| 2002年09月29日(日)
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気疲れ・・・・舞台用語が通じぬ人々 |
【上手・下手】 じょうず、へたではない。 うちらは挙って「かみて、しもて」と読む。 舞台正面、向かって右側が上手で、左側が下手。 舞台に上がるものとしての大前提のド常識。
だと思っていたのはあたくしだけ( ̄∇ ̄;) 今度の発表会のリハに参加したのだが、まぁ、言葉が通じなくて とっても不自由な思いをしたのである。 仮にも、もう既に何回かダンスで舞台に上ったことのある人々だろうに、 「上手」「下手」の意味が通じないようでは、話にならない。
所詮ダンスはダンス、ミュージカルはその点演劇的要素がもっと含まれているから まだ居場所というか体の置き場所があるような気がする。
【袖幕・大黒】 「そでまく」に「おおぐろ」と読む。 両方とも、舞台に吊るす幕の名称である。 袖幕というのは、文字通り、 舞台の両袖に人や物が見切れないように吊るしておくまくで、大概黒い。 大黒というのは、やっぱり黒いんだけど、 舞台のドン奥の壁面を自然に隠す場合に用いられることの方が多く、 芝居ではパネルとかで隠される場合も多いから、使用しないところもあるけれど 大概、この大黒幕を吊るしておけば、上捌け、次・下手出などという時などは 便利なのである。
この日、この袖幕も大黒もなかったものだから、 早替えその他の見苦しいことったら( ̄∇ ̄;) しかも、見た目は若いけれど、そこそこ年のいった人たちが過半数で、 そうなると大概が出産経験者。度胸も何もが据わっている(笑)。 男の人がいなかったら、もっとすごいことになっていたかと思うと、 「あんたたちは、スーパーモデルじゃないんだよ・・・・(-。-) ボソッ」 と進言したい気持ちにもなる。 コレクションに出演するモデルは、よく舞台裏を裸で奔走すると言うが、 アレは本当である。 しかし、素人の女性が裸で奔走しても、何ら美しいものはないのである。 いくら練習の日だからといって、せめて、袖幕くらいは小屋付きの人にお願いして 下ろしてもらっておくんじゃなかったのかしら・・・・?>責任者
【生・番号をふってある明かり】 生というのは、フィルターを入れていない、白照明のこと。 番号が入った明かりは、大体、20番ちょいが赤。 30番半ばがオレンジ、40番ちょいが黄色、50番ちょいが緑、 70番台に入ってくると青(だったような気がする)。 大体この5色あたりを上手に使い分けて、別な色を作ったりもする。 特サス2つで、別の場所から灯体を2コ吊って、 角度をつけて同じアクティングエリアに設定すれば、紫色だって簡単に作れる。
「今日は、生明かりばかりで暑いですね・・・・。」 と何気にあたくしがこぼす。フィルターの入っていない灯体は、電熱器と同じだ。 すると、一緒にいた相手は 「はぁ? 生って何??」 と言い返す始末なので、 「いえ、何でもありません・・・・」 と、適当に逃げた(爆)。
何故ならば・・・・。 私は同じ教室に通っている人たちに、ほとんど素性を明かしてないからだ。 どんな仕事をしている(いた)のかだとか、結婚しているか否かだとか、 子供がいるのかどうなのかとか、暮らしはどんなふうだとか、 1月に入会してから、およそ10ヶ月。 言葉を交わす程度の人というのはいるが、「友達」と呼べる人はいない。
久々に舞台に上がって、色々と不備な点があることに気づいたので 責任者に申し出ようとしたのだけど、 彼女たちは皆、あたくしが本当は舞台畑だというのを知らないので そこはストレスがドッと溜まるところだけど、ぐっと堪えて、何も言わない事にした。 音の状況も良くなかったので、ニュアンスで確かめてみると、 今日は小屋付きの音響さんがいないので、ブースが開けられないとのこと。
はぁ!?
あたくし、出番が少ないので、少しでも協力差し上げたかったの。 出番の少ないものは、多い人たちにできるだけ協力してあげる。 これも常識中の常識。 音響だって、ブースを開けさえしてくれれば、大概の機材は触れる。 ・・・・けど。 差し出がましいと思われたら、あの連中の中ではやってはいけないので、 そこもぐっと堪えた。 早替えが間に合わないのなら、手伝ってもあげようと思っていた。 香盤表は??と聞こうと思ったけれど、それもやめておいた。
【香盤表】 こうばんひょう 役者が何場に出演して、何場で捌けてきて、どこで衣装がえをして どの時間に、どこでスタンバイしているのかを、表にしたもの。 これを元に、誰の着替えの介錯は誰が手伝うとか、 前の場面の小道具は誰が一緒に捌けてくるのか、 もしくは、次の場面の小道具、持ち道具は誰がセッティングするか その他諸々、舞台監督や演出から指示が出る。 香盤表さえ見ておけば、 演じる方も自分の出番がいつなのかがハッキリして便利。
これすらも存在しないらしい(爆)。 もう、何も言うまいと思って、自分の出番以外は、ずっと客席で プログラムを流して見ていた。 所詮、ダンスと芝居は違うのか・・・・と思いつつ。
あたくしのことをダンス経験者だというのを見抜いた人は、たくさんいたけれど まさか、芝居をやっていたなんて・・・・という突っ込んだところまでを知る人は ほぼ皆無に近い。 オマケに今回のこの発表会は、 大体5〜6ヶ所の教室からチームがエントリーされていて あたくしの素性なんかに、いちいちかまっていられないのだ。
「思い出作り」もいいけれど、 あれだけ本気でやっているのなら、もっと本気出して、 客からお金も取ればいいのにな、と思う。 発表会は無料だ。 こんなのに出演するのは初めてだ(爆) チケットをどんなに捌こうとも、バックはない(爆笑)。 えらい所に首を突っ込んだもんだな・・・・と自爆的自分を反省しつつ、 やろうと思えば、いつだって芝居くらいは出来るんだと、思い直した。
怖かったんだ、本当は。 何年もブランクが空いていて、次の舞台に自分が本当に普通に立てるのかどうか それが怖かったんだ。 でも本日、リハや立ち位置あわせをしていて、 あれだけのストレスがたまったということは、まだまだあたくしのカンも 鈍っていないということになる。
じゃあ、早く舞台に立ちたいな。 早く、自分が爆発できる場所に行きたいな。 文芸もいいけれど、やっぱりあたくしは演劇学科を卒業しているんだから、 そっちの方が居心地がいいのだ。
( ̄∇ ̄;) ダンスも楽しいからいいんだけどね。 あたくしは、他の人みたいに週に何ヶ所も別のお教室に通うなんてことはできない。 芝居をするに当たってのカンを鈍らせないために、ダンスをやっていたのだと、 この日、ようやく再認識した。
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