French Wolf の日記
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2004年11月03日(水) 文化の日にちなんで、なんちゃってバイオロジー入門。


水曜日。文化の日。

今、『ウィルスの追跡者たち』(青土社) を読んでいる。これは大昔とあるツテからいただいた一冊なのだが、はまりこむと面白い。


回想シーン

大学 1 年生の春学期 (日本の大学では珍しく、母校では 3 学期制だった)。理系の必須科目で生物の授業を履修し始めた頃だ。「生物とは何か。定義せよ」という出題があり、これだけでレポート提出をいきなり求められた。レポートとは高校時代から耳にしていた言葉だが、大学レヴェルとなるとやはりそれなりのリサーチが要求されていることはフレッシュマンでも容易に想到しうる。何も深く考えることなく課題にあった文献をあさり、参考資料のページが複数枚に及ぶほど、調べてみたものだ。

が、今考えてみると、当時自分ではあまり考えていなかった。授業で教授が「時計は生物でしょうか?」と訪ねる。教室 (と呼ぶには広すぎる大講堂。理系の建物の中で一番大きな教室だった。記憶が正しければ N-203 と呼ばれていた気がする) 中に否定するざわめきが走る。「バッタは?」- 当然生物だという雰囲気。「フラワーは?」- これもまたしかり。「じゃぁ、ウィルスは?」- 正直、当時の自分は「ウィルスの正体」を知らなかった。生物だろう・・・と思っていたのだが、教授の話し方、話の流れからすると「ウィルスは (少なくとも担当教授の考え方では) 生物ではない」ということを言いたかったらしい。

結局、レポート提出後、この春学期の生物のクラスは、「生物の定義」で終わった気がする。いくつか項目が挙げられて、これらすべてを満たすもの。これが生物です。というあんばいだ。途中で、DNA の話、細胞の話、消化の話・・・いろいろとうまく織り交ぜてあったが、非常にすぐれた出発点で、必要に応じて、しかも話の展開にうまく合致する形で生物の特性の基本を伝えてくれるものだった。


さて、ウィルスの話。詳しくは専門書に任せるが、要するに「生きてもいなければ、死んでもいない」ものらしいのだ。生物に寄宿して、細胞を乗っ取り、ウィルスがもっている DNA または RNA を細胞にコピーして増殖する。細胞に潜り込むまでは、ひとりでは何もできないのだ。分裂・増殖すらできない。ただし、細胞に入ると勝手に人様の増殖メカニズムを利用して、自分の複製を作らせる。細菌とも異なる。細菌は生物だ。自分で増える努力をする。ウィルスは他力本願。これが大きな相違点。

こんなことは当たり前だという読者賢者。そうだ、おっしゃるとおり。これは高校生でも知っていることかもしれない。でも、『ウィルスの追跡者たち』を読んで、細菌でもない金属鉱物でもない中間的な存在が科学者によって明らかにされる経緯を知るにつれて、深遠なトピックにはまりこんでしまったものだと思う。

よく風邪の万能薬ができたらそれこそノーベル賞ものだというが、風邪もウィルスによって引き起こされるごくありふれた疾病のひとつ。原因が細菌であれば抗生物質で問題ない。が、ウィルスは抗生物質 (読んで字のごとく、生に対抗するわけだから) では対処できない。ウィルスをやっつけるには、抗ウィルス剤が必要なわけで、夥しい数のウィルスが風邪の原因となることが知られている。一つひとつに抗ウィルス剤を開発できたとしても、変種が頻繁に現れる。いたちごっこだ。

知っている人には面白くない独り言になってしまった。そろそろキーボードから手を離そう。




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