NY州在住 <旧『東京在住』・旧旧『NY在住』>
kiyo



 私の親友との一大事

 タイトル的には私(kiyo)の親友についての話かと思いますが、そういうことはありません。

 朝から突貫工事で作業をしつづけて(論文って書き始めると止めちゃいけない気がしませんか?っていうかまだ書いているのか?って話ですよね)気がつくと夕方四時。といってもまだまだ日が沈むまでには時間があるので(日没は9時ちょっと前くらいか)今日もベストスコアを目指してがんばろう、と意気込んで在庫のゴルフボールの数などをチェックするために車のトランクを覗いていると、足下からカラカラと乾いた音が・・・。

 5歳にもならないくらいの小さな女の子がおもちゃのベビーカーをひいているじゃありませんか。かわいいもんだね。乗っているのは人形かな?と思ってよくみてみるとミーミーないている。おわ、猫だ。子猫でした。


 超かわいいシーンじゃありませんか。

 ところがよくみてみると、女の子は猫がちゃんと赤ちゃんのように前向きで座らないのが気にくわないらしく、なんども猫の姿勢を直している。それを猫はいやがってミーミー泣き続ける。

 女の子はしょうがない、じゃ、ヒモで縛り付けるか、とヒモをぐるぐる猫とベビーカーにしばりつけはじめる。さすがに我慢の限界がきたのか猫はするすると地面におりて自分の家に帰ってしまいました。

 するとなんということでしょう。女の子は猫をおいかけるでもなし、その場でしくしく泣き始めてしまいました!


 女の子としては、私の大好きな親友とお散歩に出かけることを夢見ていたのに、みごとに裏切られてしまった悲しさが耐えきれなかったのでしょうか?かわいそうに・・・。あの子にとってはもう、今年一番の大事件だったりして。


 まるで絵本や映画のようなシチュエーションです。こんな小さなアパートの前にもこんな「大事件」があるのですから、飛行機から見下ろす都市の中には幾千もの物語が泡のように生まれては終わっていく過程が果てしなく続いていることがうかがい知れます。


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2008年08月08日(金)



 カーネルサンダースによろしく【その2】

 今回の旅のタイトルは「カーネルサンダースによろしく」となっていますが、このタイトルは伊達じゃありません。そうです。いってきました。ハーランド=サンダースカフェへ。(ハーランド=サンダースは、カーネルサンダースの本名らしい。カーネルは名誉市民(名誉大差)みたいなのりなんだとか)

 第一の目的は友達に会いに行ったのですが、住んでいる町ルイヴィルのことを調べていると、でてくるのは大体ダービーの話。そんな中でふと目にとまったのがケンタッキーフライドチキン(KFC)の発祥地というサイトを見つけたのです。

「今日どこ行く?」
「KFCの最初のレストランにいってみたい。博物館もあるらしいよ」
「は?また、昨日の蒸気船といい、不思議なものを探してくるんだな」

 と、寝坊をした彼をたたき起こして車に乗せて一路ハーランド=サンダースカフェへ。ナビはこんなとき便利だ。住所を打ち込むと・・・

「What a fuck? 160マイル先じゃん。もうノックスヴィル直前のところだよ」うそ?すごいね。二時間半くらいかかるんじゃ?「その通り。それでも行きたいか?」当然だ。

 と、良い思い出作りになるからと説得して出発。最新モデルの車だけにスピーカーがいいので、彼の持ってきたCDを楽しみながら色々話をする。ま、アメリカはどこも高速道路の風景は同じだが、ケンタッキーくらいになると走っている車のラインナップが違う。

kiyo「アメリカ人がさ、ピックアップトラックがすきな理由が分からない。あれってかっこいいか?」
ジョナサン「馬鹿が好きな車の代名詞だな。っていうかみてみろ、私たちピックアップトラックにかこまれてるぞ」

 確かに、周囲6台くらいみんなピックアップトラックだ。偶にバイクを見つけると巨大なハーレー。ケンタッキーらしく、メットもつけずにバンダナだけでOK。(いや本当のところは知りませんよ)


 走ること二時間半。コービンの街に着く。探して歩いていると高速道路から少しはずれ15分くらい走ったところに見つけましたよ。(どうやらフランチャイズを始めた理由が高速道路が走ったために人の流れが変わって売り上げが落ちたからなんだとか)超感動。二人で叫ぶ。


