Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2009年06月22日(月) Gianni Gebbia/ジャンニ・ジェビア Daniele Camarda/ダニエル・カマルダ

なにげにイタリアの真っ青な空を映すような狂気を内包する即興サックス奏者Gianni Gebbia/ジャンニ・ジェビアを、
検索しはじめるおいらもおいらだとおもうが、
き、京都で7がつ19にちにこんなライブがあるという・・・。
いいインプロヴァイザーは残るねー。ここで、すわ!と京都へ旅立つアクティブなおやじでありたいが。

一緒に来日するジェビアと同郷のベーシストが気になる。

Daniele Camarda/ダニエル・カマルダ(bass,voice)
イタリア、シシリア島、メッシナ生まれ。ボストンのBerklee College of Musicを卒業。「リュート」とミックスした自作の6弦ベースなどを用い、単なるベーシストとしてはくくりきれない、多彩な音色やフレーズを確かなテクニックで生み出す音楽家である。ヨーロッパ、アメリカ、南米諸国、インド、南アフリカ、中東地域などで精力的に演奏活動する傍ら、ソロワークスやジャンニ・ジェビアとのデュオ作品、また、サポートミュージシャンとして数々のレコーディングに携わっている。主な共演者は、Ferenc Nemeth, Lionel Loueke, Emanuele De Raymondi, Gianni Gebbia, Chris Cheek, Bob Moses, John Abercrombie, Dave Samuels, George Russell, Vardan Ovsepian, Keith Carlock, Daniel Zamir, Jojo Mayer,Fernando Isella等多数。

共演者の筆頭に、おいらの一昨年の年間ベスト盤のFerenc Nemethだと?まじでか?

おー。7がつ10かに秋葉原CLUB GOODMANでライブが!
これはぜったい新しい感覚のミュージシャンな気がする。対バン多数かー。金曜日はよる9じ15ふんくらいまでしか居られないし・・・。
ま、いっか。だれかがアンテナをたててくれてるだろう。
石橋英子ってドラマーとジェビア、カマルダのイタリア勢2名のポップな新譜ですって。やはりこいつらどこか逸脱してると思った。

Gianni Gebbiaを「イタリアアヴァンギャルドの肌触り、トルネードのごとき旋律の奔出ぶり、彼にとって狂気は外側にはない、ケイト・ブッシュは彼に恋をすべきなのだ」などとおれは4ねんまえに書いている。


2009年06月21日(日) Stéphane Kerecki Trio & Tony Malaby - Houria (Zig Zag, 2009)




「それぞれのソロは、“威嚇”というような表現を想起させる真剣勝負」
「脇目も振らず硬派な演奏で突き進む現代アーティストの渾身の一作」
まったくすばらしいジャケである。
法隆寺の、聖徳太子鎮魂仏像である釈迦三尊像、梅原猛の衝撃のデビュー作『隠された十字架―法隆寺論』か、おまえは!

HMVの通販は安いんだよ。
クリスポッターのアーティストシェアーの新譜とトニーマラビーの現代ジャズ盤新譜を注文に出してみた。

6がつ29にち。
高校生の次男に17さいの誕生日を祝する電話をかける。
「ぱぱぁー!」と、だしぬけに。おい。
ぷくぷくした赤ん坊のころの顔。


2009年06月20日(土) ジスモンチECM新譜でギター弾く息子は『Em Familia』の赤ちゃんだったアレキサンドルくんだ

体調不良で月光茶房プロジェクトを7月4日に延期する。

今日は26日。
マイケル・ジャクソンが亡くなったこともびっくりでしたが。
宮下誠さんが5月23日に亡くなっていたのを知ってもっとショックです。
かしゆかにカレシがいたのもかなしいし。



ジスモンチECM新譜でギター弾く息子は『Em Familia』の赤ちゃんだったアレキサンドルくんだ。
『Em Familia』こそ名盤だと秘かに思っていたけど、同じ意見のひとがいらっしゃり勇気100ばいなり。




2009年06月19日(金) 新企画新連載、ジャズ喫茶2時間実況、第二回は、表参道の月光茶房

Dear Prudence / Dana Fuchs, Evan Wood, Jim Sturgess 2007
いっすねー。

新企画新連載、ジャズ喫茶2時間実況、第二回は、表参道の月光茶房
あした6がつ20にち土曜日午後6時から8時まで。いったいどんな音源がかかるのか。

ガルバレク・カルテットのLP 『Østerdalsmusikk』 Mai (Mai 7510)
店主のはらださんにこれをリクエストしたいんだけどなー。聴いたことないのです。


