西方見聞録...マルコ

 

 

講義メモ 歪みを見通す - 2013年06月25日(火)

 講義でカナダの移民への教育対応を取り上げた。

 カナダの継承語教育(現在は国際語教育と呼んでいるが)システムではどんな言語でも25人の子どもがリクエストをすれば、政府支援で公立小学校内に継承語クラスが設置され、教育の機会を持つ。すなわちすべての移民言語が言語資源として評価される。という話をしたら学生からこんなコメントをもらった。

「何事においてもどんな分野においても国際語として扱われる英語が話せなければならないという風潮がある時代にどんなマイナーな言語でも1つの言語として尊重しているカナダの教育には専門的な内容を学ぶ前に最も基礎的で大事な教養が含まれていることを感じた」

 「少数者の尊重という基礎的な教養」

 彼は視覚に障害がありかつ車椅子で授業に出ている。しかし彼の眼は何と多くの大切なことを見通していることか。

 競争を勝ち抜く、という大義名分のもと、自己責任論や弱者非難の身もふたもない言説が「本音」としてもてはやされる風潮の中で複数の障害を持ちながら大学にアクセスを持つ彼は時に生存の危機にも思える言説と直面することがあるだろう。その彼があげたマイノリティの言挙げに私は賛意を表したい。グローバル人材というのは強者の言語を操り、天から降ってくるような人々ではなくて、少数者として、または少数者を友として成長し、異なりを排除せずに尊重できる「基礎的な教養」を持つ人々のことだ。

 と学生コメントに久しぶりに熱くなったので書いておきます。

 




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