切れ端。

2003年05月06日(火) パレット

当たり前のように 始まった新しい世界
暮らす必要もない小さな部屋で パレットに絵の具を並べても
何一つ綺麗な色など 出来はしなかった

通りにある花屋に並ぶ 花の名前すら思い付かぬまま
次の季節の風と思い出が 吹き抜ける

世界が色彩を失った 無色で何もない世界で 
また僕は色を足そうとするけれど 何一つ綺麗な色も出ないまま 
パレットの絵の具を 筆先で潰した

小説を読み終えれば 涙が溢れて止まらなかった
涙を流せないと悩んでたあの頃が 懐かしく 遥か遠い
パレットの絵の具が 乾いて固い

通りにある花屋は どこか寂しげで温かい香りに満ちていて
次の季節の風が花の香りを 街へと誘う

世界が色彩を失った 無色で何もない世界で 
また僕は色を足そうとするけれど 何一つ綺麗な色も出ないまま 
パレットの絵の具を 筆先で潰した


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shinsuke [MAIL]