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ハウルの動く城
2004年11月23日(火)

宮崎駿監督のジブリアニメ「ハウルの動く城」を観ました。

公開初日だけど、うちの近くの映画館はどんな人気映画でも
混むということがないです…いいのか悪いのか…。  

見終わった後
話のつじつまをどう合わせたらいいのか
分からない部分があって
あんまり良い映画と思えなかったけれど
時間が経つと、だんだんそれは気にならなくなり
しばらくすると、じわじわと面白さが込み上げてきました。
なんかもう一回みたいな、と思わせますね。
話はともかくとして、まずキャラクターに魅力があります。

帽子屋の跡取り娘・ソフィーは
店の奥で地味な帽子作りの日々。
腹違いの妹・レティーは
お菓子屋の売り子として
華やかな毎日を送っています。
「自分は長女だから店を継がなくちゃいけないし
そんなに器量良しじゃないし…」
という思い込みに囚われながら
彼女が裏通りを歩いていると
突然出会ったのが魔法使いハウルでした。

ハウルに手を引かれて
突然宙に浮かび、訳の分からないまま
つかの間の空中散歩を楽しむソフィー。
これが、ソフィーの身に起こった事件の始まりであり
彼女自身の恋の始まりだったのですが
ほんとうに生き生きと描かれていて
一気に映画に引き込まれました。

しかしこの空中散歩がきっかけで
ソフィーは荒れ地の魔女の怒りを買い
90歳の老婆に変えられてしまいます。

若い時って、
若さゆえの恥じらいともいうけど
自意識過剰なあまり、
ここぞというチャンスを逃したり
言うべき事を言えなかったりしますよね。
でもある程度年齢がゆくと
人にどう思われてもかまわない
というかずうずうしさが出てきます。

ソフィーはまだ若いのに
自分の未来に見切りをつけてしまって
ある意味老婆みたいな人生観を
持っていたのかもしれません。
けれど、魔法で本物の老婆にされると
それまでの義務感やコンプレックスから解放され
誰に対しても言いたいことを口にできるようになり
その過程でハウルを愛するようになってゆくのです。

ハウルは最初、
貴族的な美青年として登場します。
けれど、老婆ソフィーが彼の家に上がり込んで
実はハウルがびっくりするほど汚い家に住み
魔よけのおまじないに囲まれてないと眠れない弱虫で
しかも髪の毛の色を染め損ねただけで
泣き叫んで倒れ込むほど自意識過剰な人物だ
ということが明らかにされます。

ハウルの声は木村拓哉さんでしたが
これがもう素晴らしかったです。
これまで、キムタクのどんな番組を見ても
「この人はなんでもこなす器用な人だな」
ぐらいにしか思わなかったけど、
この映画を見てその才能を実感しました。
まず、声を聞いただけで
キムタクだと分からないのがいい。
格好いいけど情けない、得体が知れないけど
親切で不思議な若者ハウルそのもの。
それでいて全体を通すと、メディアのキムタクの
イメージと重なるものにも気付くのです。
それは決してハウルがキクタク色に
塗り替えられたという意味ではなくて
木村拓哉がやったハウルになっていました。

物語についてですが、
わたしはここ最近の宮崎作品
「千と千尋の神隠し」や「もののけ姫」を
見ていないので、これらと比べてどうの
ということは言えないのだけど
宮崎作品には「反戦」のメッセージと
「空」のイメージが込められている事が多いのかな。
この映画でもそれは込められていました。
けれど、わたしは「ハウル…」に戦争は
必要だったのかな、と疑問に思います。

この作品で一番大きなテーマはたぶん
年齢や外見、世間体や思い込みに縛られず
ありのままの自分を見つけさらけ出すこと
ではないかと思うのですが、それに戦争なんて
重いテーマを入れてしまうと、どうしたって
流れがごちゃごちゃしてしまうと思うんです。

しかも、映画のクライマックスで
主要人物たちの魔法が解けて
彼らがハッピーエンドになると
戦争は理由もなく唐突に終わってしまうのです。
もともと意味のないばかげた戦争だったし
行方不明の隣国の王子が見つかったから
終わらせるのに好都合ということらしいですが
それにしても取って付けたような感じは否めません。

この映画を見た後原作を読みましたが
戦争の部分は映画のみの設定でした。
映画では、戦争の様子を見に出かけていたハウルは
原作では、単に女の子を口説きに出かけているのです。
悪魔と契約を結んだハウルの行動にしたって
原作のハウルが、優しさからつい流れ星を助けてしまい
いまは契約から逃れたいと思っているのに比べ
戦争と絡ませて、獣鳥化したハウルを描いている
映画の方はもっと危険で恐しげです。

「戦争」があるがないかでは
ほんとうに大きな隔たりがあり
ハウルの人物像は勿論、物語の雰囲気や
意図までも変えられてしまっていると思います。
宮崎監督が手がけて時点で
それはジブリ作品になるわけだから
別の作品として見たらいいのだと思いますが
わたしとしては原作の流れの方が好みかな。



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