Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2010年10月31日(日) アンビエント・リサーチ@マイ・タワー・クラブ

オブスキュアー・レーベルのアナログを輸入盤屋でよろこんでいたのは20代だったしなー。

アンビエントってどういう音楽なのか、レコード屋の仕切り箱に入れられたものはすべて田舎の呼び込みババアの「遊んでかない?」というようなクズな音楽だった時代しか知らない。

ノイスはノイズだしなー。フィールド・レコーディングも同様。ビルの建物にマイクを埋めてただ録音したもの、マイクを注射針の先につけて刺す音を録音したもの、胎児が聴く音、パチンコ屋の入り口でずっと聴いていたこと、それらの素材をいじって長く重ねたもの、・・・ううむ。メルツバウを蒐集しようとしたら「毎日新譜が入荷しますぜ、だんな」と店主に言われて諦めたこともあったか。エクスペリメンタルという箱も多彩だったっけ。

そもそもどうやって気持ちよくなろうか、という、おのれの走性の行き先としてしか音楽はないような、ハエの耳にとって、ディストピア・アンビエントというものがどのような理路によって輪郭が与えられるのか、与えられたとたんに「その魅惑」によって対象はにげ水のようになるだろう。理路を与える意識そのものに快楽は仕込まれている。

アンビエント・リサーチに出かけた。

住所のあたりに建物がないではないか?とガード下に目をやると、そこが会場だった。東京芸術大学が廃屋になったようなガード下の2階建てのスペース全体を借り受けての自由空間。学園祭の即席プレハブのかたちなのに、建物に年季が入ってもいるもので、すぐに「おー、今は戦時中なのか」「ここがアジールというものか」とうっとりとし始める。そもそもわたしはおめでたく出来ているようだ。

理科の実験室のような平台があるだけ。そこに2・3の機材。ダイヤトーンのスピーカー。ガード下だから電車が通るたびにガーガー楽しい音と振動が起こる。たびたびブレーカーが落ちる。薄暗いなか、秘密結社の愉しみのようだ。話者がショッカーの首領たちに見える。ノイズも現代音楽も心象風景化して享受していることにかけては右に出るものがいないおいらは、断罪されているのだろうか。

金子さんがテープでかけた音楽は初めて聴いたものだけど、すでに耳慣れた(分類された)ものとして「懐かしいというか、たまにはこういうのもいいなあ」と思うのと同時に、ふと、「これが外界から突如侵入してきた音だったならば心臓が止まりそうになるよなー!」と思った。つまり録音されたもの、は、それだけで絶対安全カミソリなのである。

3にんの子どもをそれぞれ別の機会で同じ深夜にスカイツリーの足元にある側道、業平2丁目19と22のT字に行ったことになる。この巨大な建造物を見上げると、意識がキーンとしてきて(トシで頚椎が圧迫されただけだ!)、音にならない音がしているような、圧倒的、と言えば圧倒的?なのだけど、やー、すごい、やー、すごい、じきに無言で見上げ続けるばかりになる、誰もいない奇妙で魅惑的な空間。

そういえば、山も、音をたてている気がすることがある。

浅草の蛇骨湯、お湯もじつにいいが、電気風呂の電気の強力さは背中を近づけただけで両肩が震えだすような凄さで、体質に合うひとにはおススメだ。


2010年10月30日(土) 世界最大級のジャズ専門店“diskunion JazzTOKYO”  2010年11月26日(金)オープン!!

現代ジャズCDたちの宝庫であり続けるディスクユニオンお茶の水ジャズ館が、
Jazz Tokyo現代ジャズ課長代理・ニセコロッシ氏をCEOにヘッドバンギングをし、「diskunion JazzTOKYO」としてリニューアル。


今後はニセコロッシ氏選定ゴールドディスク、ECMセレクションズが店頭を飾る。
ニセコロッシ氏の報酬は中古CD査定価格の20%アップの優遇とのこと。

オープン記念ライブは、
クリス・ポッター、トニー・マラビー、マーク・ターナー、橋爪亮督、チャールス・ロイド、
カート・ローゼンウィンケル、市野元彦、ビル・フリーゼル、ヤコブ・ブロ、
菊地雅章、ヤコブ・アンデルショコフ、クレイグ・テイボーン、
ラリー・グレナディア、ウイリアム・パーカー、ゲイリー・ピーコック、
ジェラルド・クリーヴァー、トーマス・ストローネン、外山明、ポール・モチアンによる、

5サックス、4ギター、3ピアノ、3ベース、4ドラムス編成のポール・モチアン現代ジャズ19重奏団「Jazz Tokyo ニセコロッシ・ビバップバンド」で、
楽曲によって編成が組まれるとのこと。

録音とプロデュースはステファン・ウインターとマンフレート・アイヒャーが手がけるとのこと。

このスペシャル・セッションのために三善晃、筒美京平、ポール・マッカートニー、小沢健二、ルーファス・ウェインライト、草野マサムネ、平沢進、あがた森魚、岡村靖幸、ジム・オルークらが書き下ろし楽曲提供が用意される。

