西方見聞録...マルコ

 

 

大阪駅 - 2010年01月29日(金)

大阪駅をよく利用している。

大阪駅にはなんだかすごいあっちこっちからの汽車が「いまついた」とか「いまからいく」という風情で在来線と一緒になってその辺のホームにごろごろしている。「はまかぜ」とか「トワイライトエキスプレス」とか車体に名前を書かれた汽車が「ぷしゅー!」とか音を立てて、今日も良く走ったぜ、これから走るぜ、というオーラを放ってとまっている。

なんか神戸ー奈良とか心斎橋ー奈良とかすでに決まった動線で曜日ごとに動いていると、そういうどこへ行くのか、という汽車に乗って、毎日の動線を大きく壊してみたい欲望に駆られる。

神戸でフィールドワークをした帰り、学童保育所のお迎えが間に合わなさそうだったので三宮ー大阪間を遠くからやって来た「はまかぜ」という特急に乗ってみた。

私が大阪で降りたあとも、はまかぜは終点京都をめざして「おれはいくぜ」ってオーラをたなびかせてホームをわしわしと出て行った。

すごく旅心をそそられた。

なんだか、このころは旅行と言っても、綿密に予定をたてて、少ない自由時間を四角く切り取るようなものしかいってないな〜、と「どこへいくんですか」という風情の大阪駅の遠距離特急を見ながら思ったりした。




...

ぷち病気、半仮病 - 2010年01月24日(日)

 金曜日の講義のために、年がいもなく、徹夜した。今年度最後の講義だから2コマとも感動的にフィニッシュして学生を泣かせたかった。しかし力を入れたほうの講義が見事に滑って、(そのうえ上映予定の超レア映像←マルコ撮影、は機械の不調で上映できないしさ!)なんか先生の熱い思いは空回りして終わった、ような気がする。

 薄給非常勤講師は講義準備に時間をかければかけるほど、時間当たりの給料はさがるので、徹夜なんかで準備したら、時給500円を割り込みそうだ。

 そんで、そんな実りの薄い徹夜作業のグリコのおまけで風邪を引いた。

 土曜日は本格的に寒くて熱もまあ、子どもだったら保育園から返品されるような熱が出た。

 でも日曜日には熱も平熱でちょっと頭痛が残ってるだけで、普通に快復したらおKさんが「熱下がったの?じゃあ自転車で竹取公園に行こう」なんて病後の人には難易度の高い遊びの提案をするので、「あ、やっぱり具合悪いみたい」と言って1日寝てた。半分仮病だ。

 子どもは母がいなくても居間で宿題したりトモダチコレクションというゲームをしたり、近所のガキ大将が誘いに来て遊びに行ったり、適当に楽しそうにしていた。あめでおさんも子どもの退屈ガスが充満すると本屋につれてって、本やマンガを購入してやって、上手にガス抜きしているようだった。

 夜ご飯の時間にむっくり起きて、あめでおさん制作のラーメン鍋を食べるとおKさんが「起きると吐気するやろ?寝てなくて大丈夫?」と、朝、竹取公園に自転車提案をしたことを少しフォローするように心配してくれた。「大丈夫」(半分仮病だから)と、後半の台詞は飲み込んだ。

 そういえばこの夜、子ども会の役員会が近所のファミレスで深夜行われることになってたので、こそこそ出かけた。半分仮病だったのがばれた。

 仮病気味の1日の休息はとても気持ちよかった。よっぽど重い病気でないと母は寝ていてはいけないような強迫観念があったのだが、私が思うほど「寝ている母」は許されない存在ではないらしい。
 

 

 


...

オトナの世界 - 2010年01月18日(月)

 洟垂れ小僧の大学生のころなんかの弾みで浅川マキのライブを池袋の文芸座ルピリエに観にいった。当時茨城県在住だったから、常磐線でみにいったんだ。

 ライブ会場で浅川マキがバラを一輪片手に持って、暗闇から登場すると、むわっとする香水がせまい会場を覆った。けだるい歌声に「なんかよく分からないけどオトナ〜」とハタチを目前にした私は、どきどきしたものである。

 さて時は過ぎて私は40越えて、多分社会的に大人になったけど、大人になったら浅川マキ的世界がすごく理解できるかというとそういうわけでもなく、浅川マキはいつまでも異世界の人でした。



 大人になったらいろんなことが分かるとあのころ思ってたけど、分からないことは分からないまま水晶玉みたいに無数に転がってるのをそれぞれいろんな角度から覗き観て、それぞれ解釈して適当なこと言って歩いていくのが人生だと教えてくれた浅川マキ氏。彼岸に旅立たれたとのこと、合掌。


...

老人☆イニシエーション - 2010年01月16日(土)


「カールじいさんの空飛ぶ家」というピクサー印の映画を見に行った。
 
 青春と決別し、老後人生に足を踏み出そうとする老人のイニシエーション(通過儀礼)を描いた物語。

 青年としての死(再開発がらみで現実世界から放逐され、象徴的天国としてのパラダイスの滝をめざす)と、老人としての再生(孫世代との絆を艫綱に現実世界へ帰還)、さらに死と再生の間の彼岸(英雄が敵として反転する逆転の秩序の世界)が描かれる。

 妻エリーの死は、重要そうに見えて物語の構造としては青春の終わりの象徴であり、現実との絆の切れる契機でしかないのが印象的だった。

 子どもも楽しめる場面はあったけど観終ったおKさんの最初の一言は「コレまでで見た映画で一番つまらない」だった(しかしそういうことを映画つれて来てくれた人=ワタシに平気で言い放つところが、きみのスゴイところだ。気遣いの人1号さんが震えてワタシの顔をうかがってたぞ)。

 たしかに犬や鳥が出てきて子どもも楽しめるようにしてるけどさ、孫は老人を現世につなぐために存在してるんじゃないもんね。オトナ目線の映画であったといえるでしょう。

 老後を意識し始めた人にはお勧め!


