J (ジェイ)  (恋愛物語)

     Jean-Jacques Azur   
   2002年12月15日(日)    その表情がとても愛しかった、、、

J (1.新入社員)

4. 花火の夜 (6)


友美さんは、どうして私が自分を誘ってくれないのか、
そのことを悩んでいました。

(私がイヤなのかしら、)

好きとか、嫌いとかじゃなくっても、
これほどみんなに噂されているのに、
どうして声を掛けてくれないのかしら。


私が誘った時、彼女は私の前で涙をためて言いました。

「すみません、工藤さん、私が悪いんです、
 私が、そういう素振りをしていたんです。
 工藤さんは、私がおイヤなのでしょう?」

この展開は私には意外でした。
私はうろたえて、つい言ってしまいました。

「そんなことはないんだ、悪いのはオレのほうなんだ、
 オレ、君と結構トシがはなれているから、
 だから遠慮して、君に悪いようになっちゃって、
 、、、
 オレ、君のこと、好きだよ、かわいいし、」


友美さんは、(ホントですか?)、という顔をしました。


その表情がとても愛しかった、、、

私のこころは揺れ動き、私は、ホントだとも、と頷きました。


「もしよかったら、本当につきあってみないか、
 君さえよければ僕はそうしたい、」



その夜、私と友美さんは初めてのキスをしました。

気持ちを確かめ合うような、そんなキスでした。



そうして私は、その当時付き合っていた女と清算し、
(この女とのことは本題と関係がないので書きませんが、)
友美さんと付き合うようになりました。


周囲は安心したようでした。

もともと皆から愛されていた友美さんです。
そして、私とても、皆から親しまれていた私です。

誰もが祝福してくれる、オープンなカップルが誕生したわけです。



ただ、私には、
友美さんを愛しいとおもう心はありましたが、
友美さんに対しての恋愛の情はなかったのですが。



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