| 2003年12月13日(土) |
blind summer fish |
冬コミ用の原稿をかしかしと打っています。
| 2003年12月06日(土) |
市ヶ谷駅前店午後三時二十分 |
「進藤」
そう声をかけられたのは、着信が無いか携帯の画面を見た時だった。店内なのでマナーモードにしているそれは、相変わらず着信無しで、ふうとため息が出た。
「なにやってんの? 遅メシ?」
駅前のカフェのカウンター、道路からまる見えのその席に座っていたら、通りすがりに見つけたのだろう和谷がやって来たのだった。
「ひまなら、これからおれとゲーセン行かねえ?」
おれ、今、「太鼓の達人」に凝っててさあと言うのに緩く手を振る。
「おれ待ち合わせだから」
そう言うと、ああとうなずいた。
「なんだ、じゃあまたこの次な」
誰とともなんとも言っていないのに納得されてしまうのは良いのか悪いのか。あっさり背を向けた和谷に苦笑してしまった。
すっかりと冷めてしまったカフェモカを飲もうかそのまま放置しようか考えて、それでも勿体ないのでなんとなく飲む。
実の所は待ち合わせをしたわけでは無かった。
思いがけず、あるはずだった雑誌の取材が無くなって、時間がぽっかりあいてしまった。だからもし出て来れるならとあいつにメールを打ったのだ。
ここにいるということと、来るまでしばらく待っているということだけを打って送った。
(もしかしたら来ねぇかもしんないなあ)
向こうも向こうの都合があるし、無くてもいきなり呼び出されて来るのは嫌かもしれない。
(大体、ケータイ持たずにどっか行ってたらアウトだし)
最初から自宅に電話すればいいようなものをついこんな賭のようなことをしてしまう。
来るかな、来ないかな。でも来ればいいな。
ガラスの向こう行き交う人の姿をぼんやりとながめながら冷めたカフェモカをもう一度飲んだ。
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