今日は早出だった。 にも関わらずシャワー浴びたら、 昼飯を調達する時間をうっかり失った。 いつもより30分長い前半戦。 10時も過ぎれば、 いつものメンツは「腹減った」しか言わなくなる。 目が合った人に、とりあえず「今日昼飯何っすか?」と問い、 それで「俺どーっすっかなぁ〜」と巡らせて気を紛らわす。 と、隣でN野さんがホカ弁にすると言い出した。 すかさず「何食うんスか?!」と訊くと、 彼女は「んー、てか昼飯買いに行くん?」と言って来たので、 頷いてから「ホカ弁頼むなら俺もー!」と答えた。 丁度ラインが止まっていたので、 メニュー表の前まで行って唸る2人組。 数分後N野さんが電話を掛けて、 ジャンケンに負けた方がチャリな、となり、 俺チャリなんかずっと乗ってねぇから乗れねぇかも。 と唸りつつジャンケンをするが、めでたく勝利。 そうして昼のチャイムが鳴る。 煙草を一本吸って、N野さんは窓に向かった。 ドアではなく。
ちなみにこの現場、ホカ弁の裏にある。
ある窓を開けると、丁度それの駐車場が広がっている。 まさに目と鼻の先。 実はここには所謂抜け道的なものが存在するのだ。 窓の手前にある机に乗り、 サッシを越えて向かいの壁を飛ぶ。 そうすればホカ弁の駐車場。 サッシと壁の間は精々20センチなので容易い。 N野さんは一瞬悩んで、スリッパのままそれを飛び越えて行った。 よろしく〜。 見送る俺、品物を受け取る係である。 待つこと10分弱。 相当混んでいるのだろう、駐車場は120%満員御礼だ。 漸くN野さんが戻ってきた。 しかし行く前から「これ壁登れるかな」と言ってた通り、 壁の向こうに見えるN野さんは生首状態だ。 とりあえず弁当を受け取って、 俺にこれ登れるんかなぁと考えていた。 ちなみにN野さんは俺より5センチ背が高い。 N野さんが壁に足を掛けようとした。 その時。
ざりっと怪しい音が。
瞬間N野さんは「駄目だコレ!」と言い、 少し周りを見渡してから何かを発見したようだった。 何だ、と思いつつN野さんが足を掛けようとした辺りを反対側から見る。 と、そこにはひび割れたコンクリの壁。 所々向こう側の光まで差し込んでいる。 怪しすぎる。 それから俺の右手方向に消えたN野さんの影を追って、 上渡ってくれば?と言おうとしたが、 既に彼女は隣の家との垣根にあったフェンスに足を掛けている。 結局みんな考える事は一緒だなぁ。 それからN野さんはひび割れた怪しげなボロ壁を、 まさに危ない橋を渡る足つきで帰ってきた。 無事生還したN野さんに「あざっす」と声を掛けて、 手を洗って来ると言った彼女を待って昼飯タイムに入る。 俺は待ち焦がれた親子丼を10分で食べた。 それから食後の一服をしながら、 別に俺受け取って先に食ってればよかったなぁ、とか、 N野さんも回って来たって5分くらいなのになぁ、とか考えたが、 結局取ってきてもらった手前、 彼女が戻ってくるまで待ってしまうわけだから一緒だな、と思って、 そう言えばN野さんが自分で決死行に移る前に、 俺それを進言しようとしてたな、ということに思い当たる。 どんだけ腹減ってんだよ。
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ところで。 俺は今左手に1個、右手に2個のマメを潰している。 全部2日前にある作業をしたために2時間ほどで発生したものだ。 一番でかいのは右手人差し指の直径1センチ。 さっき自力で潰して水を抜いた。 左手に出来たヤツは生まれて直ぐ潰れて剥けた。 大きさはともかく、コイツが一番痛い。 右手中指のヤツはいつの間にか潰れていたけど痛くない。 実はこのマメが出来た時、 隣のHさんが「負傷者が!」と騒いだので、 結果的に2時間で「これは痛かろう」と外されたのだ。 何せテーピングをして2時間で3つ。 今も3箇所絆創膏が貼ってあって、 何だお前バレー部かソフト部か野球部か、みたいな状態である。
だが!
明日はこの作業が中心になるらしい。 その情報を入手した時Hさんは「ヤダぁ」と言っていたが、 俺は内心どころか宣言した。
リベンジ!!!
2日前のあの時、 俺はこんなマメ如きで戦線離脱した、 所謂敗北をくらったような気分だった。 実際その後の作業で「もう1人入れようか?」と言われた時、
俺今日もう1回負けてるから負けらんねぇ、 一日に2回も負けるわけにはいかねぇ。 畜生、次は勝つ。
と意味の解らないことを言って跳ね除けたほどである。 今まで一度配置された場所を、 そのノルマが終わる前に外されるということがなかった。 他の作業が入ったときは別だが。 なので、妥当な判断を下されたにも関わらず結構納得行ってなかった。 マメなんか新作を最初に組む時には付き物のようなものだった。 今までだって何個も潰したし、タコになったところもある。 大体今回はテーピングなんてモノまで導入されたのだ。 にも拘らず、だ。 無駄な所で無駄に負けず嫌いなのだ。 だから明日ホントにあの場所に配置されたとしたら、 今度こそ負けるわけには行かないのだ。
あの配線コード如きに…!!
そうして絆創膏を巻き直し、 明日テーピング厚めにしよう、とか、 親指も結構キてるからこっちも巻いとこうかな、とか考えているのだ。 案外充実しているらしい。
…明日行って外されてたら凹む。
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