Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2011年06月29日(水) コンテンポラリー・ジャズ・フェスティバル”なのですって?

7月1日(金)はカフェズミで第2回「宵(酔い)どれ黒海周遊ジャズツアー」ジャズ生誕の地 オデッサ巡礼、ウクライナ名所旧跡でございます。


7月2日(土)は橋爪亮督グループ@渋谷公園クラシックスでございます。

なあに?なあに?これは”コンテンポラリー・ジャズ・フェスティバル”なのですって?聴きずてなりませぬうう。
『津嘉山梢ピアノソロ』
『吉本章紘×Aaron Choulaiデュオ』吉本章紘(T、sax)、Aaron Choulai(pf)
『橋爪亮督カルテット』橋爪亮督(T、sax, Loops, )、市野元彦(G, Effects)、織原良次(B)、橋本学(Ds)


2011年06月28日(火) 東京電力の株主総会だって?要らないだろう???



有楽町線の始発にのって、エアドゥ千歳空港行き7時40分。
手前に隅田川とスカイツリー、その向こうに緑色のかたまりとなった皇居、横に東京タワー、が、ごちゃっとまとまって見える。
すでに航空機は茨城から栃木あたりの上空にいる。首都圏なんて、もう放射能の守備範囲に見える。

『原発社会からの離脱-自然エネルギーと共同体自治に向けて / 宮台真司×飯田哲也』
『原発のウソ / 小出裕章』
支笏湖の丸駒温泉で新書2冊を読む。

なに?今日、東京電力の株主総会だって?要らないだろう???

東電は損害賠償にあたっては、東京電力の資産をすべて出す、株主も株価はゼロにして上場廃止、銀行は貸し手責任の原則から債権放棄、原発埋蔵金2.5兆円を使う。電気料金に転嫁する、税金を投入するなど、もってのほか。

と、飯田哲也さんが180ページで発言している。まったく、の、正論ではないだろうか。

おおー、夏の大停電パニックをおどすような番組を流しているのは良くないなあ、電力会社の宣伝だろうか。

うまいもんだよ、かぼちゃのほうとう。

カート・ローゼンウィンクル・グループの「ア・ライフ・アンホールズ」を見事に聴きこなした次男が
「お父ちゃん、いろいろ音楽聴かせてくれ、CDRに焼いてくれ」というので、「あなんだ1」という編集CDRを作った。
そんでもって、ポールマッカートニーで始まるか!イエスの『危機』を丸ごと入れるか!


2011年06月26日(日) タガララジオ21が更新



タガララジオ21が更新されました。


原発ねたもいいかげんにしたいという気もしなくはないが、

やっぱオカしくないか?この日々の報道というか、この雰囲気。


2011年06月22日(水)




1995

ウルトラセブン好きの長女
なぜ団子になる?長男
おかま座りで何を訴えたいのだ次男


2011年06月17日(金) オーケンの「天使たちのシーン」

数年前に仕事でいっしょだった年上の女性が気を送るとそれは伝わるのよ効果があるのよと言っていたのを、当時はそんなの迷信だよとどこか思って敬遠していたかもしれない。きみがぼくを疑っているのならこの喉を切ってくれてやる、というのは懐かしいミスチルの歌詞だけど、そんな喉を切るなんてすごい歌詞だな。健康でいてほしい、少しも痛みを感じないでいてほしい、そういうのは不健康によって痛みによって浮かび上がってくるものなのかな。

オーケン(大槻ケンヂ)が「天使たちのシーン」をカバーしているのを聴いた。小沢健二がファースト・ソロ作で作った同曲を聴いてすぐにイメージされるのは、長女の幼稚園の遠足に付き添って乗った中央線快速電車内の光景で、夕刻の貸切状態になった幼稚園児だらけの車内、夕陽が射しはしゃぎまわる歓声。「ネッカチーフの鮮やかな赤い色」の未来を想像していた。長い夜を乗り越えますように。

小沢健二「天使たちのシーン」ライブ映像があった

オーケンのカバーに感動している。
これがどんな感動なんだろうか、と、考えてみるがうまくいかない。
オーケンの勇敢なミュージシャンシップとか説得力とか、それはそうなんだが、・・・と、ネットでぐぐったら秀逸な論考があった。
 松永良平さんというのはプロのライターさんのようだ。