タガララジオ 2009.06.15

<A>
01. 謎謎 / ラドウィンプス Radwimps 2009
02. Dem Rebens Tanz (Rabbi’s Dance) / Art Shryer’s Orchestra 1929
03. Golden Feathers / Gustaf Spetz 2009
04. 愛の願い Love Me Please Love Me / ミッシェル・ポルナレフ Michel Polnareff 1971
05. Counting Texas / Pat Metheny Trio → Live 2000
06. gobbledigook / Sigar Ross 2008
07. Goldberg Var, BWV 988: Var 5 / Andras Schiff 2003
08. Goldberg Var, BWV 988: Var 5 / 高橋悠治 Yuji Takahashi 1976
09. If I Fell / The Beatles 1964
10. King Poter Stomp (Jerry Roll Morton) / Gil Evans intro: Julian Cannonball Adderley 1958
11. Buddy / 小沢健二 1997
12. Don’t Marry Her / The Beautiful South 1996
13. 木綿のハンカチーフ / 草野マサムネ 2007
14. After The Fact / John Scofield 1996

<B>
15. Ain’t That Peeculiar / Japan 1980
16. Poverty And Its Opposite / Arve Henriksen 2008
17. 恋の花 / 吉井和哉 2006
18. The Angry Giant / Mark Zubek 2009
19. Powerhouse / Joe Lovano Us Five 2009
20. Go Down Moses / Louis Armstrong 1958
21. 或る雨の午後 / 菅原洋一 2006
22. Summer Mist (T. Hino-M. Kikuchi) 18:30 / 日野=菊地クインテット Live 1996
23. 草原の輝き / アグネス・チャン 1973
24. Dancing Queen / ABBA 1976

<C>
25. 殺されたくないなら殺せ / 友川かずき
26. 体温 / hitomi 1999
27. Band On The Run / Paul McCartney & Wings 1973
28. Rip, Rig, And Panic / Roland Kirk 1965
29. I Wish I Knew / 弘田三枝子 1966
30. そよ風の誘惑 Have You Never Been Mellow / Olivia Newton-John 1975
31. Poses (Rufus Weinwright) / Dave Douglas 2002
32. Daddy’s Song / Nilsson 1968
33. Kathy’s Song / Simon & Garfunkel 1966
34. モア original soundtrack 1962
35. A Life Unfolds / Kurt Rosenwinkel Group 2008


2009年06月18日(木) アファナシエフの15年ぶりの再演、語り奏でる音楽劇『展覧会の絵』@東京オペラシティ



アファナシエフの15年ぶりの再演、語り奏でる音楽劇『展覧会の絵』@東京オペラシティを観てきた。

ムソルグスキーの『展覧会の絵』。小学3年生で白鳥の湖とか四季とか運命とかとごっちゃに母親に聴かされるはめになった教材LPに混じって、辛気くさくてただただ苦痛だった展覧会の絵。絵がどうしたというのだ。おまえ、絵じゃないだろ。

40年ぶりに仕返しに来たのか。

すっかりカマドウマみたいな、もとい釜ジイ@千と千尋の神隠し、みたいなじいさまになっていたアファナシエフ。髪型はそんなに変わってないな。そんなに指が長かったのけ?手をおろすと、床に30センチくらい引きずるような長い手になってしまっておって。いつから鬼才になったのだ。おー、こわ。

アファナシエフ。アルヴォ・ぺルトとジョン・アダムス、ミヒャエル・ファーレスの作品でスタートを切ったECMニューシリーズが、ついにギドン・クレーメルのロッケンハウス音楽祭の音源をリリースし始めた、そのエポックに、手にしたロッケンハウスVol.3の輸入LPレコードで遭遇してしまったアファナシエフのシューベルトD960。1986年。


2009年06月17日(水) 小沢健二「Buddy」のイントロ、あのアルトサックスはキャノンボール・アダレイだった

お、想い出波止場『水中Joe』の「22次元」にまずはぶっとびです!