現在アルヴェ・ヘンリクセン、デヴィッド・シルヴィアン、スティブ・ティベッツ、ウォルター・キンテスらがサウンドトリートメントに意欲を示しており今後の動向が注目される。


2010年10月29日(金) Jazz Tokyo ヴィレッジヴァンガードの3枚目、更新のお知らせ

タガララジオは2回休んでおるが、今月は夜勤を3連休6連休3連休4連休さらに笹久保伸の夜勤も休んだので、月に13日しか働かなかった計算になる。仕事もしないで、都内10図書館通いと編集CDR作り、という、独りでヘッドホンつけて深夜に「はあ、はあ、はあ・・・」と、曲順入れ替えて作りなおしたり、3回も聴いて「やっぱりいまいちだー」と贔屓のミュージシャンを切ったり、おれはおれなりに忙しくて過ごしているのだけれど、会社では「原因不明な更年期か?」と健康診断を受けさせられ何の異常もない、しかし、ほら、こうして運動もせずに座ったまま編集CDR修行をしているものだから、足腰が痛いし、肩こり、腕の痛み、手のシビれ、明日も休むのでよろしく。

ここはポール・チェンバースのリーダー作から「ディア・オールド・ストックホルム」、ピアノがハンク・ジョーンズ、ギター:ケニー・バレル、タイコ:アート・テイラー、このトラックから、また夜更かしがはじまる。

ポール・モチアンの新作、といっても、ヴィレッジヴァンガードの3枚目だが、Jazz Tokyoのレビューが更新された。
90年代以降ニューヨークシーンの若き才能を触発し続けている現代のジャズメッセンジャーズ状態のモチアンを、きちんと研究して位置付ける評論家はおらんのか。おれに知力と財力があればモチアンにへばりついてドキュメントするのに。おれのように気の向いたものしか聴かない気の向いたときしか聴かない不良中年まもなく老人によたれて書かれても、な。でもリンクをはった「ブロードウェイVol.5」のレビューは読んでてわれながらおもろいと思う。

今回のJazz Tokyoのレビューには『タブラ・ラサ』のスペシャル・エディションがある。相原穣さんによる素晴らしいものだ。

ああ、書いてた、書いてた。
すばらしいものに出会うのは一瞬である。・・・あれ?また意味わかんない日本語かな・・・。


2010年10月28日(木) みんな!たのむ、野島稔の公演があったらすぐに教えて!!!

昨日の日記でお誘いした「アンビエント・リサーチ」(30日17時から20時)に長男を連れて行こうと思う。
アルトサックスを吹くが、パーカーもマーシュもターナーもアイラーもガルバレクもドネダも素通りするすさまじい耳を持つくせに、芸術を勉強しようとする無謀さを持つ神童だ。
帰りに浅草でメシでもくおー、と。そしたら浅草に住む長女がわたしもたべたい!とのこと。いいよいいよ。
ふふふ。講演が終わって9時ちかくに浅草をうろついても寿司はないからな。ココイチのカレーでいいだろー。
そして仕上げは浅草の蛇骨湯だ。

土曜日はトップハムハット卿とエイハブ船長とオフライン・ミーティング。

サリマン先生の体調が心配だ。こないだジスモンチとビョルンスタ「光」とピサロのJuly MountainのCDRを送った。

ピアニストの野島稔のコンサートを狙っていたのだけど聴けなかった。
とにかく野島稔のピアノを生で聴かなければわたしは前に進むことはできないような気がしている。


2010年10月27日(水) ロヴァの耳と耳の枠はずし

AKB48『神曲』のトラック1のために図書館予約53番目のわたしです。
オトコ言葉で応援団をやるはつらつに、最初は「けっ!」と言いながら何度も再生ボタンを押しているうちに好きになっているおれ。

クラシック数百年の歴史を数十年で駆け抜けたジャズ、ビックバンの瞬間に終焉を迎えていた完全即興。
その認識は発展史のひとつの見方ではあった。

ところが「即興は最初から音響をモンダイにしていた」(福島恵一)という革命的な切り口に耳がざわめいている。
清水俊彦が、マンフレート・アイヒャーの空間志向をいち早くに見抜いていたのはさすがだ。

福島恵一:ECMの音の眺め

この記事を読んで、註で出てくる王様のくだりに、ふと十数年前に初めて福島さんと言葉をかわした瞬間のことを思い出した。
「ロヴァの耳というタイトルは、やはり王様の耳はロバの耳からですか?」というにこやかな笑顔のシーン。

福島さんのブログ名が「耳の枠はずし」という、カッコつけてもいない、オシャレでもない、それでいて宣言のような日本語であること。

おおお。もしかしたら、ぼくたちは「王様の耳はロバの耳」と、やはり言わざるを得ない耳の同志だったのではないだろうか!

前向キング「す、素晴らしい・・・。それは耳の同志だと言うことではないか!」「は、はいー!」

・・・などと深夜に思いついて、ははは、それはさすがに虎の威を借るキツネみたいな態度だなー、ポリポリ・・・

というわけで皆の者、アンビエント・リサーチで会おうではないか!


