J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年02月25日(火)    恋愛に過去なんか関係ありません。

J (2.結婚)

4. 二次会 (8)


私は友美さんに私と知り合う前の男性関係を聞いたことがありません。

私が聞くってことは私も話さなくてはなりません。

私が私の過去の女性関係を友美さん話したとしても、
私にとっては心苦しいことは何一つありません。


ですが、、、
友美さんにとっては辛いことも中にはあるのです。



過去のこと、終わったこと。

わざわざ悲しい思いをさせるために真実を語るべきでない。

私はそう考えていました。


学生時代の恋愛については、相手が既に結婚していたこともあり、
私は友美さんにすべて思い出話のように話してやりました。
もちろん、誰とどこでキスをして、どこでSEXをしたか、
というような話はオミットしました。


社会人になってからの恋愛については一切話していませんでした。

何故なら友美さんも知っているオンナとの付き合いもあったからです。

そのオンナとはキチンと整理をして別れていましたので、
私にとってはやましいことはなにもなかったのですが、
そのことを敢えて話すことはそのオンナへは無礼にあたります。
また、友美さんにいらぬ気遣いをさせることにもなります。

ですから私はあえて話さなかったのです。



恋愛に過去なんか関係ありません。

目の前の相手を愛する。信じる。

それだけです。


互いの過去について聞かず語らずにいて当然、

私はそう考えていたのです。


友美さんにも初恋があり、恋愛もあり、失恋もあったのでしょう。

私がそうであるように。

そのことを知ってどうなるものでもありませんし、
そのことを知ったとしても何の価値も生み出さない。

であれば、あえてそれを知る用はないのです。



ところが。

そんな私であったはずなのに、、、

私はこのケンジという男が何故か気に懸かりました。


友美さんとどういう付き合いがあったのだろう?
幼馴染とはいえ呼び捨てで呼び合う程のこの親しさは?
声をかけてもいないのにワザワザ結婚式の二次会に来るのは何故?

、、、あの電話の男?

友美さんに結婚を5年待って欲しいと電話を掛けてきた男、、、。


頭の中にクレッションがいくらも浮かんでくる。


とは言え。

今は聞けない、友美さんに。

この場では、聞けない。



この席では、

友美さんに、、、聞けない。


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