宇佐美彰朗の雑記帳

2004年09月30日(木) アテネオリンピック大会TV観戦から――その2


「セカンドウイナー(ヨーロッパなど第2位のこと)」と呼んで称えられる
にしても、栄光の一番選手に比べて、二番手の選手は早くに忘れられてし
まう運命にあるようです。しかしスポーツ世界においては、そんな試合上
での直接的ライバルだけではなく、間接的ライバルとでもいう存在があり、
お互いに競い合うエネルギーをいっそう沸かせていることを、ご存知でし
ょうか。

 メダル・ラッシュで湧いたアテネオリンピック大会の興奮がいまだ醒め
やらない今日、「間接的ライバル」の存在を証明するニュースが、流れて
きました。それが9月26日(日曜日)、ベルリン・マラソン大会における日
本女子選手の活躍でした。

 優勝したのは渋井陽子選手で、2時間19分41秒という素晴らしい記録。
この記録は、3年前の高橋尚子選手が同じベルリン大会で優勝した、2時
間19分46秒の記録(1週間だけですが「世界最高記録」でした。当然、日
本最高記録でもあります)を5秒上回る記録でもありました。

 第2位はこれも日本の大南博美選手(双子のお姉さん)で、日本人が1,
2フィニッシュでした。ゴールしてから、二人はそれぞれに素晴らしいラ
イバルの存在を言葉にしていました。渋井選手の場合は高橋尚子選手の存
在であり、大南選手は妹さんの記録だったとのことでした。これら「間接
的ライバル」の存在が、その試合での自身のエネルギーとなっていたこと、
これこそ理想的な「間接的ライバル」であったのです。ライバルの存在は、
お互い同士を切磋琢磨させるエネルギーとなることが証明されたのでした。

 この報道に興奮していたところ、アテネ・パラリンピックのマラソンで
も日本勢の各種目にわたる金メダルラッシュがあり、日本のスポーツもい
よいよ「文化」として認めざるを得ないことになったと思ったのは、私一
人ではないでしょう。

 なかでも東京・代々木公園の織田フィールド競技場で、仲間(アトミ・ク
ラブ)として数年前から時折トレーニングを重ねてきた「高橋勇市選手(全
盲カテゴリー)」が、金メダル獲得の朗報を耳にしました。これは、フルマ
ラソンの全盲カテゴリーではありますが、もはや「全盲という種目別」の
一つでしかないのだと考えることは如何でしょうか!? 本人のコメントに
よると、二人の「伴走者」が大変に上手くリード・伴走くれたことが勝因、
とのことでした! 良かったですネ!

 別のカテゴリー、「ホイール(車いす)レース」のフルマラソンも、これ
また日本勢の男女ともに大活躍で、金メダルラッシュでした。これらの勢
いは、いよいよ四年後の北京大会に向けて、互いのライバル意識を持ちつ
つ、切磋琢磨が始まるエネルギーとなりそうです。

 そうなると「NSVA(NPO日本スポーツボランティア・アソシエーション)」
「スポーツボランティア」のサポート活動もいよいよ出番が多くなり、多
くの種目にも関わり、ますます多くの活動場所でサポートすることになり
そうです。

 日本のスポーツ界のますますの奮闘とレベルアップを心から期待してい
ます。頑張りましょう!
                       NSVA代表 宇佐美彰朗



2004年09月04日(土) アテネオリンピック大会TV観戦から――その1

昨今の景気低迷の中で、日本のスポーツ関係者のみならず日本人の多く
が、久しぶりに大きな明るい話題に終始したオリンピック大会期間を過
ごすことができました。もちろん宇佐美もその一人であります。

日本代表選手たちの活躍ぶりを観戦するために、とりわけメダル獲得の
瞬間をともに過ごすために、われわれはみんな寝不足におちいりました。
というのは放送時間が深夜から明け方の時間帯だったため、徹夜同然の
観戦だったからです。このことは、スポーツに直接かかわりを持つ者か
らすると、以下のことを期待できるのではないでしょうか。

つまり「スポーツという文化」に触れることができ、スポーツを色々な
側面から見ることができたのではないか、ということです。つまりスポー
ツが、競技者にとって「するもの」としての魅力をもつだけでなく、「み
る」こと、観戦することの魅力を実感できた瞬間があったのではないかと
いうことなのです。

メダルに関わる対象者が多かったということが、そのことを増幅させた
面が確かにあったのでしょう。単に「スポーツをすること」「スポーツ
に参加すること」だけでは味わえない魅力を確かに満喫することが出来ま
した。これまでの日本のスポーツ界は、このことの追及ばかりに終始して
いたことか、今になると恥ずかしいほどでであります。極端な例ではあり
ましょうが、国際大会に参加した関係者から直接聞いた話ですが、つい最
近まで「負けたら胸を張って帰れない!?」というのをよく耳にしたもの
でした。勝敗にかかわらず、今回のように堂々と戦った競技者の姿を見る
ことは、なんと素晴らしいことか!! スポーツのもつ魅力を、多くの方
々は再確認されたことと思います。

ともあれ今回のオリンピックで、素晴らしい活躍をした日本の代表選手
たち、世界の大舞台で臆することなく振まった「主役である若者たち」に
大拍手でエールを贈りたいと思います。

また、応援者としてのささやかな感動を、ここでご紹介したいと思いま
す。友人の家庭のある日の出来事です。普段は夜早くに寝てしまう高齢者
ご夫婦が、マラソンを深夜観戦するために、目覚ましを掛けて放送時間に
起き出し「ばあさん!時間だぞ!テレビを入れろ!・・・」のやりとりの
声がして、驚いたことに、お二人はとうとうゴールまで観戦していました
と、ご夫婦の娘さんが話してくれました。

このたびのアテネ・オリンピック大会は、日本におけるスポーツへの関
心を、いろいろな面から広げ深めてくれたような気がします。
                           宇佐美彰朗




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