2010年10月26日(火) ECMカタログがECMサイトで販売されることに



英語と中国語の翻訳もしたほうがいいと思います。


2010年10月25日(月) 11月の予定 日の出湯

こないだ「わたしも、シフ、行きますよ!」とうれしいごあいさつをいただいた。

ラドシュ門下のラーンキ(Ránki Dezső)、コチシュ(Kocsis Zoltán)、シフ(Schiff András)はハンガリーの三羽烏と呼ばれたらしい。
コチシュは20代のころ聴いたなー、ECMファンクラブに来ていたかわいい女の子から輸入LPを借りて。
シフはECMニューシリーズで出るまで知らなかった。ラーンキはいまだに聴いていない。

タガララジオの連載を2回休んでいる。モチアンの新譜レビューだけ書いた。
ニセコロッシコンサートツアーはもっとさぼっている。7月のファジル・サイがあまりにつまらなかった以来フリーズしている。

さあ、健康を取り戻すために、11月は5つのコンサートを予定している。

6日は荻窪ベルベットサンでの『王政復古』というジャズのライブ。市野元彦(gt) 渋谷毅(pf) 外山明(dr)を体験してくる。
12日はヤマハホールでモスクワ・クワルテット。バラライカを含む編成の渋そうな音楽。
13日はサントリーホールで日フィル、ブルックナー8番。
20日はサントリーホールで都響インバル指揮一柳慧「インタースペース」ほか。ピアノ:デヴィッド・グレイルザンマー。
30日はサントリーホールで都響インバル指揮四方恭子ヴァイオリン。

ホールでオーケストラの響きに浮かされるのにはクセになります。

ふふふ。7日に入った函館の日の出湯。
ついに出会ってしまった、というカンジでした。すばらしく熱いお湯。しびれるからだ。お湯飲む。折口死者の書のような生き返るような元気さ。どうにかしてまた行きたい。
函館市民会館で何かコンサートないかなー。一昨年は庄司紗矢香が東京では考えられないチケット代で公演していた。


2010年10月24日(日) 抜歯をする

去年行った歯医者がヤブで、「シュミテクトで磨いて様子をみてくださいー」と言われていたが、ひだりのアゴは痛いし肩こり、手のシビレにまで至っているようだった。整体医に行くと「頚椎圧迫から来るシビレでしょう」とハリとマッサージをする。

ひだり親知らず手前の奥歯の歯ぐきが腫れてふくらんできたので4日に歯医者へ行くと、腫れた歯ぐきを切開してウミを出し切り、歯ぐきに麻酔が効くようにしてから、15日にその奥歯を抜いた。アゴじゅうがバキバキするような壮絶な抜歯だった。

インプロ初期の盤に抜歯する骨格の図像がジャケになっているもの、って、ありませんでしたっけ???

抜歯されながら「ぐごごごー、もうインプロは聴きませんー!」と、歯医者が聞いても何のことかさっぱりわからない悲鳴をあげていた。

抜歯後。ひだりうでがシビれて、筋肉がこわばって痛いし、肩こりもひどい。

そんなんで、コーラの摂取量がひと晩に500ml缶3本になり。ロッテのガーナブラックチョコレートを2枚と。食べるラー油をスプーンで舐めながらロングピースをふかすという、自分でも健康に悪そうだー!と過ごしていたのだが。

その矢先に、太った同僚が腎臓透析、やせた同僚が食道ガン転移で死去、のっぽの同僚が尿道結石、と、たて続くもの。夜勤労働者の平均寿命は短い。ア、アイヒャーのエックスデイのあとに出てくるかもしれない激レア音源が出てくるまで死ぬわけにはゆかないのだ。


2010年10月23日(土)

まだ福島恵一は書いていない、おれが先手を打つ!と感想を書いた数分後に福島さんがライブ・レビューをしている。

うぐぐ。・・・さ、さすがだ。その着眼点、その形容、み、見事すぎる・・・。
・・・ああ、おれの書くことのなんと浅いことよ・・・

「素晴らしい・・・」
「ま、前向キング!」
「福島恵一よりも文章が短いではないか!」
「ハイッ!」

前向キングの工場編「素晴らしい・・・君が全てを任されたということではないか!」のほうが好き。ウェブに無いなー。


2010年10月22日(金) 笹久保伸@平河町ロゴバ

評判のギタリスト、笹久保伸を聴いてきた。麹町から徒歩2分、平河町ロゴバという家具屋のオープンスペースでのコンサート。ギタリストの目の前で108万円のソファにひっくり返って聴いてきた。ギターをこれくらいの至近距離で、というのは現代ギター社のホール以来だろうな、音がいい!ゲンダイオンガクだとか、インプロの聖地のひとつ埼玉ホール・エッグファーム(懐かしいゆで玉子屋だ)で演奏したとか、怖いもの見たさであったけれど、すごく楽しかった。

