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Land of Riches
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| 2007年10月29日(月) |
Mercury Retrograde [改稿] |
―11/1まで水星逆行中。過去に意識の至ること多し―
帰宅時、いつもと違う道を通ってみた。知らない建物がいっぱい建っていた。 11月末で、この街―柏へ引っ越して4年になる。風景の移り変わりにも気づけるのだ。
引っ越した当時の感情は、もうよく思い出せない。話し相手がいない寂しさを紛らわしに 日立台へ行っていた覚えが、うっすらとある。がむしゃらに多忙な日々を過ごしていた18歳と。
4年は短くない。大学も卒業できる。そう…大学生活は長くもないが、短くもない。 高校生活はもっと短い。高校生活3年プラス、大学生活1年。まさにその長さ。
あどけない少年は大人になった。顔立ちの形容に、精悍―という語を使うのにも、 もう抵抗などない。髭まで伸ばしている人は正直どうかと思うのだけれど。
サッカーを愛する中学生が対象のムックを読む。誰でも、限界を知るまでは、 大きな夢を抱くことが許される。気がつけば、秋の深まり冬の訪れは、とても切なく 哀しい時間と化していた。クリスマスは、いつだって、たどり着けないファイナル。
無限大の夢を抱き、遠くからボールを蹴るために通い続けていた少年は、 冷酷な大人の判断でそれまでの時間を“打ち砕かれ”瞳に陰を宿すようになる。
夢を叶えられる人など、ほんの一握りしかいないのだ。 挫折を経てでも叶えられた人は、幸せ者なんだ。
毎日毎日同じ作業を繰り返し、明るい未来など見えないから、無邪気に週末の予定を立て、 それだけを楽しみに単調な労働をこなしていく。組み込まれてしまった名もなき者。
何月になっても、何年になっても、何も変わりはしない。 いや、変わりゆくのは老いていく身体だけ。
時計もカレンダーも鏡も手帳も日記も、関わらずに生きていけた方がいい。 流れゆく時に、悔いや、望みや、喜怒哀楽など染み込ませない方がいい。
生きることは苦しみ。時が流れゆくことは恐怖。いつまで経っても答えは出ないし、 悟りなんか開けない。怯えて目を背けて安物の“酒”で気を紛らわせて、酔っ払って。
少年は大人になる。少女も大人になる。なりたくなくても、やり直したくても。 若者に思念を投影し、自分から逃げたような心地になって…思考停止に陥って。
実った鮮やかな赤も、絞り出した美しい黄色も、露のきらめく緑色も。 何も考えなければ、世界はとても美しい。感じるだけで全てが終われるなら。
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