Diary?
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2005年01月17日(月) 10年前

 10年前の朝、私は世田谷の叔母からの電話で起こされた。

「ふぁい。」
「もしもしKちゃん?あなたお家に電話した?」
「んあ?えーと、先週しましたかねえ。最近はしてないかなあむにゃむにゃ」
「…Kちゃん、起きなさいっ!起きてテレビ見なさいっ!大きな地震があったのよっ!お家に電話しなさい!じゃあ切るから!」
「へ?」
「ツーツーツーツー」

 なんだ?テレビ?パチ。

 関西で大地震との字幕、どこかの街がむちゃくちゃに壊れて燃えていた。その時点で私の頭はショートした。関西全域があんなことになったのかと思って、心臓が口から飛び出しそうになって息が苦しくなってがたがた震えて、感情なんて麻痺してるのに涙がぼろぼろ流れた。震える指で実家の電話番号をプッシュしながら、どうやって帰ろうどうやって帰ろう、新潟に出て日本海側から行けば帰れるだろうかなどと変に細かいことを考えていた。日本海といえばうちは原発から30キロ圏内だってことも思い出してしまって、よけいにパニックに陥った。

 今から思うとラッキーなことに、電話は一度で繋がった。父の「いやあ神戸はひどいみたいやなあ、今テレビ見てるんやけど〜」という呑気な声が聞こえてきた。母は「外に出た方がええかなと思ったけど、外は雪で寒そうやったから布団にもぐってた」などと笑っている。腰が抜けた。生まれて初めて、本当にこれが腰が抜けるってことかと知った。大阪の友人達には一日中電話が繋がらなくて心配したけれど、その頃には私も被害の範囲を認識していたので割と落ち着いていた。

 これが私の10年前の一日。さすがに鮮明に憶えている。


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