J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2004年10月20日(水)    レイはこれからのことを決めかねている。

J (3.秘密の恋愛)

8. 誤解 (7)


「それは、あー、うん、これからのことだよ。」

咄嗟に私は思いついたようなことを言う。
これからのこと、と言えば、何にでも合わせることができます。
なので私が話題に困った時によく使うフレーズでした。

「これからのこと、、?」
レイは復唱して言いました。
「そう、これからのこと。
 ね、レイちゃん、あのさ、これからどうするの?」
と今度は私は声を潜めて聞きました。

聞きながら、、
私は何についてこれからなのか、考えている。

これから、つまり、この直会が終わってから、でもいいですし。
これから、そう、レイがいつ頃会社に復帰するのか、でもいい。
あるいは、これから、母のいなくなったレイの家ではどうしていくのか、
ということも言える。

ですがこの場合は。
レイの話したい“これから”に合わせ話を続けるがいい。
私はそう思い、レイの返答を待つ。


「これから、ですか、、。」レイは少し考えてから、
「そうね、これからどうするのか、
 私は、、まだ決めかねているんです。」

決めかねている?
どういうことだろう。

「どうして決めかねているの?」
「それは、お父さんは、・・・というけど、私は、・・・ですし。」

レイは肝心なところをごにょごにょと小声で言うので、
私にはよく聞きとれなかった。
「え?、何?。。よく聞こえないんだけど。」

レイはじっと私の顔を見る。
そして言う。
「また、相談させてください。今は。。」

私もまたじっとレイの顔を見て、そして言う。
「ん。わかった。今度ゆっくりな。」


実は。
私には何のことだか、まったくわからなかった。

だが。
その場はわかった顔をして、その話をやめた。


レイはこれからのことを決めかねている。
そしてお父さんと意見が違っている。
それを私に相談したいという。

今は。
それだけわかっていればいい。


  < Pre  Index  New >    


INDEX+ +BBS+ +HOME+ 
この物語はフィクションです。

My追加

+他の作品へのリンク+・『方法的懐疑』(雑文) ・『青空へ続く道』(創作詩的文章)