...

街の灯り - 2010年01月11日(月)

 ミクシのほうにいろいろとてんぱった「今年の抱負」を書いたりした。
 その中で「ネット時間の圧縮」というのをあげたんだが、そういう今年の抱負を「マイミク」と呼ばれるネット友の皆様に向かって言い放つというのは「貴様けんか売ってんのか?」って思われても仕方ない。

 でもまあそれほど、ネット依存、ってことの裏返しなんだよ>ワタクシ。

 なんでなんだろう。

 ミクシにしろ畑にしろなんか開ければ必ず人がいて、なんかしら書き込みのある空間というのは人をひきつける。山から下りてきた狩人(木地師でもいいけど)に、街の灯りがきらきらまぶしいみたいに。

 組織にしっかり属していて、毎日会話する職場の親友、みたいな人がいた時代は畑の過剰な人の気配にはあまりひきつけられずに時々更新される友人の日記や掲示板を気長に巡回して時々コメントをつけている程度で、十分だったんだけど。

 わりと孤独な作業が続く、現在の状況ではリアルタイムの人の発したことばと気配がすごく貴重に思える。

 そういうわけで街の灯りをまぶしく見つめつつも、木地師は木地を挽いて、狩人は熊を撃ってなんぼであることを忘れずに今年を過ごして生きたいものである(ってこういう独白をしちゃうってところが依存なんだよ〜>ジブン)


...

耽溺正月 - 2010年01月02日(土)

 あけましておめでとうございます。

 さて、この年末年始は婚家実家への顔見世興行を年末のうちに静岡への旅行で済ませてしまい(その代わりこの旅行は4泊5日の長尺で楽しかったけど疲労しました)、大晦日と正月3ガ日を自宅で核家族でまったり過ごすことにしました。

 今回はそのまったり中にアクセスしたメディアへの言及日記ですな。

 1日1日 「狐笛のかなた」上橋菜穂子 新潮文庫
  http://www.shinchosha.co.jp/book/130271/

 大晦日に家族でねっころがり読書用の本を購入しに近所の本屋に行って購入しました。耽溺しました。上橋菜穂子の「守り人シリーズ」や「獣の奏者シリーズ」に嵌ると長くて大変そうですが、コレは1日の耽溺で勝負がつくので短く耽溺したい人にお勧めです。短くてもしっかり、世界観の出来上がってる上橋ワールドを堪能できます。「王子を守る」というコンセプトとか、主人公と同じ能力を持つ「母の悲惨な献身」とか上橋ワールドのキーコンセプトは随所にみられました。
 あ、ちなみにこの日は法隆寺の舎利講(正月3ガ日法隆寺の夢殿の隣の舎利殿で営まれるお釈迦様の骨を皆に見せてくれるという仏教行事。午後1時に開始で、1時35分ころ舎利が登場します!)にもいきました。舎利が出てくるのを待つ間もちょっと「狐笛のかなた」読んじゃいました。


 1日2日「高慢と偏見」BBC版のDVD 
アマゾンの紹介ページ

 おKちゃんの保育園時代のママ友で、お勧めマンガやDVDを駐輪所のお互いの自転車のかごに投げ込む仲のS夫人にお勧めされました。
 長尺でした。本編300分ですから、5時間ですよね?1人で夜中に観ようと思ってたんですが、それにしては長いし噂では面白いから一気に見ちゃうというし、いつ観ようかと悩んでいたんですが、1月2日の昼間、冬休みの宿題タイムを2児が終えたころを見計らって家族で視聴しようと居間のTVでDVD再生。
 字幕なのでおKちゃんは最後の1時間は脱落し、母と姉があまりに夢中になってるのにかんしゃくを破裂させ、5時間居間に背を向けて写真整理に明け暮れていた父の元に逃亡しました。が、私マルコと長女1号はかなり夢中になってみちゃいました。
 1号さんはクリスピン・ボナムカーターが演じた「ビングリー氏」の方が最初から誠実に長女ジェーンを愛し続けて、ノリもいいし、スキ!なんだそうですが、ここはコリン・ファースの「ミスター・ダーシー」にくらっとするのが乙女の王道なのよ、と諭させて頂きました。彼女は乙女未満なので、まあしょうがないか。
 階級社会に皮肉な視線を送りながらも「決めの魔球は玉の輿」という物語の構造にくらくらしながらも、次女エリザベス役のジェニファー・イーリーはいいな〜と思いました。また上昇婚を果たしたジェーンとエリザベスのその後とか(とくにジェーンはあの小姑、大変過ぎないか??)、廃棄物処理って感じで北部連隊に追っ払われた5女リディアとその夫は今後どうなるのかとか、「決めの魔球」後の人々に思いを馳せました。まあ、端的に言ってこういうのを「嵌った状態」というのでしょう。

 たくさんのスピンオフ作品を生んだ作品だというのは、なるほど実感できました。

 まあそんなわけでメディアに嵌った日々でしたが嵌れなかったおKさんが不満大爆発なので1月3日には書(やDVD)を捨てて町に出て、スケートでもすべってこようと思います。


...



 

 

 

 

INDEX
past  will

Mail Home