小沢健二「Buddy」のイントロ、あのアルトサックスはキャノンボール・アダレイだったのだ。
サンプリング元ネタを3ヶ月ほど前にギル・エバンスの『New Bottle Old Wine』(1958)を聴いていて、偶然見つけた。
タガララジオ<A>の選曲
10. King Poter Stomp (Jerry Roll Morton) / Gil Evans intro: Julian Cannonball Adderley 1958
くるま運転していたのを、すぐにコンビニに停めて「やったー」と叫んだ。

ネットで検索してみると、すでに指摘なされていたのね。

おざけんのこの映像見たことなかったー>


2009年06月16日(火) 水野信男著『ユダヤ音楽の旅』付録CD1曲目のArt Shryer's Orchestra1929年の録音



ミルトスから出ていた水野信男著『ユダヤ音楽の旅』の付録CDの1曲目に収められていたArt Shryer's Orchestraの1929年の録音が面白かったんだ。
ユダヤ人の音楽を始めるときの前口上がとくに。
なんかその語り口って、ジョンレノンが『Let It Be』でGet Backを歌ったあとに似てね?
さがしてみたらArt Shryer's Orchestraの音源がころがってるでねーの、ユダヤ音楽の原液の濃さ>
CDだと、これ>

そのGet Backだけど、Get back to where you once belongedて、思わされたなー。
ぼくたちのサイトmusicircusでの2008年ベスト10で長井明日香さんが「気に入った曲を親の敵の如く聴きまくる」と書いてて。
「好きな曲だけを具合が悪くなって吐くほど聴きまくるのがキホン」だったおれを取り戻したんだ。

編集CDRの基本姿勢はそれかもしれんし。あと、曲順のマジックね。選曲のロジックね。そこに正しいモンなんてない。

月に何度か編集CDR中毒になる。このところスランプつづきで失敗ばかりだ。ほんとにむずかしい。旬に聴こえたトラックもみるみるまに鮮度を失う。それ、単に飽きてしまうだけ。おー、こわ。せっかく回春しても持続しないトシのせいもあるやな、そこかよ。まあいい。

ラジオのように。田柄通りから発信するラジオのように。『タガララジオ』というタイトルで編集CDRを作る。今夜はこれであそぼ。
2曲目にそのArt Shryer's Orchestraを入れてみたぞ。

タガララジオ 2009.06.15

<A>
01. 謎謎 / ラドウィンプス Radwimps 2009
02. Dem Rebens Tanz (Rabbi’s Dance) / Art Shryer’s Orchestra 1929
03. Golden Feathers / Gustaf Spetz 2009
04. 愛の願い Love Me Please Love Me / ミッシェル・ポルナレフ Michel Polnareff 1971
05. Counting Texas / Pat Metheny Trio → Live 2000
06. gobbledigook / Sigar Ross 2008
07. Goldberg Var, BWV 988: Var 5 / Andras Schiff 2003
08. Goldberg Var, BWV 988: Var 5 / 高橋悠治 Yuji Takahashi 1976
09. If I Fell / The Beatles 1964
10. King Poter Stomp (Jerry Roll Morton) / Gil Evans intro: Julian Cannonball Adderley 1958
11. Buddy / 小沢健二 1997
12. Don’t Marry Her / The Beautiful South 1996
13. 木綿のハンカチーフ / 草野マサムネ 2007
14. After The Fact / John Scofield 1996

<B>
15. Ain’t That Peculiar / Japan 1980
16. Poverty And Its Opposite / Arve Henriksen 2008
17. 恋の花 / 吉井和哉 2006
18. The Angry Giant / Mark Zubek 2009
19. Powerhouse / Joe Lovano Us Five 2009
20. Go Down Moses / Louis Armstrong 1958
21. 或る雨の午後 / 菅原洋一


<C>





2009年06月15日(月) 雪と抵抗

hitomi 体温 
窓に映るコンプレックスなんてさ 笑いとばしちぇえばいいのに
すべてをマジメに受けとめちゃう悪いクセも
いろいろな人ゴミのなかで この手に得てく少しのもの
どれだけ暖めていくこと できるかな
とおい過去に置きわすれてきた 素直さ この糸でつなごうよ
いつかは閉ざした扉から たくさん ひかり あふれる
(作詞:hitomi 作曲:渡辺善太郎)

この糸でつなごうよ、は、この意図でつなぐよ、と、ただしく聴こえる。
「体温」という秀逸なタイトルの選定もいいです。この曲の映像は本来であれば雪の中のはずです。

ふりつづく中をランドセルをしょって家へ帰る踏む長靴の雪音を

デヴィッド・シルヴィアンがデレク・ベイリーを迎えて制作したBlemishによって
レーベルSamadhisoundを告知した2003年の
買い物カートを雪のなかすすんでゆくイラスト。

