私自身は曲がりなりにも軍オタなんで、軍隊的ではない軍隊というのは理解に苦しむんですが。
各国、特色はあるんですが最低限の規律というかルールって共通項なんですよね。 例えば脱走兵はいかなる理由があろうとも重罪で基本は銃殺刑とかね。まあ銃殺刑になっても実行されるかはその時によるけど。 少なくとも原隊復帰まして昇進なんて不可能です。
Sガンダムでもザフトは義勇兵「らしい」ってのに留めて階級がない変な軍隊、程度にしました。 義勇兵VS国家ってなったら単なるアナーキーテロリスト軍団VS国になってやばいなんてもんじゃないし。 主人公が極東の島国とはいえ一国家出身なんで、テロ軍団と同盟結ぶやべえ国の人間が主役というやばい話になるしな……。ミリオタ的には許せない。 位置的にプラントは植民地が独立宣言した一国家(国際的に未承認)な扱いをSガンダムではしています。現在でいえばコソボとか台湾、パレスチナあたりの状況というわけです。まあ時代を逆戻りして独立運動が盛んだった大戦前のほうが近いですね、西暦だと。
階級概念のない軍に混ざる他国の士官しかもナチュラル。という状況から話がスタートするので、階級概念が浸透していれば彼女はやはり「士官様!」という扱いを受けてしまうため、話的にはあれで良かったと思ってます。 もし初期に彼女が尊大に見えたとしたら、彼女は士官然としているだけなので……。軍隊とはそういうところなんで、明らかに階級が(本来なら)下のルーキーパイロット軍団とかメカニック等々に先任士官がへりくだる、なんてありえないんです。メカニックは彼女より年上が大半ですが、彼女は尉官とはいえ上級尉官ですから本来ならメカニックからすれば「将校様」ですもん……。 ガニーサージェントレベルでも「一等軍曹様!!!」なのに特尉(中尉以上大尉未満)ですからね。彼女は一国家の代表として士官の称号を背負っているわけですから、士官然とした態度が彼女に課せられた役割というか。
この辺が共通項としてないと彼女の態度は「?」って思えるのかなー。だからザフトが階級がないという設定がテレビ向けにあったのかなー。とか色々考えはしましたが。
次にアップする機会があればもう少し分かりやすく補足説明しようかな……とも思ってます。
余談ですが私の父方の祖父は戦時中は軍曹で健康を害して除隊したようですが、歩兵ですら威張り散らすような田舎だったので「軍曹様!」とかいう神の扱いだったようです。祖父はそれを言いふらすタイプではなく、というか衛生兵で終戦前に軍を退いているので必然的に言いたくなかったのか言わず。 お葬式の時に「当時は軍曹で……」とアナウンスされた際に母方の祖母が「!!??」となっていて式後に「軍曹様だったなんて……!」とやや興奮気味だったんでやはり当時は一般の人すらそう思っていたんでしょう。 その軍曹の遥か越えられない異世界にいるのが士官ですから。偉そうではなく文字通り「偉い」んですよね。
まあ21世紀にその辺のことを日常生活で意識するはずもないんで、違和感があっても普通だとは思いますが。作中は戦時中の軍隊の話なんでね……という。
話がだいぶそれましたが、ザフトは階級はないけど役職分けはあるし色でおおよその階級分け的なことをしている感じはありますね。平等と言う名のもとに。 特尉は「士官待遇を」と言ったのにクルーゼに「知っての通りザフトに階級はない」と言われてしまったので「じゃあこっちもお前を将官とは思わない。どうせ若造だろコイツ」という思いと「ナメられたくNEEEE」という思いから彼にいっさい敬語は使ってなかったわけですが……。 あくまで歳が近いだろうクルーゼに対してのみで、艦長職の人には「佐官だよな本来は」という気持ちで上官として接していたと思います。まあそれはゼルマン艦長が彼女を士官として以上に扱ったからというのもあるんですが。
辞令が下って正式にクルーゼ隊所属になった彼女は態度を改めたけどクルーゼが序列を作ることを拒否した、というのは昨日書いたと思います。
