橋本裕の日記
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2006年05月18日(木) ある愛国者の素顔

 一昨年の10月28日の園遊会の席上で、日本将棋連盟会長で東京都教育委員の米長邦雄氏(62)が「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と天皇に話した。天皇はすかさず「やはり、強制になるということではないことが望ましい」とお答えになったが、これがテレビでも放映されて話題になった。

 私は学生時代からの将棋愛好家で、NHK将棋の時間もよくみていたので、米長さんのことは少し注目し、著書なども何冊かよんでいたが、それにしてもプロの将棋差しが、「日本中の学校で国旗を掲げ、国歌を斉唱させることが私の仕事」と天皇の前で公言するのには驚いた。頭の構造を知りたいと思ったものだ。

 先日、喫茶店で「週刊現代5/27」を読んでいたら、米長さんに一番近い存在だった桐谷広人七段(56)が、彼から受けた数々の仕打ちについて、怒りの告発をしている文章にであった。国旗と国歌がこよなく好きらしいこの「愛国者」の素顔が浮かんできたようで、私は「ああ、やはり」と納得した。

 米長氏は19歳のとき、「千人斬り」を決意し、94年の段階ですでに582人まで到達していたという。そのなかには、桐谷さんの二人の婚約者もふくまれるというから驚きだ。つまり、桐谷さんが婚約すると、米長氏は「紹介しろ」と迫り、会わせると自分の愛人にして、重荷になると、また桐谷さんに「お前が結婚しろ」と押しつけてくる。

 米長氏は他にもたくさんの愛人をつくり、次々と捨ててきたのだが、その縁切りの手紙も桐谷さんに代筆させた。「女が絶対にマスコミに手紙を持ち込まないように、彼女の息子のことも書き加えろ」と命じ、桐谷さんは「息子は夜道を気をつけたほうがよい」と書き加えたりしたという。

 桐谷さんは最大の犠牲者は、かっての将棋女流名人の林葉直子さん(38)ではないかという。米長氏は自分の愛人にならなかった林葉さんに対してマスコミや将棋連盟を使って、陰湿な攻撃を加え続けた。その手口はあまりに汚いので、この日記に書く気がしない、興味のある人は週刊現代を読まれるとよい。

 ただ、この事件についてはNHKの広瀬久美子アナが「週刊新潮」(98年5月27日)に書いているので、孫引きしておこう。

<林葉氏は、本来、一年間の休養だったが、千人切りを自負する元師匠の米長氏に、「彼女は近親相姦女だ」などと理事会に吹き込まれ、追放になってしまった由。何なの一体。この足の引っ張りようは>

 米長氏が手紙を代筆させたのは、万が一手紙がマスコミに持ち込まれても、米長氏は「これは自分の筆跡ではない」と言い逃れができるからだ。それにもう一つの意図は、自分のダーティな部分を知り尽くしている桐谷さんを「共犯者」にしたてあげて、口を封じるためだったのだろう。

 しかし、腹心で腰巾着だった桐谷さんも、最近の米長氏の独裁者ぶりには我慢できなくて、自分の過去の愚行の贖罪もかねて、米長氏の告発に踏み切ったようだ。桐谷さんは最後にこう書いている。

<これまで米長氏の女ぐせの悪さにさんざん泣かされてきた明子夫人でしたが、いよいよ精神的に参ってしまい、新興宗教に頼ったり、衝動的な行為に走ったりするようになりました。それでも米長氏が平然としていたのが印象的でした。

 こんな男がいま、将棋連盟の会長として名人戦の移籍騒動を起こしています。米長氏の脳裏にあるのは、将棋連盟が弱体化しようが、いかにして独裁体制を築くかということだけなのです>

 米長氏の将棋は華麗で、「さわやか流」とも喧伝されたが、一方で「泥沼流」ともいわれた。実力では中原永世名人に頭が上がらなかったが、その中原氏のあとを継いで将棋連盟の会長になった米長氏は、いよいよ「泥沼流」の本領を見せ始めたようだ。

(参考サイト)
米長邦雄は私の婚約者を寝取った最低の男、『朝日新聞』と共謀して「名人戦強奪」策す黒幕に桐谷七段が激怒 
『週刊現代』2006年5月20日号
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/
06-05/060516yonenaga-gendai.htm

特集 暴露された米長邦雄元名人の「恥ずべき私生活」
 「週刊新潮」1998年4月2日号 
http://www.kit.hi-ho.ne.jp/msatou/05-06/
050614yonenaga-shukanshinchou980402.htm


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