高橋悠治の68年作品、どこかに68年らしい表現の感触があるかと耳をそばだてたが、するすると(たぶん難解な)楽譜が足元に落とされ音は空気に溶けてゆくようだった。

ギター2台での「しばられた手の祈り」、悠治さんが朗読の「ジョン・ダウランド還る」は良かったなあ。

クラシックのギタリストだと思えない柔らかさ、というんか?褒めてんだか、よくわかんないだろ。

だいたいこの界隈の音楽は、ブリザードが吹き荒れていたり、ずっぽりと足元が底無し沼のようなシャーベットだったり、凍えるところでどう戦うかというものなんだが。自作曲の自然な楽しみも好ましい。笹久保の歩む雪原はじつに軽やかだ。


1. メタテーシス供聞盒桐治)1968年作曲
2. 重ね書き(高橋悠治)2010年度委嘱作品
3. しばられた手の祈り(高橋悠治)1976年作曲(ゲスト:金庸太)
4. ジョン・ダウランド還る(高橋悠治)1974年作曲(ゲスト:高橋悠治)
〜 休憩 〜
5. 3つのペルー伝承音楽(音源採集、編曲:笹久保 伸)
6. プリペアドギターの為の3つ(笹久保 伸) 時間とプロセス/蜘蛛の糸/人魚への捧げ物


2010年10月18日(月) 今週の日曜日10月24日午後5時から「ポスト・クリョーヒン・スタディーズ第2弾」@カフェズミ開催

今回はすごいぞ、映像がとんでもなく良くて、話している時間は無いくらいだ!映像三本立て!と、トヨツキー将軍がうれしそうに。

「とにかく、ガイヴォロンスキー(tp) 
そして、マルトゥイノフ(作曲)   
さらにスタロスティン(folk-fl,vo)  
この夏モスクワ長期滞在した鈴木正美さんが撮ってきた映像を、一度は見てほしい。すごい、すごいんだよー!」

おおお。やはり見なければ始まりませんね。これは単なるロシアのジャズではなく、ジャズの起源の東方ルートさえも視ている耳の冒険、未知との遭遇なのだろう。わたしたちは、どのような温泉にも一度は入ってみなければならない(なんのこっちゃ)。

鈴木正美さんの「1960年代のジャズ・フェスティバルと聴衆」、ロシアのジャズはじつに1922年から始まっているのである。
PDFファイル12ページ必読論文だと思う。>


↓以下ご案内↓

10/24 混民サウンド・ラボ・フォーラム 第7回 ポスト・クリョーヒン・スタディーズ 第2弾

混民サウンド・ラボ・フォーラム 2010年秋期
第7回 ポスト・クリョーヒン・スタディーズ 第2弾
パネリスト: 鈴木正美、岡島豊樹、北里義之(司会)

日時: 2010年10月24日(日)
開場: 16:30 開演: 17:00
会場: 東京 吉祥寺「サウンド・カフェ・ズミ」
   東京都武蔵野市御殿山1-2-3 キヨノビル7F
   Tel 0422-72-7822
料金: ¥2,000(飲物付)
予約・問合せ: 音場舎
   Tel&Fax: 03-3731-8191/e-mail: omba@w2.dion.ne.jp

混民サウンド・ラボ・フォーラムも秋期にはいりました。
第七回は、本年の四月、カフェ・ズミにて単発でおこなわれましたロシア・フリーミュージック現地報告会の第二弾です。これまでに、渋谷アップリンク・ファクトリーのシリーズ・レクチャー「ロシア・ジャズ再考」や、現代ジャズ文化研究プロジェクトの結成などを通し、斯界の第一人者として知られる鈴木正美が、この夏、三ヶ月間という長期モスクワ滞在によって得た新たな情報や音源、さらにハンディ・カメラをまわしての貴重な映像などをご紹介いたします。お相手は、東欧〜スラブ音楽研究センターを主宰する岡島豊樹。現在考えられる最高のナビゲーターであるおふたりが、20世紀ロシア・アヴァンギャルドの歴史をふまえ、新たにポスト・クリョーヒンのパースペクティヴを拓く秋期混民フォーラムに、ぜひお越しください。


2010年10月17日(日) 今日は「ECMカタログ出版記念祝賀会」 2

「"ECM Library" (青山「月光茶房」) オフィシャル・オープニング発表」




名称「ビブリオテカ・ムタツミンダ」

この画像、そして福島さんの動かし難いテキストの喚起、ムタツミンダに込められたあまたの意識。

「アイヒャー・エコー」とは単なる音の化粧法ではない。それはいわばマンフレート・アイヒャーによる
「響きとにじみの哲学」の産物なのだ。
音を、世界の生成を、凝視して止まない耳と指先のための。  福島恵一

原田正夫さんのブログ
福島恵一さんのブログ

「ムタツミンダの月の光に照らされている限り、遠い無限の彼方に遊び、切り立った死の淵をのぞきこむことだって可能だ」と、選曲の意味を定位するとは、さすが今日的音楽の最強論者、耳の熊楠、福島恵一だ。熊楠とは南方熊楠だが、音盤茶話会に集まるであろう面々を「福島恵一と北方ロマンチカ」と呼称したい誘惑に駆られる。

