罅割れた翡翠の映す影
目次過去は過去過去なのに未来


2001年12月25日(火) 昔の事 缶太郎

僕自身の記憶。


一番古いのは高校の時のモノ。
「どうして笑わないの?」
そんな内容の女の子の声。

黒は、笑う事が出来なかったみたいで。
演技は上手かったんだろうね、親にすら判らなかったんだから。
でも、それが演技だって判ってしまうヒトが、居たから。

僕は、笑う為に居た。
嬉しくても、悲しくても、笑い飛ばせるように。
皆に、黒の本心を悟られないように。
本当に悲しい事を、受け止められる事を願って。

それでも、それは黒じゃない。
この身体を使っていた彼じゃない。
黒は、自分が笑う事が出来る方法を探し始めた。
それは、彼の右目が作りモノのレンズに代わった時かも知れない。
それまで打ち込んで来たモノを、それによって奪われたからかも知れない。
自分の居場所は、もうその時既にあの家じゃなかったから。
機械ですら居られなくなったから…?

たまに、黒の声が聞き取れる。
「見捨てないで」って。

少しずつだけど、黒は笑ったり出来るようになった。
僕が出て来るのが、凄く飛び飛びになった。

それなのに、…黒は壊れた。
代わりは僕になった。
ミーシャが言うように辻妻を合わせて、違和感が出ないように。
いつ彼が戻って来てもいいように、彼の続きを引き継いだ。



今日、彼は
「もう戻る気はない」
って言った。

勝手だよ。
あの両親は君の両親だ、僕のじゃない。
あの両親に受け入れられて愛情を向けられるべきなのは、
君なのに。
あのヒト達が君と勘違いして僕を息子扱いするのは、苦しいのに。

君が、認めて欲しかったはずなのに。

僕はどうするべき?
君のフリし続けるのか。
僕の好き勝手するのか。
虚木にまかせて死ぬべきか。
白い感情に流されてしまえばいいのか。

「知った事か」
…って言われるのがオチかな。
なるよーにしかならないかな、…ふぅ。


Jade |MAILBBS

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