2011年06月16日(木) 坂本真綾 Feel Myself

坂本真綾 Feel Myself



5分すぎに意識がとんでしまう稀有な楽曲。
アルヴォ・ペルトのティンティナブリ形式のJポップへの応用。
いちお、音楽だけ聴いて自分に到来するイメージを凝視してみましょう。


2011年06月13日(月) ついにECMでリミックス作品が!と注目されている『RE: ECM』(ECM2011/12 2枚組)




ついにECMでリミックス作品が!と注目されている『RE: ECM』(ECM2011/12 2枚組)、まだECMサイトには載っていないブツでありますが、
おれは通して2度しか聴けなかったが、
ECMらしい仕事をしているとは思うが、つまらない作品である。

このリミックスの肌触り、耳触り、2000年以前ならまあまあな気もするが、
それでもECM90年代末からのエヴァン・パーカー・エレクトロ・アコースティック・アンサンブルやニルス・ペッター・モルヴァル(ECMセカンドのトラック1まで、は、確かに彼は最前線で進化していた!のだ)というECMらしい提案を耳にして、アンテナを研いでいた耳としては、
まったく面白く感じないのである。

ECMアイヒャーの老練な押さえ、ドイツマーケット向けお付き合いのほほえみ、以上の意味はないだろう。

でも、いちおうはみんな買って聴いてみてね!ジャケもいいし、部屋着には最適だ。

Jazz Tokyoでは今村健一さんがCDレビューを書いている。
さすが、じつに勉強になる示唆にみちたテキストです。

フェイスブックでやりとり(すぐに流れてゆく河のようだ)していたので、備忘採録しておきます。


今村 健一
Finally, ECM label was remixed. But, Is this official anyway? 5月28日 20:42

多田 雅範 今朝HMVから届いて聴きました。masteringにEicherがクレジットされてて、ECM2211/12番号が与えられています。まだECMのサイトには載ってないですね。5月29日 0:24 ·

今村 健一 オフィシャル、とは!昔、某担当者さんが似たような企画をオファーした時アイヒャーは「オリジナルフォーマットを崩すことは許さない」と答えたとか。ドイツ国内同士は話が早そうで羨ましい。因みにこのDJ氏、メールインタビューで以前ブラジルのヴィラロボスとの血縁について訊いたところ、「よく間違われるんだ(笑」とのこと5月29日 1:03 ·

今村 健一 にしても、クリスチャン・ヴァルムーってリミックスの素材になりやすいのですね。スティーヴ・ティベットやバール・フィリップスが向いてそうかなーとか思ったけど、いじりにくいのかな5月29日 1:07 ·

多田 雅範 Output / Wolfgang Daunerの reissue を Eicher にリクエストしたのは先生ではなかったでしたっけ???5月29日 11:13 ·

多田 雅範 このサウンドは10数年前からそれこそ想定されていたものだし、Groove誌でその領野にあってECMの魅力にアンテナを澄ませていた今村さんにとっては今さらと思われるのではと推察いたします。CD聴いていて、丁寧で気持ちいいんですけど、新しい何かが提示されるようなトキメキはないような気がします・・・。43年生まれのEicherがここに何を視ているのかうまく捉えられないでいます・・・。5月29日 11:24 ·

今村 健一 思ったよりECM40周年が30年目より盛り上がっていない、ということを受け取ってつけたような企画がパラパラと、というのが印象。40 jaarという廉価版ボックスセットもraumのリサイクルだし5月29日 13:03 · いいね!

今村 健一 「周年」ということをデカデカと謳いすぎると何かレーベルが最終コーナーに入ったことを自覚してしまう、ということを恐れ自制が働いているのではというのが今村説です。5月29日 13:07 ·

多田 雅範 さすがの今村説、とても共感いたしました。Craig Taborn未聴ですが Eicher の着眼はよいとして。Pooさんの録音が2枚はEicherの手元にあるのに出さないのが不可解。自分の好きなことだけやっている突き抜け感がうすくなったような最近のECMのような・・・ 5月29日 13:58


2011年06月12日(日) 治癒行為、治療行為としての倍音浴を体験した!

