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スローライフの原点 - 2003年01月15日(水)
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午前中、何気なくテレヴィを付けると、 NHKで皇室歌会始(うたかいはじめ)の生中継中。 2時間見てしまう。
これって、究極のスローライフだと思った。 何せ、一首読み上げるのに5〜6分かける。 読み手が5人くらいいるんだけど、 最初に1人が通して、ゆっくり読み上げる。
例えば入選した 「わが街の大河にかかる新しき橋に新しき年の雪降る」 という句だったら、
わがーまちのーーーーーーーーーーーー たいーがにーーかかーーるーーーー あたーーらしーーーきーーーーーーーーーー
はしーにーあたーーらしーーきーーー としのーゆきーーーーふるーーーーーーーーーーーーーーーーー
1回読んだあとは、これを5人が唱和してもう一度読む。 この時は声明みたいに、ちょっと節がつく。
わがーまちのーーーーーーーーーーーー たいーがにーーかかーーるーーーー あたーーらしーーーきーーーーーーーーーー
はしーにーあたーーらしーーきーーー としのーゆきーーーーふるーーーーーーーーーーーーーーーーー
これで終わり。だいたい5分。
こうやって、入選作10、選者5、召人1、東宮(皇太子)1、東宮妃(雅子さん)、皇后1、天皇1 計19の句を読んでいくわけですよ。 天皇の「おおみうた」に至っては、最初の読み上げを3回やるんですよ。
貴族なんて、これとケマリくらいしかすることがなかったから、 こういうスローな展開が許されるんだろう。 現代人の時間感覚とのズレが何とも言えず面白かった。
それ以外にも、小さいツボが。 それは、人の名前の呼び方。 句を読む前に、当然作者の名前を呼ぶんだけど、 例えば上の句を書いた新潟県の丸山一さんだったら、
にいがたけん、まるやまの、はじめ
って言うんですよ。 マルヤマノハジメですよ。 ナカトミノカマタリとかミナモトノヨシツネとか、カンノミホとか、 そういう歴史上の人物と同じですよ。 自分の名前がこういう風に呼ばれてるところを想像すると笑える。
皇后の歌がよかった。
ひと時の幸分かつがに人びとの佇むゆふべ町に花ふる
街を歩いていると、あれだけたくさんのヒトがいるのに、 まわりに誰も「人」がいないような気持ちになって、悲しく、怖くなるときがある。 自分には関係のないヒトたちの群れが、 自分が一人であるということを浮き上がらせてしまうのだと思う。
たとえばそういうときに、どういうわけだか分からないけど、 空から色とりどりの花びらが、夕陽を浴びながら舞い降りてきたらどうだろう。 自分も、自分のまわりにいる「ヒト」たちも、 その美しさに息を呑み、立ち止まり、幸せを感じ、笑みを浮かべ、心をひらく。 そしてその時、束の間でも、同じ感覚、同じ感情を持つ「人」として、 その時間と空間を共有する。
みんなが同時に見た夢。
花びらが降り終わって、落ちた花びらはアスファルトに融け、 人々はまた思い思いの方向へ歩き始める。 心の片隅にかすかな美しさと花の香りを残して。
街は少しだけ、優しく色を変え、夜を迎える。
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