あずきの試写室

2003年09月30日(火) 「A」「A2」

オウム真理教が事件を起した後、その事件に直接関与
していなかったとはいうものの、
なぜ事件の後も、信者でいるのか?という疑問を持った
森達也監督が、自主制作した作品「A」と
それから2年半後の「A2」を
続けてみてみました。

現在も、裁判が続くオウム事件ですが
残された信者が、どのような生活を送っているのか
そして、回りのマスコミや一般大衆の姿を
追っている「A」
特にその中でも、広報担当となった荒木氏が
退去することになった教団の其々の地区に
訪れる姿が印象的です。

あくまで中立的な立場で撮っているところも
落ち着いてみる事ができます。
これが、どちらかの立場に立ってしまったら
やはり感情的になってしまう面もあると思うから。

正直、何故信者はあのような事件の後も
信じていく事が出来るのか、本当に謎でしたが、
この作品を見て、その答えがちょっと見えて来た気がしました。

「A2」はその後の教団のことをテーマにしていながら
地元住民の運動等がメインになっていて
てっきり、「A」で登場した教団の人々のその後の
ドキュメンタリーなのかと思って見ていた私は、
だいぶ違う事に戸惑うと共に
「A」の方が、興味深かったです。



2003年09月24日(水) 「刑務所の中」

花輪和一さんのあの細かく、不気味という感じの絵柄が
頭に焼き付いてしまいそうなほどの
インパクトの原作が、
映画化されたらどうなったかな?
と思ってみたところ。

真面目にすればするほど
かなり笑える世界が展開されていました。
刑務所の中が、過ごしやすかったら
いけないと思いますが、
映画の中の世界は、規則は厳しいけれど
食事は美味しく頂いてるし
時に就寝時は修学旅行みたいなのり(笑)

とくに手先が器用な花輪さんのような囚人は
手作業が多く、作業する姿も
なんだか楽しそう。

でも、なんといっても原作と同じく
食事のシーンが多く、
絶対美味しくないだろなあと思ってしまいそうなものも
美味しくみえるところがすごい。
だって、普通くさい飯を食うなんて
云われているのに。
まるで高級料亭が作った和食みたいに
おいしそうに空想しているんだもの。
でもなあ。パンにあずきとマーガリン。
あんパンといえば、あんパンなんだけど。。
最高に楽しみにするほど、美味しいものなのか。。むむ。

囚人を演じるみなさんも、演技派で固めているので
安心な出来栄え。
淡々とした生活が流れて行くだけなので
ドラマチックなことを期待してみたら
脱力するかも(笑)
コーラとアルフォート(チョコレートクッキー)の
組み合わせは、私も試してみようかな。
2時間で全部完食は無理だけど。
って刑務所の中というより
冷蔵庫の中って感じなほど、食べ物が焼き付いちゃったのでした。



2003年09月22日(月) 「シャイン」

「パイレーツ・オブ・カリビアン」で、本来なら
準主役といってもよい役柄ながら、
なんだかさっぱりだったけど
私の中では、大きな存在だったジェフリー・ラッシュを
みてみよう!
という訳で「シャイン」です。

現在もピアニストとして活動している
オーストラリアのデヴィッド・ヘルフゴットの
半生を描いた作品。
なのですが、とにかくピアニストになるべく
父親からの英才教育は
一種の虐待?なんて思えるほど
デヴィッドを精神的に
がんじがらめにしていきます。
愛情という名の暴力のような。
でも、健気に父親の云う事を
聞いているデヴィッドもすごいなあ。

デヴィッドの青年期をノア・ティラーが演じていますが
らーめんずのような髪を振り乱しての演技は
鬼気迫るものがあります。

さらに年を重ねて、成長したのが
ジェフリー・ラッシュなのですが。
いやあ。一瞬ウッディ・アレン(笑)かと思いました。
精神的な病に罹っている演技は
印象深いものがあります。
で、みていたら
「そうだ!クイルズだった」
と「クイルズ」を見た時は、印象深かったはずなのに
忘れていました。

と書いていたら以前「シャイン」の原作本を
買っていた事を思い出して、
更に読んでいない事まで思い出した。。。

記憶の糸を解きほぐすジェフリー・ラッシュを
見てみよう!はまだまだ続く(予定)



