罅割れた翡翠の映す影
目次|過去は過去|過去なのに未来
| 2001年11月21日(水) |
The one I loved |
愛していた人。 もう関係無いと思ってた。 何より、忘れたかった。
彼が、苦しんでいた。 狂いかけていた。 壊れかけていた。 それを知って考えたのは、 ザマミロって言葉じゃなくて、 …何とかしてあげたい、だなんて事。
散々振り回しておいて、 年下の俺に求めるばっかして、 馬鹿みたいな嘘と理由で俺を捨てた。 少なからず憎んでいたと思ったのに。
呪詛の言葉も出て来なかった。 ただ、また彼が誰かを愛せるようになった事に祝福してた。 その愛で壊れそうな彼に何か出来ないかって純粋に考えてた。 憎いはずなのに。 恨めしいはずなのに。
死んでもいい位愛してた。 命じられれば誰だって殺したかもしれない。 捨てられた時、身体の中を全てえぐられた様だったのに。 空っぽの身体はまだ彼に従おうとしてる。
忘れたかったのに。 憎んでしまいたかったのに…。
いずれにしても、俺に出来る事は無い。 何をしたって、彼の逆鱗に触れるだろう。
無力な願い。 だが、どうか幸福でいて欲しい。 俺のように闇に沈んでしまわないように…。
|