
野球を続けるのんって、
「刃物の上を素足で歩いてる感じや」
青波は言う。 今更気付いたのか。正直意外だった。 青波の言動は、瑞垣のそれを超えて抽象的だったし、それだけに 洗練されていない陳腐を感じることも多かったけれども、常に 核心を突いていたし、時には予言者のように先を見越していた。 海音寺と話すのとは別の意味でひどく緊張感を感じている。
誰もが野球に強烈な夢を描いている中、青波だけはそんな事とっくに 気付いて理解していると思っていた。
「瑞垣さんは、刃物の上を歩きたくなかったから、辞めたんじゃろ」
「違うな、アイツらより早く、刃物を上を歩いてたから もうアカンって、気付くのも早かっただけや」
そうなんだろうと思う。己の肉体の限界におぼろげながら気付き 始めるのは、最も顕著な成長期を迎える中学時代。でも、俺は、 もう随分前から、自分の一番愛していた世界ですでに絶頂を迎えて しまっていたのだ。
「青波やって、そうやろ。その髪の毛、もう野球してへんやん 兄貴みたいにやったらええんじゃ」
「僕は・・きっと、瑞垣さんが門脇さんに感じてたんと一緒やで」
・・・それこそ、青天の霹靂やった。
けれど、すんなり納得したりもして。
青波も、肉体の成長と共に少しずつ兄に対していかんともしがたい 気持ちを抱いてたら良いなあ・・。あんなセンシティブな子が、 いつまでも小学校4年のハートを持ち続けることも無いしなあ。
どうも、バッテリーを読んでいると、小説の中でキラキラしている 登場人物達のほとんどに、「今が絶好調・後は無い」みたいな 切羽詰ったような感じを受けてしまいます。こんな事思ったら 夢無いかもしれないんですが、早熟な巧なんかは特に、中1の今が 絶好調な感じで、これからどんどん周りが巧に追いついてきて (じいちゃんが言ってた少年のミラクルってやつ)、そういう現実を あんな感受性の強い青波が見てたら、もうどうなっちゃうんだろう とか、考えてる間にひどくおなかが空いてきたぜ
出かけてきます・・。続きは後で。
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