J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2003年02月05日(水)    いや、社宅は駄目だ、

J (2.結婚)

2. 引越し (8)


社宅は3Kでした。3階建ての西南角の1階。

6畳ふた間と4畳半ひと間、台所とトイレ、風呂。

昔よくあった団地サイズの社宅で、全部で12所帯入れます。


みな同じ会社の同僚が入居していて、みな顔見知りです。


今日の引越しのことは社宅の人には特別に連絡していませんでしたが、
私たちがどやどやと荷物を運び入れる作業の騒々しさに気がついて、
何人かのひとが手伝おうかと声をかけてくれました。

しかし、申し上げました通り、たったこれだけの荷物です。

あっという間に運び入れてしまいましたので、お気持ちだけ戴いておきました。



私と矢崎と宮川の3人は早々に仕事を終えました。

私たちは鏑木さんとレイを待ちながら一服つけ、所在無くしていました。



私はレイのことが気になっていました。

あの夜からまだ数週間もたっていません。

レイはどんな気持ちでいるんだろう、、、



矢崎が部屋を見回してぼそっと言いました。
「おい、工藤、いい部屋だな、ここ、」

私は窓の外を眺めながら言いました。
「ああ、まだ新しいからな、この部屋はオレたちが始めてだし、
 矢崎はどうするんだ?、結婚したら、ここに住むのか?、」

矢崎は答えました。
「いや、社宅は駄目だ、工藤みたいに社内恋愛ならいいかもしれんが、
 外から入る嫁さんには付き合いが難しいそうだからな、」

私は、「ふ〜ん、そんなもんかな、」と答えました。



「え?、矢崎さんも結婚するんですか?、」

私たちの話を聞いていた宮川が口をはさみました。

私は、ちょっと不味いことを言ってしまったかな、
と思い矢崎をちらっと見ました。

しかし矢崎は動ぜず、「そうだよ、」と答えました。

そして、
「宮川君、君は誰か 付き合っている人がいるのかい?、」と聞きました。


宮川は、「いません、」とぽつりと答えました。


矢崎は言いました。

「レイちゃんなんて、どうだい?、」



、、、私は目を丸くしました。



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