橋本裕の日記
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| 2007年02月05日(月) |
英語をファイナライズ(5) |
普遍言語システムの観点から、英語を観察して気づいた要点を、重要と思われる順にあげてみよう。
(1)英語は行為者である主語を先頭に立てる。
(2)続いて、行為もしくは気持を一気に言い切る。
英語が話せない最初の、そして最大の障害は、「主語」の問題である。日本語には「主語」がない。ところが、英語はまず、先頭に「主語」がある。だから、たとえば最初にまず「I」という主語を口にする。
「I」を主語として立てたときは、続いて、自分の気持を思い切って言い切る。この「言い切る」という決断が大切である。ここまで、一気に坂を駆け上がる。
<私は、好きです>(I like)(I am found of) <私は、嫌いです>(I hate) <私は、望んでいます>(I want) <私は、忙しいのです>(I am busy) <私は、手に入れます>(I get) <私は、与えます>(I give) <私は、します>(I do) <私は、言います>(I tell)
この「SV」の呼吸が身に着けば、英語を話すことは心理的に楽になる。私の実感からすると、これで日本語の壁は8割かた克服できる。
(3) あとは、「V」を「相手の立場に立って」説明する。
この「相手の立場に立って説明」ということが、3番目のポイントになる。英語は主語を中心とした自己中心性の高い言語のように見えるが、それは見せかけである。普遍言語の立場から見れば、英語もまたコミュニケーションのツールであることにかわりがない。
<私は、好きです>
と言われれば、相手は「何が好きなの?」という疑問が浮かぶ。だから、この答えをそのあとに続ける。
<私は、好きです。勉強するのが>
I like to study.
ところで、この文は、さらに説明が必要かもしれない。「勉強する」という動詞が、「何を」という問いを誘発するからだ。そこで、次にこれの説明を継ぎ足す。これで、英文が完成する。
I like to study English.
I / \to study English. −−− −−−−−−− like
<私は、忙しいのです>
と言いわれれば、相手は「どうして?」という疑問が浮かぶだろう。この答えをあとに続ける。たとえば英語の勉強で忙しいのなら、こう続ければよい。
I am busy studying. English
<私は、望んでいます>
と言われれば、「誰に」「何を」という内容が知りたくなるだろう。そこで、たとえば次のように続ければよい。
I want you to study hard.
大切なことは、「動詞」が問いを誘発しているということである。SVと続ければ、この「動詞力」によって、文章が自然に完成される。動詞が文章そのものの「枠組み」を提供しているわけだ。
ここで、大切なポイントをもう一つ加えよう。
(4)英語は説明するための言葉後ろに置く。
「説明する」ということは、つまり「情報の穴を埋める」ということだ。たとえば、「私は」を説明するのが、「好きだ」である。そして、「好きだ」を説明するのが「勉強すること」であり、これの「何を」という穴は「英語」で埋められる。
情報の穴を埋める言葉を、後ろに並べればよいのだから、これは慣れれば楽である。
I like you to study English with me today in my house.
このように、動詞によって喚起された「情報の穴」を埋める言葉を、いくらでも後ろに続けることができる。そしてこれだけの呼吸を覚えるだけで、英語を話すことが、とても自然なことのように感じられる。
(1)〜(4)によって形作られる英文は、とても合理的なシステムではないだろうか。そして私たちがこれを「合理的」と感じたとき、英語が普遍言語システムの上で機能する言語として、私たちの心の中で「ファイナライズ」される。まだ他にもポイントがないわけではないが、これについては改めて書くことにしよう。
(今日の一首)
ひさかたに古文を読めばしきしまの やまとことばはうつくしきかな
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