Jazz Tokyoでタガララジオを発作的に押しかけ連載し始めて、「福島恵一始動!」だなんて(福島さんは継続的に執筆を続けられていたのに)書いた矢先に、福島さんの「耳の枠はずし」連続レクチャー「不定形の聴取に向けて」が始まって、「ECMカフェ」「純喫茶ECM」で3にんで選曲作業という至福の時間を経て、この間ずっと聴いてくださっていた斎藤さんのビジュアルとも組み合わさって、なんともすべてがマジカルな生成です。

そうそう、斎藤さんが会場にいらしたのでこの写真についてきいてみました。「これ、すごいものが映っていますね、どこで撮ったのですか?」「熊野に行ったときで、結界がはられた立ち入り禁止の場所なのに、あなたは入っていいと言われて・・・」、そのような場所で撮られたものだそうです。・・・なんとも、すごいことです。


2010年10月16日(土) 今日は「ECMカタログ出版記念祝賀会」

南青山のライブスペース「月見ル君想フ」にはじめて行きました。先月アーリル・アンダシェン(アリルド・アンデルセン)が待望の来日公演を果たした場所。今日は「ECMカタログ出版記念祝賀会」がありました。現代ジャズの同行二人ルフィ大佐とトヨツキー将軍とともに歩む南青山の裏通り。

ECMカタログにはアイヒャーも感激してくれたようで、ECMサイトでも発売されることになった。廃盤やレア盤まで収録した内容は、外部の手によらなければ公開されないものだったし、アイヒャー周辺のひとたちの好感触も伝えきく。おいらは及び腰かつ好き勝手な記述での参加で今となっては稲岡親分に暴言の数々を詫びたい心境であるが、こうなると目指すは翻訳化だな。アイヒャー、怒るぞ、おれの記述に。増補版をめざしてちゃんとECMを追いかけておかなければ。

「稲岡邦彌、悠雅彦、杉田宏樹による鼎談」
今村健一さんが名古屋から駆けつけ司会の任。アイヒャーがインタビューで、ECMの成功には日本の関係者・ファンのちからが大きかった、と語っていたことを紹介。杉田さんのECMとの出会いはジャレットの『ステアケース』だったお話も面白かった。

「ニック・ベルチュによるソロ・ライブ」
さすが日本通のベルチュだ。ジャレットの日本公演LP10枚組ライブ、稲岡さんとアイヒャーの記念碑的偉業だ、これの大団円、札幌公演のアンコール、一音連打の持続、これをもとにベルチュは禅スピリットによるグルーヴ演奏をしたのだった。・・・これを指摘すると稲岡親分も大沢親分も「考えすぎだろー!」という。いや、もう、あのジャレットの果てからベルチュは現代性にアダプトさせてみせたのだ。ちょっと、ニックに確認してみてくださいよお、と食い下がるニセコロッシなのであった。

「ECM ドキュメンタリー映画  “Sounds and Silence”」
アイヒャーとともに旅をする。アイヒャーと、ペルト、ベルチュ、トロベーシ、サルーシ、それぞれ異なったコミュニケーションが垣間見られる。ニック・ベルチュとアイヒャーのシーンでは、音のタイミングや音配置の取りかたにまでアイヒャーは確固とした指示を出していたのが印象的だった。ベルチュたちはアイヒャーの楽器に過ぎないと言ってもいい。ま、そんなことは関係者には言えないことだ。

ニック・ベルチュを聴いたのは05年の『Stoa』で、これはピアニストの作品というより5にんの演奏家による描かれた音像の持続体験が新しい何物かだと思った。musicircus試聴室でのECM再生に適した聴取で、「今度トリオで初来日しますよ」と言われて「いや、この5にんで聴かないと意味がないんじゃない?」と話した記憶がある。アイヒャーがここまでおのれの楽器として彼らをサウンド構築しているときに、ピアノトリオでの演奏というのは、また彼らにとって新しいチャレンジとなったものと推測される。

「"ECM Library" (青山「月光茶房」) オフィシャル・オープニング発表」
(明日の日記につづく)


2010年10月15日(金) 月光茶房併設ECMライブラリー、ビブリオテカ・ムタツミンダと確定!