2003年09月19日(金) 「パイレーツ・オブ・カリビアン」

海賊物というと「ワンピース」しか浮かばないほど
今までジャンル的に、ぴんと来ていなかったのですが
いや、見てみたらなかなか海賊物も
楽しいかも。
なんて思えるほど、取っ付きやすい作品でした。
これも、やはり誰もが認める
ジョニー・デップ演じるジャック・スパロウの存在でしょうか。
なんせ、公開2週目にして3回見に行ったという
知人のオススメもやはりジョニーだったし。

で、ジョニーは確かにかっこいい。
正直かなり見掛けは怪しいが(笑)
プログラムのオーランド・ブルームの
「へたすればヘンな男で終る可能性もあるのに」(笑)
というコメントは受けました。
「ロード・オブ・ザ・リング」ではファン続出の
オーランドがかすんでしまうほどの存在感でした。

書いていたら、なんだかもう映画の内容云々より
いかにジョニーが良かったか的な雰囲気ですが。
実は、私がこの作品でツボに入ったのは
ジェフリー・ラッシュ!
敵役で、目立つはずなのに、いまひとつ目立ってないところも
逆に好感度UP(って単なるあまのじゃくなだけでしょうかねえ)
肩にのった猿もなんとも言えません。
ああ。私ってオヤジ趣味だったのかああ。。

唯一(海賊の中にもひとりいましたが)の女性
エリザベス演じるキーラ・ナイトレイ
ウィノナ・ライダーに似てませんか?
一瞬ウィノナかと思ってしまいました。

上映時間2時間23分というと、最初ひるみましたが
確かに長いけれど、それほど気にならないほど
見せ場を作る手腕は、さすがディズニーマジック。
ほとんど「カリブの海賊」を
映像で体験して、アトラクションに参加した気分。

細かいことを云うよりも
この際、海洋「ハムナプトラ」的雰囲気で
主演者の芸達者ぶりを堪能したり、
ミーハー的に楽しむのが一番!

ええ、勿論誰も云ってくれなくても
今日帰りジェフリーがアカデミー賞を受賞した
「シャイン」借りてきましたよ。
(ってまだ見てなかったのかって気がしますが)



2003年09月18日(木) 「あの子を探して」ができるまで

今まで、作品は好きで見ていたものの
チャン・イーモウ監督が画面の中で
話しているのをはじめてみました。
ちょっと高倉健風。
映画に対する姿勢や考えが
見ている私にも伝わってきて、
作り上げられた作品を再度
思い出しました。

「あの子を探して」で
印象的だった、あのちょっと倦怠感を
漂わしているような(笑)
少女先生ウェイ・ミンジが
実は、もうひとりの少女と
先生役を決める時に
ちょっとの差で役を得たことは意外。
てっきり、最初から
彼女に決めていたのかと
思い込んでいたから。
(それほどあの役が似合っていたから)
実生活では、双子の姉妹というのも
びっくり。

少年チャン・ホエクーの
涙を流すシーンをいかにしてとったか。
なんて、映画を見ていたら
見落としていた
少年少女たちのちょっとしたしぐさが
かわいいです。

見ている私は作品のひとつとして
上映時間の長さだけの時間しか
接することができないけれど、
その作品が出来上がるまでに
いかに楽しさや苦労があったことか実感。

「英雄」では、まったく違った作品を
撮っていたイーモウ監督ですが、
また「あの子を探して」や「初恋の来た道」
みたいな作品を撮って欲しいな。



2003年09月14日(日) 「アライバルーファイナル・コンタクトー」

このところ「セクレタリー」のイメージが
定着しつつある、ジェイムズ・スペイダー(通称スペちゃん)の
まだ見ぬ新作をビデオ店で発見して大騒ぎで
借りてきました。
大騒ぎで借りたわりには、映画自体は。。。なんですが(笑)

いきなり「スターゲイト」にかぶるような役割で登場。
謎の物体を調べに南極に行くのですが。
南極の基地で待っていたのは
元カノ?やら、美人な女性ばかり(笑)
男性もいるんだけれど、影が薄いぞ。
しかも、肝心の調査以前に、なんだか恋愛話に
盛り上がっているようなんですが。。。
うーん、南極でもセクレタリーか。違います。

途中、ETみたいだったり
モルダーがかぶってみたり。
未来のために研究していて、栽培しているのがとうもろこし。
日本人だったらやっぱりお米かなあ(笑)

いろいろ危機に直面するのですが
これほど緊迫感がない映画は珍しいかもです。
最終的にひとりパニックに陥った研究員が
どうしても「コクリコのミラクルタイプ」で
田中が演じるキャラクタに見えてしまって
どうにも笑いが止まらなくなってしまった(失礼)