12日(日)は増上寺へはじめての倍音浴へ。満員御礼の札止めである。

ちょっと辛口なのかもしれんが、その感動を書いておこう。

ヒーリングだとかスピリチュアルだとか気だとかヨガとか、そんなもん新興宗教の隠れみのに思えて避けてきたわりには、自分の左手の気はすごいんだとか、密教の阿字観瞑想のこととか、離れていても想いは伝わっているものだとか、日常的に、特に子どもたちに対しては発言を続けているおれです。

10数年まえ、ブレイクする前のクレイジー・ケン・バンドを長者町のライブハウス「フライデイ」に誘われて観に行った、絶大なる耳の信用を置く磯田さんと金子さんが主催する、そいえば数年前には菅野邦彦ピアノソロを企画されていておいらはそこでも世界遺産的なピアノに開眼したのでもあったから、つまり、磯田さん金子さんに誘われなければ、絶対に!行くことはなかった今日のイベントです。

チラシはあやしいし、平和、目覚め、世界に一つという危険度100なキーワード、仏間に横になってお一人お一人タッチ・セラピーだなんて、集団催眠でもかけられるんじゃね?おれが親なら即刻やめさせるね。うん。

倍音、というキーワードには魅せられていて、弦楽器の独特な響きに魂をうばわれるとき、とか、民俗音楽の歌唱の朗々たる声の響きに懐かしい以上の感情が呼び起こされたり、してきた。音楽のすばらしさが倍音で斬れるわけではないが、欠かせないものだ。

芝の増上寺の150畳ある仏間で行なわれる、というのは、なかなか安心感を与えてくれるセッティングだ。地下鉄から出て。増上寺の正門に、立派な看板に筆書きされているぞ!倍温浴!すごいすごい。天下の増上寺で。会場に近づくと「クリスタルボウルの響き」という看板表示になった。なんだ、おれはてっきりオーディオマニアの磯田さんのことだから倍音を発することができる特別な科学的なオーディオ・マシンが拝めるものだと思っていたが、ボウルをこすってハウリングさせてそれを聴くだけなのね、と、がっかりしたのだった。それで4000円も取るのか???

まあ、モノは体験だ。

クリスタルボウルが鳴りはじめる。ああ、こんな音ね。次々と鳴りはじめる。わんわんと、小さなボウルとは思えないくらいの音が鳴り響きはじめる。なるほどな、お寺の大きな鐘の音も、仏具の鉦も、人類が倍音に出会って手にして操作可能になっていった歴史みたいなものを少し想像してみる。うわん、うわん、と、あたりが倍音の響きで満たされる。屋外のカラスの鳴き声も聴こえる。クリスタルボウルの響きを、両手足の表面で受け止めていることに気付く。気付くと、からだ全体の、頭蓋骨やら肋骨や背骨、内臓の臓器が倍音を聴いているようなイメージが立ち上がってくる。ピラミッドの形をしたクリスタルが響きながら顔の左右に揺らされた。じつに心地よく暖かく感じるもので、これは明らかに治癒力がありそうだ。また、横になって目を閉じていると倍音が近づいてきてお腹の中央が暖かくなった。これもピラミッド・クリスタルがおへそのあたりにかざされたことであった。

畳の上に横になるというので、枕のかわりにキッチンタオルペーパーを4枚持参していた。小さく折りたたんで枕がわりに、うまくいった。

横の白人のおっさんはいびきをかいて眠っているし、うしろの女性はピラミッド・クリスタルをお腹に受けて「ううん、ああん」と声をあげて唸ってもいる。まあ、わたしは主催者との信頼関係があるから安心な気持ちで横たわっているけれど、これから初めて単独で入門されるみなさんはどんびきしないでくださいね。

後半の残り10分ぐらいだろうか、クリスタルボウルのハウリングが大きく盛り上がり、コンサートのハイライトのように、文字通り全身でその響きを体感したのだった。まざまざと、中央演台に並ぶたくさんのクリスタルボウルを見つめる。よく、これだけの倍音を放つものだと感心する。倍音浴は音楽でもコンサートでもない。ひとつの治療行為だ。治癒行為とも言えるか。態度としては自分から倍音を受け入れてゆかなければならない。・・・ならない?いやどんな状態であっても効能があるのではないだろうか。

