Diary?
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金曜日に横浜美術館へデュシャン展を観に行った。みなとみらいは荒涼とした埋め立て地と、未来的デザインの建造物のギャップが涙を誘う。デュシャンは、初期の絵画はともかく便器や瓶乾燥器などレディメイド作品はどうやって展示してるのかと思ったら、なかなか凝った展示で面白かった。それぞれの作品にインスパイアされたデュシャン以降の作家達の作品とペアになっていて、チェックシート・プログラムという企画に沿って鑑賞者が双方を比較しながら観ていく。その比較シートが出口のところとインターネット上にフィードバックされている。しかしその平均チャート図を見ると、各項目が平均して高いので驚いた。マイナス点をつけた人はあまり居なかったのか。しまった。私はチャート図がとんでもない形になるのを面白がっていて、それを素直に投票してしまった。
大ガラスへのオマージュ作品として有名な吉村益信《大ガラス》が観られたのは嬉しかった。それは2メートルくらいある巨大な鴉なのだが、イメージとしては紙を貼り合わせたハリボテみたいなものかと思っていたけれど、人口毛皮で精巧に作られていたのが意外。いやよくできてる。半刈りでハンガリーもそうだし、最近だと会田誠が好きっていうのもそうなんだけど、私はやっぱりこういう「誰もが考えつくけれど誰も実行しないことを敢えてやる」人が好きなのだ。「そんなこと俺だって思いつく」と言う人は多いけれど、案やネタをどんなにたくさん持っていたって表現しなきゃ持ってないのと一緒だ。アートに限らず。
さて中華街は春節のお祭りで、大変な賑わいだった。一度は春節の当日に中華街に行って龍舞など見てみたいものだが。テーマパーク「横浜大世界」の前を通りかかると、春節だから入場無料と書いてある。何の予備知識もないけれど、無料なのかと入場してみた。そうすると中のシアターで京劇の実演があり、時間的にも少し待てば見られる。青島ビールを瓶で飲みながらライブハウス状態で開演を待つ。京劇は歌舞伎と同じで全部上演すると一日がかりというものもあり、ここで実演されるのは10分程度のハイライト部分で舞台美術も全く無し。でも面白かった。見たのは「三岔口」という演目。このシアターでは中国楽器の演奏などもあるようで、空いている平日にビール飲みながらずーっと見ていたい。
中華街はなんだか中国茶の店だらけになっていてびっくりする。食材屋で烏龍茶の大袋と茉莉花茶の缶しか売っていなかった時代は、そう昔のことではない気がするのだが。逆に、あの茉莉花茶の可愛い黄色い缶を見かけなくなって寂しい。 大通りの人混みを避けつつ、同行の人に「同じ道を戻るのは勝ち負けでいうと負け」という人が居たので、あっちの路地こっちの横道とぐるぐると歩き回っていると、どこにいるのかよくわからなくなってくる。大通りに戻ってみたら「薬蜜本舗」なる店ができていて、蜂蜜の専門店のようだ。非常に気になったので入ってみるが、狭い店内に女子がぎゅうぎゅうに詰まっていて奥までたどり着けない。同行者が一人、果敢にも突入したけれど出て来られなくなっている。しかたがないので入口のところで試食だけさせてもらう。食事を済ませてから再度店の前を通ると、打って変わって客数ゼロだったので今だとばかりじっくり見てまわる。さっき試食させてもらった店の人に「おかえりなさい」と言われる。山口喜久二方式、雲南省農業大学などの言葉が心の琴線に触れまくってどうしようもないのでミニサイズの3種セットを購入。植物の種類によってこんなに味が違うとは。これから当分コーヒーやトーストやレモネードで楽しめそうだ。しかし同じ蜂蜜専門店でもデパ地下のラベイユなんかには触手が動かないのに、雲南省とか言われるとコロッとやられてしまうこの消費性向はどうなんだろうか。
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