映画の出来うんぬんより、
スペちゃんのめったに見れないとんがりスキー帽姿に
感動しちゃったりしたら、いけないでしょうか。

あ。あのカール・ルイスも登場。
カール君、走ったり、ジャンプしたりするシーンがなかったのが
とっても残念でした。

それにしても、スペちゃん。
良い映画に出るために脚本を選ぶので
年に1.2本しか出ないって本当ですか??(むむむ)



2003年09月12日(金) 「デス・フロント」

どうしても、主演が「リトル・ダンサー」のジェイミー・ベルだったので
その点に注目されそうですが、
実際それだけ(大失礼)といってもいい感じでした。。。

戦争アクションと怪奇現象の融合が生んだ新基軸ホラー
うーん、なんだろなっ
なんて感じですが、確かにそのままでした(笑)
舞台は、戦場。
敵になるドイツ軍。
しかし、一番の敵は、自分の中にある恐怖心といってよいもの。
その恐怖心を煽るお化け屋敷のような塹壕。

出て来る10人の兵士たちは、どのメンバーも
結構個性が強い俳優が演じているのですが
なんだか画面が暗く、泥だらけの人が多く(笑)
ちょっと区別がつきにくかった。うーん。
勿論ジェイミーは分かりますが。
あ。印象的な暴力男を「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムを演じた
アンディ・サーキスが演じていますが、いやな奴になりきってます。

怪奇現象部分は、それほど怖くないのですが
結構甘いところがなく、情け容赦ないです。
普通ここは助かるよなーなんて場面でも
遠慮なくいってしまいます。
ある意味潔いかも。

ところどころ、ホラーとしてこういう発想は面白い!
なんて思うところもあるのですが。
全体的には、なんだかです。むむむ。
戦争はいけないことだがテーマとか(違いますね)

見終わった後、パンフレットが300円というので
安い!!と思って購入したら。
ポスターの二つ折りじゃん!チラシといってもいいかも。
そのパンフレットが映画を物語っているとは云いませんが、
もう少しちゃんとしたパンフレットを作って欲しかったなー。
ジェイミーがかわいそうじゃない!
といいつつ、もし「リトル・ダンサー」を先に見ていなかったら
あまり印象に残ってなかったかも。。。ごめん。。ジェイミー。



2003年09月10日(水) 「ロベルト・スッコ」

本屋さんで、表紙の写真の顔が正直怖くて
原作本を購入したものの、
カバーをはずしてしまったほど。
実際、映像でみたら表紙の顔ほど
怖くはなかったけれど、それでも薄暗い画面に
アップで映ると目があまりに大きくて
怖いぞ<ステファノ・カセッティ

イタリアで両親を殺し、精神病院に入院していた後
脱走、その後姿を消し現れた先はフランス。
フランス各地で犯罪を起こすものの捕まり、そして。。。。

実在人物ロベルト・スッコの事件を
実際にとった行動のみを追っていった作品ということですが、
正直事件がばらばらとつながりなく
行われているので、
今どこでどういう状況なのか
把握しにくく、なんだかまとまりのない印象に。
実際の行動だから、まとまりがなくても
しょうがないのかもしれないけれど、
それでももう少し見ている人に
わかりやすくして欲しかったなあ。

主演のステファノ・カセッティの演技力というより
とにかく容姿が醸し出す雰囲気が不気味。
インテリア・デザイナーが本職とのことですが
照明の明かりのそばからぼーっと
現れたら嫌だなあ。ってホラー映画じゃないって。
そうしたら、セドリック・カーン監督も
ちょっと雰囲気が似ているような。。。(笑)
実際のロベルトは天使のような美青年だったらしいのですが
その点は、事実とは違うようにしたのですね。

犯罪物なのか、それとも唯一友情が可能になった少女との
青春物と見るのか。
どちらにしても、どの人物にも感情移入できない
映画だけが突っ走っていってしまったようでした。



2003年09月06日(土) 「ビロウ」

潜水艦映画数々あれど、
ホラー風味の映画はこの作品が初めて?
なんて思いましたが、違うのかな。
でも、ホラーって訳じゃなくても、
潜水艦ってちょっと不気味。
海の中を自在に動くというものの、
密封された艦内を思うと
息苦しいし、なんだか怖い。
その怖さに、そのままふっと現れる
怪しい人影なんか見えるとより倍増。
なんですが。。。
実はこの作品それほど怖くないです。