それはブルース・コバーンの『雪の世界High Winds White Sky』だと思った。

ひとはどのように不屈の精神というかまじめで無口な精神を得るのかわからないけど
ふりつづく雪を見上げていた函館の郊外の小学生だったおれは
そのころ雪のなかを労働組合運動に身を投じようしていた20代後半のサラリーマンの子どもだった

小山薫のヴァイオリン協奏曲を聴いて天空の雲の上に観音様が見えたとき、
それは作曲者が意図した観音様のヴィジョンだった。
そして、雲のしたでは雪が降っていたのだ。
この音楽について、どういうふうにことばにするのか、ただ、
「芸術とは、思い詰めるものなのだ」と

(やまのうえの雪の画像をはやくおくってください)


2009年06月14日(日) ブノワ・デルベックのマークターナー入りユニットの2004年作品



シュビヨンを聴いてたら、
「ジョー・マネリとブノワ・デルベックを世界標準にする」と言いのけていたかつての自分の使命を思い出した!

ブノワ・デルベック。フランスの鍵盤奏者。ノエル・アクショテ(!)、スティーブ・アルグエルと組んでいたトリオ「リサイクラーズ」で、脱関節的な不思議でカッコいいジャズをやっていました。10ねん以上前だー。

04年にソングラインからリリースした『Phonetics』<米アマゾンでは試聴できるとです
では、マーク・ターナーとのユニット結成であり、「フランスとアメリカで惹きあっていた、さすが、天才同士、互いをわかっているのね」
なんて思ってそれなりに聴いていたんだが・・・その後すっかりこのCDのことを忘れていました。
Benoit Delbecq Unit: Oene Van Geel (viola); Mark Turner (tenor saxophone); Benoit Delbecq (piano, sampler); Mark Helias (bass instrument); Emile Biayenda (drums).

デルベックの痙攣美的なコンポジション、と、ターナーのトーンとソノリティに耽溺する静止感覚、が、それなりにうまく融合した盤である。

ターナーというキャビア素材をあしらった、フランス料理という味わいでごじゃる。
ベースのマーク・アライアスもジャズの感覚で健闘しているけれど、タイコとコンポジションが変拍子楽譜思考に裏打ちされているもので、
ジャズとしては非力な、またアタマでっかちな線の細さが否めないのも確か。
だけど、彼らはコレを演りたいのだし、コレ以外はできなかったのだからしょうがない。
サンプラー遣いとしてのデルベックの魅力もあるtrack4「4 Mal W」は、たぶんマル・ウォルドロンに捧ぐ、というトラックだと思う。

クラシックの感覚に基づいた演奏であることは、
ECMの作品群がそうであるとおり、必ずしもジャズとして非力には聴こえるわけではない。

これがさ、リーダーのデルベック以外がすべてニューヨークのジャズシーンにいる人材だと、また様相はがらっと変わる。

デルベックをただただ天才だと騒いでいた10年前とは、多少クールな視点を持つものだけど、そこは正直になっておこう。

なんかさびしいなあ。


2009年06月13日(土) シュビヨンの夜 20090613 @サウンドカフェズミ(吉祥寺)



げ。シュビヨンて59年生まれなのかよ!おれより2つ上で今年50さいなのか。あのカッコよさはせいぜい40になるかならねえかだと思っていたが。フランスのジャズ即興ベーシスト、ブルーノ・シュビヨン。ルイ・スクラヴィスのECM盤『ラモーのらんぼう』、マルク・デュクレのスクリューガン盤『ヴェルディのお化け』などで弾く。ダニエル・ユメールらと来日したときの演奏の核心を衝く硬質なベースプレイに、おれはおののき、また、「アイヒャーはシュビヨンのベースソロを作りたくならなかったのか?」と疑義を記すものであったが、カフェズミにそのソロ作品があることを先月知り、今日は来店するなり「いずみさん、時間があるとき、リクエストさせてください・・・」とこっそり言ってみたのでした。

Hors-champ / Bruno Chevillon ( D’Autres Cordes records 2007 )

