DIARY
更新履歴も併せて記録。

2007年12月08日(土) その時。

昨日の夜はぐっさんと飯食いに行って、
結局なんか2時くらいに帰ってきて、
日曜はおばさんが来て、
そんで墓参りに行って飯食ってカラオケ行って飯食って帰ってきた。
次は正月だな〜って言ってたんだけど、
飯屋の片隅で俺と9つ下のいとこは、
冬コミで再会だけは嫌だなぁ〜。
でも俺企業ブースに入り浸ってると思う。
んじゃ会わないな!
…いや、俺はむしろ兄貴に会いそうで嫌だ!
という会話をしていた(爆笑。
ヲタク家系って凄い。

*

あれから8年たって。
忘れた事はないけど、
なんか怖くて形にできなかったその瞬間を、
今なら残して置けると思ったから覚書。
だって、こうして残そうって思うってことは、
忘れてしまうかもしれない事を自覚してるからなんだと思うから。

っつーわけでこの下反転。
見なくていい覚書。





その時。
俺は柵に引っかかってる酸素濃度を示す数値を見ていて、
あぁもうこの数字が上がることはないんだって、
どっか冷えた頭でぼーっとその赤い字を眺めてた。
それから目の前で浅く息を吐き出して、
ゆっくり溜めて、
そんでもう一度吸って、
それきり二度と、それは繰り返されなくて。
なんとなく細くなった指先と寝てるみたいな顔と、
それから、上下してた筈だった掛け布団をじっと見つめて、
あぁそっか、これがそういうことなんだ。
って、すとんと理解した。
平行になった心電図は直ぐ消されてしまって、
まるで『いいですね』って確認するような仕草で時刻を告げた医師と、
途端にぶあっと病室に広がった何かに、
真夏に漸くありつけた冷たい水が浸透してくみたいな気がした。
もう一度、かすかにでも動けばいいのにって、
一瞬だけ祈った気がしたけどそれも直ぐ忘れた。
医者も看護師も親族みたいに泣いてて、
それをほんの少しだけ揺らいだ視界で眺めた。
ただ、ベッドの傍らに居た母親を見るのが怖かった。
それから運び出す準備をするからって別室に移動させられて、
けど、その部屋のドアの色が灰色だった事と、
多分30分かそのくらいだったって事しか覚えてない。
病院の裏口に案内されて、
天気が凄く良くて、
傍の木の緑は濃くて、
足元には落ち葉があって、
待ってたのは黒い車。
俺はそれの助手席に乗り込んで、
高速に乗って自宅に帰ってくる間外の景色を眺めていた。
ふと、この後ろに乗ってるのはとうちゃんだけど、
でも死体じゃないか、って無性に怖くなったりもした。
前日に唐突に熱出して家に居た妹の事が凄く心配になった。
アイツはどう、理解するんだろう。
いや、理解できないかもしれない。
けど、きっとアイツはアイツなりの理解の仕方をするんだろうと思った。
だとしたら、アイツはどうするんだろう、って。
どうなるんだろう、って。
家についたら親戚も来ていて、
その時は苦しみもしなかったし、
覚悟もしてたし色んな意味で凄く尊敬できる最期だったから、
年は若いけど大往生って言っても、
それはそれで意味は間違ってないんじゃないのかって思ったりもした。
夜、ひとりになってから勝手に涙だけ出た。
葬式も告別式もよく覚えてない。
骨も誰と拾ったかよく覚えてない。
殆ど骨が残ってなかった事も、
死ぬ前から解ってたことだから驚きもしなかった。
んな重い骨壷持たすなら長男作っとけよって、思ったりもした。
49日が過ぎても、
正直どっかでまだ病院に居るような気がしてた。
その時からのことは夢で、
ホントは病院にまだいるんだって。
だって母親も妹たちもここにいるから。
結局。
本当に悲しくて淋しくて辛くてどうしようもなくて、
ガキみたいにわんわん泣いたのは、
それから半年も経ってからだった。
アパートに戻って一人になって。
それでやっと実感が湧いたみたいだった。
だけどもう、それから泣く事もなくなってしまって、
そうしてゆっくりと、何でだか病んでいった。
何もしたくなくなって、
カップラーメンのゴミと煙草の吸殻が溢れた部屋で、
ベッドから引き摺り下ろした布団に包まって、
カーテンも開けずに引き篭もった。
実家に戻ったのは、それから更に半年後。
あの時馬鹿みたいに泣いてもいいんだって思えた場所も、
その頃にはもう無くしてしまっていて、
甘える事だとかさらけ出す事だとかを許される場所を見失って、
考えてみたら、そっからちゃんと立ち上がった気がしない。
のろのろと起き上がってはみたけれど、
ただ流されてるだけで無気力な事に変わりは無かった。
だけどその慢性的な無気力にももうとっくに慣れてしまった。

俺は今でもその2つの『もう戻らないもの』ってのを、
馬鹿みたいに追いかけて縋って望んで待っているんだろうと思う。
それが戻ってくる事はないのに。
手を伸ばせば解ける目隠しをずっとしているような、
どっかで滑稽だと思っているのに、
取ってしまうことを、どうしてか怖いと思っている。

でもいつかは俺もみんなもあっちに行くんだし、
それはひょっとしたらそんなに悲しい事ではないのかもなって。
あれからの色んな事を共有できない事は凄く淋しいけど、
それでもまだ俺にはママンもいるし、
妹たちもいるしじいちゃんもばあちゃんも親戚もいるし、
だけど。
それでも。
ひとり残されてしまうのはとても怖いと思うから。
少しでも、少しでも長く一緒に居て欲しいなって。
そういう風に思うわけであります。


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