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朝から日記をつけているが、理由がある。 これから書くのは夕べの出来事なのだ。 記憶がなるべく鮮明なうちに、書き連ねようと思う。 夕べ、MILETたちと遅くまでテレビを見ていた。 MILETは具合が悪いというのに… 番組の途中で寝室に上がるような事を言っていたが、 最後まで見ていた。 その番組というのは例のWWF、アメリカンプロレスである。 日本語版字幕をつけたり、音声を編集したりするため、 本国から三週間遅れで放送されている番組だ。 昨日はあのテロ事件があった翌々日の放送分だった。 番組の内容は大きく変更されたいた。 スーパースターズと言われているレスラー達が、 被害者や加害者、アメリカの国民達にむかって、 メッセージを伝えていた。 そのメッセージは多くは「祈りを捧げる」というものだ。 中には家族を持つレスラーもおり、彼らのメッセージは 「お父さん(あるいはお母さん)は大丈夫」 というものだった。 そして、犠牲者の子供達の事を案じていた。 次ぎに多いメッセージは 「必ず、この犯人達に報復する」 というものだった。 レスラー達の口から「報復する」という言葉が出る度に、 会場にいる「善良な市民」たちが歓声を上げる。 その「報復措置」が 罪もない市民達を苦しめるかもしれないのに、だ。 中には「こんな時だからこそ、隣人を信じよう」と 訴えるレスラーもいた。 彼は自分の試合の時、喪章をつけて戦っていた。 そして明らかにマイノリティーである女性のレスラーが 「アメリカは自由と平等の国。この事件で人種偏見を持たないで」 と、涙をこぼしていた。 番組は国歌斉唱に始まり、 オリンピックヒーローであるレスラーの勝利で幕を閉じた。 収録場所がヒューストンということもあり、 現アメリカ大統領へのメッセージもかなり込められていたようだ。 あれから三週間。 今、アメリカは報復措置へ着実に向かっている。 だが、冷静に考えられる時期にも来ているようだ。 俺様は思う。 戦いたいのなら、それこそ一対一、リングで勝負をつければいい。 俺様が試合の行く末をしっかり、見届けてやる。
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