Niseko-Rossy Pi-Pikoe Review
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2019年04月27日(土) タダマス33リワインド



今回はタダマス史上はじめての即興シーンのトップランナー森重靖宗さんがゲスト、

福島恵一(音楽批評)さんからの告知文を読みながら電車に乗って乗り過ごす、

タダマス、レコードプレイヤーの回転(1分間に33回転)に合わせ、メヴレヴィー教団の旋回舞踏を踊る  "TADA-MASU" Whirls Mevlevi Sema Turn Dance at the Same Speed as Record Player Turntable Spinning (33 per minute)


“一昨年の10月にリリースされたソロCD『ruten』は、近接録音を駆使した苛烈極まりない、眼に痛いほど眩しいサウンドの爆発と閃くフレアに満ち満ちており(昨年聴いた作品のうちベストと言ってよい)”

あの福島恵一が年間ベストと掲げている盤!これは全世界の即興リスナー瞠目の瞬間なのだ、一瞬でも動きが遅くて売り切れ品切れになった痛い目にあったことばかりだ、

喫茶茶会記に入って森重さんにはじめましてのご挨拶冒頭に「森重さん、今日は『ruten』お持ちですか?買わせてください!」、


えっ?メヴレヴィー教団って?旋回する舞踏、ということですね、



masuko x tada = yotsuya tea party vol.33: track listing
new from New York Downtown scene in first quarter of 2019


1. Russ Lossing: Motian Music (Sunnyside Records SSC 1532)
track 1: Asia (Paul Motian) 6:16
track 10: Psalm (Paul Motian) 6:22
Russ Lossing - piano; Masa Kamaguchi - double bass; Billy Mintz - drums.
recorded by Paul Wickliffe at Charlestown Road Studio, NJ on May 30, 2017.

ラス・ロッシング、モチアンが旋律を出してこれにどういう和音を付ける?ときいてソレだめコレだめアレいいと言われる交流と貢献をしたのだという、
カマグチのベースがモーガンのパワフル寄りで聴かせる、ミンツは天然じいさんでモチアンの揺さぶるちからはないが心地よい飾り物になって収まっている、
Asiaはついシュニトケの亡き母に捧げたピアノ五重奏曲を髣髴とさせる点描リリカルではじまるものだから、わたしは大好きだ、
しかし、ロッシングのピアノは音はいいのだが凡庸な安全牌ばかりで、同じく最近出たフォーマネク、クリーヴァーとのトリオもまた器用凡庸であって、


2. Mats Eilertsen: And Then Comes The Night (ECM Records ECM 2619)
track 2: Perpetum (Fraaje/Eilertsen/Strønen) 6:56
Harmen Fraanje - piano; Mats Eilertsen - double bass; Thomas Strønen - drums.
recorded by Stefano Amerio at Auditorio Stelio Molo RSI, Lugano in May 2018.

04年頃にわたしはポールニルセンラヴとトーマスストローネンがいい、ストローネンよニューヨークに来い、と表明したことがある、あれは幻だったのか、
しかし、音だ、大太鼓の空間的地響きの督音が良すぎて、うっとりとしてしまう、その解像度に現代ジャズの潮流を見てしまうというのは強引かもしれないが、その盆栽性をわたしは認める、
ECMファン御用達の表題曲アイヒャー指揮路線、老舗の伝統最中、幸福な自閉、


3. Rema Hasumi: Abiding Dawn (Ruweh Records At Home Series)
track 4: Wonder Through (Rema Hasumi) 4:17
track 5: Emerge (Rema Hasumi) 4:01
Rema Hasumi - voice, piano, analogue synthesizer.
recorded by Todd Neufeld at their home in December 2018 - January 2019.

ありのままの謎である、耳と手の身動きが手に取るようにわかるが、わたしの耳は納得を追走し続けて恋するようである、Play Your Own Thing とはこのような表現だと思う、


4. Alexandra Grimal: Nāga (OVNI OVN 0002)
track 3: Noun (Alexandra Grimal) 11:35
Alexandra Grimal - tenor, soprano & sopranino saxophones, voice, texts; Lynn Cassiers - voice, live electronics, texts; Marc Ducret - electric & soprano guitars (left), voice; Nelson Veras - electric & acoustic guitars (right); Jozef Dumoulin - Rhodes electric piano, live electronics, piano (6); Benoît Delbecq - piano; Stéphane Galland - drums.
recorded by Céline Grangey in 2018.

カシエ、デュクレ、デュムラン、デルベック、きら星の如くのドリームセッションだ、たまらない、お菓子を愉しむ時間にたたずむ、共演サークルにはシュビヨンもいた、フランスのシーンに生成する特異性というか香りといった手探りを聴き取ることもできる、それは言語や思考に寄り添う前提を要するのだろうけれども、わたしは彼ら個々人のこれまでの快楽の方向性、彼だとわかる音色に歓ぶだけでそこから出てゆけないもどかしさも感じながら、


5. Malaby/Dumoulin/Ber: Maps & Synecdoches (Inside Jazz 5 413905 201796)
track 3: Flash Back (Malaby/Dumoulin/Ber) 4:28
track 13: Sfumato III (Samuel Ber) 8:20
Tony Malaby - tenor & soprano saxophones; Jozef Dumoulin - Rhodes electric piano, keyboards, effects; Samuel Ber - drums.
recorded by Fred Carrayol at Studio Mercredi 9, Paris on May 19-20, 2018, except track 3 recorded live by Vincent De Bast at Bravo, Brussels on November 9, 2016.