興奮さめやらぬうちに書く。この夜。井の頭公園を展望する地上23メートル、サウンドカフェズミで、シュビヨンの音響が鳴り響いた。屋外階段に出るお店の鉄トビラも開放されていたのだから、吉祥寺の上空に向かってシュビヨンの音響は放たれてもいたのだ。楽しい思い出、哀しい思い出、ガールフレンドとのいくつものシーン、井の頭公園のあちらこちらにざっと数えておいらには50のシーンが点在している。見事な仕掛けのラストナンバーまで、シュビヨンの音響、ジャズ即興のベーシストのソロ作品とは到底思えない。ノイズ、アヴァンギャルド、即興でありつつ、時にダンサブルでさえあり、沈黙の挿入するセンスも決まっていて、ポップでさえあった。ノイズのドラマツルギーを構成する手法は、感覚的には最先端なものではない。シュビヨンの世代とセンスに収まるところのもので、決して「新しく」はない。しかし、総合的な表現として、見事な完成度を見せている。アヴァンギャルドにも、美しいロジックの構成があることを、獰猛なシュビヨンは、その本能と釣り合うだけの知性をもって証明したのである。この構想作業は、作曲家が交響曲を編んだり、ロックバンドがサージェントペパーズを作ることに似ている。カフェズミの観客は8にん。見知らぬ者どうし、驚嘆をもってこのサウンドに酔った。空間の共鳴に、互いに言葉は交わさなかったが、1969年の学生運動リバイバルをふと想像してしまような、熱気を帯びた連帯感を持った。CDが終わったときの、あのなんとも言えないお店の空気の揺らぎ、8にんがCDジャケを手にしたり、飲み物を口にしたりするざわついたひとときに。

カフェズミに入ったときにかかっていたのは、「ハンマーダルシマーの21世紀審美の即興演奏てなところかな・・・」と、心地よいリレーに満ちた限定505まい生産、秋山徹次ら4にんのギタリストによる『Wooden Guitar』(Locust Music 2008)で、おいらこの即興のありようがいまいちばん気持ちいいでありんす。真っ先に即興ありき、という態度ではない、時間は回廊的で、どこかアジア的でもある。まったり即興、と、ひとことで言えば。もちろん、音楽がそんな一言で片付けられたらたまったもんではないわけで、まあまあ、楽しいこと、美しいこと、開放されることをひとに伝えるのはいつも困難なのである、ダーリン。

(まだまだ本稿つづきを書くつもりだけど、とりあえず・・・)


2009年06月12日(金) デイブ・ダグラスの『The Infinite』(2002)



デイブ・ダグラスの『The Infinite』(2002) 、編み込まれた工芸品のようなマイルス・トリビュートであった。
1曲目、ルーファス・ワインライトのポーゼスを見事に料理している、つーか、即座に名演のオーラ。
Personnel: Dave Douglas (trumpet), Chris Potter (tenor sax & bass clarinet), Uri Caine (Fender Rhodes), James Genus (bass), Clarence Penn (drums)
フェンダーローズのユリ・ケイン、いい仕事してます。

デイブ・ダグラスのCDっていいセンスを狙っているのがだらしなく映るから、どれもダサい。
キャラが確立されてないというか。演奏にも言えてるか。ちがうか!

あぜん。見事に上手いと思う。ポーズを構えてすっと息を入れて走り出す弓。あらあらあらと、弾き切ってしまう、するすると流しそうめんが極上だしで。ヴァイオリンの微分音含みのなんとも言えない音色だけが走ってゆく。
西村朗のヴァイオリンコンチェルトを弾ききり、これは!と思わされたヴァイオリニスト、佐藤俊介。
だけど・・・。こくがない・・・。
特別に上手いひとというのは、何かを飛び越えて走っていってしまうものなのだろうか。
超絶技巧。よどみなく。スーパークリークとかディープインパクトのようなかわいげのなさ。
ショウアップ的展開!ひとり曲芸ヴァイオリン少年なのか!
なぜに石田衣良に似ている。余計なお世話か。


2009年06月11日(木) 新企画新連載、ジャズ喫茶2時間実況、第一回は、吉祥寺サウンド・カフェ・ズミ



ぱふぱふ。はいっ、新企画新連載、ジャズ喫茶2時間実況!

