Love Letters
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| 2003年06月04日(水) |
会いたいと言わないで |
仕事や
引越しの準備で、
毎日が
慌しく過ぎていきます。
この慌しさが
私には快適です。
あなたのことなど
思い出す暇も無いから。
子供達が
バルコニーで育てている
黄色いプチトマトの鉢も
もうすぐ新しいマンションへお引越し。
大きな窓から
日差しが沢山入り込む
真新しいダイニングルームで
初めて私達の口に運ばれることになるでしょう。
朝、
出張へ出かけるあなたから
電話がありました。
新幹線のホームのアナウンスに
何度もかき消されそうになりながら、
あなたの声が届きました。
「雨が降りそうだから、折り畳みの傘を入れたよ。(笑)」
傘を忘れて、帰宅途中に雨に濡れることの多いあなただから、
お天気が変わりそうな日には、
私は口癖のように、
傘を忘れないでねと言っていました。
あなたが会いたいと言えば、
私も
会いたくなることを
あなたは知っています。
会いたいと言われただけなのに、
身体の奥が熱くなるのを感じました。
あなたの感触を
昨夜の事のように思い出してしまいました。
お願いだから、
感じさせないで。
会いたいと言わないで。
電話を切った後、
バスルームへ行くと、
下着が濡れていることに気づきました。
私は、
朝の光が差し込む寝室で
独りの快楽に耽りました。
小夜子
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