マラビーにはジャズシーンのセンターを牽引する期待を持ったものだが、クリストファーホフマンMULTIFARIAMでの次々に展開する魔境のワンシーンのはじっこにめまいのように鳴り響くだけの存在感、それがジャズであることを保証しているとは言わないが、いやむしろこのようにたとえばポストマークターナーだとかワンホーンカルテットでの顕現だとかそのようにはならないで、ジャズとしての強度という価値座標軸からも逸脱して、そもそもこれがジャズなのかという場所にまで逸脱してきて今ここで見事に存在感を示しているということに、わたしはマラビーはそのように生き残ったのだと思うのである、


6. Tom Rainey Trio: Combobulated (Intakt Records Intakt CD 316)
track 2: Point Reyes (Rainey/Halvorson/Laubrock) 5:56
track 4: Isn't Mine (Rainey/Halvorson/Laubrock) 7:08
Ingrid Laubrock - tenor & soprano saxophones; Mary Halvorson - electric guitar; Tom Rainey - drums.
recorded live by Greg DiCrosta at Firehouse 12, New Haven, CT on September 15, 2017.

おおっと、一転、これが強度あるジャズでしょう!と手がグーになる演奏だー、


7. Human Feel: Gold (Intakt Records Intakt CD 322)
track 10: Ology (Andrew D'Angelo) 4:15
Andrew D'Angelo - alto saxophone, bass clarinet; Chris Speed - tenor saxophone, clarinet; Kurt Rosenwinkel - electric guitar; Jim Black - drums, ROLI synthesizer.
recorded by Kurt Rosenwinkel at Heartcore Studios, Berlin in 2017.

なんちゃってブラジル個人趣味な盤で最高傑作だと称されるのはどうなっているんだカートローゼンウィンクル、古巣に戻ってヒューマンフィールを再結成?かと思いきやそもそも再結成ということもないそうでずっと演っているとのこと、クリススピード横綱の音色があまりないトラックだったか、


8. Watussi: Stargazers (Klein 09)
track 1: Phonno (Watussi) 12:17
Joachim Badenhorst - clarinet, bass clarinet, tenor saxophone, voice, field recordings; Ingrid Schmoliner - piano; Pascal Niggenkemper - double bass, bells.
recorded Charles Wienand at St. Johann, Austria in January 2017.

最初の一音棒読み持続だけで引き込まれるってどういうことよ、世界観が拡がる感覚、タダマスで出会ったバーデンホルストの才能、なんだろうこの新しさは、新しいひとが来た、と、それしかずっと言えてないでいる、


9. RJ Miller Trio (Apohadion Records)
track 1: Side One (RJ Miller) 19:51
Dave Noyes - trombone, bells, keyboards, synthesizer; Pat Corrigan - timpani, vibraphone, amplified birdcage, toys, junk; RJ Miller - drums, samples, keyboards, bells.
recorded by Caleb Mulkerin at The Apohadion Theater, Portland. ©2018

ミラーの前作は理解するのに時間がかかったことを告白しよう、
菊地雅章からのスタジオメールにはタイションとミラーの名が早くからあって、わたしはタイションもミラーも知らなかった、タイションはCDが出ていたので聴いてみたが当時はよくわからなかった、
それからだいたい15年が過ぎたのだ、その間に菊地雅章はいなくなり、タイションとミラーの才能の大きさにおののきはじめているのだ、


10. Anna Webber: Clockwise (Pi Recordings PI 79)
track 1: Korē II- (Anna Webber) 3:51
track 2: Idiom II (Anna Webber) 8:38
Anna Webber - tenor saxophone, flute, bass flute, alto flute; Jeremy Viner - tenor saxophone, clarinet; Jacob Garchik - trombone; Christopher Hoffman - cello; Matt Mitchell - piano; Chris Tordini - double bass; Ches Smith - drums, vibraphone, timpani.
recorded by Max Ross at Systems Two, Brooklyn on January 21-22, 2018.

このダイナミズムはクラシックの書法を取り入れてのことだ、が、この力強さ、アンサンブルの躍動感は彼らにしかできない、わたしは二週間前に年間ベストだと宣言したそうだが憶えていない、で、また思う、これは年間ベストだ、


クリストファーホフマン、ハスミレマ、ヨハヒムバーデンホルスト、タイションソーリー、が、現代ジャズ2019の四天王である、
トーマスモーガン、ヘンリースレッギル、クリススピード、を加えて神7、だな、
風景としては、


Spotifyでブラッドメルダウの新曲1トラックが出ていた、哀れな終わりかたをしている、なんだかわたしにとってメルドーはジュリアナとのHungry Ghost (Live) YouTubeまでだった、





Niseko-Rossy Pi-Pikoe |編集CDR寒山拾得交換会musicircus

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