彼女にとっては「仮面を付けた若いクセに本来の軍隊なら将官の地位にいる変なコーディネイター、胡散臭いから絶対にナメられたくない」→「変な仮面男の部下になっちまったわ、いやだけど仕方ない命令だし上官として接しなきゃ」→「なん…だと…、ナチュラル……?」って初期に色々変貌がありましたからね。 それを知って初めて彼女は「ラウ」と呼んでいるので、彼女にとってはそこで初めて仲間意識が芽生えたのかもしれないですね……。 彼女はナチュラルがコーディネイターに勝るナチュラルでいるためにどんな苦労があるか身をもって知っているんで、その瞬間クルーゼは「ナチュラルなのにコーディネイターの軍隊で将官クラスになった」という果てしない尊敬の対象にもなっただろうしな、というね。
彼女はそれを「あなたが努力した」と思っていたけどクルーゼは「どうせ自分なんてどうせ遺伝子のせいだしどうせ」なネガティブ思考なのがなーという。そんなに単純ではないけど簡略化すればそういうことだったと思うんですよね。
特尉は、だから出生も含めてのクルーゼを好きになったと思うというか、どれが欠けてもダメだったのにクルーゼは最後までそれを分かりたくなかったんだろうなーと思うと……。難儀な人だなとしか思えない。
そしてまた話がそれましたが。 階級がないんで大まかに軍服の色で分けられているんですが。 読んだことある方はご存知だと思いますが、彼女は赤服待遇でのザフト軍出向(軟禁ともいう)になったわけです。 が、ザフト軍は「ザフトレッド」に関してプロパガンダを展開していて大層なものと認識しているようですが、あれはあくまで成績のいいルーキー用。しかもおぼっさま集団のために作ったようなもの。という前提があったので特尉は内心「(ルーキー用とか)勘弁してよ……」と思っていた。彼女は黒が着たかったんですよね。たぶん。 おおざっぱに、赤=士官、黒=佐官、白=将官、とはいえ見た感じ大尉クラスも黒を着ているので彼女の希望は黒だったはずです。が、赤になってしまい「マジかよ……」なところからザフトでの正式なキャリアがスタート。 クルーゼは彼女を重用していたので、赤だけどやってることは黒服的だったというか。というか彼女は正式な士官教育を受けているんで何だかんだ便利で結局指揮官的な役割をせざるを得ないといった方が正しいかもしれない。 ただ、最初は不本意でしたが、彼女も最終的には「クルーゼ隊の赤」ということにとてもこだわりを持っていたのではないかなーと思います。赤というかクルーゼ隊ということにこだわりがあったのではないか、と。これは凄い変化だったと思います。 まあ、イザークと二人っきりになったからアレですがね最後は……。
特尉の人間関係はほぼクルーゼ一点に集中してましたが、イザークは本当に色んな人と関わって転落人生からもとのエリートに戻ってきた感がありますね。 特尉は士官として最初から完成したキャラだったんで、イザークは本当にもう……少年の成長という意味でとても話に貢献してくれました。
イザークは特尉とのエンカウントがナチュラルとのファーストコンタクトだったとはいえ、特尉は特尉でエリート士官かつずば抜けたナチュラルなんで、あくまでイザークとしては「ナチュラルと取り合えず接した」だけで一般的なナチュラルに初めて接するのは地球だったわけで……。
イザークの転落人生はほんと面白かったと思います。本当に転落してましたからね。でも、転落していても守られていた。と気付いてエリート街道に戻ってきたイザークは時間がかかったけど最後は立派に成長したと思います。たぶん根は真面目な子だったんだろうな、とも思います。割と素直ですしね。
戦後に彼は自分の隊を持つまでに昇格するのかーと思うと感慨深くはあるんですが……。 戦時中に18歳になるんで戦後は19歳か……。うーん、19歳で白?なんだかなーと思わないでもない。ワンステップ経た方がいいんで黒を着て補佐官を経験すべきだよな。とも思うけどイザークに黒は死ぬほど似合わなそうなのがネックです……。 特尉は黒髪ダークアイズの美形なんで白赤黒どれも似合いそうだけど。 (彼女の容姿は好きに想像していただいて構わないんですが、あえてビジュアル化するならファフナーの生駒祐未の例の頬線を消し、髪と目を黒くしてローズ系の口紅を引いたら一番それっぽくなると思ってます) イザークはうーん……。 ルーキー用の赤は戦後は脱いだ方がいいと思うけど、まあ軍本部あたりで数年黒を着たのちに隊長に昇格昇進して欲しい気がします。せめて20代の半ばあたりで。本人も色々経験してきている分、いきなり隊長昇格はたぶんイヤだろうしな……。 イザークが隊長昇格したらニコルも特尉も祝いには来てくれるだろうけど、特尉はクルーゼを思い出して複雑、という未来図は確実にありますね。 全員どこ行っても「元クルーゼ隊のザフトレッド」と言われ続けるでしょうしね。 特にイザークは一生クルーゼと比較され続ける軍人人生でしょうし。
