罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
境界線かグラデーションか。
正気と狂気の境はどうなるのか。 くっきりとした境界線が引かれるのか。 ゆったりとしたグラデーションなのか。 ひとによりそれは異なるのだろうけど。 それでも僕等は狂っている事を否めない。
僕等は幸福なのだろう。 まだ、偽る事が出来るから。 貴方の家族を演じられるから。 貴方達の事を知らなくても。 話を合わせていけてしまうから。
そうすれば貴方達は、 笑顔のまま、 何も知らずに生きていけるから。 僕達の事情など、 貴方達の知った事ではなかったよね。 貴方達が幾ら家族だとはいえ。 他人として幸福に生きる権利が在るのだろう。
だから、しばらくそっとしておいてくれないか。 僕等は演じ続けるから。 電話もメールも手紙もしないで欲しいよ。 演技出来なくなる程狂ってしまうから。
僕等を息子と呼んでくれた貴方達。 笑顔で迎え、本当に心配してくれた。 それでも。
ごめんなさい。 僕はその笑顔を受け取れない。 それは貴方の息子に与えられるべきものだから。 だから、貴方達の優しさが、この上なく僕等を引き裂いていく。 そして、僕は愛されてはならない存在になるから。
それでも、彼が愛した皆を、僕等も愛していたいから。 僕の身体が貴方達を血に染める前に。
僕を遠くに逃がしてください…。
最期迄、偽り続けられる力を、ください…。
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