 中に入ってみると、結構普通の店内。カウンターは全くどこも一緒。午後二時だというのに結構込んでいるのは観光地だからか、それとも普通にKFCが好きだからか・・・。写真をとったりあたりを見渡している人が少ないところを見ると地元の人が普通のKFCとして使っていることもわかる。


 ただし、やはり第一号店らしくサンダース像がおいてある。女の子が像にキスして過ぎていった。本当ですよ、本当。私は、「お前のベストフレンドとの写真とってあげるよ」といっていやがるジョナサンをカーネルに並ばせたりして遊ぶ。実は私もサンダースと撮った。


 彼はスペシャルクリスピーを、私はクラシックスタイルを。食べるエリアは、昔の風景をそのまま残してあって、ミュージアムをなのっているだけあって、当時のキッチンや店の中野様子を展示してある。キャッシャーとか、分厚い陶器の食器とかレトロで素敵だ。朝食も抜いて空腹一杯だった私たちは無言でむしゃぶりつく。心なしか、おいしい。こんなにKFCっておいしかったか?


ジョナサン「この前、KFCいつたべた?」
kiyo「覚えてないよ。生涯3回くらいしか食べたことないんじゃないかな」
ジョナサン「ははは。あんまり行かないよな。俺もだ」
kiyo「あーそういえばこの前いったわ。3週間くらい前。戸塚のKFCにはいってコーラフロートたべた」
ジョナサン「なんだその戸塚って。東京にいたときも聞いたことなかったぞ。っていうかチキンじゃなくてコーラフロートってのも意味わかないな。」
kiyo「安心しろ。何があっても一生行かないと思う横浜の近くの小さな街だ。なんもないから仕方なくKFCに入ったんだよ。だからチキンじゃなくてコーラフロート」
ジョナサン「はは。kiyoの中でのKFCがどんなものだか分かったよ」

 なんて会話をしながら最後にやはりコールスローとか蒸したトウモロコシなんかをむしゃむしゃ食べる。なんか土産はないものか、と探しているとどうやらTシャツが売っているらしい。(他にもステッカーや過去のCMソングを集めたレコード(!)とかも)どこで買えるのかなと思って見渡してみるとなんと、さっきチキンを注文したカウンターで買うんですね。はじめてですよ。ファーストフードのカウンターで、「Tシャツください」といったのは。


 忙しいのに時間を作ってくれた友人に一枚プレゼントして、店の前で撮影。「KFC伝説の始まった場所」というプレートが。ここにきてみると(って来たい人はいないかな)分かると思うが、ほんとに伝説だと思う。こんなに田舎の州の、そのまた小さな街の、けしつぶみたいなガソリンスタンドの脇からよく世界チェーンになったと思いますよ。いってみれば岩手の一関あたりで始まったおにぎり屋が世界を席巻したようなものですよ。


 と一時間弱の滞在でハーランドカフェを後にする。ちかくのフランクフォートの街で、ワイルドターキーとかフォーローゼズの工場を見学するが車の中にカメラ忘れたし、時間もないし、そもそもラインナップはほとんどアイルランドでみたものと同じ(【ダブリンの石畳】を参照してください)なので撮影とか記録とかパス。思い出だけ。酒もろくにのまないのに結構バーボンやらウィスキーやらに詳しくなっている私。

 急がなくちゃ!と飛行機の時間に間に合わせるために結構なスピードで車を飛ばしながら途中で彼をおろす。またな、日本に帰っても会いに来いよな。と挨拶をされる。そうだ、私はもうこの国からいなくなるんだった、と寂しいことを思い起こされるようなことをいわれるが、「俺が会社興すときは勿論kiyoがパートナーだ」と言ってくれたことは私のつまらなそうな未来に一縷の望みを与えてくれた。


 木目調で、すこしカントリーな雰囲気を残しながら、それでいて結構クールなデザインの空港ゲート(私がみたゲートの中でベストだと思う)を後に飛行機の乗り込む。窮屈でぼろぼろなシートなアメリカの国内線もあと少しでお別れか・・・。


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2008年08月06日(水)