おおお。月光茶房のECMライブラリーの名称が明日のECMカタログ出版記念祝賀会に先駆けて公開されました。


山にはいろんな眼差しがあるんだろうと思う。

歩いている場所から、とか、過ごした時とか。こないだ北海道の大沼公園へ向かう札幌からの道すがら、駒ケ岳の姿を、子どもの頃の記憶や、小学校の遠足や懐かしい永遠の級友たちの歓声の記憶とともに、眺めた。

ムタツミンダというのはグルジアのトビリシにある山で、指揮者のヤンスク・カヒーゼが自分のオケでおそらくプライベートに近いかたちで録音した「ムタツミンダの月」で、心臓疾患から奇跡的に快復した生の歓びを故郷の風景に託して歌っている。歌詞は・・・いまだ調べていないんだが・笑。マンフレート・アイヒャーがスタジオでヤン・ガルバレクにこの録音を聴かせたところからガルバレクの集大成的大作『Rites』(ECM1685/86)に発展したというエピソードを持つ。来日公演ではじめてガルバレクと話せる瞬間が訪れたときには、すでに亡くなっていたカヒーゼさんについてだけききたかった。

ガルバレクに彼との思い出をきいてみた。身振り手振りを交えて、オーケストラを前にしたカヒーゼさんの指揮者としての専横ぶりをガルバレクは嬉しそうに語った。「でもぼくには、事前に、練習ではそういう厳しい態度を取るけど気にするなよって伝えてくれてね。」あたかもガルバレクにとって、カヒーゼさんは死んではいないことを語っているようだった。

世界にも類を見ないECMコンプリート資料室の名称が「ビブリオテカ・ムタツミンダ」だと、アイヒャーやガルバレクが知ったらどんな顔するだろう。

「ビブリオテカ・ムタツミンダで開催予定の音盤茶話会」では音響即興やノイズやポールモチアンや欧州トラッドなどががんがんにかかっていたりして。


2010年10月14日(木) 音楽には演奏者がいるという神話 2

福島恵一さんがブログ「耳の枠はずし」で、
「ECMは音がナナメ(+o+) 音楽には演奏者がいるという神話」として、わたしの走り書きに言及いただいている。


「純喫茶ECM」の当日、お客さまが入場するあいだ福島さんとふたりでテーブルに並んでいて、
バス停の待合所にいるような気分で何気なく話していたんだけど、ダンサーが反復運動を強いられて発現するトラウマ、とかとか、
ラカンの短時間セッションのように、師から多くのものを伝授されたおいらなのだった。

おまけに自分でも何が書きたいのかわからないでいた禁断のガルバレク論にまで・・・。老いた母親には読ませられないものだ。
そして福島さんに眼差されて、わたしはわたしの知らないわたしに気付かされるのである。
はやくツタヤに行ってバスター・キートンを借りて勉強しなきゃ。

アンビエント・リサーチ第3回「ディストピアの音楽」、これまた刺激的なテーマだ。

ディストピアときいておれはパット・メセニーの最終兵器ピカソ・ギターによるカルテット演奏の聴きはじめると鼻血が出るほど気持ちいいピカイチなトラック「Dismantling Utopia」ユートピア解体の意?を想うのだ。メセニーもまた、じつは人格消失的な歩みをしているのではなかったか。それまでのジャズ史では解けないメセニーの歩み、を、意外に意識してこなかった気がする。

タガララジオを読んでくれているルフィ大佐が、「おい、ニセコロッシ、現代ジャズの特質をサッカーの美しさにたとえたのはさすがだな!野球のように役割分担が決まっているスポーツとの対比で、サッカーというのはあれだろ、基本的な役割設定はあるけど、瞬時瞬時に役割が変わってゆくからだろ!現代ジャズはモダンジャズの文法では読めない、わかりづらいのはそこなんだろ?」と解説してくれた。

おいら、そこまで深く考えていませんでした、偶然です。現代ジャズがわかりづらいと思ったことは一度もないし、難解だといえば今聴いているベートーベンホールのジョージラッセルの響きとかユニバーサルシンコペーション1とかのほうが・・・。

響き、トーン、空間というアプローチで、マイルスのソーサラーもネフェルティティもインナサイレントウェイも、あっさりわかる気がする。

全体として音を聴いているのに、仕分けられた演奏者の役割にばかり耳が行ってしまうと、それは聴こえない事態を招いてしまう。

新しい音楽が、若者、とくに若い女の子によっていちはやく見出されるというのは、理にかなっている気がしませんか?

わたしたちはつねに音楽を聴きはじめた中学生の頃にフィードバックできないとするなら、それは老いであり死を意味するのです。

さて、わたしたちは十牛図のどこに来たのでしょうか。


2010年10月13日(水) 来る10月16日(土)は「ECM Catalog」出版記念祝賀会があります。

青山・月見る君想うの告知
オフィス・オオサワ「Real & True」の告知

今年福島恵一さん原田正夫さんと行った「ECMカフェ」でも「純喫茶ECM」でも、かつて、80年代のECMファンクラブで出会ったかたや、90年代後半のニフティ・フォーラム「倶楽部ECM」で出会ったかたの、どなたにも(!)再会できなかったという特筆すべき現象がありました。来場された皆さんは新しい聴衆だったようです。

最近のECM、ぶっちゃけ、どおよ。

今年になって、ダウンビート誌の批評家投票でEicherを3年連続で年間ベスト・プロデューサーに、ECM Recordsを年間ベスト・レーベルに選ばれている、なんて話を読むと、これまた現実と乖離しているなあ、と、思うのです。ジャズ・サイドから見たECMという像はあります。しかし、現代ジャズにおいてはクリーン・フィードとか、いいレーベルたくさんあると思います。

