Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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引き込み線の土手に構えている、鉄道の二車線、線路の上は吹雪いている、わたしが居るこちら側ではもう生きていることはできない、貨物列車が通るのは吹雪がオレンジ色に照らされてから数秒後だ、向こう側へ渡らなけばならない、おれが先に行く、吹雪の中を渡ると待っていたかのようにオレンジ色に照らされて列車が轟音をたてて襲ってくる、タイミングはわかっているぜ、怖いけど、
土手の向こう側に飛んで身を伏せる、暗闇だけど草むらだから安心だろ、とにかく両手で草をつかんでしゃがんでいるのだ、地雷があったり特定危険生物が生息していたりするんだぜ今どきは、と言われる、そういう世紀だものなと応じる、鉄条網が張られている、線路には小銭で膨らんだ財布が登山者の遺失物が乱雑におちている中に化石のように経年した状態で見える、横には汚れた背広服の男が山海塾の舞踏をしている、
鉄条網から手を伸ばして小銭を手にする、そういうふうにしてここで暮らすのは、それはそれでイヤだな、
土手から一段降りたラインで木製の通路ができている、多くのひとが避難するように歩いている、中に婚姻で揉めている家族がいる、結婚相手の趣味がカネにならないものだと新婦の両親が責めている、おれはそこに割って入り結婚生活なぞ本人同士が続けようという意思だけがモンダイで他の要素はたいして関係ないのだと諭している、
通路は、お布団だらけのリスニングルームへと続いている、美人ちゃんのあのこはあちこちに用事や仕事があるのか寄ってきてくれない、お布団の中から音楽喫茶をしている若者が問いかけてくる、たださんこれどうっすか?
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