ストレッチだとか太極拳とかヨガをやりながら倍音浴をやったら、もっと効きそうだぞ、そう考えていたら、次回実施7月16日はヨガと倍音浴とのセットだという。

磯田さんが倍音浴によってめまいが治った体験が発端だという。

なかなか治らないメニエール症候群とか、一度は試してみる価値はある。しばらく倍音浴に来てなかったら太ってしまった、とかも耳にした。ダイエットにもいいのか。効能については、磯田さんのサイトで実例がたくさんあるのかな・・・。150にんくらいいたのだろうか、会場は若い女性ばかりが90パーセントを占めているのにはおどろいた。現代ジャズや現代音楽のコンサートにも来てください。倍音浴、ブレイクする前夜だとみた。脳神経系の悩みを抱えている年配者たちのクチコミも加わることだろう。


2011年06月07日(火) 17日金曜日は吉祥寺カフェズミで「よいどれ黒海周遊ジャズツアー」だ!




隔週金曜日夜19時30分出発 「よいどれ黒海周遊ジャズツアー」
旅費 1000円+オーダーぽっきり

主催:ズミ店主泉秀樹 添乗員・お酌:トヨツキー

ジャズ生誕の地オデッサ巡礼とブルガリア、ルーマニア、モルドヴァ、コーカサス他のジャズ名跡・名盤探訪をセットにした、豪華プランのサウンド・トリップ!メロディヤ、バルカントン、エレクトレコード等のヴィンテージLPから最近のCDまでを取り揃えて、ご案内いたします。

第一回 6月17日 旅の心得
第二回 7月1日 ジャズ生誕の地オデッサ巡礼、ウクライナ名所旧跡
第三回 7月15日 ブルガリア:黒海リゾートのヴァルナ他
第四回 7月29日 ルーマニアの隠れ名所発掘
以下、順次ご案内:ルーマニア、モルドヴァ、コーカサス(グルジア・アルメニア・アゼルバイジャン)、ギリシア、トルコ他。内地上陸サプライズ・トリップも!?一緒にジャズ人生の思い出を作りませんか?

(以上チラシより)
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黒海を行き来する民と文化の混交、に、耳のアンテナはどう反応することでしょうか。

ガルバレクが聴いて即座に涙した「ムタツミンダの月」を歌ったカヒーゼ、の、グルジア、が、黒海の東岸に在るのを認識してなかった!
ボヤン・ズルフィカルパシチのセルビア、バルカンだって黒海の西側と捉えれば、たしかに耳は地続きだ。

曲目と感想ノーツを書こうと思っておりまする。他者の耳に出会う契機にもなると思いますので、ぜひ泉さん、トヨツキ将軍にご案内いただきましょう!!!


2011年06月06日(月) Avenging Angel / Craig Taborn ECM2207 ★★★★★



テイボーンのECMピアノ・ソロ作、遅ればせながら聴きました。

これは歴史的な盤だろう。ピアノ・ソロの革命を、またECMが、というのに近い。

アイヒャープロデュースだが、クレジットから音源はテイボーンの持ち込みに近いのではないか。
そして、この閃光のような一撃を露払いにしてECMでリリースが控えているのが菊地雅章のピアノソロではないか、と、なかば確信に近い予感にひさびさにどぎまぎしてる。
これを歴史的な盤だと世界で最初にぶちあげたのはおれだぜ。しかして、その作品の良さを記述できなければ何にもならないのだが。

『Avenging Angel』というタイトル「復讐の天使」は、固有名詞的であり、また、テイボーンは何らかを込めているものだろう。

おれはいままでテイボーンのピアノにはまったく注意を払っていなかった。
益子博之さんといろいろ聴いた過程で、
テイボーンはフェンダーローズの鬼だと、その尖った変態性に耳が立ちはじめていたここ数年にすぎない。
完全ピアノソロが可能だったとは。


2011年06月04日(土) 深夜のレコメン特集での曲目

5月、都内某所にて土曜の深夜23時から2時までの集まり、リスニングセッション「レコメン特集」が行なわれた。

レコメンデッドレコーズは、クリス・カトラー(著書『ファイルアンダーポピュラー-ポピュラー音楽を巡る文化研究』水声社1996)が78年に設立した、国際的にディストリビューションする自主レーベル。

CD屋でパカパカと棚をチェックしてて。左右にくちを開く獅子のマークが「なまはんかな気持ちで買うんじゃねー!」と恫喝されてるように思えるわたしなぞはつい棚に戻してしまっていたかもしれないし、だいたい「RIO」ときいて「デュランデュラン?」と口をついて出るあたりでわたしには聴く資格がないのではないか。

