに、日本を代表する「文化」としてのマンガの中で、
もっと細分化されたカテゴリ「少女マンガ」という中では、とにかく世界的に通用するようになった・・・・
そういうことなんだろうな。
この波が治まって、「NANA」が完結しても、あたくしは矢沢大先生を追っかけまわします(笑)。
┐( ̄∇ ̄)┌オホホ 10月から放映予定のアニメ「パラキス」もみっちりチェック済みですわよ♪
フルカラーのイザベラを楽しみに、どっぷり浸かってやりますともさ♪
(彼・・・・いや、彼女だけモノクロだったらそれはそれで面白いんだが(爆))






先日。女王から、当方宿帖にカキコを頂いた。
それは、それは、とても嬉しいものだった。
彼女は今、とても敏感な人になっている。他人に対しても、自分に対しても。
だからあたくしのところにもすぐに飛んできて、言葉を残してくれたんだと思う。
病気を発症した時もそうだった。
だから治った時にも同じように、いの一番にここにやってきて、鼓舞してくれたんだ。
愛しき、少女のような女王。ありがとう。ホントに。


そういうストレートすぎるくらいに素直な彼女に対し、ドライでめちゃくちゃきちんとしているサナエ
PCの方にメールを寄越してくれた。
どこに行っても、結局忙しくなってしまう彼女なんだけど(苦笑)、ドライなように見えて、
実は、物凄くあったかい。
15年以上の付き合いになり、あたくしの交遊録の中でもかなり古株になってきているのだけど、
何がすごいかって、あたくしの生来の「だらしなさ」を誤解なくきちんと理解しているところがすごい。
表面的には「責任感」「ちゃんとしなきゃ感」「正義感」を互いに纏っているんだけど、
その中身にまで、互いにグワッと首を突っ込んでしまえる間柄っていうのは、
なかなか貴重だし、「親友」という密接な距離よりももう少し離れた感じの「きちんとした理解者」・・・・
そんな人間かも。
「親友」の方が素晴らしい、「よき理解者」の方がありがたい、などと優劣をつけるつもりはない。
ただ彼女は、いつも決まった距離に決まったスタンスでいて、それ以上にもそれ以下にもならない。
あたくしのスタンスが変われば、何故かいつの間にか彼女も変貌を遂げているし、
ベクトルの向きが違っていたとしても、座標上で、彼女とあたくしが立っているポイントの距離は、
常に一定。
定期的に連絡を取り合う仲ではないし、かといって、それが反目の原因にもなっていない。
不定期に一方的に何か打診があると、必ず呼応できる、そういう関係なのかもしれない。


彼女にもあたくしにも、大事な友人というのが別にいたりして、
かといって、そういう交友関係を共有したりもしない。
あたくしが心がけてきた「常にサシ」(笑)という関係性は、とっても長続きするのかもしれない。


2人の共通項は物凄く濃密なのに、それ以外のところはビックリするくらいタイプが違う。
興味の向きも、それに対するプロセスも、全然違う人種だ。
なので、いい意味で、彼女はあたくしを利用するし、あたくしも彼女を利用する。
利用するにはメリットがそこにあるわけで、あたくしは彼女が出してくる結果にいつも満足する。
たとえ満足できなかったとしても、付加的に注文をつけることができるくらいに遠慮がない(笑)。
こういう関係性なのに「遠慮がない」というのは、また奇妙な話に違いないが、
彼女の生産してくるものに対しあたくしはとても信頼を寄せているから、そうなるとしても過言ではない。


あのドライな反面、ちょっぴりウェットで、公私の二面性の間で揺れ動いている、
とっても人間らしい彼女のことが、あたくしは大好きだ。
ドライを装いつつ、それでも他人を思いやることが性根から抜けてない、天性の「いいヤツ」だからこそ
彼女がどんな言葉を使っても、真意はきちんとこっちにも伝わる。・・・・愛を知っているんだろうなぁ。


愛を求める人、愛を知りたがっている人とは全く真逆の体質・性質だろう。私はそう思う。
あたくしの中に愛があるか、愛を知っている人間なのか・・・・というのは自分ではよくわからない。
ただ最近になって、ぐるりと周りを見渡した時、そうである人とそうでない人の見分けがつくようになった。
攻撃的でも愚痴っぽくても、愛を知るに至る人というのは、覇気があって邪気がない。
優しそうで温和な言葉で武装していても、そうじゃない人というのは、常々何かを一方的に要求する。
その要求に応えてあげないと拗ねるし、手のひらを返したように反撃する。
ビジネスとは違うところで見返りを要求するようではダメだな・・・・あたくしは自省もする。
サナエは面白いヤツで、たまに邪気を垣間見せるのだけれど、
その邪気を持続させることができない、お茶目な女性だ(笑)。害がミニマムな人間だと思う。


常々あたくしの周囲に流動的にポジショニングしている全ての人々のことを、
愛しているだとか、いい人だとか言うつもりは毛頭ないのだけれど、
ただ、流動的だけど、常にいいポジションに入る人間は決まってくる。
周囲の覇気より邪気が上回ったら、あたくしが動いて調整すればいい。
即ち、そういうことなんだろうなと思った。

↑愛、だよなぁ。

あさみ


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あなたの毎日にずぅむいん・・・・

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