映画館で上映中は、音がかなりの怖さを醸し出して
いたらしいのですが、
ビデオで見ていると、哀しいかな迫力の違いが。。残念。
でも、そのことを別としても
なかなか潜水艦とそれにまつわる謎は
どうなんだろう?と興味を引かれて面白かったです。

張り巡らされた伏線が、
最後にびしっとまとまるところも
好感が持てて、地味な作品だけれど
味がありました。

ただ、残念だったのが唯一いる女性の存在。
その存在に意味がある!と云うことらしいのですが、
居ない方が良かったかも!
なんて思ってしまった。。だめじゃん。
それと、登場人物の区別がいまひとつつかず
(決して似ている訳じゃないのですが)
えと、この人は少佐で、えと。。(笑)

一度フェリーの中から横切るように
水面に顔を出して、かなりの速度で
行き交った潜水艦を見た時は、
まるでくじらに遭遇したようで
感動すらしましたが、
この作品を見て、ますます乗りたくなくなりました。
(乗る機会に恵まれる人も少ないよね)



2003年09月05日(金) 「13階段」

原作が出版された時に、読んでみようか
ずいぶんと悩んだ作品。
で、映画を先に見てしまったのですが
あのままなら原作は読まなくていいかな(大変失礼)
原作は原作で違いますよね。。。
(忠実に映像化と書いてあったけど。。。)

いきなり反町死刑囚と思い込んでいたのですが
見たら違うんですね。
さすがに、そういう役は回ってこないでしょうか。

とにかく途中までは面白い!
あ。これはなかなか掘り出し物かも♪
なんて楽しく見ていたのですが。。。
後半部分から、一体どうしちゃったの??的展開で
どんどん進んでいきます。
さらに、最初は緊迫していた雰囲気が
なんだかここまで甘くして良いのですか的な展開に。

13階段の本来の意味はどこへやら。
死刑囚となったクドカンの運命やいかに!
よりも、重要なことが目白押しじゃあねえ。。。(T-T)

廃虚ファンの私には、
事件のあったという家の廃虚(勿論実際はああじゃないよね)や
ヒントとなるお寺の廃虚は
なかなか印象的でした(って本編と関係ないですが)
あのお寺は入って探検したいかも(笑)

それにしても、邦画は出演者がどの映画も順列組み合わせ的に
同じ俳優が出ているのが、しょうがないのですが
ちょっと残念。
次は、刑務官役の山崎努さんの囚人役の(ややっこしい)
「刑務所の中」を見てみようかな。




2003年09月04日(木) 「セプテンバー11」

ニューヨークだけじゃなく、世界中で忘れられない
1日となった9月11日。
来週で丸2年になるんですね。

あの衝撃的な映像を目にした夜のニュース特番が
今も生々しく思い出せますが、
そんな世界中からあの日を見た
11カ国11人の監督の、11の作品のオムニバスです。
一作品につき、時間も11分9秒1と
限られた時間の中で、其々の監督の
持ち味が果たして生かし出されていたのか。
正直いって分かりません。。。
他の作品と比較できないということもあるのですが
やはり短編の難しさを感じるのです。

私としては、トップバッターに登場するイラン監督作品と
ブルキナファソ(どこにある国なのか知りませんでした。。)監督作品が
印象的でした。
いあ。実際イギリス監督(ケン・ローチ)のチリ人の話は
かなり衝撃的だし、メキシコ監督(アレハンドロ・ゴンザレス)の
真っ暗な画面(一瞬ビデオが壊れたのかと思いました)に
フラッシュバックのように映る、ニュース映像は
正視するには痛々しいほどだったのだけれど。。

イランとブルキナファソに登場するのはどちらも子供。
アフガン難民の少年少女が、授業で先生にテロのことを
質問されても、身近なことしか答えられないリアルさや
ブルキナファソの新聞配達の仕事をする少年が
ヴィンラディンを見つけて、追いかけていくという発想が
なんとも言えず。
人間の日常生活の本質をついているなあ
なんて思ってしまったのですが。いかがなものでしょうか。

で、実はこの11人の監督の中にはショーン・ペン監督と
日本の今村昌平監督がいるのですが。。。。
私としては、二人の監督のいいたいとしていることは
分かるのですが、なんかいまひとつだったのです。
(ショーン監督の落ちのひねりはきいてはいるのですが。。)

特に今村監督。復員兵演じる田口トモロヲさんも不気味さが出ていて
良かったんだけど。
なんか微妙にずれている気がしたんですが。。。
もう少し違った形に作れなかったんだろうか。。(えらそうですみません)

でもどんな形ではあれ、テロ撲滅を祈って。




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