「レコメンはさっぱり知らないなー」
「あれ?たださんは京都への新婚旅行でアート・ベアーズのワールド・アズ・イット・イズ・トッディを買ったんでしたよね」
「おお。あと、ヘイデンとオーネットのソープサッズ、のいずんずり、などLP20枚くらい買ったのだ。新婚旅行だというのに京都にある中古レコード屋をはしご独走する25さいのわしは、新妻にもうまーくんとは絶対旅行なんかしないっ!と言われた帰路の京都駅の待合室かな。」
「たださんはレコメン系は聴いていると思いました」
「え?クリス・カトラーってヘンリー・カウのひとなの?」
「・・・」

レコメンについて、基本的に認識しておかなければならないのは、
「巨大音楽産業に対抗し、良質な(素晴らしく個性的かつ様々な仕方でアヴァンギャルドな)音楽を流通させるための国際的なオルタナティヴ・ネットワークであり、パンク〜NWの流れとは対照的な、キャリアと音楽的素養に溢れた”オールド・ウエイヴ”による変革にほかならない」(福島恵一)
という点。蛍光マーカーでアンダーラインだ。

おれはZNRで最初のダウンを喫し、アクサク・マブールでノックアウト、アフターディナーで灰になってしまった。立つんだ、ジョー!

以下が当日の曲目リスト。このままオムニバスCD化希望!

introduction
01. Flaschenzeug / Vogel
02. Extract 5 from Faust Party 3 / Faust
03. All Hail! / Art Bears from 『The Recommended Records Sampler』

Henry CowからArt Bearsへ
04. Ruins / Henry Cow from 『Unrest』
05. On Suicide / Art Bears from 『Hopes and Fears』
06. Falling Away / Henry Cow from 『Western Culture』
07. Winter Wheels / Art Bears from 『Winter Songs』

 Rock in Oppositionの創設
08. La Faulx / Univers Zero from 『Heresie』
09. Dense / Univers Zero from 『Ceux Du Dehors』
10. Simulacres / Art Zoyd from 『Symphonie Pour Le Jour Ou Bruleront Les Cites』
11. L'amulette et le Petit Rabbin / Etron Fou Le Loublan from 『Batalage』
12. Z1 / ZNR from 『Traite dDe Mecanique Populaire』
13. Macchina Maccheronica / Stormy Six from 『Macchina Maccheronica』

 interlude
14. 6 Petit Chansons / Joseph Racaille

 Rock in Oppositionの発展
15. Not Me / Cassiber from 『Man or Monkey』
16. Nacht / Aqsak Maboul from 『Un Peu De L'ame Des Bandits』
17. Legs / Massacre from 『Killing Time』
18. Spring Any Day Now / Fred Frith from 『Gravity』
19. Fall of Saigon / This Heat from 『This Heat』
20. Glass Tube / After Dinner from 『After Dinner』

なお、時間の制約で10、17はプログラムされていたが、割愛された。


2011年06月03日(金) エクスドット主催ジャチント・シェルシ「山羊座の歌」@杉並公会堂レビュー


東中野の駅のホームから東中野ポレポレの「劇場版・神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ」の垂れ幕を見上げて、荻窪の杉並公会堂に着くのは7時すこしまわるかなと電車を待っていた。


コンサートが終わって10時までやっている吉祥寺のカフェズミへアイスコーヒーを一杯すべり込むとトヨツキ将軍がビールをのんでいた。どんなコンサートなの?ときかれて。


首からドラを下げたばあさんがドラを打ち鳴らしながら、ごぇー、ふー、んぎゃー、と、うたいながら登場してくるんですよ、もう、フォーク・ミュージックの源泉を放っているんですよ、声楽のテクニックが仕込まれているところも理解できるんだけど、年寄りの押し切りでエッジが立つというより伝統芸能のセンかなあ・・・


現代音楽の愛好家からは怒られてしまうような感想だよなあと思いながら話すと、それは面白い、たださんは微分音に耳が行っちゃうよね、あれはフォークですよー、義太夫の、お経のカセットがあって、コルトレーンが、黒海周辺の、と、話題が連鎖拡散して盛り上がってゆく。


