French Wolf の日記
DiaryINDEXpastwill


2004年11月26日(金) 入院 - 初日


金曜日。


昨日の部から。
なんと木曜の夜、入院したのだ。

昼間からなんとなく腹部に違和感があり、それでも元気にプールではしゃいできた。

夕方、腹痛がいよいよ耐え難くなり地元の開業医で診察してもらったところ「腸にガスがたまっている」とのこと。レントゲン写真は撮らず、中身 (?) だけ確認することもできるご時世のようだ。しかも普通の人の 2 倍はあろうかという量だったらしい。そこでガスを出すための薬をもらって家に帰った。頓服の腹痛止めをもらい帰宅後すぐに服用したものの痛みがおさまる気配はいっこうになし。

夜、渡鬼をみているとどうも尋常ではない痛さで顔面蒼白、吐き気、悪寒、痛み、挙動不審など様々な症状が深刻化してくるではないか。以前入院したときには胃炎だったのだが、その痛みはるかに超えるものであり、今回は原因がわからなかったため親戚の車で近くの救急病院に出かける。診断は「虫垂炎」とのことだ。とりあえず点滴 2 本打って、明日の朝また来てもらいたいといわれたのだが、2 本の点滴を打っている間にも症状はますますひどくなる一方で、見かねた医師が家からもうちょっと距離のある大手病院に転院するとのこと。救急車で他の病院まで移動した。

まずは検査してみないとわからないことだらけということで、採血から始まって X 線、CT などいくつかの検査を受けた。中でも屈辱的だったのは直腸触診だ。噂には聞いていたものの、医師の指がケツの穴に入ってくるのだ! まさぐるように動かしながら「ここは痛いですか?」「こっちはどうですか?」「じゃ、こっちは?」などと聞いてくる。今考えると、周りに看護婦さんや他の医師、他の患者もいる中、下半身むきだしでケツに指をつっこまれている自分など筆舌に尽くしがたいほどの陵辱である。が、そのときは痛みの原因を早く払拭してもらいたい一心で検査にも協力的だった。(むろん、No といえるような立場・状況ではないが。) 血液検査の結果が出たのが転院してから 40 分後。それまではもだえ苦しみ、他の検査を受けたり、しゃべるのもままならない痛みにこらえている俺に問診であれやこれやと聞いてくる医師に対応したのだ。今振り返ると自分にご褒美をあげたいくらいよく頑張ったものだ。

出てきた所見から「急性虫垂炎」とのこと。手術するか、抗生物質で治療するかの選択を迫られた。俺は手術してしまえば今後一切同じ病気に罹る心配はないため、これを強く主張した。ここで厄介なのが、今はやりのインフォームド コンセント。これを徹底しているこの病院では、一応患者に選択肢を与えてから方針を固めるらしい。しかし俺がいくら手術を希望したところで、担当医 (後にこの人が主治医になるわけだが) が乗り気ではない。俺の体格からして、手術となると大がかりなものになり、完治まで時間がかかる。傷口の化膿やその他の合併症のリスクを考えると、「散らす」作戦の方がはるかによい、と言ってくるのだ。こんなとき本来ならばセカンド オピニオンを求めるのだが、そんな悠長なことはいっていられない。医師が手術したくないのであれば、俺がいくら頑なに「盲腸、とってくれ〜」とわめいたところで、執刀してくれないのだから、もう諦めざるを得ない。中途半端なインフォームド コンセントだ。要するに、「A と B がありますが、A はできません。どうしますか?」と聞いているようなもので、残された選択肢は自動的に B となってしまう。日本語ではよく「説明と同意」などと訳されるが、確かにこの意味ではきちんとインフォームされているし、コンセントもした。が、のっぴきならない状況下において、しかも事実上選択肢がないとなれば、インフォームもコンセントも関係ないのではないか? こんなことを痛みに耐えながら考えていたのだ。

さてようやく痛み止めが奏効してきたのか完全に体が解放されたわけではないが、なんとか小康状態に達すると、もう朝が開けていた。搬送されていたのは ICU。まぁ虫垂炎ごときで ICU は大げさだが、よく考えてみれば真夜中に病室に入れたりしたら、他の患者さんの迷惑でもあるし、とりあえず一晩は ICU で面倒をみた方が医師も看護婦も安心なのだろう。

朝方から数時間ウトウトすることができた。痛みが和らいだのか、鎮静剤のようなものも一緒に点滴を伝わって体内を循環していたのかは定かではないが、いずれにしても眠ったか記憶を失っていたのだ。

目覚めるとまた採血。正確には、採血しますという医師の声で起きたような気もする。しばらくたってから医師が戻ってくると、「手術します」とのこと。ん? 昨日とはだいぶ違うことを言っているのではないか、キミ、と思わず反駁しそうになったが、手術してくれるなら本望だと思い直して、「ハイ」と慎ましやかに返事しておく。

午前中には病室へ移動。普通ならベッドごと移動するか、車椅子で移動するのに、俺の場合歩いて移動させられた。まぁ、確かに苦痛ではあったが歩けないことはなかったのだ。そしてようやく入院生活が始まったことを認識する。4 人部屋。みなさん俺よりも年上だ。そのうち一人は日曜日には退院するという。

昼間の回診の際、主治医とともにヴェテランの先生がみてくれた。そのときには痛みもだいぶ治まっていた。朝方手術するといった主治医が顔を曇らせ、ヴェテランの先生と目配せをした後に発した言葉はなんと、「あれ、だいぶよくなっていますね。これなら手術はなしで問題ありません」。二転三転し、いろいろと気苦労が絶えない。俺のせりふではないな。結局手術は不要ということだ。ただし入院は一週間程度は覚悟しなければならないという。


French Wolf |MAIL

My追加