 カーネルサンダースによろしく【その1】

 イサカに戻ってきてすぐにケンタッキー州はルイヴィルに行くことに。アメリカを離れるに当たって、仲良くしてくれた友達に挨拶と観光をかねて。
 朝6時の飛行機に乗って何度降り立ったことか分からないアメリカ中西部のハブ空港デトロイトを経由して、ルイヴィル行きの飛行機にのる。今回イサカまで帰ってくる道のりがアクシデントが重なって実に30時間もかかってしまい、そのうえ、着いた途端に8時間もかけて部屋の明け渡し作業をしていたので、その疲れが残っているからか、飛行機の間中ずっと寝てしまう。
 ルイヴィルについてみると熱気が。軽く南部がはいった土地柄なのか空港も陽気な感じがするし、そもそも飛行機に乗るからと羽織ったフリースが途端に邪魔になる。

 空港で、レンタカーの手続きをしてとりあえずダウンタウンにあるホテルに向かう。なんと、車がナビ付のスバルはアウトバックの08年モデルじゃないですか。10年落ちのカムリとの差が嬉しい。なんか街を走って最初に気付いたのがクラシックカーが多いこと、多いこと。なにかイベントがあるからなんでしょうか?異様に多い。それともまさに「ケンタッキー」だからなのか?


 友人はまだオフィスにいるとのことなので一人でホテルのレストランで遅めの昼食を採る。普通にチキンサンドウィッチで。家族連れで旅行中の人たちばかり。みな白人なのがアメリカの深部にやってきたことを思い起こさせる。大きなオハイオ川のほとりを眺めながらの昼食をとっていると、蒸気船が通り過ぎている。今は観光目的だろうけど、きっと100年前もほとんど同じ景色だったんだろう。


 彼は5時過ぎにホテルに来るそうなのでまだ時間がある。というわけで、ケンタッキーダービー博物館に一人で行ってみることにする。アウトバック最新型のドライブを楽しもうじゃないかとおもったらすぐに着く。結構小さい街なのね。

 ここがかの有名なケンタッキーダービーが開催されるところか。(あとでその友達から聞いたのだが、先月開催されていて、「マイケル=ジョーダンが来てたんだよ」と聞かされる)


 併設された博物館を見て回ることにする。7ドルほど払って中を見てみる。ま、競馬の博物館だから「本物」を展示するにも限界があるんでしょう。(っていうか本物ってなんだ?)結構、説明系の展示が多かったがそれでもゲートとか、実物大がどんとあると面白いね。こうなっているのね・・・、と感心する。360度パドックの形をしたシアターで競馬が行われる一日のムービーを子供達と一緒に見る。多くのプロフェッショナルが支えるダービーといったテーマだろうか。なかなか迫力があった。


 そのあと競馬場内の見学に参加。サングラス越しにもまぶしいほどの日差しの中をぞろぞろと歩く。高校の頃遠足の帰りにみんなで府中競馬場にいったことがあったけど、全然ちがう。もっと古い、木造の感じ。それでいて巨大だ。コースの直前までつれてきてもらえて色々お姉さんに話を聞く。


 日焼けしたほっぺたの熱が落ちないなーと思いながらホテルに帰ってシャワーを浴び友達と合流する。「ひさしぶりー。元気だった?抱きしめさせてくれ!」と歓待受け、そのあとどこに行くか相談する。

kiyo「あのさ、さっき川散歩してたら船があったんだけどさ、あれに乗らない?ディナークルーズよ。おごるよ?」
ジョナサン「なにそれ?もう半年もこの街にいるけどそんなことしたことないぞ」
kiyo「きまりだ」

 と船着き場をネットで探すとなんとホテルの前。びっくりした。チケットオフィスに行くと売り切れたが、外にいる男性が乗船できなくなったのでチケットを売りたがっているんだ、買ってやってくれ、と。ナイスプレイスな上に、ナイスタイミングじゃないですか。

 乗船して、レモネードやら紅茶やらをのみつつ、どうだったよ?と仕事ぶりや生活状況に花が咲く。そうこうしているうちに食事が始まる。ビュッフェスタイルで典型的なアメリカ料理だが、フライドチキンがあるのはケンタッキーだからだろうか?と思った。っていうか、そこで食べたビーフストロガノフが、思いの外おいしかった。


