ほっく。

2003年11月20日(木) 自販機 3


ほんとについて来るとは…

この子、
もしかして素直?


消毒して
大きいバンソーコを傷口にあわせる


「呑まれたっていいのよ」

タカシ君、ムッとして口をとがらせる


「いつか返ってくるんだから。」

一瞬ふしぎそうな顔になって、それから
バカかお前っ。 と笑った






2003年11月19日(水) 自販機 2


100円を呑まれた、という

だからってあなた
血が出るほどやりますか…


「とりあえず消毒しなきゃ。
うち、すぐそこだし、良かったら…」

社交辞令でごめん





2003年11月18日(火) 自販機 1


すごい音がしたので見たら
男の子が自販機を殴ってる

よく見ると
タカシ君だった

視線を感じたのか
こっちを向いた

捕まる直前の野生動物みたい
ギラギラした目





2003年11月17日(月) ほころび


いつもどこか
ほころびてるような気がする

でも
放っておく

そんなことよりも、






2003年11月16日(日)


床屋がえりのおとうさん
襟についた髪の切りくずを取ったげた


前髪が目にささる
わたしも美容院いかなくちゃ…






2003年11月15日(土) 大げさ


「おまえはいつも大げさなんだよ」と
アサキは笑うけれど

そうね、

何事も
ささいな事だと思えたら
もっとラクになれるだろうなぁ






2003年11月14日(金) みぎひだり


ワンポイントのついてる靴下がすき

洗濯して畳むとき
右と左
わかりやすいでしょ






2003年11月13日(木) 果てがないの

すこし知ったら
もっと知りたくなる

もっと知ったら
もっともっと知りたくなる







2003年11月12日(水) 『 済 』


だれもいない図書室

読み終わった本を棚にもどし
図書カードに『 済 』のハンコを押す

もっと押したくなって
いらない紙をさがす

積んであった「図書室だより」の裏
ペッタン ペッタン ペッタンコ…

夢中になって
気のすむまで押した

『 済 』だらけの「図書室だより」
四つに畳んでポッケにしまう

帰り道で捨てるかもしれないし
お家でもういちど読むかもしれない






2003年11月11日(火) たまにある小っちゃい房の

ぼくん家では
こたつとミカンは同時に解禁になる

ところで
ミカンの赤ちゃんって
特別おいしい気がする






2003年11月10日(月) それなら


反対に、訊かれたらどうだろう

たとえば
アサキの好きな点なら
わたしは100個でも挙げられる


でも、
惹かれた理由となると






2003年11月09日(日) 歩けなくなる


どうして?
どこを?
どんなふうに?


肩をつかんで揺さぶって訊いてみたい
「しつこいよ」 って
しまいには嫌われるくらいに


根拠なく愛されるのが怖い







2003年11月08日(土) ふと、立ち止まる


おとうさんが優しいのは

弟がなつくのは

アサキが微笑みかけるのは


どうして?






2003年11月07日(金) トクン、トクン、トクン…


ナイフが刺さっても
抜いちゃいけない


よけいに
血が出てくる






2003年11月06日(木) ボタンのない服がいい


「ボタン閉めないの?」
「んん」

「鼻水でてるじゃない」
「ぃんだよ…」

「おいで。 とめたげる」


姉ちゃんは
ちょっと考えてから
1つおきにとめた

外しやすいでしょ、って






2003年11月05日(水)


ガラスをつたう雨で
校庭も体育館もポプラの木も見えない


いつかの雨の日
下校しようとしたら
下駄箱のわたしのところに 傘がかけてあった

びっくりして
おもわず口元がうれしい形になりかけて
でも。
すぐに気付いた

弟のところにもかけてあるんだ、きっと
ところにも じゃない
『 ついで 』だ、わたしのは


重い傘だった
お気に入りのはずなのに
重い傘だった
途中で捨てたくなるくらい

------------

ぐうぜん100円玉ひろうような
そんな愛は要らない

きまぐれで交番に届けるような
そんな正しさも要らない


お母さん。
あなたの傘は要らない






2003年11月04日(火) しおり食うなよ


姉ちゃんが
栞を唇にあてて宙をみてるときは

何か考えてるか
何も考えていないか のどっちかだ





2003年11月03日(月) それは? って訊かれないように


だいじな本は、家で読むの






2003年11月02日(日)


姉ちゃんとお父さんと買物

金目鯛は目が大きくて
姉ちゃんに似てた

ぼくは何だろうって聞いたら
…魚じゃないなぁ
と言われた


夕飯は寄せ鍋

ぼくと姉ちゃんは
ハマグリの殻でおつゆを飲んだ

食べながら
ぼくとお父さんは服を脱いで
ひとつだけ余ってる椅子に置いた






2003年11月01日(土) 衣替え


おとうさんのセーターを奥から出す

どんぐりの色
毛玉いっぱい
タンスのにおい

虫食いの穴もあるけど
おとうさんは毎年着るの





 < 過去  INDEX  未来 >


クジラ缶 [MAIL]

マイエンピツ追加