+シコウカイロ+
此花



 ナミダ。

黒く染めた
君の白い手には似つかわしくない色
洗い流しても
しばらくは消えそうにない香り
甘い気だるい時間は
いつでも夢の中に出てきて
まどろんだ瞼に
鮮やかに甦る

いつかきっと
この呪縛から逃れる腕が
のばされる

その手を掴むことが出来ない俺に

君の腕が優しく包み込んだ

今はまだこのままで
いつか君から
僕の手を掴む日がくるまで

今はまだこうしていよう


温もりが溶かしていく
その雫を
人はナミダと呼んだ。



2001年08月19日(日)



 与えられるモノ。

結局代わりのものなんて
いくら集めようとも足りる訳ない
君の上にたくさん圧し掛かる埃を
僕は記憶の中で消していくんだ
遠い過去のように
忘れてしまえ

そうしたらきっと
何もかもが要らなくなる

何故だかその歌が
僕の心に響くんだ
一人ぼっちの生き様を
認めてくれた優しい歌が

ああ
今すぐに止めて欲しい
この思いを
そうしてくれないと
果てしなく遠いトコロへ
旅立ちたくてたまらないから


世界にはた易く手に入らない
輝くものがたくさんあって
この手で守れるものにも限りがある
自分が生きていくことだけでも
必死だと言うのに
僕はたからものを守りたい
君を守りたい

いつでも君が僕に与えてくれるように
愛に似たその感情を
伝えられる日は永遠に来ないけれど

でも君が居る限り
僕は優しいこの世界に
鎖に繋がれて
引き摺りながら歩き続ける

笑う顔をあんまりみないでよ
泣きそうなのもバレてしまいそうになるだろ


優しく優しく
色々な人が モノが
包み込むこの世界が
とてつもなくいとおしく
とても切ない


決して触れることが
出来ないから

いつまでも満たされない
この器が
酷く汚くて
壊したくなるけれど
それでも
注がれる優しさに僕は
ただ悲しみを湛えている

それでも
君から与えられるものが

酷く嬉しくて
泣きたくなるんだ



2001年08月07日(火)



 舌。

舌足らずの舌は
嘘を誤魔化しきれずに
噛んで血が滲んだ
泣きそうな顔のまま
彼女は笑ったのに
ナミダは見えなかった
どこにしまったのかな?
多分誰でもない人に向かって
歪んだ理由を伝えたとしても
分かち合うことは
難しいね
同じものを見ることは
出来ないもの。

戻りたくて還りたくて
でももとの形状は失われたから
同じものに変わることは出来ない
過ぎた時が今ここに
廻ってきたら
忘れることの出来ない悲しみを連れて
死の影を再び追わなくてはならないし

消してしまいたい過去も未来も
今だけを見て精一杯に尽きることが
最高の幸せだと言う人もいる
多分長いレールを眺めるよりは
その方がずっと


ヤサシイこと


舌足らずの舌は
紡ぐ言葉を伝えきれずに
閉ざした口にはイラナイもの

狎擇辰討しまいなさい

冷たい舌のコレクションを
棚いっぱいに並べて

もう言えない言葉を
しまい続けて
溢れかえった口は
死んだように青ざめながら


今もその顔に飾っているんだね



























2001年08月06日(月)



 蝶の標本。

震える手を握りしめて
下さい

今ここに在る
ちっぽけないきものを。

言葉など欲しいわけじゃないんです

ただ抱きしめて
不安を取り除いてくれるひとなら

本当は君じゃなくてもいいんです

本当に愛してしまったのは
あの方だけなので

他には何も要らないのです


なぜ
誰かと寄り添って
生きていかねばならないのでしょうか

手を取り合って助け合うことに
深いものを背負わなくてはならないのでしょうか


私が欲しいのは
ただその手と
温もりであって

あの方以外なら
どの人も同じでしかないのでしょう

それを知っても狂わないで居られる
というのなら

貴方は私を愛してはいない
私は貴方には返せない


愛は無限に残酷で
甘い蜜のように誘惑する
魅了されしは愛の華
狂わばもろとも擬似的愛の向こう側に
限りなく楽園に近い
苦しみの日々にたむけるは蝶



その花の毒気に
酔いしれる前に

××××アゲル。



美しいままに死の仮面をつける
標本の中の蝶。



見つめ続けるだけで
飼い殺しにする気なの?

ならばこんなガラスの棺
叩き割って羽ばたいていくわ

もう貴方の手には届かない場所へ



2001年08月05日(日)



 抑望。

大声で叫びたい
なのにここには何も生まれない
悲鳴を上げて犇めいているのに
耳を塞ぐことも
嘆くことも出来ない

祈りを捧げて
君の声が聞こえる気がした

でも現実はそんなに
上手くは行かなくて

伸ばした手を無意味にする
この世界が
悔しくて要らないと
投げ捨てた両腕に走る痛みは

雪走。
赤く染まる霧。

大声で叫んだ
なのに誰も気付かないから
無意味なものへと変えられた
言霊たちへの鎮魂曲

ゴメン。
どんなに祈っても
君のところまで行けそうにない

裏切りに染まったこの腕で
君を抱きしめたい
汚れても汚しても

君は変わらない
俺も変われない




苦しくて苦しくて
止まらないこの思いを
どうやって抑えればいいのか

俺に教えてよ
君に触れたいよ







2001年08月01日(水)
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