季節風
若葉



 断片

失うものなんて

何も無かった


与えられる「食物」を

毎日毎日 消化するのに精一杯で


夢や希望を持つことは許されなくて

与えられた目標以外のゴールは無くて



「終わり」が保証されていたから

欲することは罪だった


興味を持つこと

好きになること

楽しむこと

夢中になること

笑うこと

努力すること

喜ぶこと

それらすべてを


言葉にすることさえ許されなかった

心に浮かべることさえ罪だった



口をつぐんで

目をつむって

耳を塞いで

息を殺して


ただうずくまって

生きていたあの頃

2002年07月10日(水)
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