というタイトルの曲を、その昔、エレカシが歌っていた。 すごくいい曲だった。あたくしが大学4年の時に出会った曲だった。
この曲に出会って、丁度1年後くらいに、恩師が亡くなった。
大体時を同じくして、一人の男性が東京で孤独な突然死を迎えていたというのを、 前にぷよ2から聞いた。 この男性は、ひとりっこのぷよ2にとっては兄のような存在だったらしく、 彼の死は、家族や親類のみならず、ぷよ2の心までもを相当に傷めつけた。
まだ、あたくしとぷよ2が出会う前のことだったのだけど・・・・。 この亡くなった彼は、在京時代のあたくしのアパートからそう遠くないところに住んでいたらしい。 そのアパートの一室で、孤独に原因不明の突然死・・・・当時まだ、25、6くらいの 前途有望な青年だったはずなのに。 自殺ではないと断定されたらしいけれど、持病があったわけでもなかったようだ。
これと同じような例を、あたくしは同じ大学の1期上の先輩に見ているので、 何ともいえない気分だった。 その先輩は実家から大学に通ってきていた人だったのだけど、ある日、「疲れているから」と 家族に言って、早めに就寝したものの、講義に間に合う時間になっても起きてこないものだから、 お母様が自室を覗かれたところ、本当に眠るように亡くなっていたらしい。 彼もまた、この学年では将来を嘱望されていた、演出コースのホープで、 日々忙しい毎日を送っていたものの、持病を患っているでもなく、況してや自ら命を絶つ理由などもなく、 本当に、謎の突然死だった。
今日は、ぷよ2の心の兄であるその人のお墓へ参りに、常滑まで出かけてきた。 偶然、その方のお母様、妹さんにお墓で出くわした。 ぷよ2が結婚の報告をすると、そのお母様は満面の笑みを浮かべてこう言った。
「それは良かったわ・・・・おめでとうございます。あの子もきっと、喜んでいると思いますよ。 これで兄貴としての役割をやっと果たせたって・・・・。」
あたくしも思った。 きっと、この人のお墓に報告に来なければ、本当に結婚したという実感がわかないままだっただろう。 ぷよ2のご両親や親類縁者の方々に御挨拶をしても、きちんと報告をしても、 きっと、物足りない気持ちでいたかもしれない。
あたくしも本当は横浜にある恩師の墓に手を合わせ、きちんと区切りを付けたかった。 罵声にも近かった、「結婚」という道に辿りついてしまったあたくしを、 バカだなよなぁ・・・・と笑って見ていてくれるだろうか、先生も・・・・。 あたくしは、先生のお墓がどこにあるのか、詳しくは知らない。教えてもらえなかったのだ。 そのうちに、東京から離れる日が来てしまい、7回忌を迎えた今でも、 彼のお墓には一度も手を合わすことがないまま、今日まで来てしまった。 どこかで、リセットボタンを押すように、心の整頓がきちんと出来ていれば、 あたくしもきっと、こんなに苦しまずに済んだのかもしれないけれど、 誰を恨んでも仕方のないことだ・・・・況してや先生は、自分で生きるのをやめてしまった人だから。
悲しみの果てに 何があるのかなんて
俺は知らない 見たこともない
あたくしもこの歌詞の通り・・・・。 悲しみの果てに何があるのかなんて、知らない・・・・見たこともない。 ただ、穏やかな潮風の音が、時折小雨混じりになる空気と一緒に、今日は唸っているだけだった。 悲しみの果てが、こんなにたおやかならば、そこへすら飛び込んでいけるような・・・・。
ぷよ2はお線香の代わりに、彼が愛用していた煙草に火をつけて、それを立てていた。 数珠すら持たずに、彼は墓参に来ていたのだ。
部屋を飾ろう コーヒーを飲もう
花を飾ってくれよ いつもの部屋に
悲しみの果てには、我々の新しい生活が待っている、そんな気がした。 この曲は、本当にいい曲で、今でも脳裏から離れない。
のちに、ドラマの主題歌でブレイクしてからは、彼らの曲を聴かなくなった。 それまでに凝縮されたメッセージが、すごく衝撃的だったからかもしれない。 あたくしがPRI2を愛する理由とよく似ている。 彼女らがブレイクした後の曲より、前の曲の方が断然好きだ。 何でかっていうと、「必死」さがあるから。 その「必死」さを見習いたくて、昔の衝撃をなぞりたくなるのかもしれないなぁ・・・・。
芝居を創るのをやめて、先生は孤独じゃなかったんだろうか? そりゃ、駄作より秀作がいいに決まっているが、必死に創作することをやめてしまったら、 全部台無しになってしまうんじゃないだろうか・・・・?
あたくしは、ぷよ2の「兄」の墓に向かって手を合わせつつ、先生のことを思った。 肉体全てを駆使する芸術だ・・・・と教えてくれたのはあなただったのになぁ・・・・。 そのあなたが、轢断死というのは、あたくしにとって、あまりに惨すぎる現実なのに。 東京を走る青い電車を一瞬止めた先生は、昇華などしていないのに。 生きていることが前提の「芸術」なのに・・・・。 亡くなった人間に対しては、言いたいことが山積みになる。 いけないと思ってはいても・・・・。
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