Land of Riches


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 2009年04月01日(水)   4/1付日経「フットボールの熱源」by吉田誠一さん(Replace) 

【食を通して選手を磨く】
どんなに栄養のバランスの取れた料理でも見た目が悪くては、
疲れた選手の食は進まない。
「おいしく食べてこそ栄養は身になるものだと思うんです。
だから私はおいしさを表現することに力を入れている」と
京都の選手寮で調理に携わる北村藤夫寮監は話す。

料理は見た目が重要と北村さんは食材の色や形にこだわる。
酢豚ならピーマンの緑、ニンジンの赤をきちんと残すということだ。
作りたてなら色の問題を心配することはないが、
ユース選手を含めて40人を預かる(※)だけに、
すべての料理を全員に作りたてで出すのは難しい。
だから色を気にする必要のない食材だけを先にいためておいて、
色鮮やかに保ちたいピーマンなどは皿に盛る直前に調理して加える。

食材の質にもこだわり、品数も豊富にそろえるから当然、コストはかかる。
京都のような理解のあるクラブはまれで、多くは選手寮の食事を
給食会社に委託しているためコスト管理に厳しいという。
北村さんは「サッカー関係者は選手の食の問題が重要であると言いながら、
実際にはこの分野の改革に本気で取り組んでいない」と嘆く。

かつて千葉で8年、働いた北村さんは一貫して
「食を通した選手の人間形成」に力を注いでいる。
「食は文化であって、人間らしく生きるための原点だと思う。
食に対する姿勢が、勉強や練習への取り組み方につながっている」。
そう考えるから、茶碗を持って食べることに始まる食のマナーにうるさい。

「最近の子はサンマの塩焼きを出すと、
片側を突っつくだけで裏返して食べようとしない。
そうするものだということを親から教わっていないんです」。
北村さんは必死になって、若者の「食」の乱れを正す。
それによって選手を人間として磨き上げ、深みを加えていく。


※やぶ注:"RYOUMA"には入団3年目未満のトップ若手選手とユース選手が暮らす。


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