ジャズ耳、現代ジャズ耳によって現代ジャズのありようをドキュメントしたいと耳が渇望する身体となったわたしは、ECMのジャズ系の作品に対して非常にアンビバレンツな、二重基準相互乗り入れ的な、取り乱しをするところであります。

この祝賀会へは、わたしも夜勤徹夜明けでへろへろになって、おまけに前日に「左奥歯・親知らず手前」を抜歯手術を予定しているのですが、会場へたどり着きたいと思っております。


2010年10月05日(火) 映画『ジャーニー・オブ・ホープ』にあった沈黙のこと

備忘ネタ。

アイヒャーが音楽監修をした90年スイスの映画『ジャーニー・オブ・ホープ』。ガルバレク、リピダル、アンデルセンが使用された。

この映画『ジャーニー・オブ・ホープ』、主人公のおやじは小さな息子とトルコから希望の地スイスを目指す過程でアルプス越えをするはめに陥って、背負った息子を凍死させてしまう。

妻と再会し、横たわる息子に駆け寄った妻のシーン、で、画面が沈黙であり、声をあげる妻の映像だけ、という場面がありました。

これは映画監督の制作ですが、この沈黙、が、ECMの沈黙ではないか、と、当時は思いました。

亡命、希望、苦難、絶望、を、内包した沈黙。

あまりにベタに音楽が使用されたせいか、アイヒャーはこの映画監修の仕事にはその後触れていないようです。


2010年10月04日(月) アグネス・イン・ワンダーランド(タガララジオtrack092に加筆部分)



1979年4月に発売されたアグネス・チャンの『不思議の国のアグネス』は、ゴダイゴとのコラボレーションで、2曲以外英語歌詞での作品。

「ガンダーラ」、「Monkey Magic」、「銀河鉄道999」の3曲で通算9週間2位という人気絶頂期のタケカワユキヒデが、さらにアイドルの作品を、しかも本人が書いているとおり「まるで新しいサージェントペパーズを作るような感覚で一曲一曲仕上げていた」に相応しい創造の万華鏡状態だ。今回発掘されたタケカワ本人が歌うデモ・ヴァージョンは、まさにひとりりポールマッカートニー状態にあることに感動する。

それをアグネスが歌う。英語のアグネス。ううう、23さい独身のアグネスが歌う。

一緒に歌う!青梅街道深夜の独りドライブで歌う!ジャージ姿ヒゲヅラのおやじがやかましい音楽を鳴らしながら深夜の山道を、くちを大きくあけて嬉しそうに血走った目で運転して暴走しておりてくる!楽しい!楽しすぎる・・・

でもな。時の流れだ。ゴダイゴの絶頂期でさえ、2010年には最前線ではないという苛酷な現実もある。でも、キーボードの音とか、アレンジとか、文体は古くても表現は永遠に瑞々しいものがある。エバーグリーンとはこのことだ。これを充分に鳴らせるシステムとリスニングルームがほしい。

フリー・コラージュっぽい導入効果が楽しい「Woops, What's This?」、ジャバウォキの呪文と浮遊する旋律が楽しい「Talkin' Jabberwocky」、そして曲のつなぎの見事さ、夜空に漂う異空間となるタケカワユキヒデ屈指のバラード「Who Am I?」。この3曲のスキの無い輝きを聴け。天才タケカワユキヒデ自身が、このあと曲が書けなくなってしまった感があると、実際ゴダイゴは失速するわけだが、述懐するのもうなずけるほどの、ほんとうに破滅的創造に突き進んでいる、のだ。

ううう。おいらは、高校3年の受験生なのにビートルズのフィルム・コンサートに出かけては寒空の人ごみの中、重たいラジカセを持って(!)ゴダイゴの「銀河鉄道999」をただただ音量を上げていたのだった・・・。

・・・ああ、カミングアウトしてしまった!なんで、そんなアホなことをしていたのだろう。「世の中にはこんなステキな音楽があるんだぞ!おら!みなのもの!聴け!」というのが当時のわたしの真意だ。・・・アホだ。アホすぎる。

でも、そのアホさ加減は、49さい(始終臭い)になっても、おんなじなのだ。青梅街道沿いの住民のみなさんに申し訳けがたたねえ。ああ、はやくじごくにおとしてくれ!耳だけ残してからだじゅうに念仏を書いたろか!