第一回は、吉祥寺サウンド・カフェ・ズミ。ここはジャズ喫茶ではないが、越境度高し。
あさって6がつ13にち土曜日午後6時から8時まで。いったいどんな音源がかかるのか。

ブルーノ・シュビヨンのベース・ソロをもいちど聴くことができるのか。
こないだはディキシーランドやホイーラーやピリスが参加しているボサノバ盤とかがかかったんでした。おー、こわ。
行くぞカフェズミ。どたキャン帝王にせころっし、果たして予告どおりにカフェズミに行けるのであろうか・・・。つづく。

ひだりうで、またいてー。

サントリーホールへ佐藤俊介の無伴奏ヴァイオリン・リサイタルに行ってきた。


2009年06月10日(水) 慶應義塾大学日吉キャンパス協生館2F藤原洋記念ホール





真夜中にかかる虹のように
昼間に輝く星のように
夏に降り注ぐ雪のように
それはそれは新しかった

砂漠で観るシロクマのように
都会で観るオーロラのように
火星で観る生命のように
それはそれは美しかったから

ピーピコ賞ピアニスト、寺嶋陸也さん、
スケジュールのこの充実度と赤丸付き急上昇ぶりの注目度、
はー、明日11日は、おいどんサントリーホールのリサイタルだし。
15日!
さすが慶應大学、入学記念行事に寺嶋陸也のピアノリサイタルとレクチャー!
世界は正しい。
みんな、耳おくれになるなよ。


2009年06月09日(火) 小金井公園



小金井公園。

いつかのハナレグミ野外ライブ。小金井薪能(たきぎのう)。ブリジットフォンティーヌ『ラジオのように』。

遠い記憶たち。


2009年06月08日(月) ヒルマー・ジェンソンの新譜



あー。アイスランドのギタリスト、ヒルマー・ジェンソンには、
ジム・ブラックがファーストソロでサウンドメーカーへと進軍したのを見届けたのと入れ替わりに関心を持った。
デザイン違いの3作品はとってもいいです。そのあとチェックしてなかったんだけど新譜が出てる。
どんな2009年新譜に至ってるのか、でもなんかジャケがふあんかも・・・。
ヒルマーのサイトで「おいらの好きなモン」のラインナップはじつに参考になるかも。

そうさなー、00年ごろに注目ミュージシャンファイルのページを作るとすればヒルマー・ジェンソン、ジャンニ・ジェビア、ナシート・ウエイツ、ギレルモEブラウン、ブルーノ・シュビヨン、千野秀一、てかんじだったかな。

コンサートレポートが更新されました。
このあたりの書きにくさは。


2009年06月07日(日) 米村健司著『波・音・面(なみ・おと・おもて) 廣松渉哲学の射程とその教育論』



世界書院から5月22日に出版された
米村健司著『波・音・面(なみ・おと・おもて) 廣松渉哲学の射程とその教育論』が面白かった。

いきなりデヴィッド・トゥープのイーノ体験が引用されてるのもいいけど。
折り込まれて襞のようになっている自己。二重の襞。
音楽はさまざまな角度で侵入してくる。
おれはそもそも最初からクールに現象としての音を哲学する心性はないから、予断含み満載、不穏と祈りと作為と態度を読むし、トリガーに引っかかりまくり、なにせいち早く恍惚になりたい一心でCDを聴いているところがある。

二十代の頃は丸山圭三郎と廣松渉と鷲田小弥太の本を読んだ。哲学の棚では。

竹田青嗣の新書『現象学は思考の原理である』、これは2004年か、そこらへんで落ち着いて過ごします。

そうそうデヴィッド・トゥープの『音の海』の183ページから187ページは必読だと思います。ECMファンのみんな。


2009年06月06日(土)