作曲家・川島素晴と山根明季子が主宰するシリーズ「eX.(エクスドット)」の17回は、「ジャチント・シェルシ《山羊座の歌》完全版日本初演〜平山美智子を迎えて」で、満員札止めの盛況で開催された。川島さんのツイッターからは予約をいただきましたが断腸の思いでお断りしております、キャンセル、遅れのご連絡はお早めに、と、発信されている。会場に着いて予約者氏名を名乗っていると、うしろにはキャンセル待ちの人だかり。おめかしをしたおばあちゃんたちがたくさん旧交をあたためている。


会場が真っ暗になって。


宮崎駿のアニメ映画『ハウルの動く城』のソフィばあさんが、首からドラを下げて出てきたように見つめたのだし、イタリア未来派の末裔(なのか?ホントに)、不思議な作曲家ジャチント・シェルシとのコラボレーションは、他の歌手では再演不可能とされる、そこに、彼らだけのロマンチックな物語を相対化させるのも可能だけど、そもそも・・・。再演?ふと思うのだ、そもそも音楽は再演されたことなぞなかったことではないのか。


コントラバス奏者、ダブルリードのアルトサックス奏者、ふたりの打楽器奏者、ライブエレクトロニクス奏者、とのデュオ形式のパートも織り込まれている全20曲。1時間半ちかくに及ぶ休憩なしの公演は、またたく間に過ぎた。若い共演者たちもじつに鍛錬された申し分のない出来。ソフィばあさんが、あら、曲の順番を間違えたわ、あなた、ごめんなさいね、と、ステージを歩んで、音楽は放たれてゆく。


山羊座とはシェルシの星座であるだけでなく、生命が地上に生まれた「占星術の山羊座ゾーン」ではないかと川島さんは書いている。地球・人類の誕生と滅亡といった壮大なドラマのイメージ。この音楽が創造されたときに、シェルシと平山が届いていた場所はまさにそういうヴィジョンだったか。


平山によれば、最晩年の3年間のシェルシはお金になる仕事にしか興味を示さず、毎日バレエ学校の女性を多数はべらせ、作曲行為への情熱も薄らいでしまったのだ、と。なかば喧嘩別れ的に疎遠になってゆき協働作業は完遂させられなかったとも。しぇるしー、1905年から1988年、80にもなってそんなことをしていたのかー、わかる、わかりすぎるくらいにわかる。そして、それで山羊座の歌の価値が損なわれることも一切ない。


東京音楽大学(現・東京藝術大学)を出て単身イタリアに渡った平山は、オペラ「蝶々夫人」を100回以上上演するが、その歪んだ日本人像を演じることにストレスを感じ現代音楽へ進む。「シェルシには近づくな、精神病院あがりの貴族が、道楽で作曲のまねごとをしているに過ぎないから」と忠告されていた。フォロ・ロマーノの遺跡群をのぞむ高級住宅街、そこのシェルシが最上階に住む建物でのディナーに招かれた平山は、ディナーを終えて帰るふりをして廊下で朝まで最上階から聴こえるシェルシの即興演奏に耳をすました。二度目には寒さを凌ぐために、ディナーに毛布を持参した。その後、平山のリサイタルを聴いたシェルシが「自分も微分音を用いた作品を作曲している。私が作曲したヴォーカル作品を演奏してみないか」と提案した。その楽譜を見た平山は、なんてつまらない曲なんだろうとの印象を持ったが、最上階から聴こえたシェルシの即興演奏を思い出して、その音楽の可能性を読み取った。1960年、その後25年間に及ぶコラボレーションの始まり。


まるで、映画だ。


子どもの頃、母方のおじいちゃんが、晩ごはんになるとお酒をのみ、朗々と歌を歌っていた、自分で手のひらを丸くこすって拍子をためて叩きながら。おれは微分音がなんで懐かしいかというと、その幼児体験があるからかもしれない。トヨツキ将軍も、子ども頃、毎朝坊さんの読経を聴いていたという。「八木節、あれは革命ですよ」「葬儀っていうのは、最初からお終いまでが音楽なんですよ、ジョン・ケージの前にすでにジョン・ケージなんですよ」「ちょっと、今度お経をがっつり聴きましょうよ」「お経ですよ、お経」「キャニオンのカセットがねー」


夜は更けてゆくのであった。



シェルシは杉並公会堂にいたはずである。





Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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