2010年10月03日(日) 純喫茶ECM来場御礼2 「ムタツミンダの月」を聴く

福島恵一さんがブログ「耳の枠はずし」で、レスター・ボウイのグレート・プリテンダーを語り
こ、この、最もECM的とは思っていなかった盤、だいたいおいらのECMベスト202に挙げていない盤、によって、
ECMの本質を見事に要約してみせている!のが、すごいところだ。

この論旨は英訳ドイツ語訳されて、世界中のECMファン、アイヒャー本人に読んでもらいたいくらいだ。

原田正夫さんの美術家らしいジャケに対する語りも、やはりそうだ。
いよいよECM Library が開館する。
コアなECMリスナーものけぞるソナス・ファーベルというスピーカーもはやく聴いてみたい。

ECMカタログの制作過程では、ECMに駄盤って無いのではないか?と心底思わされることがたびたびあった。
いちおう『エピデミクス』をああは書いてしまったが・・・。

「ムタツミンダの月」を、
ECMカフェ、純喫茶ECMで時間を共有できたみなさんに感謝の気持ちを込めて、ここで聴きたいと思います。

You Tube「ムタツミンダの月」

ECMの鍵

・・・ふふふ・・・ECMの感動秘曲はあと50曲ぐらいあるんだがな・・・さらばじゃ・・・と、怪人イカデビルは去ってゆくのであった・・・


2010年10月02日(土) 田中宇「日中対立の再燃」無料配信ニュース

田中宇(たなかさかい)さんの国際ニュース解説をしばらくチェックしないまま暮らしておりました。
「日中対立の再燃(2)」、これは無料配信の記事で、メアド登録だけで読むことができます。
有料の配信記事「田中宇プラス」もあります。

尖閣諸島の騒動をどう捉えるか、という点で、おいらはテレビで受けた印象そのままに考えておったのですが。
えええっ!中国に喧嘩を売ったのは日本だったようです・・・。

いやはや、何が起こっているのかさっぱりわからん。

小沢一郎が3年前に訪中して胡錦濤国家主席と会談して「日中両国の友好関係はどんな状況になろうとも維持する認識で一致した」と発表があったときには、「どんな状況になろうとも」って、どんな状況まで含んでいるのだろうか心配であったけれど。

こないだの民主党党首選挙でも、最初は小沢圧勝予測だったのに、菅が巻き返してゆく過程で、鈴木宗男が収監されるニュースが聞こえたあたりで、菅直人が勝つのが見えたような。なにか、わたしら庶民の届かない操作を感じたものだが。

今日見つけた。松岡正剛が千夜千冊で田中宇『タリバン』をレビューしていました。


なにかいやな感じのする世界ですね・・・


2010年10月01日(金) 10月だ。8日、9日は、バティスト・トロティニョンを聴きに行きましょう!

サイトJazz Tokyoがリニューアルで、タガララジオ16は冒頭から、このフランスのピアニスト、バティスト・トロティニョン来日公演
を。

日時

10/8(金)新宿 Pit Inn 
トリオ・コンサート開場 19:30 開演20:00 予約 / 前売4,500円 当日5,000円

10/9(土)昼の部 新宿 Pit Inn
ソロ・コンサート開場14:00 開演14:30 予約 / 前売3,000円 当日3,500円

(ご予約・お問合わせ)新宿ピットインTel 03-3354-2024  shinjuku@pit-inn.comhttp://www.pit-inn.com/
新宿ピットインにて、チケット発売中!!(電話、およびメールでの予約可・開場時優先入場整理番号付)


このフランスのピアニスト、バティスト・トロティニョンBaptiste Trotignonのピアノ・トリオ@新宿ピットインに走りなさいと、おいらは2010年10月にここで書きたい。ジャレット、メルドー、そして・・・トロティニョン、かもしれない。

おれ、昨年東京丸の内で聴いてるんだよな()。われらmusicircusの同朋アスキータちゃんがじつにいい記事()を書いていますね。

で、CDはこれ!




Suite Part III / Baptiste Trotignon from 『Suite...』 (Laborie) 2010

「マーク・ターナー、デイブ・ホランド、エンリコ・ラヴァ、が、このピアノに触手を伸ばしている!」

この50分に及ぶ組曲。メンツを見てくれ!
Baptiste Trotignon(p) Mark Turner(ts) Jeremy Pelt(tp) Matt Penman(b) Eric Harland(ds)
2009年7月7日、8日 Live at Charlie's Wright (London)

現代ジャズ・サックスの皇帝マーク・ターナー、ギター皇帝カート・ローゼンウィンケルの双生児、彼は才能を見抜いた共演歴(フェレンク・ネメス、ブノワ・デルベック、ヤコブ・ブロ、ディエゴ・バーバー・・・)にも要チェックなのであるが、そのマーク・ターナーを従えての堂々としたカルテットの演奏だ。

タイコのエリック・ハーランド、こないだはローゼンウィンケルのスタンダード・トリオ『リフレクションズ』でいい味を出していたが、ここでもピカイチな推進を見せている。トランペットのジェレミー・ペルト、吹きまくりのテンションで、これはジャズファン瞠目ものの才能だろう。

そんでもってトロティニョンは、来年、マーク・ターナー、デイブ・ホランドとのトリオで公演することもすでに決定しているのである。また、エンリコ・ラヴァからもオファーがかかっている(ECM盤『ニューヨーク・デイズ』!モチアン、グレナディア、ターナーだろ!)という。

おおっ!NHKで児山紀芳さんが9月26日(http://www.nhk.or.jp/jazz/playlist/index.html)で、このパート3を選曲されている!さすがいい耳してるな。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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