ジョナサン「どうよ?うまくね?」
kiyo「思ったより旨い」
ジョナサン「だね。ま、すごいおいしい訳じゃないけど・・・」
kiyo「うん、まぁまぁだ」
ジョナサン「そう!そのとおり。まぁまぁだ!このまぁまぁがケンタッキーなんだよ」

 なんて話をしながらむしゃむしゃチキンやらビーフやらコールスローサラダをつつく。となりの老夫婦がはなしかけてくる。

「どこからきたの?」
「ボクはニューヨーク州の上の方(「アップステートニューヨーク」という)で、彼は日本から」
「ほう?アップステートニューヨーク?私たちはシラキュースに住んでいたのよ」
「そうですか。私はアルバニーで生まれ育ちました」

 と軽く会話を聞いている。私は英語を話したくないので、聞いてにこにこしているだけだ。(いや、その友達はアメリカ人なので英語しか話さないんですがね)

 夕食後、デッキのベンチで夕涼みをしながら
kiyo「あのさ、あの質問いつもこまるんだよね。どこからきたの?って。私もう三年くらいNY州に住んでるわけよ。ま、元々日本から来たことも間違いない。かといっていちいち説明するのもアレだろ・・・」
ジョナサン「いいんだよ。日本からで。一般のアメリカ人なんて単純なことしか理解できないんだから。俺だって説明するの大変なんだ。両親が移民で、アルバニーでそだって、今は実家がシカゴで、ってそんなことあのアホどもに理解できないんだ」
kiyo「なるほどね」


 船から眺める景色は格別だった。広い空の下、もうはてしなくのんびりした空間が広がっている。人に会わずともわかる。この景色の中ですごして、素直でのんびりした人間いがいできっこないんだろうな、とそんなことを思わせてくれる。都合3時間くらいのクルーズだったがディナーも付いて35ドルはやっぱりまぁまぁだと思いますよ。

 このあとさ、友達と夜を楽しもうよ、と言われる。ま、こういうときは疲れをおして付き合わないといけない。そして、ぜったいこんなときにでてくる「友達」っていうのは「彼女寸前の友達」を意味している。例外ない。よくよく聞いてみると彼の上司の娘(!)だそうです。あんたもこの街に友達がいないからってなにもそんなところから始めなくても良いんじゃないか・・・。

 ホテルのロビーで待ち合わせをして、彼の「友達」とルームメイトと合流し、さらに目的地で彼の同僚と合流する。目的地ってどこだろう、とおもって車の後部座席でやっぱり閑散として、だけれどもとても清潔な街並みをながめるとさっきの川をわたってしまった。対岸はケンタッキー州ではなく、インディアナ州なんだとか。ま、違いはないけどね。ついた先はなんとサルサバー


 その「お友達」は20歳なのでバーには入れないので、それでいてみんなで盛り上がれる場所はここしかないんだそうです。とても健全ですな・・・。というわけで健全にレッドブルをのんでサルサをみていると「ヘイkiyo!覚えてるぞ。ナリ(共通の友達の女の子)とダンスのクラス採っていたよな?」なんて余計なことを言い出す。んで、私の隣にいた薬剤師のバイトをしている娘が是非是非踊ってみよう。といいだすではないですか。「覚えてない。無理!」といっても聞く耳を持ってもらえない。さっきまで一生懸命私のつたない英語を聞こうとしていたのに、もう聞かないので、仕方なくちょこっとだけ・・・。


「あの・・・。kiyo?あなたのステップ。それはチャチャじゃないかしら?」

 だからダンスは嫌いなんだ。
 午前2時を回ったあたりで帰ることに。もうくたくただ。なのに彼は酒が入っているのに私が運転を。ホテルの駐車場で解散。今夜は久しぶりによく眠れるんだろうな、とおもって部屋で片づけをしているとノックが。

泊めてくれ」は?車はどうしたんだよ?
「しってるだろ?さっき俺のルームメイトが乗っていた」あ、そうだったね。っていうか私はてっきり彼女を送っていったり、あの子の部屋にでも行くんだと思ったよ。
「お前馬鹿か?あの子の部屋は俺のボスの家だ。いけるわけねーだろうが」んで、私の部屋で寝ると?
「そう。よろしく」

 ま、ベッドは意味不明にでかいから構わないけど・・・。
 こうしてルイヴィルでの一日目は終わった。

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2008年08月05日(火)
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