千駄ヶ谷駅、雨の金曜日、hitomiのヨーグルトの大きな広告。

マイブラ。永遠の遠国の1990。


このときに死んでしまっていてもよかったよね。こういうの聴いてピンとこないプロってどうなのよ。

サンディエゴの藤井郷子カルテット。これはいい演奏だ。
Satoko Fujii Ma-do Quartet

ウィリアムパーカー、ギレルモEブラウン、何してるか思えば、おのれのフォークの召喚、なのか、2007ねん、トニック。




三善晃の音楽は、現代音楽とか、レコード芸術という枠から、はみ出ていると思う。

中学ん時からエア・チェック小僧ではあった。FMファン、FMレコパル、週刊FMを読み比べて、エアチェックしたい番組をマーカーで塗ってゆくと、いつしか全ページにマーカーを塗らなければならない強迫観念に囚われて、残された人生の時間を思っては眠れなくなって学校を休んだりした。持ち前の収集癖によるものだったが、持ち前の探究心のなさで47さいになったが一向にものにならないでいる。80年代に三善晃の『響紋』と『レクイエム』はNHK−FMで聴いていた。わらべうたに不協和音オケを足すんだー、そんなことを考える作曲家が日本には居るのね、と、音楽の表面はなぞったが、ヌルっと空振りしていたのだった。当時はライヒ、アダムス、シュニトケ、ペルト、グバイドゥーリナ、高橋悠治のLPやCDを買った覚えはある。人気のタケミツは職場の同僚が買ってくれたし、公演にも連れてゆかれた。代々木公園という屋外で雅楽を使ったタケミツ作品を聴いたのは、前夜に渋谷ジニアスでファラオサンダースとセシルテイラーを聴いていたので、すっかり現代音楽から遠ざかるきっかけとなった。・・・ナンノハナシをしているのだ?

三善晃の『レクイエム』『詩篇』『響紋』は「合唱と管弦楽(オーケストラ)のための三部作」と呼ばれており、おれはここ数年で、今後日本国内で行われる合唱+オケの形式の三善作品は全部ライブで聴かなければならない、奇跡を聴き逃してはならないという気持ちで生きているリスナーとなった。このような作品たちをCDというメディアで感得することはむずかしい。

それでも名盤『レクイエム』の復刻は、やはり聴き逃せない。録音には、その時にしか発生していないガイストが刻印されている。ある程度この曲を知っていて覚悟ができていたにしても、この復刻CDを聴いたときは数日間メシもまともにのどが通らないほど打ちのめされた。あれはああいう意味、これはこういう狙い、そこは演奏のそういう良さ、などと、分析しまくるいつものおれは、言葉を発することができずにいた。

ちょっとアマゾンを検索してみると。「三善晃の近作は、作曲者が「意図した音響効果が得られない」と録音を忌避していると伝えられていた。 なかなかCDが発売されず、『谺つり星』などは、実演を聴き逃した者には、如何ともしがたい状況だった。」というテキストに出くわす。なるほど、やはりそうなんだ。三善晃の困難と誠実を理解する。

今回、三善晃の90年代の四部作「夏の散乱」「谺つり星」「霧の果実」「焉歌・波摘み」がCD化された。しかも、この四部作公演が2セット収録された2枚組である。

コンサートホールから抜け出て、CDというパッケージに収まった四部作の響き。この四部作を通して聴いたことはなかった。四部作がひとつの交響曲のようになっている。そらおそろしい体験だ。カーステで爆音で鳴らして過ごしたりもした。早朝の新宿七丁目の交差点で左折するのに減速していると、横断歩道のOLやキャバ嬢たちが「何事が起こったか!」と、半開きの窓からもれる「夏の散乱」の打楽器の乱打をにらみつける。おれは、まだこの響きの全貌は録音に収まっていない、この演奏はどこまで三善の意図に迫っているものか、考えもしながら、イマジネーションを駆使してサウンドの全貌を描こうとしている。交差点で響かせるのはただの迷惑行為であったか、過ぎてから反省する。

厳しい三善が許可した(だろうところの)四部作がここにある。東京と大坂のオケの違い、同じ指揮者でも微妙な音楽の推進の違い、微妙な違いではなく明確な違い。


2009年06月05日(金) ECM新譜2まいにどきどき

ねーたださん、ドローイングてなんにはいってるの?と問われ。
楽曲の断片がよみがえってくる、喪失の哀しみを踏まえたあとのミスチル黄金期到来を華やがせたIt's A Wonderful Worldであることよ。

喪失というテーマ。

HMVば見てたらECM新譜2まいにどきどきする。本家サイトには、あ、載ってんじゃん、気付いてねーし、おれ。



なんつう。ロヴァーノ。キューンと組んで「ほとんどコルトレーン」なんつうタイトルで、ははあ、『モストリーバラッド』という名盤を残しているキューンだから、なぜならすなわちコルトレーンの『バラッド』のような作品かもよ、と、期待させないわけはない作戦だな。



次はこれ。先に言っとく。
ECMのアーティストで最もレベルの高いミュージシャンはだれか。
”ECMジャズ度名盤はジョンアバである”という初代会長のおことばもあるとおり、ジョン・アバークロンビーなのである。
このところ辛気くさいばかりのサーマン爺もジョンアバとのカルテットとならば、しかもタイコはジジイプログレ意識デュオ熱演『インビジブルネイチャー』でもおおザトリオをかつては放っていたサーマンではたしかにあるなという触発ぶりを聴かせた相棒デジョネット、であるし、なんかこう、ECMジャズ何度目かの最盛期に突入しているのではないだろうか。


