それはだいたい12年まえ。リスナーたちはピチカート派とフリッパーズ派に分かれてて、前者が都会生まれであり後者が救いようのない田舎者であったことは、わたしの理論で言えば、ピチカートのコンセプチェアルなセコい性向と、フリッパーズの刹那な直球だけがもつ高級感が、それぞれにプラスとマイナスが引き合うように、リスナーを惹き付けていたものであったこと。ひとはね。欠如に誘惑されるの。そんなことを菊地成孔の200CD本をめくっていて。うおお。チック・コリアのサークル『パリ・コンサート』、『ARC』を挙げている一事で信用に足る。