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Land of Riches
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| 2021年09月18日(土) |
9月読書録『沖縄から貧困がなくならない本当の理由』 |
連休初日にふらっと行った近所の書店で購入した2冊の新書のうちの1冊。
47都道府県で貧困率最下位の沖縄、その理由はクラクションを鳴らすだけで 睨まれたり、知り合いの店で延々と同じ定番商品を買い続ける事象に代表される 自己主張を許さない空気によるものだった…という説を多数の資料を挙げて説明する前半。
…から一転して後半は、その理由を自尊心の無さに求めるという急カーブぶり。 ちょっとビックリしました。著者は愛を経営理念とする独特の手法でホテルを 再生した経歴の持ち主だそうです。沖縄県に対する巨額の援助が意味をなしてないのは まだ理性で理解できるのですが、真の対処法で精神論を書かれるともうどうしたらいいか…。
いや、巨額の援助が実質無駄遣いになっているがゆえに、そうすべきではないか、というのが 筆者の主張なのですけれども。そして沖縄は世界から見た日本の更なる縮図、と締めます。
読んだ翌日(9/19)に森美術館で見た南太平洋産の展示で、環太平洋では 個人主義はあまり力を持たない的な説明があって、日本もまた環太平洋の 一部としてそういう文化が根付いてしまったのかな…と今になって思います。
あまりに根が深すぎて、私が生きてる間には解決しなさそうだな…と 絶望的、あるいは投げやりな読後感になってしまったのは残念です。 著者のせいではないんですけど。人間は100年ぐらいしか生きられませんが、 人が生きる社会は何百年もの積み重ねが醸し出す空気に包まれているのです。
2021.9.19 wrote
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