2009年06月04日(木) アイヴォー・ボルトン指揮ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団



おかあちゃん、おれ、東京文化会館の天皇陛下が座る席でモーツァルトを聴いてきてしまっただよ。くわばらくわばら。

アイヴォー・ボルトン指揮ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団。
6月3日(水)東京文化会館 大ホール S席140ドル。

ピアニストはだめでした。
指揮者はふつーでした。
歴史を貫かせてきた響き、風格、伝統の深みを聴かせた管弦楽団はさすがでした。

モーツァルト協会のおじいさんたちが入会手続きのブースを開いていました。


なぜおいらはクラシックのコンサートにあしげく通い始めたのか、と、問われる。
理由はかんたんで、聴こえはじめたから。他者との照合という定点観測をして、対象α、これは絶対に認識できないのだけれども、自分の感覚がかなりあてになると、耳の素手で、捕まえることのできない謎、おぼろげなる対象α、を、追いかける草原の少年のような心持ちになっていた。

オノセイゲンがアイヒャーに取材した記事、そこでのセイゲンはジャズについて。

20代のころ、おれは中学高校大学受験の大手予備校(あの副島隆彦も教えていた)で進学相談を1000件以上こなしていた。くだらないニンゲンの欲望が、発する言葉の意味とはほかのところ、表情や身動き、に、色彩のように映った。

音楽には精神があり、感情があり、風土があり、祈りがあり、喪失がある。

それがどのようなものかと聴く者は、やはり書物からのコピペ(熟語や論理構造とかも含む)ではなく、なにかもっと伝えたいという工夫に試行錯誤しなければ音楽たちに申しわけが立たないような気がしてきたのだ。


2009年06月03日(水) チッコリーニのスカルラッティ



チッコリーニのスカルラッティ。
目にしみるようなつややかきらびやか。至宝。

アヴィシャイコーエンてピアニストもいるのね。覚醒というタイトルのピアノトリオ盤、このネーミングだけで、「あのねえ」と良心がいたむが。チックコリアのヴァージョンアップか?、と聴いていたら、解説読むと実際にコリアは彼らに触発されて新しいグループを組んだとか書いてある。さよなら。

山下洋輔フラグメンツ1999、ジェシヴァンルーラーのCD3枚、いずれもさよならさよなら。


2009年06月02日(火) Jロック 2009 2まい





ラドウィンプス『アルトコロニーの定理』と
エレカシ『昇れる太陽』を聴くのを忘れていた。

これからのニセコロッシコンサートツアー再開に向って、しゃきっとするよなロックを聴かなければならない。
グールドとカラヤンの録音は、ま、まま、たがいにすんなりの納得名演と言うべきでしょう。
いまごろ聴いてんです。だて中古じゃないと。

95年ごろだっけ、エレカシがソニー制作『東京の空』のあと契約切られたとき、おれは彼らのロックンロールツアーの追っかけをして、なんで日本のレコード会社はエレカシを見捨てるのか怒りのファンとなった。

いまでは高校生の次男から聴かせてもらっておる。
今年はこの2枚だと。ま、順当じゃね?
次男制作の編集CDR『鉄豆腐』、なかなかよろし。曲目送れ!


2009年06月01日(月) 『品川の記録』(本の泉社)



いろいろひと段落。家賃払ったが。ケータイ代払えず。
むすめから「お米を買ってよー!」とお買い物デートの要請が。どする?おれ。売るCDはもうないぞ。ECMのLP売るか。
6月になった。クラシックのコンサートがけっこうある。あ!ラッヘンマン、行くの忘れてた。

テレビを観ていると松田聖子が天国のキッスを歌っている映像が流れる。
オリジナル音源とは違うナマの発声・歌声のように聴こえて、ドーパミンが出まくる。

この録音を、いい音で聴きたい!
テレビ局は歌謡曲の黄金時代の音源をたくさん持ってるだろ。

演奏は当時のものでなくてはダメ。再演はできない。再演はうそ。

松田聖子と細野晴臣の仕事だけでも。

『品川の記録』(本の泉社)を読む。
日本人が似合うのは、やーさんと水呑百姓と山海塾と炭鉱労働者か。
そしてこの行動的詩人・山岸一章。


Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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