あたしは最近、金魚が飼いたい。 というのも、室生犀星を読み返しているからです。 『杏っ子』というのが、ほんとうに文章がきれいです。 でもなんか違和感もある。女なんてこんなもんじゃない、と思う。 そして、皆が大好きな『蜜のあわれ』。 ちっこい金魚が出て来て、 「あたい、おぢさまになら、しっぽのぬめぬめを触らせてもいいわ」 そんな感じで、かわいんだか、エロいんだか、やばいと思う。 小説家なんて、きっと皆あんまりカッコよくなくて、しんけんにやばい人だと思う。 いい年してよく書けた。 「ざまあみろヒコ星オリ姫ダハハハハ」 そんな科白が岡崎京子のマンガにありました。 たしか『あたしは貴方のオモチャなの』。 雨振りましたね。 催涙雨。 「7月7日に降る雨は催涙雨というのだ」 これは、『日出ずる処の天子』。 だんだん、オタクっぽくなってきました。 指というのは不思議なものです。 例えば、あたしはタイピングが自己流なので、完全なブラインドタッチはできないのだけど、ほとんど見なくても、かなりの速さでキーボードが打てます。 そういうとき、指が鍵盤に吸い付きます。 頭で考えると、 「Tはどこ」 と考えても、上だか下だか、右だか左だかわからないのだけど、 「つみき」 と考えながら指を走らせると、指がTに吸い付いて、Uに吸い付きます。 可笑しい。わらっちゃう。 楽器を弾いているときもそうでした。 頭で考えると、ピックをどう握っていいのかもわからなくなるのに、 「ここで、ぐっと、うっとりする音を出したい」 とイメージをすると、指がそんな風に動く。 指は不思議。 指は大事。 二十余年もくっ付いていて、この細っこいのが折れないのも不思議。 こいつはあたしなのか? あたしはどこまでなのか? 指のおかげで、今までたくさん、楽しい思いをしました。
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