切れ端。

2011年06月03日(金) 5.16 × 8.29 = 107 + 129

朝。

あなたはいつものように起きて

朝御飯を食べ 

身支度をして

いつものように最寄り駅まで車で送って


夜。

いつもの時間になると

最寄り駅まで迎えに行って

この家に帰ってくるはずだった


昼。

病院は慣れてたはずだった

だけど空気が違った

「終わる」ことを感じた時から

もう戻らないことを知った

長くて短い最期の5日間


一瞬だけ意識が戻った時間の中で 

何を考えていたのか

何を思ったのか

声が出せたら 何を話したかった?

息子との長い握手に託したものは?


その後目覚めることもなく

途絶え行く意識の中で

誰を忘れ 

誰を想い

向こうへ逝ったのか



倒れる前の日に見た夢は?

倒れる前の日に考えていた事は?


もう 

声も 

心音も 

ない


だけど

包まれている

それはわかる


「神様はいない」

あの日から息子は折に触れて言う

でも 

あなたは私たちを見守ってくれている

遠くから

もしかしたら

近いところから 


私たちは 

あなたの生きた時間を背負って生きていく

あなたを忘れないことで 共に生き続ける

最期の日を忘れないことで 生きることに拘り続ける


向こうで4人が揃うのは まだ先のはず

逢えたら話すことは山ほどある


まだまだ忘れ形見に手がかかるから 

首を長くして待っていて


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shinsuke [MAIL]