そんな偉大なクルーゼ隊長がナチュラルだったって知ったらイザークどんな反応するのかちょっと興味があるな。笑。 イザークの人生わりとナチュラルまみれで本当に(エリートコーディ様視点で)転落しまくってますね。 もうここまで来たら敬愛していた隊長がナチュラルでも「やっぱナチュラル(の天才)やべえわ……」くらい達観する、かも……? エザリア涙目どころの話じゃないですよねこれ。
5年後くらいかな……。特尉が当時のクルーゼと同い年になり25歳になる少し前くらいで。イザークは23歳になったばかり。ニコルは21歳か。 まだまだめっちゃ若いな……。クルーゼは将官クラスだったけどイザークはあれだ、クルーゼが生きてたら「ジュール隊も私の指揮下に入る」系の下級佐官だな。 クルーゼやべえよなマジで、イザークじゃなくても「やべえな」ってなるわ。 特尉も実力で黙らせてた部分はあるけど多大な政治的意思が背後にあったしそもそもクルーゼが彼女に害意ゼロだったという前提(彼女はクルーゼを不振がっていても、ザフト兵は大将のクルーゼがそばに置いてる人間に下手なことできないので。まあ例外はいましたけどY・J氏とかいう)があるけど、クルーゼは(ザラパパ抜かしたら)実力だもんな。そりゃナチュラルだということは隠してたにせよ。 特尉は近接格闘だけずば抜けてあとは平均値だしコーディ用のOSは操れないしな……、クルーゼはそこはクリアどころか上手いわけだしな。 3人そろって「やっぱあの人やばかったわ」って改めて語る図になってしまうんだろうな。 このくらいの戦後のイザークプロモーション編なら書けるかも……そのうち書こうかな。
ていうかかなり簡略化してるんで誤解されたらアレですが、クルーゼは彼なりの意図があって特尉を重用してるんで……。彼の個人的な気持ちだったかは完全に読み手に委ねているというか。まあ読んでると表面的な理由ははっきりしているんで分かると思いますが……。 ただクルーゼ隊の皆さんは「あのナチュラルがお気に入りなんだろうな」って下世話な解釈してるorしていた隊員も一定数いるだろうけど。艦長陣はさすがに「ああはい他国の士官ですね」って対応だったし、そもそもクルーゼが彼女を初期に保護していた表向きの理由はザラ親子のせいだしな……。という事情が非常に複雑なので最後までクルーゼの本音は分かりにくい仕様でしたから……。 分かりにくいってかたぶん本人も分かってないか認めたくないか。だからニコルみたいにはっきり好きだ好きだ自信満々に言えるタイプに思うところがあったのかも。 私自身は特尉とクルーゼの危うい関係は面白かったというか、雰囲気がやっぱりティーン陣とは違うので楽しかったんですが……ずっと駆け引きめいたことばっかりしてましたからね。時に同僚、時に上官と部下、時に友人と使い分けながら。たまに確実に友人を越えていたけど、まあ結局それは分からずじまいで私は楽しくても本人らは楽しくないだろうな……。
話を戻して。成長してなおイザークに隊を任せるのは非常に不安なんですが、大丈夫なんかな……。戦後で平和が続く予定だからいいかな……。二世議員とか死ぬほど向いてなさそうだし、本人は戦友に報いる意思があるんで絶対に軍に残るはずなんで昇格は免れないし……。 でも本人もかつての上官たちを抜いていくのは複雑だろうな、と思います。副官格になって思うこと、隊長格になって思うこと、色々あるでしょうからね。
軍にぜったいに残る、と言い切れるイザークはやっぱりどのキャラよりも複雑な人間関係を経て成長したなーと思います。それ以外の選択肢がもはやないと言ってもいい。 他のキャラは、特尉でさえ軍を退くのになーと。特尉はクルーゼのために何もかも捨てていいと思える状況でしたが、イザークは好きな子のためにそこまではできないだろうな。彼女の命が危険とかだったらそりゃ全て投げ打ってしまうかもしれないけど、好きな子と添い遂げる人生と戦友に報いる人生だったら後者の方が彼にとって重かったというか。 イザークもわりとしがらみの中で生きてんなーとも思いますが、Sガンダムはイザーク側から見ると真面目にイザークが主役な気がしてきます……。
←この記事へのコメントなどぜひ
|